岩木山 (津軽富士・1625m)

2001827

 

 

左の写真は岩木山山頂部(悪天で写真撮れず、購入した絵葉書から掲載しました)

 

 前日の夜、室蘭からフェリーに乗り、青森港に着いたのが朝630分。雨が上がったばかりなのか路面はまだ濡れていて所々に水溜りが出来ている。空はどんよりとして見えるはずの八甲田山すら顔を出していない。何となく弘前方面が少し明るそうだという理由だけで、八甲田山から登る予定を変更して岩木山を先に登ることにする。どうせ悪天なら登るのに時間の少ない方が諦めもつくだろうという安易な考え。バイクによる単独登山はこの身軽さが身上なのだ。

津軽の民謡『津軽謙良節』に「さてもみごとな津軽の岩木、冬は真白く、春青く、夏は墨染、秋錦、衣替えするあざやかさ」と唄われる岩木山。津軽出身の文豪・太宰治は「十二単衣の裾をぱらりとひらいて、透きとおるくらいに嬋娟(せんけん・艶やかで美しいの意)たる美女」と褒め称えたという。そんな立派な岩木山、待っていたのは姿も顔も見せないくらい恥ずかしがりやの美女でした。

 

 

 

左・69ものヘアピンカーブを楽しみながら「津軽岩木スカイライン」を駆け上がるその途中に「ぶなの泉(しずこ)」といわれる湧水がある。周りはすそ野からせり上がるような立派なブナ林だから、たっぷりと保水された雨水が静かに湧き出るのだろう。味はやさしく甘露。

 

 

右・8合目終点駐車場にあるドライブインと9合目までのびるリフト。悪天のためリフトは運休していたが、最初から歩くつもりでいたから影響は無し。ただ山頂部にかかる濃い霧がなんとも不気味だ。

 

 

 

左・8合目からの登山道。笹にナナカマド、そしてハンの木などが周りを囲み、湿った風を防いでくれる。何ともしっとりとして静かな登山道だ。

 

右・9合目にある山頂とリフト終点への分岐点。晴れていれば鳥ノ海噴火口を右に見ながらの登りになるのだろうが、霧のためほとんど先が見えない。

 

左・山頂近くの岩場を下るツアー登山者。さすが「百名山」、こんな悪天でも登山者が多い。

 

右・大展望が素晴らしいという頂上にて。霧のため視界はゼロ。ふふっ!(諦めの溜め息と笑い)。山頂部は岩がごろごろしているが意外と広い。岩木山神社の奥宮があり、社務所に白装束の神官が居たのには驚いてしまった。鐘を鳴らしてそそくさと下山する。

 

8合目登山口から山頂まで「45分」と記されているが、実際は小1時間くらいは見ておいた方が良さそうだ。晴れていたなら山頂近くは高度感満点の歩きが楽しめそうだ。秀麗といわれる山容も、絶景といわれる展望も、どちらも眺めることが出来なかった「岩木山」。再チャレンジを心に誓って八甲田山へバイクを走らせた。