大千軒岳(1071.8m)
2008年6月8日 旧道コース往復 旧道コース GPSログ
大千軒岳は北海道松前半島の最南端にある1000m峰であり、江戸時代にえぞ地キリシタン106名が殉教した悲しみの舞台でもある。山頂には北海道で一番古い一等三角点が設置されている。また花の多いことでも有名で「花の百名山」に数えられている。
登山コースは、福島町・千軒地区から入る知内川コースと、松前町と上ノ国町を結ぶ「道道・石崎−松前線」から入る新道コースと旧道コースがある。歴史を感じるには知内川コースを登るのが良いらしいが、タフな登山道と所要時間4時間に尻込みして、林道走行は長いが所要時間の短い旧道コースを登って新道コースを下りる計画を立てた(実際はガスのため展望が楽しめず、花を見ながら下山しようと旧道コースを往復した)。
山中では大千軒岳の山容を目にすることは出来なかったが、帰りに立ち寄った千軒地区にある「大千軒岳登山者休憩所」からは、霧が晴れてくっきりと浮かび上がる大千軒岳の雄姿を確認することが出来た。
登り・2時間05分(休憩時間含む)旧道登山口〜1時間40分〜千軒平〜25分〜山頂
下り・1時間40分(休憩時間含む)山頂〜20分〜千軒平〜1時間20分〜旧道登山口
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北海道最南端「白神岬」。福島町を抜けて岬を周れば松前町。札幌から350キロの運転は過酷だ。朝日地区の信号から「道道・石崎−松前線」が山奥に延びている。ここから約30キロの林道走行が始まる。
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林道途中にある「第一ゲート」。往きは監視員が記入してくれたが、帰りは自分で記入した。本当の林道走行はここから始まると言って良いだろう。信号から登山口まで1時間10分を要した(カメ運転かも)。
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延々と続く林道の大部分は未舗装。やたらとカーブが多く、アップダウンを繰り返す。「大曲」からの近道はがけ崩れのため不通と聞いていたのでパス(なぜかゲートは開いていた)。心配していた対向車とは数台出会ったが、運良く車寄せ近くだったので事なきを得た。
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やっと着いた旧道登山口から満車になった駐車スペースを見る。普通に駐車出来るのは5〜6台だろう。少し下にも駐車スペースがあるので、満車の時はそこに停めると良いだろう。新道登山口はここから3キロ先にある。
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登山口からはブナ林の中を歩く。霧が立ち込めたブナ林の中は清々しく、何度も大きく深呼吸をした。普段悩まされている鼻炎もどこかに消えたようで、ストレートに肺へ流れ込む空気の美味しさを堪能した。まるで林全体が空気清浄機のようだ。
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植生がブナ林からダケカンバに変わる辺りで突如現れた古木。腕を大きく広げ、何かを叫ぶように立っていた。何かに似ていると思いをめぐらした挙句、突然閃いたのが映画「プラトーン」。兵士が何かを訴えるように倒れるあの場面である。
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森林限界を過ぎるとシラネアオイが姿を見せ始めた。晴れていれば大千軒岳の丸みを帯びた山容を眺めながらの楽しい山歩きとなるのだが、生憎の霧で見えるのは足元の花々だけ。千軒平手前にはシラネオアイの大群落が今を盛りと咲き乱れていた。
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千軒平の上り口にはクマ除けの鐘が取り付けられた新しい標識が立っていた。いつかは「金山番所」跡の残る知内川コースから登ってみたいものだ。江戸時代のキリシタン虐殺というおぞましい歴史。忘れてはならない負の遺産でもある。
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西側斜面から吹き上げる霧と風から身を守るようにして休息する登山者。風下になっている標識のある辺り一面はシラネアオイの大群落。強風が渦巻いているため、ゆっくり花を楽しむ余裕がないのが残念。
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標識から一段上がると白い大きな十字架の立っている千軒平。晴れていれば十字架の前方に大千軒岳が見える筈なのだが霧のために視界は悪く、先に延びている登山道の10数メートル先しか見えない。
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何も見えないとボヤキながら下りていく登山者。慰めてくれるのは足元に咲く花々。晴れていれば最高だが、霧の中の登山にもそれなりの趣がある。しっとりと静寂の山、言い知れぬ不安、悪天を楽しむのも山の醍醐味である。
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千軒平から山頂直下までの西側斜面を覆うエゾノハクサンイチゲ。開花時期が1週間ほどの花だというから良いタイミングで登ったのだと思う。お目当てはシラネアオイの群落だったので、これはサプライズなプレゼントだった。
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山頂直下の登山道から左に分かれて数十メートル進むと名物の「千軒清水」に行き当たる。山頂からわずかに下っただけなのに、こんこんと流れ出る湧き水があるとは驚きだ。もちろん甘露甘露のノド越しだった。
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大千軒岳山頂。強い風と霧が流れる悪条件の山頂だったが、多くの登山者が歓談していた。新道コース側や千軒平側から次々と登って来る登山者で狭い山頂は満員御礼の垂れ幕が下がるほど。聞いた話ではここ2週間雨が続いていたそうだ。なるほど霧でも登山者が多い筈だ。
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軽く腹ごしらえした後、山頂がわずかに空いた時を見計らって記念撮影。あわただしい山頂で気持ちが落ち着いていなかったせいか、目の前にある北海道最古の一等三角点にタッチするのを忘れてしまった。誠に残念と言うべきか。この後、新道コースを下りるという予定を変更して旧道を戻った。3キロの林道を歩くより、気持ちの良いブナ林を下った方がはるかに山登りらしいからだ。
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帰りに汗を流したシンプルな松前温泉。国道脇の看板には方向矢印か「この奥」の言葉を入れて欲しい。行くときに看板を見ただけだったので、名前を頼りに松前町まで行ってしまった阿呆な登山者もいるのだ。
50キロの林道走行を終えた車は泥だらけで、流石に函館市内に乗り入れる勇気はなく、途中のスタンドできれいに洗い上げた。
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出会った花々 の一部
ギンリョウソウ ハクサンチドリ
ミヤマキンポウゲ
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フギレオオバキスミレ ミヤマオダマキ
オオサクラソウ
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