写真で巡る
「槍ヶ岳・北穂・奥穂・前穂縦走」
1991年 7月31日〜8月4日
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7月31日 午後11時30分、新宿西口から「京浜急行バス」にて上高地へ出発。
8月1日 午前5時50分 上高地バスターミナル着。6時30分「河童橋」スタート。小雨模様なり。
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朝もやに煙る「河童橋」
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二ノ俣の吊り橋
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賑わう「槍沢ロッジ」
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小雨の中を歩き出し、先ずは明神池にある「嘉門次小屋」を見学。いろり端で焼く岩魚の塩焼きが名物。徳沢園の前では小説「氷壁」を思い出す。横尾から槍沢に入り「槍沢ロッジ」まで黙々と歩く。ここから「槍ヶ岳山荘」までが長かった。「坊主の岩屋」から山荘までもう少しなのに思いのほか時間がかかり、「槍ヶ岳山荘」に着いたのは何と午後5時40分だった。夜は山荘の窓を雨が激しく叩くほどの荒れ模様だった。それにしてもこの稜線にこんな大きな山荘が、北海道じゃ考えられない。
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坊主の岩屋
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槍の穂先が見えませんので!
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ガスの中「槍ヶ岳」に登る
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8月2日 登頂をためらっていた中年女性を励ましながら共に槍の穂先を目指すが、何とこの悪天候でも順番待ちの状態。さすがに人気の「槍ヶ岳」だと感心する。山荘からは「大喰岳」「中岳」「南岳」と3,000メートルの稜線歩き。残念ながらガスで展望は無い。「南岳小屋」でコーヒーを飲んでいると、山岳パトロールの人たちが入ってきて、「登山者は足元を見ればその経験度合いが分かる」などと話している。この人たちの前ではちょっと歩けないなと不安が襲う。いよいよ鉄ばしごを下りて「大キレット」に突入。若者2人と前後して進むが、若者も初めてということで励ましあいながら進む。難所の「飛騨泣き」で中年夫婦の女性が足をすくませて動けなくなっていたところ、後から追いついてきた例の山岳パトロール隊員が厳しく叱責すると、何とその女性は気を取り直したように歩き始めた。さすがにツボを押さえていると感心する。ここを過ぎれば後は岩場を上り詰めて「北穂高山荘」に到着。午後2時40分なり。
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大キレットで一服
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北穂高岳山頂から大キレットを望む
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夕日を浴びる「滝谷」
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北穂高山荘で宿泊手続きを済ませしばらく横になっていると、突然「槍が見えるぞー」という声が聞こえてきたのでカメラを持って山頂まで走る。ガスが切れ始め、あきらめかけていた大展望がいま目の前にある。何と「ブロッケン現象」のおまけまで付いている。「大キレット」越しに見る「槍ヶ岳」の鋭鋒。鳥も飛ばないと言われる険峻な「滝谷」。岩の殿堂「奥穂高岳」、すべてが夕日を浴びて輝いている。時の経つのも忘れるほどの美しさだった。
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北穂高岳山頂から「槍ヶ岳」遠望
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北穂高岳山頂から「奥穂高岳」遠望
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「涸沢岳」にて
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8月3日 今日も朝から雨模様。午前7時に奥穂高目指して出発。それにしても昨夜の北穂高山荘の食事は素晴らしかった。涸沢岳へは前後する登山者もいないのでガスの中ひとり歩き続ける。途中のはしご場が思ったより手強く、恐怖心をあおり立てる。2時間弱で奥穂高山荘に着いたので宿泊手続きを済ませ、空身で奥穂高山頂を目指す。1時間で着いた山頂は強風と雨の中だった。寒さにふるえ早々に退散する。山荘前の温度計は10℃を指している。下界では30℃を超える暑さだというのに、さすが3,000メートルの稜線だ。奥穂高山荘は立派過ぎる建物で、オーディオ・ルームまであるのには驚いてしまった。
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涸沢岳稜線から「涸沢」と「北尾根」を望む 奥穂高岳山荘前から見る朝の「常念岳」と「屏風ノ頭」
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8月4日 縦走最後の日。今までの鬱憤を晴らすかのように晴れ渡る。早朝、蝶ヶ岳シュッテ辺りでフラッシュの光が瞬いた。向こうから見る穂高の山並みはモルゲン・ロートに輝いているのだろう。今日の奥穂高山頂はすこぶるつきの大展望。雲海の向こうに「笠ヶ岳」、近くには迫力の岩塔「ジャンダルム」、遠くに鋭鋒「槍ヶ岳」。何も言うことは無し。ただただ忘我の境地で展望を楽しむ。
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雲海と「笠ヶ岳」遠望
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迫力の「ジャンダルム」
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奥穂高岳山頂・遠くに「槍ヶ岳」
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奥穂高山頂から吊り尾根を歩いて前穂高岳へ向かう。「紀美子平」から空身で登った山頂も素晴らしい展望を用意してくれていた。湧き上がる雲と岩のハーモニー、まるで音楽でも聞こえてきそうな錯覚に陥るようだった。
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前穂高岳から「槍ヶ岳」を遠望する 前穂高岳から「奥穂高岳」を遠望する
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前穂高岳からは「重太郎新道」を黙々と下るのだが意外と長いのに驚く。この岳沢コースを登りに使う人はあまりいないのではと思わせる程だった。それでも途中ライチョウと出会ったり、地中から冷風が吹き上げる「風穴」で涼んだりと楽しみながら駆け下りた。
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岳沢上部から「上高地」を遠望する
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「風穴」で一服。涼しい!
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縦走を終えて。終わり良ければ全て良し
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昼過ぎに上高地着いたので、しばらくは「河童橋」のたもとで足を冷やす。梓川の水は身を切るように冷たく、長い時間水に浸けてはおけない程だった。バスの時間まで間があるので「田代池」を散策してからバスターミナルに戻る。駐車場に並ぶバスの数が多く、自分が乗るバスを見つけるのに思いの他時間がかかった。さすが日本有数の観光地「上高地」であることを実感させられた。かくして無事に縦走は終わりを告げたのだった。
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