温泉満喫「三段山」テレマークツアー

2001年 1月 18.19日

 

少しまとまった休みが取れたので十勝岳山系「三段山」ツアーを計画する。初心者おじさんの単独ツアーとしては無謀と思えるかも知れないが、三段山には夏山シーズンに登ったことがあるし、出発点となる「白銀荘」は平成9年に新築され温泉設備が素晴らしいと聞いているからだ。また地元の人たちで作る『三段山クラブ』という山スキーのホームページが大変参考になり、なんとか挑戦できそうな気持ちにさせてくれた。とにかく「無理をしない」ことを前提にして出かけることにした。

 今回は前回の「春香山ツアー」で課題となった汗対策として、ゴアテックスのアウタージャケット上下(ヘリテイジ製)、速乾性の下着上下、速乾性のウェアーなどを購入して万全を期した。

 

 富良野スキー場でテレマークの練習

 

「白銀荘」まで行く途中に「富良野スキー場」という立派なゲレンデがあるので、足慣らしと練習を兼ねてひと滑りすることにする。リフト券(11回)3000円とは高い!ではないかと思いながらも仕方なく購入する。リフトに乗るとき横の看板を見ると、『札幌⇔富良野バス代+リフト・ゴンドラ一日券』で3900円と書いてあるではないか。ナンナンジャコリャー!。怒り心頭の気持ちでゲレンデに立つが、何とゲレンデの幅が広く、斜度も適度なことからテレマークの練習には最適な斜面が続いている。途中、山腹にあるハウスで軽食を取りながら快適な練習を楽しんだ。

 

おおっ立派だ!「白銀荘」

 

 「富良野スキー場」で滑りを楽しんだ後、宿泊先である「白銀荘」を目指す。十勝連峰は残念ながら雲に覆われてすそ野しか見えない。十勝岳温泉への道を左折して進むと、除雪の最終地点にログハウス調の「白銀荘」があった。何と想像していた以上に立派だ。受け付けを済ませさっそく風呂に入るが、おおっっっ!立派だぁぁぁっ!外には温度差のある露天風呂が三つ、中には大きな岩風呂、シバ木風呂、サウナもあるではないか。なにより100%の天然温泉がうれしい。街によくある温泉?の塩素臭などまったくありません。結局1時間以上も極楽気分で入浴を楽しみました。自炊、相部屋で二段ベッドでしたが、一泊2750円(冬期間)はリーズナブルでうれしい限りだ。

 

 視界不良のため森林限界で引き返す

 

 118日 AM8:25出発。雪は降っていないが曇り空、気温はマイナス16度。前十勝のすそ野がうっすらと見える。先行者はいないようだが、ここ数日大雪が降っていないせいか多くのトレールが残っている。初めての者にとっては頼もしい味方だ。30分程で夏道コースから分かれ、南西コースを進む。樹林帯の中は静寂の世界で、自分の息づかいと雪を踏む音しか聞こえてこない。帰りの滑りが楽しみな斜面を汗を掻きながら登っていく。

 

今回注意した汗対策は衣類に濡れも感じなく、効果はバッチリなようだ。もう少し深雪だったら楽しいのにと思う反面、自分の実力からするとこの程度が適当かと思いながら登る。二つ目の斜面を登って夏道コースと合流するあたりから先程まで見えていた三段山の尾根がガスのため見えなくなる。視界が段々悪くなり、目を凝らしてみても斜面の凹凸が良く判別できない。雪の重みで根元からで折れ曲がったハイマツがボコボコと飛び出ている森林限界で引き返すことにする。

 

ここは「無理をしない」という自分との約束を守らなければならない。ここまで1時間半の登りで体力的に余裕はあるが、なにぶん先行するトレールが風のためかまったく消えてしまっているので止むを得ない。ここでシールを外して下ることにする。最初に沢地形を下りたのだがこれが吹き溜まりの深雪となっていて、上手い人なら大喜びかもしれないが、おじさんにとっては少し重荷の斜面であった。不恰好な姿で滑り降りた斜面には見るのもうんざりといったシュプールが刻み込まれた。

 

あとは「白銀荘」まで快適な斜面を滑るだけ。緩斜面ではテレマークターンを楽しむ余裕もあったのだが、ちょっと傾斜がきつくなるとアルペンスタイルが飛び出てしまう。そんなうちに20分足らずで「白銀荘」に着いてしまった。

 

 晴天に恵まれ再度の挑戦。しかし強い寒風のためまたも引き返す

 

119日 朝起きて窓の外を見ると前十勝の噴煙がもうもうと噴き上がっている。その右には三段山のなだらかな斜面が山頂まで続いているのが見える。ゆっくり風呂にでも入ってから帰る予定だったが、こんなチャンスを見逃す手は無いと早々と朝食を取ってから支度にかかる。気温はマイナス20度位だろうか、車のトランクに入れて置いたプラブーツが硬くなってなかなか足が入らない。足を蹴り込むようにしてブーツを履いてからシールを貼るのだが、低温のせいでノリ面の粘着力が落ち上手く貼れない。苦労しながら支度を終えてAM7:50に出発。昨日と同じルートを登るので今日はただ黙々と歩くだけ。途中で振り返ると銀色に輝く旭岳が美しく見える。

 

森林限界近くまで来ると林の中から朝日を浴びてそそり立つ富良野岳が目に入ってくる。山ひだに影ができ、立体感のある美しい姿だ。この景色を見るだけでもここまで登ってきたかいがあるというもの。

 

 

 

 

 

 

AM9:10昨日引き返した森林限界までくる。風を遮る物が何も無いせいか横から吹きつける風が雪煙となって身体を襲う。とにかく冷たい。斜面も粉雪ではなく軽くクラスト化していて、スキーで踏むと割れた雪片が風に飛ばされる。平坦なスロープを上り詰めると、傾斜はまたきつくなる。ハイマツがボコボコと飛び出ている斜面は快適なスロープとは言い難い。

 

 

 

 

 

目の前には前十勝の噴煙が覆い被さるように噴き上がっている。この地点で引き返す判断は自分の実力からして正しいのだろう。シールを外して風の強い平坦なスロープを滑り降りる。雪面が締まっていたせいか上手くテレマークターンが出来た気がして後ろを振り返るとまあまあのシュプールが残されていた。ちょっとうれしい瞬間だった。森林限界から下は天候が良いせいか斜面の凹凸がはっきり見えて、昨日より思い切って滑ることが出来た。急斜面を声を出しながら滑り降りるのも山スキーの醍醐味なのかも知れない。あっという間の滑降だったが十分楽しむことが出来た。AM10:00から再入館券(300円)を購入して風呂に入る。露天風呂で滑降の余韻を楽しみながら疲れを癒す。ああ〜極楽・極楽!

 

反省点・単独で森林限界以上を登るためには「デポ旗」を用意したほうが良かったと思う。「デポ旗」があればもう少し上まで登れたかも知れない。

 

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