神威岳      かむいだけ 983m

 

2002年 71日(月)

 

 

札幌から定山渓温泉に向かう途中、豊滝地区を過ぎたあたりから右手奥に“木の切り株”のような奇怪な形をした山が見えてくる。この道を通った人なら山の名前は知らなくても、形を説明しただけで「あー、あの山ね」と分かってくれる。「神威岳」はそれほど人々に印象を残す山である。

まるで西部劇に出てくるような山でもあり、おじさんはスピルバーグ監督の映画「未知との遭遇」で、UFOの飛来する山を見た時「おー、神威岳に似ている」と叫んだものだった。そんな国道から見える山でも奥深く、長い林道歩きがあるせいか、バスによるアプローチが便利な割には、訪れる人の少ない静かな山なのである。

 

登り 2時間35分 〈車止めゲート〉〜1時間〜〈林道終点・登山口〉〜50分〜〈尾根広場〉〜45分〜〈神威岳山頂〉

下り 2時間05分 〈神威岳山頂〉〜30分〜〈尾根広場〉〜35分〜〈林道終点・登山口〉〜1時間〜〈車止めゲート〉

 

 

 

 豊滝地区を過ぎて、小金湯温泉が近くなると右手奥に「神威岳」が顔を出す。岩塔を頂上部に持つ“木の切り株”のような山で、誰しもが目を奪われる。夜な夜なUFOが飛来しているのだろうか‥‥なんて。背後には「烏帽子岳」が見える。

 札幌駅から定山渓温泉行きの「じょうてつバス」に乗り、バス停「百松橋」で降りると目の前にスタート場所となる「百松橋」がある。この橋を渡ってすぐ右手に丸木小屋風の入山届出小屋がある。必ず記帳するのがルールです。

 「百松橋」を渡って直進すると間もなく駐車場と車止めゲートが見えてくる。最近は定山渓近辺にて熊の出没情報が多いので、熊よけ鈴を2個ザックにぶら下げた。良く鳴る鈴は「カランコロン」とうるさいが、安心料だと思って我慢する。

 車止めゲートから林道歩きが始まる。退屈な歩きだが、途中右手に「砥山ダム」が見えてくる。緑にあふれた涼しげな光景は、暑い夏の日の林道歩きを癒してくれる。それにしても今日は暑い!

 百松沢沿いに林道を歩いていると、左手に神威岳と書かれた「近道コース」入口の標識が見えてくる。以前は目立たない標識だったため、見逃す人が多かったと聞いている。

 「近道コース」を抜けると、また林道歩きが始まる。前回、おばさんと登った時、近道コースを通らないで林道を歩いて帰ったのだが、エライ遠回りになって怒られたのを思い出してしまった。

 1時間ほどの林道歩きで、やっと登山口に着く。雨で寸断されたままになっている林道の左手から登山道が始まる。ここから山頂までは一本道で迷うような所は無い。

登山道周辺にはカラマツ林が多く、暑い陽射しを遮ってくれるので幾分救われる。この山は湿った悪路が無く、歩きやすい登山道が続く。

 尾根に出るまでは適度な登りが続くので、結構息が上がる。樹林越しに「神威岳」を眺めながら一服するおじさんの背中には、中年男のロマン・哀愁が漂う。

 尾根に上がってからは道も平坦になり、小さなアップダウンを繰り返して進むことになる。巌望台から見る「神威岳」は緑に覆われて岩塔の山といったイメージは消えている。ここから裏を回り込むように急登が続く。この山一番の頑張り所だ。

山頂部は12畳ほどの広さがあり、大きなダケカンバが目立つ。山頂からは「札幌市街」を始めとして、札幌近郊の名だたる山々が見える。ただ山頂部の木々が邪魔をしてぐるっと一望という感じではない。写真は手前左に「定山渓天狗岳」、その奥にまだ雪が残る「余市岳」。

 山頂で憩うおじさん。背後の山は「百松沢山・南峰」。凛々しい姿は優雅に感じるかもしれないが、飛び交う虫にまとわり付かれ、おにぎり1個を食べただけで、追い立てられるように山頂から敗退したのだった。あー、泣く子と虫には勝てません。