キロロ・スキー場から楽チンコースで余市岳

 

2001年 324

 

 

仕事でギックリ腰を患ったため、スキーツアー絶好の日々を泣く泣く家で過ごしていた。最近少し痛みも和らいできたので、短時間で登れる山を探していたら、なんと札幌近郊で最高峰の余市岳が検索結果として浮かび上がった。もちろん「キロロ・スキー場」からゴンドラ使用で登るコース。天候にも恵まれたので、リハビリを兼ねてゆっくりと歩くつもりだったのだが・・・・。

 

 

 

 

「ゴンドラ山頂駅を見下ろす」

 

ゴンドラ片道券(消費税込み1,050円)を購入して運行開始したばかりのゴンドラに乗り込む。ここのゴンドラは途中で一旦下るのが面白いところだ。わずかな時間で標高1,185mの山頂駅に到着。何と楽チンなことか。ここで係員に登山申請をしてノートに記入する。先日にボーダーの捜索騒ぎがあっただけにスキー場側も神経を尖らせているようだ。駅内でスキーにシールを貼って準備を整え、AM 900出発。風が冷たいが右奥に聳える余市岳を見ながらゆっくりと歩く。遥か前方に三人の先行者が見える。

 

 

 

「通称・飛行場付近から見る余市岳」

 

雪面は固いクラスト雪でスノーモービルが通った跡などはアイスバーン化している。その上にさらっと粉雪を塗した程度であるから、気持ち良い滑走は期待できそうもない。通称・飛行場あたりは遮る物も無い広大な雪原だから、こんな所で吹雪かれたら方向感覚を失って「ハイ、それま〜でぇ〜よ」となるのだろう。くわばら・くわばら。そのうち背後から突然スノーモービルが現われ、ツーサイクルエンジンのオイル臭を残して走り去っていった。この広大な雪原は彼らにとって絶好のフィールドなのだろう。くれぐれも自然を大切にしながら楽しんでもらいたいものだ。AM 930 朝里岳ルートとの合流点。

 

 

 

「見晴台から余市岳を見る」

 

AM 950 クラストした雪面を踏みしめながらのんびり歩くと見晴台。ここまで来ると札幌近郊の山々が一望できる。無意根、定天、烏帽子、エトセトラ。目の前には重量感のある余市岳がどっしりと裾を広げている。ちょうど先行する三人が余市岳の斜面に取り付いたばかりで、ジグを切って登っているのが分かる。ペースがかなり遅いようなので苦労しているようだ。

 

 

「北東コル(最低鞍部)から上りの急斜面を見上げる。最上部に先行者三人の姿」

 

AM 957 シールのまま滑り降りて北東コル着。ここまではスノーモービルの跡が何本も残っているが、さすがにここからの急斜面を登っているものはいないようだ。ちょうど先行する三人が急斜面を登りきったようだ。遠くからは柔らかそうに見える斜面も、実際は結構な固めのバーン。所々に吹き溜まった重雪がある。ジグを切って登るのだが、カービング形状板にストレートのシールを貼っているものだから、固めのバーンではスキーが滑ってしまうという難点がモロに出る。ついに途中からスキーを脱いでツボ足で登るのだが、吹き溜まりでは膝あたりまで潜ってしまう悪戦苦闘の登りとなった。とてもリハビリ所ではない状態だ。

 

 

 

「山頂にて」

 

 途中の緩斜面からまたスキーを履いて登る。風が冷たいせいかカチカチのクラスト雪面である。山頂付近のハイマツはエビの尻尾でガチガチに固まっている。夏でも広く感じられる余市岳の山頂だが、雪原となった冬山ではなお一層広く感じられる。AM 1100 山頂着。ちょうど2時間の行程だが、思った以上に難度は高かった。先行する三人は無意根方面に向かったのか山頂には誰も居なかった。風の強い山頂から家に携帯電話で無事到着の連絡を入れ、次に今晩すすきので一杯飲む予定のH君に電話を入れる。彼は群馬から同僚と二人で国際スキー場にスノボーを楽しみに来ている。山頂で昼食をとる予定だったが、あまりの寒さのため早々と下山する。AM 1115山頂出発。山頂平坦部を歩くのが面倒なため、北側斜面の最上部をトラバース気味に滑り降りる。固めのバーンなのでこんな所で転倒したら下まで滑り落ちてしまいそうだ。北東の上部緩斜面はカチカチのクラスト状態のため滑っていても全然面白くない。登りで苦しんだ急斜面は数メートル毎に固めバーンと吹き溜まり重雪が連続する難易度Eクラスの狭い斜面。この斜面と実力がアンバランスのため大転倒2回。ついに自信喪失のヨレヨレ状態でAM 1135北東コルに着く。ここからスキーを担いで見晴台まで登り返す。スノーモービルの跡がカチカチに固まっているため何とも歩き易い。AM 1150 見晴台。PM 12:20 山頂駅着。下りは1時間05分の行程でした。この後、山頂駅の食堂で「かき揚げそば」(690)を食べて腹ごしらえをしてから、ゲレンデを滑り降りた。