朝里岳  1281m

 

2005513日 朝里峠から

 

札幌の市街地に咲く桜も満開になり、やっと春めいた暖かさになってきた。しかし降雪量の多かった今年の冬を象徴するかのように、近郊の山々にはまだまだ雪が残り、白い山肌を見せている。冷え込みが続いた天候から、思いがけなく晴天続きの日に休日となったので、一度しまい込んだテレマークスキーを引っ張り出して朝里岳へ出掛けてみた。

朝里岳は朝里川の源頭に位置し、別名「飛行場」と呼ばれる広大な山頂を持つ山である。スキーシーズンなら、国際スキー場やキロロスキー場のゴンドラを利用して、短時間で山頂に立てる山である。両スキー場はGWを最後にして今シーズンの営業を終えたため、朝里峠から国際スキー場を経由して朝里岳まで歩いた。黄砂で汚れた雪の上に新雪が積もり、思いがけなく純白の峰を楽しむことができた。だが気温の上昇とともに新雪はシャーベット状になり、握ると水がしたたり落ちるほどで、まるで濡れた雑巾の上を歩いているようだった。朝里岳から下る絶好のゲレンデも、この雪質のおかげで足を掴まれ、軽快な滑走を楽しむ余裕などはなく、林間もプルークターンで転ばぬよう、木に激突しないようにと注意を払いながら滑った。帰りはコースを変えたのがたたって、沢すじをトラバースする羽目になり、思わぬところで冷や汗をかいてしまった。

 

登り 2時間50分(休憩時間含む) 下り 1時間(トラバース時間含む)

 

GPSトラックログ

 

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朝里峠の旧道入り口に車を置き、コンパスを見ながら樹林帯を歩く。30分ほどで「メルヘン第一リフト」の終着場が見えてくる。スキー場の北側は崖になっているので、左側を巻くようにしてスキー場に出る。

 

 

 ゆっくり歩いて1時間、誰もいないスキー場ゲレンデに出る。スカイキャビン山頂駅の背後に、なだらかな朝里岳の稜線が見える。シーズン中の喧騒とは裏腹に、気味が悪いほど静かなゲレンデは、まだたっぷりの雪を残していた。

 

 

 シーズン中は食事やビールを求めるスキー客で賑わうスナック「カッコウ」も、扉が堅く閉められている。階段の上に座って、強くなり始めた陽射しを浴びながら休憩をとる。肌着1枚の姿はどう見ても「ダッサイ!親父」だ。

 

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 スカイキャビン山頂駅裏手から尾根に沿って朝里岳へ向かう。急な斜面もなく、左手の白井岳を見ながらゆっくりと登る。湿り気を帯びた雪はシールに食いつき、ノンスリップの軽快な歩行を楽しむ。このあたりから強い陽射しで顔がチクチクし始める。

 

 

 山頂駅からほぼ1時間で朝里岳山頂に着く。山頂といっても明確な目印がある訳でもなく、「この辺りかな」と思ったところに腰を下ろす。目の前の余市岳を見ながら、いま流行(はやり)の「スープカレーラーメン」を喰らう。「う〜ん、まいう〜」だね。

 

 空の一部が虹色に輝いているのを見て、不思議な現象だなと思っていたら、後日の某新聞で『水平環』と呼ばれる珍しい現象であることを知った。黄砂で汚れた雪の上に新雪が積もったので、余市岳は純白の輝きを取り戻したようだ。

 

 

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朝里岳山頂への登りは、ダケカンバが疎らに生える緩い斜面。この時期、ザラメ雪の軽快な滑走を期待してきたが、新雪がシャーベット状の湿り雪に変わって、滑らない、曲がらない、面白くない、といった塩梅で、股関節が悲鳴を上げるのだった。

 

 

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 登ってきた方向を振り返ると、スキー場の遥か後方に「春香山」が見える。快晴に微風、ときおり上空を飛遊するトンビの鳴き声が聞こえてくる。雪の上の獲物でも探しているのだろうか、高度を変えながらくるくる回っていた。

 

 

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 朝里岳山頂から眺める「白井岳」。余市岳、朝里岳とあわせて「余市三山」と呼ばれている。朝里岳からは尾根伝いに登るコースがある。山頂から北斜面を滑り降りて国際スキー場に至るコースは「パウダー中毒患者」を増殖させているらしい。

 

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