大雪山・黒岳の山頂から石北峠のある東方向に目を向けると、三つの顕著な頂が目に入る。手前に「屏風岳」、その奥に並んでいるのが「武華岳」と「武利岳」である。この「武華岳」と「武利岳」に登るべく札幌から車を走らせた。
朝4時に家を出発。一人旅なので高速道路は使用せず裏街道を走る。走り慣れた道とはいえ、石北峠を越える道程は長い。苦手な長距離運転も、これから登る初めての山を思うと苦痛が和らぐ。
224キロの距離をほぼ4時間かけて走り、イトムカ川の清流が流れる「武華岳」の登山口に着く。忘れ物をしないように入念に持ち物をチェックし、はやる心を落ち着かせる。だが結論を言えば着替えとタオルを忘れていた。
登山口の標高が高いため意外と短時間で登れる山だが、山頂からの展望はまったく見事だった。表大雪や「トムラウシ」は勿論のこと、「石狩岳」や「二ペソツ」の東大雪、「ニセカウ」や「平山」の北大雪、そして背後には翌日登る予定の「武利岳」が険峻な頂を見せていた。遠くには「阿寒」や「斜里」の山々、その向こうには「羅臼岳」が霞んで見えていた。
登山後は翌日の「武華岳」登山のために車中泊を目論んでいたが、道内は今年一番の暑さとやらで夕方になってもその暑さは収まらず、一晩中車のエンジンをかけてエアコンを効かせて寝る訳にもいかない。思案のあげく林道入り口にあった看板を思い出し、「塩別つるつる温泉」に宿をとった。
思った以上に低料金の温泉旅館で、夕食はけっして豪華とは言えないが、普通の食材を使いながらセンスの良い料理が並んだ。大きな露天風呂で汗を流し、くつろいだ雰囲気の中で心ゆくまでビールを楽しんだ。
登り「東尾根コース」・2時間15分(休憩時間含む) 下り「ライオン岩コース」・1時間35分(休憩時間含む)
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