八甲田山(八甲田大岳・小岳)

2001828

 

ガスの中の岩木山を登った後、弘前、黒石と道を何度も間違えながら北八甲田山麓にある「酸ヶ湯温泉」にたどり着く。温泉横の林に設けられた野営場にテントを張り、さっそく着替えを持って「温泉」へ行く。入浴前に腹ごしらえと思い、温泉旅館に併設されているそば屋「鬼面庵」へ入り名物の「麦とろろ飯」を注文する。ところがご飯物はもう終わって、蕎麦しか無いという。朝、青森駅前で「海老天そば」を食べ、昼に、岩木山スカイライン食堂で「山菜そば」を食べてきたから、もう蕎麦は結構と思ったが、他に食べるところも無いので仕方なく「なめことろろそば」を注文する。ところがここの蕎麦、細めに打ってあり、上品でなかなか美味かった。「千人風呂」で暖まった後は売店から「おでん」と缶ビールを買ってベンチで晩酌をする。こんな時間が結構たまらなく嬉しかったりするものなのだ。

 

左・名湯「酸ヶ湯温泉」。泉質は酸性硫化水素泉で乳白色、名前の通り強烈に「酸っぱい」味がする。お湯が目に入ると痛いほどである。総ヒバ造りの混浴・大浴場「千人風呂」は、本当にその位入れそうな大きさだった。背後には「八甲田大岳」が聳えている。

 

右・登山後に食べた名物の「麦とろろ飯」(600円)。何故か懐かしい思いがする素朴な味だった。

 

 

「下毛無岱」からロープウェイ山頂駅(左)、田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳、大岳と続く山並みを見る。

 

630分、「酸ヶ湯温泉」左の登山道を登り始める。予定では「仙人岱」「大岳」「毛無岱」の順で歩くつもりだったのだが、どうも登山口を間違えて「下毛無岱」に向かってゆるく下っていることに気付く。まあ逆コースも良いかと思い直してそのまま歩くことにする。30分ほど歩くと「下毛無岱」下部に着く。紅葉時季には素晴らしい光景が見られるのだろうと思いながら湿原につけられた木道を歩く。

 

 

左・「上毛無岱」から青森市内や陸奥湾が望まれる。どんよりとした雲間から燭光が射したように明るく見えた。

 

 

 

右・湿原の花の時季は過ぎたようだが、所々に白い可愛い花が咲いていた。

 

 

「下毛無岱」全景。「上毛無岱」へと続く木製階段上部から撮影。お宮参りに行ったような長―い階段だった。

 

 

 

 

左・「上毛無岱」からはアオモリトドマツの林の中を登って行くとダケカンバやナナカマドが現れてくる。ガスの中に現れた「大岳避難小屋」はペンションと見間違う程の立派さだ。

 

 

右・登山口から2時間20分で着いた「大岳」山頂。ガスで眺望は無し。登った山全部が晴れていることなどあり得ないと自分を慰める。

 

 

 

 

左・山頂から仙人岱への下り。崩壊を防ぐためなのか、落石から身を守るためなのか、石の詰められた頑丈な金網ボックスで登山道が保護されている。

 

右・山頂を下りきったところにある小さな沼。この辺りは谷地になっていて桔梗が咲いていた。またアザミも群生していて薄紫の花をつけていた。

 

 

 

左・「小岳」山頂から仙人岱を見下ろす。資材が積んであった先に仙人岱への道があるのを見落として「小岳」への登山道に入る。すぐ間違いに気付いたが、時間もあることからそのまま「小岳」まで登り、40分ほど休憩と展望を楽しむ。

 

右・登山者に踏み荒らされて湿原が消滅してしまった「仙人岱」から「小岳」を見る。真ん中の休憩所に「八甲田清水」と書かれた湧水がある。

 

 

 

左・「仙人岱」からの下りにある「地獄湯の沢」。この沢を下っていると硫黄の臭いがぷんぷん漂ってくる。下方には「酸ヶ湯温泉」が見え、遠方には南八甲田の「横岳」が見える。後は登山口までじめっとした登山道を下る。登るとすればこちら側がきつい。間違って反対側の「毛無岱」から登ったのは正解だったようだ。

 

右・「日本山脈縦走基点」の標識がある登山口。地元の中学生が登り始める所だった。

 

 

下山後「酸ヶ湯温泉」名物の「麦とろろ飯」を食べてから「猿倉温泉」へ向かう。途中で寄った「睡蓮沼」は濃い霧が流れて展望無し。道を外れた奥まった所に「猿倉温泉」があった。建物も浴場も新しく、特にぬるめのお湯が流れる露天風呂は何時間でも入っていられそうだった。帰りは「谷地温泉」まで見物に足を延ばす。ここは歴史を感じさせる古びた一軒宿だった。もう一度「睡蓮沼」に寄ると、今度は霧が晴れて沼の背後に北八甲田の山々が並んで見えた。

 

今まで八甲田山といえば「樹氷」や「死の雪中行軍」事件ぐらいしか思い浮かばなかったのだが、今回初めて訪ねてみてその広大な山域と行き届いた自然管理に感心してしまった。大事な観光資源だからと言ってしまえばそれまでだが、これからも巨大観光開発から大事な自然を守り通してもらいたいものだ。