初夏の狩場山を訪ねて 1520

 

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一度は訪れて見たいと思っていた道南・渡島半島の最高峰「狩場山」。狩場山塊の盟主としてその姿は威風堂々としているという。しかし、札幌から車を走らせると片道約200キロの距離があり、4時間も掛かるのでは日帰りは難しい。そして何よりも心配するのはヒグマが頻繁に出没する山域だということ。平日登山の単独行としては心細い限りである。そこでうちのオバサンに声を掛けて誘って見たら「難しい山なら行きませんよ」と言いながら『夏山ガイド5』を買ってきた。「千走新道コース」なら2時間20分で登れて、ランクは「初級」とある。本当は旧道コースを登って、新道コースを下りてきたかったのだが、旧道コースは「中級」となっているのでオバサンには納得してもらえない。ここは妥協して新道コースのピストンで折り合うことになった。テント泊が嫌いで、温泉が大好きというオバサンのために登山口に最も近い「千走川温泉」に宿を取ることにした。あとはヒグマ対策として一番大きな「熊よけカウベル」を「ホーマック」から2個購入してザックにぶら下げた。

 

 

 札幌から中山峠を越えてニセコ回りで黒松内町へ、ここから濃霧の山間部を横切るように日本海へ出る。途中、オバサンが余市、岩内回りの方が近くて早いと主張するので、頭に来たオジサンは「じゃあ帰りにそっちを通って決着をつけよう」と言い放つ。島牧村で道の駅「よってけ島牧」に寄ったが、道の駅には珍しく寂しい感じで品揃えも少なかった。宿まで4時間15分の長距離ドライブは夜勤明けのオジサンにはチョッと辛かった。

 

建て直された「千走川温泉」の露天風呂にゆっくりと浸かってから夕食を頂くが、なんと「生ウニ」2個、「アワビ」(天ぷら・水ガイ・浜焼き)3個、ホタテ、ツブ、ヤマベの塩焼きなどが付く豪華版。食材が新鮮だということは何事にも替え難いことだと痛感させられる。ビールがすすんだことは言うまでもない。な、なんとオバサンまでもがグビグビとやっていた。

 

所要時間  登り・2時間55    下り・2時間10

 

 

「千走川温泉」から新道コース登山道入口まで約14キロ、賀老高原キャンプ場から少し先を行った所から未舗装道路となる。千走川に掛かる橋の手前に登山道入口がある。

きつくもないが、さりとて緩くもない登りが延々と続き、なかなか一服を入れる機会がつかめない。仕方なくオバサンのゆっくりペースに付き合って登る。しばらく登っていると雪の重みで横たわったダケカンバが行く手に現れる。

 

 

 

ハイマツとダケカンバが生い茂る尾根上に出ると、前方に南狩場山が姿を現す。狩場山山頂はその陰に隠れて見ることができない。

 

緩やかな尾根上の道を歩いていると目の前に大きな雪渓が現れる。この辺りが下部のお花畑らしい。その上には小さな雪渓が残るお花畑がある。ミヤマキンバイが綺麗に咲いていた。

 

 

 

 

雪渓をトラバースして一休み。どうやらオバサンは南狩場山を狩場山山頂と思い込んでいたらしい。狩場山山頂はまだ先だと教えると急に脱力したらしく、見る見るうちにペースダウンをしてしまった。

お花畑を登りきると一気に反対側の展望が開ける。南狩場山から見る狩場山山頂部(左奥)。南狩場山の最高部(右手前)への登りは岩とハイマツの根が張り出した歩き難い急登で、結構息が上がる。

 

 

南狩場山の最高部を過ぎて少し下ると、後は山頂まで広大な平原を歩く感じとなる。それにしても山頂部がこんなに広いとは思わなかった。晴れていて本当に良かった。ガスでもかかっていたらこの雄大なスケール感は絶対味わえない。左奥が山頂。

 

山頂手前にある「親沼」。もちろん「子沼」もある。この辺りの登山道の両側にはミヤマキンバイが咲いていて美しい。

 

 

山頂から見た茂津多コース側の山々。右端は「オコツナイ岳」。

 

 

 これまでの苦しみは何処へやら。おどけるオバサンと苦笑するオジサン。オイ!歳を考えろよ!

 

下山後に寄った「賀老の滝」。あんなに下まで降りるとは思わなかった。年配者にはちょっとキツイ遊歩道だね。オバサンは最初からリタイヤで車の中で休んでいた。

 

 

冷たい水で汗を流し、着替えを済ませて賀老高原キャンプ場を出る頃には山間部は雲に隠れて見えなくなっていた。帰りコースは行く時のいきさつから岩内回りにした。若干行く時よりも距離は短かったが目くじらを立てる程でもなく、むしろトンネルが多いので、トンネル通行が苦手に人はニセコ・黒松内回りをお薦めする。岩内では少し早いが夕食に「うに丼」を奢った。オバサン感激!!