赤岳・白雲岳・北海岳・黒岳

 

2012727日 晴れ

 

前日に登る予定だった芦別岳は、出発時間を大幅に過ぎても濃いガスが山肌を離れないため、やむなく断念した。

平地は青空が見え、うだるような暑さだというのに、芦別山系や十勝連峰には厚い雲がかかり、山裾さえ見えない。この日は札幌で今年最高の32℃を記録したというから、全道的に暑い日だったのだ。

そんなことで、時間を持て余し気味に層雲峡へ向かった。途中、富良野町でモーニングコーヒーを飲み、美瑛の丘でラベンダーを鑑賞したり、丘の上のベンチでうたた寝したり、上川町でラーメンを食べたり、とにかくゆったりとした移動だった。

それでも時間が余ったので、白滝方面まで行ってみた。行きは高速道路、帰りは一般道を走ってみた。無料の高速道路が並行して通っているせいか、一般道はほんの数台の車しか走っていなかった。立ち寄った北見峠は言葉に尽くせないくらい淋しい状況になっていた。

 

層雲峡に着いてから、山岳写真家・市根井孝悦氏の「層雲峡・大雪山写真ミュージアム」に行ってみた(入館料300円)。
 展示されていた大雪山の大判写真は、想像していた以上の迫力だった。
 写真は記録だけではなく、芸術でもあるということを再認識させられたミュージアムだった。
 これだけ素晴らしいミュージアムなのに、ちょっと宣伝が足りないのか、入館者の少ないのが残念だった。是非、多くの人に見てもらいたいものだ。

 

夕方からは「黒岳の湯」に浸かり、大広間でビールを飲んで時間をつぶした。酔いが回った辺りで駐車場に戻り、用意しておいた寝袋に潜り込んだ。

 

 

総所要時間 9時間35分(食事休憩等含む・バス、リフト時間含まず)

 

歩行所要時間 8時間40分(休憩時間含む)

 

銀泉台⇒2:50⇒赤岳⇒1:15⇒白雲岳⇒1:30⇒北海岳⇒2:00⇒黒岳⇒1:057合目リフト

 

2010年の同コースはこちらをクリック!

 

 

 

 

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GPSログ

 

 

 

 

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層雲峡温泉駐車場に車を置き、早朝6時発の道北バスで銀泉台に向う。銀泉台までの砂利道はガタガタ・ゴトゴトと振動が凄まじい。たっぷりと振動マッサージを味わったころ銀泉台に着く。

銀泉台の駐車場は昨夜から来ている人が多いのか、ほぼ満車の状態。奥にある森林パトロールの事務所で登山届出帳に記入してから出発する。

 

 

 

 

 

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 第一花園には多くの高山植物が咲いている。ウコンウツギを前景にしてニセイカウシュッペ山方面を写す。市根井孝悦氏もアッと驚く、芸も何もない写真だ。

 

 

 

 

 

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第二花園の雪渓の周りにはチングルマやエゾコザクラが群落を作って咲いている。汚れた雪渓の向こうに、石狩連山が横長のシルエットを見せている。

 

 

 

 

 

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 「コマクサ平」にて、鮮やかなピンク色のコマクサを前に置いて東岳方面を写す。どこにピントがあるのか分からない、いい加減な写真だ。

 ここまで登る途中、一組の中年夫婦登山者に「大丈夫ですか?」と声を掛けられてしまった。自分の何処が不安げに見えたのか分からないが、せっかくの言葉だったので、「大丈夫です!」と答えたのだが、それにしてもちょっと納得のいかない情けない一場面だった。

 

 

 

 

 

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 雪の少なくなった第三雪渓を登り切った辺りからコマクサ平を振り返る。山間部に滞っていた雲が湧き上がり始め、その雲の上から屏風岳や武華岳、そして武利岳が見える。

 

 

 

 

 

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アオバツガザクラと第四雪渓。大きな雪渓の周りにはチングルマやエゾノツガザクラ、ヨツバシオガマなど、多くの高山植物が咲き乱れている。ここまで来ると赤岳は近い。

 

 

 

 

 

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第四雪渓を登り切ると平坦地が広がり、その奥に小さな岩山が目に入る。ここが赤岳山頂とは気が抜けそうだが、ここからの眺望は第一級。烏帽子岳、凌雲岳、北鎮岳、旭岳、白雲岳など、数え切れない程の頂が連なって見える。

赤岳まで来ると結構な風の強さで、ここからレインスーツの上着を着て身体の冷え込みを防ぐ。今回持参した麦わら帽子は風に弱く、飛ばされないよう、手で頭を押さえながらの前進となった。

 

 

 

 

 

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平坦な小泉岳から白雲岳を見る。右奥に北海道最高峰の旭岳が見える。時間の止まったような写真だが、実際はビュービューと強い風の音が加わる。求めていた大雪の涼風は少し寒過ぎるようだ。

 

 

 

 

 

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小泉岳からトムラウシ山や十勝連峰を見る。この光景を見たいがために、ここまで登って来る登山者もいるくらいだ。すっかり「悲劇の山」として有名になったトムラウシ山だが、以前のように「岳人憧れの山」、「中央高地・孤高の山」と呼ばれるのはいつの日だろうか。

 

 

 

 

 

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カルデラを囲む外輪山のような白雲岳。その外輪山にわずかに残る雪とチングルマを写してみた。何を主張したいのか分からない写真だが、こんな場所もあるよ!ということで。

 

 

 

 

 

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大賑わいだった白雲岳山頂。何度も登っている山だが、こんなに人が多かったのは初めて。どうやら大勢の女子高生たちは黒岳石室に泊まってから白雲岳に登って来たようだ。

こんな若い時に大雪山を知るとは、なんて幸せなことか。でも、そんなことを実感するのはずっと後のことかも知れない。

 

 

 

 

 

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白雲岳山頂からの定番風景。この時期までは雪渓の白とハイマツの緑で美しいストライブ模様が見られる。左奥は北海道最高峰の旭岳。

 

 

 

 

 

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白雲岳山頂から下りて、カルデラの中を歩く女子高生グループをズームアップ。なだらかな斜面に見えるのは、高山植物の種類の多さで有名な小泉岳。その奥に見える山は武利岳。

 

 

 

 

 

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赤岳沢源流部に咲くエゾノツガザクラの群落。この辺りは多くの高山植物が群落を作って咲いている。まるで庭園のように見える個所もあって、写真愛好家にはたまらない絶好の撮影ポイントなのだろう。

 

 

 

 

 

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北海平に咲くチングルマを前に置いて白雲岳を写す。北海平はイワウメの大群落でも有名な場所。少しイワウメの時期を過ぎたようだが、所々で可愛い花を見せてくれた。

 

 

 

 

 

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北海岳の山頂から「お鉢」(大噴火口跡)越しに北鎮岳を見る。左奥には比布岳や安足間岳が頭を出している。手前に咲いているのはイワブクロの大株。

 

 

 

 

 

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北海岳からクジャク岩を見る。見る角度によってはカメのように見えたりもするが、この角度からだと、丁度ハイマツの緑が長い羽や尾のように見えて、クジャク岩だと納得が出来る。

 

 

 

 

 

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北海岳山頂から下り、二本の川を渡って黒岳石室へ。石室前のベンチで暫しの休憩を取っていると、白雲岳で見た女子高生たちの賑やかな声が聞こえて来た。今夜も石室での泊まりのようだ。

 写真は桂月岳。雪渓横に咲くピンクや白の高山植物が美しい。

 

 

 

 

 

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黒岳に登る途中、石室方向を振り返る。北鎮岳は上半分以上に雲がかかり、千鳥の雪渓を隠している。のどかな田舎のような光景だが、ここは大雪山の中心部。二千メートル近い標高がある。

 

 

 

 

 

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プチ縦走最後の山頂黒岳は風が強くて落ち着いて休むことが出来なかった。夕暮れが迫っているせいか、少し淋しい山頂を後にしてリフト乗り場まで下る。

赤岳周辺の高山植物とはまた違った花が目を楽しませてくれる。マネキ岩にも雲がかかり始め、眼下の温泉街が雲間に消えていった。

 7合目からはリフト、ロープウェイと乗り継いで層雲峡温泉に戻り、昨夜と同じように「黒岳の湯」で汗を流し、ビールで疲れを癒した。

 

 

 

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