上ホロカメットク山

 

1,920 m

 

2011729

 

上ホロカメットク山にて

 

 

夏の大雪山歩き4日目は、少し趣を変えて十勝連峰を歩くことにした。それも一番楽な上ホロカメットク山を。

この3日間、食傷気味になるまで高山植物を楽しんだので、“お花”で有名な富良野岳は敬遠。また砂礫地を直登で3時間の十勝岳は面白味に欠けるため敬遠。本音は最後ぐらい楽をしようということだ。

前夜、吹上温泉「白銀荘」で飲んだ缶ビール三本が効いて足取りは快調・・・と思ったのだが、やはりD尾根途中から続く長い階段でペースダウン。「かみふらの岳」までそれなりの時間を費やしてしまった。

途中から下界の雲海が段々と上昇してきて視界が悪くなったが、突然のようにガスが切れて、思わぬ展望を楽しませてくれること数度。一喜一憂しながらの山歩きとなった。

 

登り2時間40分(休憩時間含む)十勝岳温泉登山口〜55分〜上ホロ・富良野岳分岐〜1時間45分〜上ホロ山頂

下り1時間50分(休憩時間含む)上ホロ山頂〜1時間05分〜上ホロ・富良野岳分岐〜45分〜十勝岳温泉登山口   

 

 

 

 

 

 夜中の大雨も止んで朝から登山日和。十勝岳温泉前の駐車場はかなりの数の車で埋まっていた。寝泊り出来るように改造されたワンボックスやキャンピングカーも数台見受けられた。最近はこのような車で全国の温泉や山を巡り歩いている人が多いという。

 安政火口の奥上方にこれから向かう上ホロカメットク山の黒々とした岩壁がそそり立って見える。雲は多いが、雨の心配はなさそうだ。やはり人気の富良野岳へ向かう登山者が多く、上ホロへ向かう人は数人だった。

 

 

 

 

 安政火口からトラバースするようにD尾根に上がると、目の前には美しい山容の富良野岳が聳えている。麓から上がって来る雲海が足元まで迫り、程なくして富良野岳を隠してしまった。

 

 

 

 

 急登に付けられた長い階段を上り、D尾根の上部まで来ると数種の高山植物が目に付くようになる。目の先には三峰山や山頂部が雲に隠れた富良野岳が望まれる。尾根上の「かみふらの岳」まではもう少し。

 

 

 

 

 かみふらの岳から上ホロカメットク山の山頂部を見る。その先に優美な姿で聳えている筈の十勝岳は、安政火口から湧き上がるガスのせいで何も見えない。

 

 

 

 

 上ホロカメットク山の山頂からガスの切れた安政火口を見下ろす。赤茶色に露出した岩壁が荒々しさを際立たせている。右の岩壁のコブは「三段山」山頂。三段山の北西斜面は山スキーやテレマークスキーの聖地として有名だ。

 

 

 

 

 帰り際にやっと姿を見せてくれた十勝岳。

かみふらの岳から上ホロカメットク山に登る途中、本州から来たという熟年夫婦の登山者と会う。上ホロカメットク山から十勝岳へ行きたいのだが、方向が分からないので諦めて戻るという。

確かに上ホロカメットク山の山頂には十勝岳への道標は何もない。その上、十勝岳の姿が確認出来ないので不安で登ることが出来ないのであろう。一緒に登ることは出来ないが、方向だけは教えることが出来ると言うと、もう一度上ホロカメットク山に戻るという。山頂で十勝岳への道を教え、「もしガスで分からなくなったら必ず戻って下さい」と念を押した。

礼を言って去った熟年夫婦、時間が経ってガスが切れた時に確認したら元気に大砲岩付近を歩いているのが見えた。

 涼風が流れる誰もいない山頂で昼食をとりながら、1時間ほどまったりと休んでから来た道を戻った。

 

 

 

 

 十勝岳温泉登山口に戻ると、もう駐車場は満車状態になっていた。ガスも濃くなり、車に戻って靴を履き替えていると小雨がパラパラと落ちてきた。良いタイミングで山を下りてきたようだ。

 この後、「カミホロ荘」で汗を流した。ここの風呂は落ち着いた静かな雰囲気で、大人の風呂と言った感じで心地良い。

 上富良野の町まで下りると涼しかった山とは大違いの、うだるような蒸し暑さが待っていた。途中、国道脇のラベンダー畑を見物しながら家路についた。