前天塩岳1540m 天塩岳1557.6m
2007年10月2日 晴れ時々曇り
北見山地の最高峰、天塩岳(1557.6m)は昭和53年に北海道道立自然公園に指定されている。春から夏にかけては高山植物が多く見られ、森にはキツツキやクマゲラなどの鳥類が多く、キツネやヒグマなども多く生息している。天塩岳の山頂部ではナキウサギの生息が確認されたという。
ポンテシオダムから砂利道の林道を9km走ると、旧道コース入り口に天塩岳ヒユッテがある。手入れの行き届いた立派な山荘で、40名ほどが宿泊できる。夏場の週末は登山者が多くて泊まれないこともあるらしい。 ヒュッテ前は野営場となっていて、炊事場やトイレがある。
初めての天塩岳、奥深い山だけに出発前は不安感が先立ったが、整備された登山道と雄大な展望がそんな気持ちを吹き飛ばしてくれた。ヒュッテから前天塩岳コースを登り、天塩岳からは新道コースを下った。途中から連絡路を下ってヒュッテに戻る周回コースを選択したのは正解だったようだ。
想像していた以上に雄大で素晴らしい景観の山だった。至福の思いを胸に抱きながら、再訪を誓って山を後にしたのだった。
アプローチは愛別町からヒュッテまで約1時間。札幌からの場合、ヒュッテまで4時間程度を見込んでおいたほうが良さそうである。前日ヒュッテに泊まり、早朝から登り始めるのもひとつの方法だろう。
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登り・前天塩コース 4時間05分(休憩時間含む)
下り・新道(連絡道)コース 2時間55分(休憩時間含む)
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赤線が登り。青線が下り。
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ヒュッテからは明るい白樺林の登山道を進む。作業道跡なのか車が通れる道幅である。この先、何回か足場板で作られた小橋を渡る。
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登山道がガマ沢から離れて高度を上げると、対岸の紅葉が目に飛び込んでくる。稜線から浸み出た水が細い滝となって流れ落ちる様は、まさに糸を引くという形容がぴったりだ。稜線上にはガスが立ち込めているので晴れるのを待つようにゆっくりと登る。
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![005](tesiodake%202007%2010%202.files/image006.jpg)
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心臓破りと言われるシクサグ坂を登り切ると森林限界に出る。途中、ガスが切れた右手眼前に、なだらかな稜線の天塩岳が現れる。前天塩岳の頂上まではあと一息の頑張りである。
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![006](tesiodake%202007%2010%202.files/image007.jpg)
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前天塩岳の山頂部は「ハゲ山」。20年以上前の山火事で焼けたハイマツの植生状況は、まだ少ししか回復していない。森林限界から砕石のようなガレた登山道を登る。結構息が上がって立ち止まること数回であった。
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![007](tesiodake%202007%2010%202.files/image008.jpg)
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前天塩岳山頂から円山(右)や西天塩岳(左)方向を見る。西天塩岳の手前に見える白い点は三角屋根の非難小屋である。新道コースはこの見晴らしの良いなだらかな稜線上に作られている。
前天塩岳山頂からすぐ南に天塩岳、北には渚滑岳など北見山地が望まれた。
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![002](tesiodake%202007%2010%202.files/image009.jpg)
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前天塩岳から天塩岳を望む。足元には焼けて風化したハイマツが白骨のように横たわっている。天塩岳へは尾根伝いに標高190mほど下がってからまた登ることになる。時間にして1時間少々、距離では1.7kmほどだが、辛い登りではない。コルでは無数の赤トンボが飛遊していた。
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![011](tesiodake%202007%2010%202.files/image010.jpg)
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滝上町側から登る「渚滑川コース」との合流点から仰ぎ見る天塩岳山頂部。前天塩岳から眺める姿と違ってピラミダルな山容である。
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![001](tesiodake%202007%2010%202.files/image011.jpg)
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天塩岳から眺める前天塩岳。陽を浴びて山全体が黄金色に輝いている。山頂部下の山肌にはトラバース道が横一文字に刻まれている。せっかくここまで登るのなら前天塩岳の山頂まで登った方が裏側の展望も楽しめると思う。しかし風の強い日など、安全なエスケープルートとしての価値があるのだろう。沢に見える白い岩は「ラクダ岩」。
天塩岳山頂から南には大雪山やニセイカウシュッペ山、武利岳などが遠くに望まれた。
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![008](tesiodake%202007%2010%202.files/image012.jpg)
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天塩岳山頂から西天塩岳(左)、円山(右)方向を眺める。なだらかで気持ち良い稜線である。中間あたりの登山道脇に立派な天塩岳避難小屋が建てられている。収容人数は18名で、隣にはトイレまである。
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![009](tesiodake%202007%2010%202.files/image013.jpg)
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円山を過ぎ、1317m辺りまで下った地点から前天塩岳を眺める。天塩岳から眺めるドッシリとした山容と違ってピラミダルな姿である。山頂部に伸びるガレた登山道が白い線になって確認できる。あの道を息を切らしながら登ったのだという感慨が頭をよぎる。
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![010](tesiodake%202007%2010%202.files/image014.jpg)
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前天塩岳コース(途中まで旧道コースと同じ)と新道コースを結ぶ連絡路から前天塩岳(左)と天塩岳(右奥)を眺める。この二つの山がお互いを引き立て、雄大な景観を作り出しているのだと思う。
ヒュッテまで車で入った場合、この連絡路から新道コースに出て天塩岳に登るのが、一番楽なコース選択だろう。しかし時間と体力に余裕があるのなら、前天塩岳と天塩岳の両峰に登ってみたい。雄大な景観を堪能するには体力的な投資が必要だろう。ガマ沢を直登する旧道コースもあるが、単独では不安感が先立って、選択する気が起きない。
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![999](tesiodake%202007%2010%202.files/image022.jpg)
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地元の人たちに深く愛されている山なのだろう。ヒュッテの管理状態、登山道や非難小屋の整備状態を見るとその思いを深くする。素晴らしい山に出逢う喜び、それは山歩きをたしなむ者にとってかけがえのない想い出となる。そんな思いを満喫させてくれた天塩岳だった。
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