奥手稲山に春を感じて 2001年4月16日 18.1度と、札幌でこの春一番の暖かさを記録した4月16日、小樽内川支流の奥手稲の沢川ルートから奥手稲山に立ってみた。奥手稲山と言っても、この山を知ってる人はかなりの山好きと言ってよいくらい地味な山なのである。いまだに山頂へ通じる登山道は無く、雪のある冬から春にかけて山スキーで登る人だけが頂きに立てる山、それが奥手稲山なのである。 登り・2時間55分 AM8:40 春香山登山口(小樽内川コース)〜AM11:05 奥手稲山の家(昼食休憩)PM12:00山の家出発〜PM12:30 奥手稲山頂 下り・1時間10分 PM12:55 奥手稲山頂〜PM2:05春香山登山口(小樽内川コース) |
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奥手稲の沢川ルートへの分岐点 歩き始めて10分もしないうちに奥手稲の沢川ルートへの分岐点に着く。ここを右折して後は沢沿いの平坦な林道をただ黙々と歩くだけ。空はピーカンで雲ひとつ無し。今日一日は好天が続くという天気予報を信じてジャケットは置いてきた。まるで冬眠中の熊さんが目を覚ましそうなポカポカ陽気である。「あぁ、春だなあー」。 |
振り返ると国際スキー場 林道を歩きながら後ろを振り返ると、国際スキー場の「ダイナミックコース」が見える。その後ろには真っ白な朝里岳、そして左に目を向けると白井岳が見える。今日は国際スキー場で滑りを楽しむか、それとも奥手稲山にするか本当に迷ったのだが、あまりの好天に後者を選んだのは正解だったようだ。それにしても雪がジュクジュクしてきてシールが濡れてきたせいか板が良く滑らない。 |
木の幹の周りから雪が解け始める 山肌の雪も解け始め、雪と地表がまるでホルスタインの模様みたい。林道沿いの雪解け水が流れているところには萌黄色したふきのとうが咲いていた。「あぁ、春だなあー」。 |
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山の家手前から奥手稲山を見る 林道歩きの前半は雪解け水がとうとうと流れる奥手稲の沢川の右岸を歩くのだが、大きなトドマツが3本そびえているあたりからスノーブリッジを渡りながら右岸歩き、左岸歩きを繰り返す。しかしスノーブリッジも随分と細くなり落ち込みも大きくなっているので、この好天が続けばあと幾日かで川に呑み込まれる運命なのだろう。「あぁ、春だなあー」。 |
瀟洒な「奥手稲山の家」 沢の勾配がきつくなってきた頃、左右に疎林が目立つ絶好のスロープが見えてくる。粉雪の頃ならパフパフ状態でテレマークターン「決めっ!」と叫びながら滑れるのだろう。そのスロープの合間に「奥手稲山の家」が赤い屋根を輝かしている。中にお邪魔するが誰もいない。童心に戻ったつもりで三層となった小屋内を探検してみる。ピカピカに磨かれた手すりと床、刻み込まれた来訪者の名前、いかに愛されてきた小屋なのか一目瞭然である。それに、なんと掛け軸まである。ゆっくりと昼食をとった後、置いてあるギターを手に取りブルース調アドリブを12小節程度弾いてみる。凡庸でセンスのないフレーズに小屋の中はひんやりとした空気が漂う。「あぁ、冬に逆戻りしそうだ」。 |
奥手稲山頂から手稲山を見る 小屋から山頂へは北方向に向かうのだが、一度沢地形に降りてから登り返すことになる。疎林の中の緩斜面を20分程歩くと石狩湾が見える稜線に出る。ここから10分で簡単に何も無い山頂に着く。目の前には手稲の街と石狩湾が広がる。後ろはダケカンバの林のために何も見えない。山頂直下には星置あたりからのびる林道が通っている。以前、オフロードバイクで走り抜けた想い出がよみがえってくる。帰りは最短距離を頭に描きながら滑り降りるのだが、途中途中でスキーを掴まれるような急制動がかかるため快適な滑りとはいえない。もしかしたら三段山クラブの人たちが言う「妖怪・板掴み」がいたのかも知れない。平坦な林道も長い登り返しが無いため、腕の力だけで結構滑ることができた。 |
帰りに朝里川温泉「ゆらぎの湯」に寄って疲れを癒す。小さいながらも露天風呂の横にビールの自動販売機が置いてある気の利いた風呂である。札幌方面から眺める「奥手稲山」は手稲山の奥に今日もひっそりと鎮座している。ああ、あの頂きに立ったんだという満足感があるから山登りは止められないのである。 |