黄金山 (こがねやま)740m

200268

 

 札幌から日本海沿いに北へ車で60キロほど走ると、かつて鰊漁で栄えた「浜益村」がある。今は半農半漁の村として静かな村風景を醸し出しているが、夏になると札幌方面や滝川方面からの海水浴客で結構な賑わいを見せている。

 村の背後には増毛連山が岩襖のように並び、初春にはその山肌に美しい残雪模様が描き出される。しかし!である。浜益村出身の同僚の話によれば、村人の愛する山は増毛連山に属するような大きい山ではなく、村の少し奥に優雅な姿で聳える「黄金山」だという。“浜益富士”“黄金富士”と呼ばれるように、その端正な姿は小ぶりではあるが美しい。まるでそこだけ天に向かって摘み上げられたような姿は、一度目にしたら忘れられないくらいのインパクトがある。

 13年振りに登る「黄金山」、久し振りにおばさんと連れ立って出掛けた。おばさんを山に連れ出すのは実に簡単である。「帰りに温泉でも入ってこよう」。これでおばさんはそそくさと山支度を始めるのである。

 

登り 1時間35分(おばさんの運動不足タイム)   下り 1時間10

 

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 浜益村・実田地区から見る「黄金山」。端正な三角錐に見えるが、裏側はほぼ垂直に切れ落ちた岩壁になっている。“浜益富士”“黄金富士”と呼ばれるのが良く解る。

 林道入口は浜益村から滝川方向に向かって走り、浜益川を越えた左手にある。ここから登山口までは4キロのジャリ道を進む。林道は狭く、対向車とのすれ違いに難儀しそうだ。

 立派に整備された登山口駐車場。左手には新しく建てられた水洗トイレ付き休憩所がある。靴の洗い場もあり、何とも思いやりのある心遣いが伺える。あとは登山者のマナーが良ければ最高だね。

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 歩き出して20分ほどで新道と旧道の分岐に着く。13年前は旧道しかなく、這いつくばるようにして登った記憶が鮮明に残っている。今回はおばさんと一緒なので、登り易い右側の新道を選択する。

 登り易いと言っても、かなりの急勾配の登山道が続く。おばさんは普段の運動不足がてき面に現れ、「 ひーひー・ハーハー・ぜいぜい」と息づかいが激しい。脂肪が燃焼してダイエット効果満点。

 垂直に切れ落ちる岩壁に咲く「ミヤマアズマギク」。うす紫の花が清楚である。この辺りから数種類の高山植物が楽しめる。あまり近づくと滑落の危険性があるので、撮影時には足元に注意を。

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 おばさん曰く、「これは“ホタルブクロ”という花ですよ」。うーん、知らなんだ。さすがガーディニングに凝っているだけはある。でも本当かな? *本当は「ミヤマハンショウヅル」らしい。

 山頂・前ピークで万歳をするおばさん。高度感満点の山頂は360度遮るものが無い最高の展望台。眼下に浜益の村や日本海。そして遠くには増毛連山が美しいスカイラインを見せている。

 山頂から見る増毛連山の一角。左から「幌天狗」「群別岳」「尾白利加岳」(と思う。間違っていたらゴメン)。沢筋に微かに雪を残すだけとなっている。おじさんがスキーで歩いてみたい山のひとつでもある。

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 三角点のある山頂から見る前ピーク。山頂より岩の露出した前ピークの方が展望が良いので、こちらで憩う登山者の数が多い。

 山頂をバックに記念撮影。あまりの天気の良さに空気がもやっているのが残念。この左側は垂直に切れ落ちる断崖となっていて、覗き込むと身体が自然冷房にかかっていく。ブルブルッッッ。

 おばさん曰く「何だか下りるのが勿体無い山ね」。そう、後ろ髪を引かれるように名残惜しさが胸を打つ山である。山頂直下の分岐からおじさんは旧道へ、おばさんは新道へと別々に下る。

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 旧道の“危険個所”。分岐してすぐに岩壁部のトラバースが始まる。急勾配の側面を直登で登るルートだけに、多くの個所に補助ロープが取り付けられている。13年前に登った感覚がそのままに残っている。

 旧道下部から山頂部を見上げる。旧道は「黄金山」の裏側を見ながら登るので、新道とはかなり趣が異なる。このまま新道に淘汰され、廃道へと進むのだろうか。だが旧道には旧道の良さがある。

 新道を下りてきたおばさん、分岐にある「水場」で水分補給をする。冷たく、そしてまろやかな沢水は疲れた身体に生気をを甦らせる。「いい山だったね」とおばさん。やはり浜益村民自慢の山と言うだけはある。

 

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