兜峰(670峰)〜兜岩

 

2020年 929日 快晴

 

 

 

GPSログ

所要時間(休憩時間含む)3時間

 

登り・1時間45分(ゲート〜兜峰

兜峰〜兜岩 30

下り・45分(兜岩〜ゲート)

 

 

 

 

 札幌から定山渓温泉に向かう途中にある南区・簾舞(みすまい)地区。国道沿いにある「簾舞中学校」の立て看板を目印にして、そこからUターンするように左折して山側に向かいました。

豊平山(簾舞コース)登山口を過ぎて民家が切れた辺りから砂利道の林道に変わりました。ほどなくしてゲートが見えて来ると、そこがスタート地点になる駐車スペースでした。国道から約4Km少々の距離でした。

 誰も入林者はいないようですが、後から来る人のことを考えて車を脇に寄せて停めました。車外に出るともう秋だというのに蚊が寄って来たので、大急ぎで防虫スプレーを身体に吹き掛けました。

 忘れ物がないのを何度も確認してからゲートを越えてスタートしました。

 

 

 

 

 

 

 ゲートから林道を15分ほど歩いて樹林が切れた辺りを右に折れると、川へと続く細い道になります。右側の灌木にピンクテープがあるのですが、10mほど先の右に丸木小屋風の届け出小屋があるので場所が分かります。行く時はこの小屋が灌木に隠れて分からず、記帳をしないで登ってしまいました。

 目の前には岩肌に囲まれたピラミダルな兜岩、その奥に兜峰(地図には「670」としか記載されていません)が圧倒するように迫っていました。

 

 

 

 

 

 

 渡渉地点の砂防ダムに至る細い道を歩いていると、突然右の藪から大きな鹿が飛び出して来ました。近年、南区の山々には多くのクマ出没情報が寄せられているので、熊除けの鈴をぶら下げ、時々ホイッスルを吹きながら歩いていましたが、あまりの突然の出来事に声を失い、呆然と立ちすくんでしまいました。情けないことに早くも心臓はバクバク状態になってしまいました。

 渡渉する簾舞川の水量は少なく、砂防ダムの堰の真上では登山靴でも水没しないと思いましたが、せっかく長靴を履いて来たので深いところをジャブジャブと渡りました。

 対岸の土手は急斜面で、ロープが取り付けられていました。実際登って見ると、ロープなしでは登るのが困難と思えるほどの斜度でした。

 

 

 

 

 

 

 川からの急斜面は意外と長く、傾斜が緩やかになるまで15分ほどの時間を費やしました。前日の雨で地面が湿っているため、思った以上に滑りました。ロープや木の枝につかまりながら高度を上げると、先ほど渡った川が真下に見えるほどでした。

 この急斜面を登るだけで心拍数は上がり、早くも汗が吹き出してしまいました。

 

 

 

 

 

 

 少し開けた沢状の斜面、あまり日光が届かないのか大きなシダ類に覆われていました。少し薄暗く、一人歩きには不気味な雰囲気でしたが、沢の前方上部に日が差して明るくなっているのが救いでした。

 

 

 

 

 

 

 シダ類の中に残された踏み跡を登っていると、ところどころに朽ち果てた巨木の残骸が見られました。ミズナラかカツラか分かりませんが、昔は結構な巨木が茂っていたことをうかがわせていました。

 

 

 

 

 

 

 登山道にはまだ新しい熊のフンや掘り返しがありました。こんな現実を見せられると草藪の中で熊が目を光らせているような錯覚に陥ります。ここで熊に遭遇したら・・・などと不安になっている自分を励ますように、ホイッスルを吹き続けながら登りました。

 兜峰と兜岩を結ぶコルが近くなったころ、木の上に兜岩への標識が見えました。兜岩だけに登るのならここが近道のようでした。しかし今日の予定は兜峰を先に登ると決めているので上部に見えるコルを目指して登り続けました。

 

 

 

 

 

 

 コルの分岐は明るい尾根上にあり、右は兜峰、左は兜岩にと道が分かれていました。渡渉してからコルまで1時間、自分としてはまあまあのタイムで登ることが出来ました。

 

 

 

 

 

 

 コルから兜峰の山頂までは30分、急斜面の要所にロープが取り付けられていましたが、足元が滑るので思った以上に時間を費やしてしまいました。

 山頂と思われたのは旧山頂で、木々が茂って展望はありませんでした。「山頂」と書かれた標識をよく見ると矢印になっていて、その先に本当の頂上があるのだと分かりました。      

気の早い人はここが頂上だと早合点して、展望の良い本当の頂上を見逃すかも知れないと思いました。

 

 

 

 

 

 

 旧山頂から新山頂までは細い尾根上を30mほど歩きました。右手には衝立のように迫る盤の沢山が見えました。

 

 

 

 

 

 

 カシワの木に取り付けられた「兜峰」の標識で、ここが新山頂であることが分かりました。高度よりも展望を優先した山頂指定なのでしょうか。三角点のある山ではないので、展望優先もありと思いました。

 

 

 

 

 

 

 山頂からは札幌岳を望むことが出来ました(最奥の山)。右手前の盤の沢山の山頂尾根は長く、大きな山であることを実感させてくれました。

 

 

 

 

 

 

 定山渓方向に目を移すと、右手前に岩肌も露わな八剣山、中央奥には百松沢山から神威岳、烏帽子岳へと続く稜線が確認出来ました。その左奥は白井岳から朝里岳、余市岳へと続く稜線だと思うのですが、手前にある盤の沢山の前コブの陰になってはっきりと確認出来ませんでした。

 手前のモミジは色付いていましたが、目の前に広がる山肌はまだまだ緑が濃く、この分だと今年の紅葉はかなり遅れると思われました。

 

 

 

 

 

 

 ゆっくり展望を楽しみたい兜峰の山頂を早々と引き上げ、次の目的地の兜岩を目指しました。やはり登る時に滑った急斜面は下りでも牙をむいて襲って来ました。少しでも気を許すと尻もちどころか転げ落ちる危険性がありました。取り付けられたロープを握る手にも思わず力が入るほどでした。今さらグリップの良い登山靴にしておけばと思っても後の祭りでした。

 冷や汗を流しながら、何とか転ばずにコルの分岐にたどり着きました。ここから兜岩までは気持ちの良いアップダウンの尾根歩きが続きました。近道との合流点には兜の絵が描かれた可愛い標識がありました。なかなか楽しい標識で、気持ちをホッコリさせてくれました。

 

 

 

 

 

 

 登りになった尾根が細まって来ると兜岩です。10mにも満たない岩塔が目の前に現れました。登るのに難儀するのかと思いきや、簡単に登ることが出来て拍子抜けしてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 たどり着いた兜岩(標高は地図から判断して570m前後)、尾根から続く道以外の三方は高度感のある鋭い崖になっていました。誤って足を踏み外したら命はありません。数人の座れる岩が兜岩の頂上でした。少しだけ秋の装いが見られました。

 

 

 

 

 

 

 カメラを高く掲げると、先ほど登って来た兜峰を写すことが出来ました。ここからだとあの急斜面が想像出来ないほど穏やかな山に感じられました。

 

 

 

 

 

 

 兜岩から札幌方向を写しました。手前に豊平山(焼山)、その後ろにスキー場のある豊栄山、右に豊見山と藤野三山を眺めることが出来ました。その背後には札幌の市街地が見えるのですが、カメラでは写し切れませんでした。

 ここで目の前に広がる景色をおかずにしてコンビニおにぎりの軽い昼食をとり、少しだけまったりした時間を過ごしました。

 

 

 

 

 

 

 兜岩からの戻りも滑って転ばないように注意しましたが、河原に下りる土手の急斜面で長靴が滑り、思わず尻もちをついてしまいました。気が緩んだ訳ではありませんが、最後の最後での失敗でした。

汚れた手袋を川で洗い、長靴の底にこびり付いた泥は河原の砂利にこすり付けて洗い落としました。

 

 

 

 

 

 

 河原から林道に戻って10mほど奥に進むと灌木に隠れて見えなかった届け出小屋が現れました。「フォレストハウス」と書かれた小屋の中には届け出帳が置かれていました。

 せっかくなので自分の名前と入山下山時刻を書き込みました。どうやらこの山、マイナー中のマイナーな山のようで、2日に1人ぐらいの登山者しかいないようでした。

 どうりで誰も登ってこない筈でした。この山では人に会うよりも熊に遭う確率の方が高そうです(もちろん冗談です)。

 

 

 

 

 

 

 ホイッスルを吹きながら林道を歩いてゲートに戻りました。貸し切り状態だった兜峰・兜岩は熊の恐怖や滑る急斜面の登山道と、標高の割にはワイルドな山でした。しかし思った以上に展望が良く、登った甲斐があったと思わせてくれました。

 登山道を整備してくれたnagai氏とその仲間さんに感謝感謝でした。

 

 帰りは南区での山歩きの際の定石になっている登山後温泉を楽しむため、小金湯温泉「まつの湯」に寄って汗を洗い流しました。