27日早朝、ニセコ山系のシャクナゲ岳とイワオヌプリを山スキーで登るべく札幌を後にしたのだが、残念ながらニセコの山は雨と濃い霧に包まれていた。シャクナゲ岳への登山口となるチセヌプリスキー場まで行き、しばらく車中で思案に暮れたのだが、やはり単独登山では不安要素が大きいと判断して中止することにした。今晩の宿のチェックインまで近くの温泉「雪秩父」で時間つぶしをすることに決め、営業開始時間から一番乗りで露天風呂に飛び込んだ。入浴中に段々と霧が深まり、露天風呂の周りはまるでホワイトアウトのような情景に変わった。山中でこのような霧にまかれたら立ち往生は必死であろう。やはり中止したのは正解だったようだ。
身体がふやけるほど朝風呂を楽しんだ後は、ニセコの町まで下りて蕎麦を食べた。長風呂の後なので当然ながら睡魔が襲ってくる。静かな道端に車を停め、しばしの昼寝を楽しんだ。
予約していたチセヌプリスキー場を見下ろす高台にある「湯ごもりの宿・アダージョ」でチェックインし、夕方にまた宿の本館にある展望風呂に浸かって時間をつぶした。風呂の窓からはスキー場が見えるだけで、その背後に見える筈のチセヌプリもシャクナゲ岳も濃い霧の中に隠れて見えなかった。
ペンション風の宿は食事も温泉も申し分なく、その上意外と安い料金なので何だか得した気分になった。ニセコ再訪の際はまた泊まりたいものだ。
28日は朝から霧が流れていたが、風も無く、気温も穏やかなのでシャクナゲ岳を登ることにした。事実上の出発点となるスキー場リフト最終地点までリフトに揺られ、うす曇りの中をゆっくりと歩き始めた。乳白色の空に青空が入り込む隙間などある訳がなく、完全にモノトーンとなった雪の世界は心中の不安と同化しているようだった。霧の合間から時々シャクナゲ岳が顔を見せるのだが、乳白色の空と雪に覆われた山肌が交じり合い、まるで幻想風景を見ているような気持ちになった。遠くからはヴィーナスの丘の背後の無名峰が見えず、ヴィーナスの丘と命名された由来の艶かしい風景は得られなかった。
シャクナゲ沼にスキーをデポしツボ足で登ったのだが、キックステップで登る急斜面は滑落の危険性もあって、短いながらスリリングな時間帯だった。気温が下がり、キックステップが効かない場合はアイゼンがなければ登るのは危険であろう。チセヌプリに登るスキーヤーは何人かいたが、シャクナゲ岳に登ったのは管理人だけだった。帰りは途中から雨になり、滑らないモナカ雪に閉口した。雨と汗で濡れた身体を「雪秩父」の露天風呂で暖めてから、雨の中を走って札幌に帰ってきた。
昨年もそうだったが、冬のニセコにはどうも恵まれていないようだ。やはり宿の予約を優先してしまうので、天候は運次第ということになる。次回は天候優先、宿は二の次としよう。
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