緑岳・白雲岳・小泉岳

 

201372425日 曇り/晴れ

 

 

midoridake gps

 

GPSトラックログ

赤線=1日目  青線=2日目

 

 

所用時間(休憩時間含む)

 

1日目・4時間40分(高原温泉〜緑岳〜白雲岳避難小屋)

2日目・5時間30分(白雲岳避難小屋〜白雲岳〜小泉岳〜緑岳〜高原温泉)

 

 

0001

 

 大雪山の涼風に吹かれたくて、やって来たのは高原温泉。紅葉時期には想像を絶する混雑振りを見せるが、今の時期は至って静かだ。

週末にイベントでのバンド演奏を控えているため、1日目は緑岳から白雲岳避難小屋のテント場まで。2日目は白雲岳から小泉岳を回って緑岳に戻るポピュラーで安全なコースを選択した。

 天気が良ければもう1日延長して旭岳を往復したいと考えて、食料は3日分を用意してきたし、入山の届出にもそう書いてきた。

 それにしてもテント装備を含めて水2リットル、食料3日分、そしてビールロング缶1本を詰め込んだザックは重い。

 でも登山口の標識を見ると、緑岳まで4.5km、白雲岳まで7kmと書いてある。夕張岳の林道7km、登山道7kmから見ると軽い軽い!そんな気軽な気持ちで出発した。

 

 

 

 

 

0002

 

 登山口から見晴台まで500m。急坂に階段が続くタフなコースで、早くも汗が吹き出てくる。重いザックが肩に食い込み、なかなか太ももが軽く上がらない。

 それでも今日は帰りの心配をしなくて良い。ゆっくりゆっくり歩いて行けば、いつかはテント場に着く筈だ。時間的にも余裕があるから疲れとは別に、気持ちは明るい。

 

 

 

 

 

0003

 

 見晴台から高原沼方面を見る。高根ヶ原から切れ落ちる絶壁が屏風のように連なっている。この辺り、秋の沼巡りの時には見事な錦秋模様を見せてくれる。

 

 

 

 

 

0004

 

 そろそろ一服したいと思っていたが、予定していた第一花畑のベンチは先客に占領されていた。小物を除けてベンチを空けて欲しいと口に出せない気弱なおじさんは、次があると諦めて先に進んだ。

 

 

 

 

 

01 02

 

 

 

0005

 

 次に予定していた第二花畑のベンチも先客に占領されていた。他に休む場所もないことから、諦めて先に進んだ。その内、岩の上でも休めるだろうと、疲れた身体を励ましながら歩く。

それにしても今年は雪が多い。第一花畑も第二花畑も残雪で花が咲いていない。この分では満開になるのは8月中旬頃かな。行く手の先の緑岳にはガスがかかり出していた。

 

 

 

 

 

0006

 

 雪渓の上ばかり歩いているから休む場所などあろう筈がない。このコース唯一の危険個所である崩壊地から緑岳を見る。ガスが晴れて、またくっきりと姿を現した。

 この崩壊地を慎重に上り切ると、少しの間ハイマツのトンネルが続く。トンネルが終わった辺りで格好の枯れハイマツが横たわっている。一服にはちょうど良さそうな木の根のベンチだ。重いザックを下ろしてホッとすると、何やら足元でうごめいている。何とそこはアリの巣の真上だったのだ。早くも登山靴にまとわり付いて来た。背筋のゾクゾク感を楽しむ暇もなく、慌ててザックを担いで逃げ出した。

 

 

 

 

 

0007

 

 アリの巣から逃げ出して、少し歩くと小さな「広場」に出る。ここで休もうと思ったが、熊出没注意の看板が目に入る。どうやらザックの重みにも慣れて来たようなので歩き続けることにする。

 それでも折角足を止めたのだからと、ロープの杭にカメラを乗せてセルフタイマーで記念撮影。

 

 

 

 

 

0008

 

 これから登る岩だらけの急斜面。下りてくる登山者がいるから岩の大きさを比較して実感出来る。誰もいなければ大きいのか小さいのか、遠いのか近いのか、よく分らない緑岳の斜面だ。

 

 

 

 

 

0009

 

 中腹を過ぎた辺りから歩いて来た第一花畑や第二花畑、そしてハイマツの中に付けられた登山道を見下ろす。

 途中で追い抜いていった若い外人さんカップルが、カメラが無いと立ち止まっていた。後を歩いて来た管理人だが、落としたカメラには気付かなかった。もしかしたら追い抜く前に落としたのかも知れない。その内に男性がカメラを探しに斜面を下りて行った。どこまで下りていったのかは知らないが、女性はその間ずっとたたずんでいた。旅行の記録がいっぱい詰まったカメラだったら、泣くに泣けないことだろう。

 

 

 

 

 

04 03

 

 

 

0010

 

 緑岳の山頂近くから高根ヶ原を見る。忠別岳やトムラウシ山は低い雲に隠れて見えない。時間に余裕があれば、白雲岳避難小屋から忠別沼までの高根ヶ原の稜線歩きを楽しむのも一興だろう。様々な高山植物に溢れた最高の天上漫歩になるに違いない。

 

 

 

 

 

05 06

 

 

 

0011

 

 折角重いザックを担いで登ったのだから、記念写真ぐらいは撮っておこう。ちょうどガスが流れ始めて背景はなし。

 

 

 

 

 

08 07

 

 

 

0012

 

 緑岳から小泉岳にかけての稜線は様々な花が咲くお花畑。ちょうどエゾツツジが見頃で、斜面がショッキングピンク色に染まっていた。ちょっとこの写真じゃ、その様子が分らない。

 

 

 

 

 

0013

 

 稜線の分岐を左に折れて白雲避難小屋へ向かう。ヤンベタップ川の源頭にあたるこの辺りには大きな雪渓が残っている。雪渓の向こう側のモレーン上には避難小屋、その背後には白雲岳の南壁が見える。

 

 

 

 

 

0014

 

 ひんやりとした風を楽しみながら雪渓を渡ると、目の前に避難小屋が手の届くところに見える。登山道の両側にはエゾノツガザクラやアオノツガザクラが群生していて、目を楽しませてくれる。

 

 

 

 

 

16 13

 

 

 

0015

 

 小屋の管理者に300円のテント場使用料金を支払ってから、テント場にテントを張る(右側の青いテント)。久し振りに使うテントは少しすえた臭いがしたが、張って風を通すとすぐに気にならなくなった。

 今流行りのゴアテックステントの中で、重くて狭い時代遅れのマイテントは少し恥ずかしいが、まだまだ使えるので、しばらくは使おうと思う。

 

 

 

 

 

0016

 

 テント場から少し下りた所にある水場。大きな雪渓から流れ出る水は、一年中枯れることがない。エゾノリュウキンカが咲き、水量も豊富だ。

 近くの残雪から取った雪をビニール袋に入れ、たった1本の大事なビールを冷やす。夕食の後、キンキンに冷えたビールを半分まで一気に飲み、残り半分をチビチビと楽しんだ。

 

 

 

 

 

18 19

 

 

 

0017

 

 小泉岳の上空に広がった朝焼け雲。写真だと迫力が伝わって来ないが、実際は荘厳という言葉がピッタリの美しい光景だった。時間はたぶん4時過ぎだったと思う。なにぶん何もすることがないから、ぐっすり寝込んでしまい、外が騒がしいことで目が覚めたため、時間がはっきりしない。

 

 

 

 

 

14 15

 

 

 

0018

 

 少し明るくなったころ、薄い真綿にくるまれたようなトムラウシ山に朝日が当り出した。高根ヶ原の雪渓もピンク色に輝き、日中とは違う趣を見せている。

 

 

 

 

 

0019

 

 小屋からテント場を見ると、上方の白雲岳にも日が当り出していた。少し肌寒い朝で、多くの登山者はフリースやダウンジャケットを着ていた。

 

 

 

 

 

0020

 

 テント内での朝食は、昨日から作っておいた「ワカメご飯・梅風味」を雑炊にし、汁物は辛くて酸っぱい「トムヤンクン」。そして食後にはインスタントコーヒー。もうこれだけで十分に満腹となった。

 ちょっと調べて見たら、このコッヘルやスプーンは28年間使用している。チタン製の優れ物も出回っているが、何処も壊れないのだから使い続けるしかない。

 

 

 

 

 

20 17

 

 

 

0021

 

 朝食の後、ゆっくり休んでからテントを撤収する。風もなく雨にも当っていないから撤収作業は楽だった。すべてをザックに詰め込んで白雲岳に向かう。まだ身体が目覚めていないから、ゆっくりゆっくりと歩く。

 振り返ると目の前に白雲岳避難小屋、高根ヶ原や忠別岳の向こうにはやっと山頂を見せ始めたトムラウシ山がどっしりと鎮座している。

 

 

 

 

 

0022

 

 避難小屋から白雲分岐まではエゾノツガザクラやチングルマ、キバナシャクナゲやイワウメなどの群落が目を楽しませてくれる。花はお腹一杯!もう見飽きてしまって、見るのも嫌!なんてぜい沢な冗談を言いたくなるほどの花の量。やはり大雪山だ!!

 

 

 

 

 

24 23

 

 

 

0023

 

 白雲分岐にザックを置いて白雲岳へ向かう。重いザックから開放された身体は、まるで背中に羽根が生えたように軽い。山歩きが毎回こんな感じで楽しめたら良いなと思いながら山頂へ向かう。

 大きなカルデラの向こうに山頂がある。今月に入って、山頂近くの雪渓で滑落死するという痛ましい事故があった。避難小屋のテント場で聞いた話しでは風にあおられたらしいとか、寝不足による疲れもあったのではとも聞いた。滑落などあまり考えられない山頂だが、斜度のある雪渓では何が起きるか分らない。滑落時に身体の打ち所が悪かったのだろう。不運が重なったとしか考えられない。

 

 

 

 

 

21 22

 

 

 

0024

 

 白雲岳から旭岳を見る。いつもながらの美しいストライブ模様が楽しめる。快晴とは言えない天気だが、思いのほか空気が澄んで遠くまで見通すことが出来る。ひとつひとつ紹介は出来ないが、道央はもちろん道東や道北の山々まで見える。これだけ見えると、あの山の名は・・・等と考えていたら時間がいくらあっても足りない。

 

 

 

 

 

0025

 

 これも白雲岳からの定番風景である「トムラウシ山」の遠望。岳人憧れの山トムラウシ。そう、自分も強烈に憧れた時期があった。4度登った今では少し薄れたが、それでもまたいつか縦走で訪れてみたい気持ちは抱き続けている。

 

 

 

 

 

25 26

 

 

 

0026

 

 白雲分岐から見る小泉岳。どこが山頂か分らないのっぺりとした山だが、しかしこの山は高山植物の宝庫といわれるくらい多くの種類が咲き乱れる稀有な山でもある。特にホソバウルップソウの群生は見事としか言いようがない。

 

 

 

 

 

28 27

 

 

 

0027

 

 何の変哲もない平坦地に小泉岳の山頂標識が立っている。手前に先ほど登って来た道内標高第3位の白雲岳。奥には第1位の旭岳が見える。この右手には第2位の北鎮岳がある。

 涼しい風が吹き渡り、周りには数え切れない程の高山植物。そして最高の景観。やはり大雪山に来て良かったと感じる瞬間だ。また来年も来よう。

 

 

 

 

 

12 09

 

 

 

0028

 

 そろそろ緑岳が近づいて来た。気分が高揚する稜線歩きのフィナーレは近い。エゾツツジのピンク色がこの先、緑岳まで続いている。

 遠くには雲をまとったトムラウシ山。もう陳腐だと言われようが、大雪山の風景写真にトムラウシ山は欠かせない。トムラウシ山の写っていない写真なんて、クリープのないコーヒーみたいなものだろうか(例えが古過ぎて、自分でも赤面です)。

 

 

 

 

 

0029

 

 白雲岳避難小屋への分岐から白雲岳を見る。左奥に見えるのは旭岳。中央に小さく白雲岳避難小屋が確認出来る。

 今回、小屋の周辺に咲く「クモイリンドウ」を期待していたのだが、まだまだ早く、蕾も出ていない状況だった。咲くのは8月中旬頃だろうか。

 

 

 

 

 

10 11

 

 

 

0030

 

 緑岳山頂から第一花畑や第二花畑(中央にある縦に二つ並んだ雪渓)方向を見下ろす。登って来た時には雲に隠れて見えなかった音更山(中央左)や石狩岳(中央右)、そして右奥にニペソツ山が見える。

 大きな岩が転がる斜面の中腹は歩きにくい。重いザックを背負っているのだから、尚更のこと転倒に注意しなければならない。チョットした油断が大怪我を招く。これは山でも下界でも同じこと。楽しかった山歩きが完結するのは家の玄関に入った時だと、いつも肝に銘じている。

 

 

 

 

 

0031

001 002

 

 第一花畑からは、ヒザを痛めないように急な階段を慎重に下りて、水蒸気を吹き上げる高原温泉登山口に到着。ザックを車に放り込み、着替えを持って「大雪高原山荘」の日帰り温泉(700円)に行く。誰も居ないので写真を撮らせてもらってから、ゆっくりと露天風呂に浸かる。大広間でくつろいでから帰路についた。

 途中、ラーメンの町・上川町で有名店の味噌ラーメンを食べる。札幌ラーメンの激戦区と言われる、我が地域のラーメン店で食べ慣れているせいか、味はいまひとつだった。ラーメン好きだから、地方に行っても食べるのは先ずラーメン。でもなかなか美味いラーメンに巡り合えない不幸は、近くのラーメン店が美味過ぎるからなんだ。舌が肥えたのだろう。

 

home