夕張岳   1,668 m

 

2013630日 快晴

登り・冷水コース  下り・馬の背コース

 

2010年の夕張岳

 

登り・6時間(休憩時間含む) 新ゲート〜1時間40分〜冷水コース登山口〜2時間10分〜望岳台〜2時間10分〜山頂

下り・4時間45分(休憩時間含む) 山頂〜1時間30分〜望岳台〜1時間30分〜ヒュッテ〜1時間45分〜新ゲート

 

 

yuubaridake gps

 

GPSトラックログ

 

赤線=登り  青線=下り

 

 

 

001

 

 早朝、シューパロ湖を渡って林道を走る。ヒュッテまで14キロと思っていたが、なんと中間地点に新ゲートが設置されていた。林道横の岩壁が崩落し、安全面から一般車両を通行止めにしているとのことだった。

 新ゲートの手前には新たに2ヶ所、20台ほどが駐車出来るスペースが作られていた。ゲート横には入山届出ポストも設けられ、ここが新たに夕張岳の登山口になるのだと知らされる。

 出発しようとしていると、ヒュッテ関係者の車が下りて来た。施錠を外して車を出す所だったので、山の状況を尋ねると、前日からかなりの人がヒュッテに泊まっているとのことだった。

 

 

 

002

 

 新ゲートを入ってすぐの所が崩落現場である。応急処置で車が通れるようにしているが、破れた金網はそのままで、道路に覆い被さる倒木もそのままだった。

 残り7キロの林道を歩かなければならないので、何とか通して貰えないものかと考えるが、やはり安全の面を考えると、一般車両の通行は無理なのだろう。人気のある山だけに本州方面からの登山者も多いようだ。少しでも早い復旧を期待するしかないのだろう。

 

 

 

003

 

 眺望も何もない退屈な林道を歩くこと1時間45分。やっと冷水コースの入り口に着く。右下の標識には山頂まで6.7kmと書いてある。ここまで約7kmだから、もう半分の距離を歩いたことになる。それでも、ここからが本当の山歩きだと気合を入れ直して出発する。

 

 

 

004

 

 冷水コースの入り口から1時間を過ぎたあたりで水場に着く。いつも山での飲料にしているポカリスエットでは飽きるので、こういう途中にある冷たい水場はうれしい限りだ。

 

 

 

005

 

 望岳台の手前にある「石原平(せきげんだいら)」のシラネアオイはちょうど満開の時期を迎えていた。平坦地一面にシラネアオイが咲き誇る景観は見事としか言いようがない。

 

 

 

007

 

 望岳台から北を見れば青空の下、芦別岳がそびえている。途中に鋭い岩峰を持つ山がいくつか見られるが、地図を見ても名前は付いていないようだ。

 

 

 

006

 

 まあ、折角だからと記念撮影。背後の山は滝ノ沢岳。ロープの背後はすっぱりと切れ落ち、覗くとブルブルっとして股間が縮み上がる。

 

初めて夕張岳に登った際、ヒュッテで聞かされた話が面白かった。もう25年も前の話しになる。札幌の某大学教授の奥さんが、友達と二人で夕張岳に登ったという話だが、4時間足らずで山頂まで行って来たと言う。目の前に芦別岳が見えたとも言っていたらしい。どんな健脚でも4時間での往復はキツイ。どうにも腑に落ちないのでよくよく聞いて見ると、望岳台を山頂と勘違いし、滝ノ沢岳を芦別岳と思い込んだとしか考えられないのだそうだ。それにしても大学教授の奥さんが・・・と大笑いしていた。そうなると背後にそびえる前岳の立場はどうなってしまったのだろう。今となっては懐かしい話だ。

 

 

 

008

 

 望岳台から前岳を時計回りに回り込んで進む。途中に何ヶ所かの雪渓が残り、スリル満点のトラバースを余儀なくされる。滑り落ちればピッケルもないから数十メートルは止まらない。多分、大怪我ぐらいでは済まないだろう。一歩一歩確実にキックステップして足場を確保。ゆっくりと慎重に進む。

 行く手の先には夕張岳の全容が姿を見せている。

 

 

 

009

 

 いくつかの雪渓を過ぎて振り返ると、新緑の上に頂上部が岩頭になった前岳が見える。しかし地図ではこの左側にある低い山が三角点・前岳となり、最高点の岩頭は「1501」としか記されていない。

 

 

 

010

 

 「前岳湿原」には大きな雪渓が残っていて花は見られない。雪渓の上では大型ビデオカメラを構えた撮影クルーが山頂方向を写していた。

 この辺り一帯は「蛇紋岩メランジュ帯」と呼ばれる特殊な地質と地形になっていて、夕張岳固有の高山植物である「ユウバリソウ」や「ユウパリコザクラ」が咲く原因になっている。

 写真は「男岩(右)」と「ガマ岩(左)」の合間から山頂部を写したもの。

 

 

 

011

 

 夕張岳で登山道近くの沼といえば「ひょうたん沼」。まだ半分以上雪に埋もれているが、雪が融けるとひょうたんの形が現れる。

 背後にそびえるのは前岳・最高点。地図では前岳・三角点は左の低い方にある。

 

 

 

012

 

 熊ヶ峰の裾に広がる夕張岳最大の湿原を振り返る。あまりにも咲く花の種類が多くて覚えきれないし、写しきれない。花を見ながら、のんびりと木道を歩くのが楽しい。

 

 

 

013

 

 熊ヶ峰と釣鐘岩のコルを越えると「ユウバリソウ」等が見られる「吹き通し」。ここでも多くの種類の高山植物が花を咲かせていた。

 釣鐘岩の右奥には芦別岳が見える。

 

 

 

014

 

 「吹き通し」から山頂までが最後の頑張りどころ。息が荒くなってきた頃、山頂直下の祠に着く。その上に山頂標識が立つ夕張岳山頂。ここまで6時間近く掛かっているが、山頂を目の前にすると現金なもので、身体に生気がよみがえって来る。

 祠に勝手な願いごとをしてから山頂に向かう。

 

 

 

018

 

 山頂にいた一人の登山者が下りて行ったので、貸し切り状態になった。吹き通し辺りから多くの登山者が山頂目指して登って来るので、素早く記念写真を撮る。

 まもなく山頂は大賑わいになり、居場所をなくした管理人は山頂の端に腰を下ろして昼食を取る。風向きが変わると飛び交う虫たちが寄ってくるので、防虫スプレーを身体に吹き掛けながら眺望を楽しんだ。

 

 

 

015

 

 山頂から歩いて来た方向を見下ろす。こういった岩の突き出た複雑な地形を「ノッカー地形」と言うそうだ。夕張岳の魅力も、この「ノッカー地形」の中を歩きながら、高山植物を楽しむことにある。

 頑張った分だけ喜びを得ることの出来る、うれしい山のひとつだろう。

 

 

 

016

 

 山頂から南東方向に目を向けると、北日高の名立たる名峰を見ることが出来る。右に幌尻岳や戸蔦別岳。左にピパイロ岳やルベシベ山。そして芽室岳と続いている。

 しかし、残念ながら管理人には幌尻岳や戸蔦別岳以外を明確に指摘することが出来ない。地図と写真を見比べながら想像するだけである。一度は歩いてみたい日高の主稜線だが、まだまだ体力的に自信を持てないから、当分は見て楽しむことで我慢しよう。

 

 

 

017

 

 北東方向には十勝連峰、左奥には大雪山が見える。トムラウシ山は十勝連峰の陰になって見ることが出来ない。この右手にはニペソツやウペペサンケ、阿寒の山並みが確認出来る。

 遥か西には雪の多く残った暑寒別の山並み、南東には札幌近郊の山々や羊蹄山が確認出来る。

 遮るもののない360度の眺望は、これまで登った夕張岳の中で最高のもの。長い林道歩きが加わった今回の夕張岳だが、これ等の光景を目の当たりにして苦労が報われた思いだった。

 

 

 

019

 

 下りは「馬の背コース」と決めていたので、迷わずに分岐から馬の背コースを下る。足の負担を考えると「冷水コース」の方が楽なのだが、やはり違ったコースを歩きたい気持ちの方が強いから仕方ない。

 馬の背コースの出口にある「夕張岳ヒュッテ」。有志のみなさんで建築中の新ヒュッテが完成間近だった。8月中には完成する見込みだという。これまでの旧ヒュッテは虫の出入りが自由だったが、今後は快適な睡眠が約束されるのだろう。

 今度は宿泊予定で来たいものだが、宿泊装備の重い荷物を担いで7キロの林道を歩くのが少し辛いかな。

 

 

 

020

 

 帰りも長い林道歩きにうんざりし、仕舞には足の裏や爪までもが痛くなってしまった。どうも去年の羊蹄山での生爪といい、新しい登山靴との相性が悪いようだ。と言って、安くはない登山靴だから簡単に買い換える訳にも行かない。また悩みが増えてしまった。

 帰りにシューパロ湖から夕張岳を眺めた。山頂部の前に城壁のように広がる滝ノ沢岳や前岳。やはり特異な地形の山だと分かる光景である。

 

 疲れた身体を癒すには温泉がいちばん。「シューパロの湯」から「夕鹿の湯」と名前は変わったが、内部は変わらない。温めの湯に浸かってまったりとし、夕食を取って一休みしてから岐路に着いた。

 家に帰り着いたのは夜の9時過ぎ。楽しみにしていたビールをのどに流し込むと、心地良い疲れがどっと出て来た。

 

 期待していた「ユウパリコザクラ」に出逢うことは叶わなかったが、十分に満足のいく山歩きだった。・・・と、日記には書いておこう。

 

夕張岳で見た花の数々(ほんの一部です・名称は割愛します)

 

666 222

 

777 1111

 

111 999

 

444 2222

 

555 888

 

333 0000

 

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