TOKU約寄稿


このコーナーは私が毎回一つのテーマを取り上げ、それについて勝手に意見
を述べていく特約寄稿(コラム)です。


第12回:「癒し」で人は弱くなる?!


去年くらいから「癒し」がブームになってますけど、今回はこの「癒し」に
ついて少し警鐘を鳴らすような感じで書いてみたいと思います。
「癒し」っていう言葉が世間に広がるきっかけを作ったのはどうもタレント
の飯島直子さんらしいんですよ。僕もよくは知りませんけど、飯島さんが出
演している某缶コーヒーのCMを雑誌やらテレビやらが「おじさんたちの心
を癒してくれるCM」と評したことから、「癒し」っていう言葉が頻繁に使
われるようになっていったそうです。
現在ではやたらいろんな商品に「癒し」という宣伝文句をつけてますし、人
にも「癒し系タレント」とか言うたりしてますけど、ちょっと行き過ぎちゃ
うかっていう気がするんですよ。例えば「たれパンダ」とかはキャラクター
としては別に何の問題もないですけど、あれ見て「心が癒されるなあ」って
ほんまに感じる人います?。僕自身はあれ見て心が癒されるって感じたこと
は全くありませんけどねえ。
元々「癒す」っていう言葉の意味は「病気や傷、苦しみを直す」っていうこ
とですから、世間で流行っている「癒し」は「苦しみから解放される」って
いう意味になると思います。でも「たれパンダ」を見て苦しみから解放され
たっていう気になる人はいないと思いますけどねえ。
某CMで使われた坂本龍一さんのインストゥルメンタルの曲は大ヒットして
「癒し系ソング」として言われてましたけど、あれも「癒し」っていうほど
のもんでもないと思います。確かにクラシックに代表されるように音楽には
人の心を和ませたり、精神的に安定させたりとかっていう効果はありますけ
ど、「癒し」と呼ぶまでには至らないんとちゃいますかねえ。
その坂本龍一さんの妻でありミュージシャンでもある矢野顕子さんが以前テ
レビで「私の音楽は癒し系ソングとかいろいろ言われているけど、私自身そ
んなつもりで曲を作ったことはない。癒される、っていう言葉は受け身的で
他人にどうこうしてもらいたいっていうことだからあまり好きな言葉ではな
い。」っていうようなことを言うてたんですけど、まさに商品を作る側とし
てはこの気持ちやと思います。元々「癒す」とかそんなこと考えずに作った
商品に勝手に世間が「癒し系」というネーミングをしているだけなんとちゃ
いますかねえ。それがどんどんエスカレートしていって、とりあえず何にで
も「癒し」っていう売り文句をつけておけばええやろ、みたいな感じになっ
て今のような「癒し」ブームになったような気がしますけど。
でも、「癒し」が世間で流行るようになったのは逆に考えると苦労とか忍耐
とかということを忘れつつある状態やということは注意せなあかんでしょう
ね。戦後日本の高度経済成長の大きな理由は苦労人が多かったことにあると
思いますけど、今のように社会が発達してしまうと苦労をしなくても生活が
やっていけますから、そこに甘えが生じてしまうと思うんですよ。
「癒し」と同時期に10代の若者の「キレル」とか「むかつく」とかいった
ことが流行ったのも結局はこの理由からやと思いますけどね。つまり苦労を
せずに、嫌なことは我慢せずはっきりと嫌と言え、というふうな状態になっ
ているからこそ、これが悪い方向に向かって「キレル」とか「むかつく」と
かいうことになっているんとちゃうかって思います。
「癒し」っていうのは、今自分は苦しい状態にありますから助けて下さいっ
て言うてるのといっしょですからね。我慢せずに、今自分は苦しいんだとい
うことを周囲に伝えること、そして自分でそれを認める風潮が強いからこそ
「癒し」がブームになるのとちゃいますかねえ。
ただ、今みたいに過剰すぎる「癒し」ブームは明らかに人を弱くしていくこ
とになるでしょうね。本来は不条理なことがあったらそれを人間形成のステ
ップとしてとらえなければいけない場面でも、「癒し」という言葉を利用し
て我慢せずに逃げてしまうことになっていくでしょうから。
「癒し」っていうのは先にも書いたように「癒される」っていう受け身の形
ですし、他人にどうこうしてもらうっていうことですから、「癒し」が流行
るということは自分では苦しい状態を打破できないから周囲に頼るってこと
になりますしね。本当は自分で解決しなければいけないことでも、人に頼る
のが許されている状態が「癒し」そのものやと僕は思います。
それを考えたら昔の人の精神力っていうのは敬服に値すると思いますけどね。
「癒し」という言葉自体浸透していない昔は、忍耐とか我慢とかが当然でし
たから。もちろんその状態が100%いいとは言えませんけど、今の状態も
決していいとは言えないんとちゃいますかねえ。あまりに忍耐とか我慢とか
を忘れすぎてるような気がしますし。
もちろん、自分一人で何もかもできるようなパーフェクトな人間なんて存在
しませんし、他人に頼りながらしか生きていくことはできませんけど、自分
でやるべき事と他人に頼る事の境界線をちゃんと引けるようになっておかん
とあかんでしょうね。何でもかんでも「癒し」という言葉を利用して逃げ道
を作ってしまっては進歩も成長も全く得られないでしょうし。まあこうやっ
て言えるようにならなあかんでしょうね。「癒しは卑しい」って。お後がよ
ろしいようで・・・。


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