風薫る5月、丹沢主脈を歩く

 

199155日・6

 

関東の人が言う、「山登りは丹沢に始まり、丹沢に終わる」と。はて、こちらは丹沢というと関東大震災の震源地だったことぐらいしか知らない。今でこそ初心者でも北アルプスや八ヶ岳に行く時代だが、ふた昔前ぐらいまでは丹沢、奥武蔵などの山で経験を積み、自信がついたところで槍や穂高を目指したという。関東の人が言う「丹沢」、どんなところだろうと登って見た。そこには単にステップアップするためだけの山ではない素晴らしさがあった。「丹沢に終わる」という言葉に納得させられる内容がそこにはあった。

 

自家製「丹沢山塊」地図。ヤビツ峠から蛭ヶ岳を往復した。普通は蛭ヶ岳から焼山へ抜ける縦走コースなのだが、ヤビツ峠にバイクを置いてあるので長い尾根を戻ってきた。

富士見山荘。ヤビツ峠にバイクを置き、舗装道路を20分程歩くと富士見山荘に着く。よく見るとここまでバイクで入れるようだ。ここから本当の山歩きが始まる。

ニノ塔から三ノ塔を見る。ニノ塔までは50分程なのだが、登りばかりが続くので意外と辛い。振り返ると大山が間近に見える。それにしても良い天気だ。

三ノ塔から表尾根を見る。中央が塔ノ岳(1491m)。三ノ塔の頂上は広場となっていて、立派な休憩所がある。これからこの長い尾根を歩くと思うと溜め息が出る。

行者岳の鎖場。三ノ塔からは大きく下り、登り返すと烏尾山。眺めの良い尾根道を歩いていると行者岳に着く。ここからの下りが鎖場になっている。三ノ塔から50分程。

新大日茶屋前にて。真後ろに鯉のぼりが立てられていたのだが、チョンマゲ状態になってしまった。この辺りの小屋は馴染み客が多いと聞く。なにか赤提灯感覚のようだ。

賑わう塔ノ岳山頂。皆さんちょうどお昼時でした。右から丹沢山、不動の峰、最奥が蛭ヶ岳。ヤビツ峠から塔ノ岳まで休み休みだが4時間近くかかった。まだまだ先は長い。

塔ノ岳山頂から富士山をバックにパチリ。セルフタイマーとのタイミングが合わず、軍手を脱ぐ途中になってしまった。それにしても塔ノ岳からの大パノラマは素晴らしい。

竜ガ馬場から塔ノ岳を見る。塔ノ岳から先は登山者の数がぐんと減り、静かな山歩きが楽しめた。

鬼ガ岩に腰掛けてパチリ。背後に蛭ヶ岳山頂が迫る。途中の丹沢山は平坦で標識が無ければどこが山頂か判らない。

鬼ガ岩を見上げる。鬼のツノのように見えることから鬼ガ岩と呼ばれたのは容易に想像がつく。この辺りから蛭ヶ岳にかけて立ち枯れが目立ち始める。酸性雨の影響なんだろうか。

手前に「臼ヶ岳」、中央に「桧洞丸」、ずっと遠くに富士山が見える。丹沢山塊は尾根が細く明瞭で谷が深い。端正な山なみと言えよう。沢登が盛んだというのも納得できる。

やっと着いた蛭ヶ岳山荘。塔ノ岳から3時間近くかかった。お世辞にも立派とは言えないが風雪に耐えてきた貫禄がある。夕方、布団の上を歩くマナーの悪い登山客が、従業員から「うちの自慢は布団なんですから、上を歩かないで下さい」と怒られていた。なるほど小屋自慢にもいろいろあるようだ。

翌日、蛭ヶ岳(1673m・丹沢山塊最高峰)山頂から不動の峰、丹沢山、塔ノ岳を見る。あーまたあの長い尾根を歩いて戻らなければならない。ヤビツ峠までバスで来て縦走すれば良かったと反省する。