遠藤淑子






『エヴァンジェリン姫シリーズ2』収録「4月の魚」

あらすじ

ある日、散歩していたエヴァ姫は、森で倒れている若い男を見つけます。
てっきり死体だと思って(思うなよ^^;)焼こうとすると(勝手に焼くなよ・・・)、男は目を覚ましました。道に迷ったまま、疲れて眠っていたのです。
エヴァ姫にスイスまでの道を尋ねる男ですが、税関を通らないで行こうとするので、エヴァ姫はちょっと怪しみます。
エヴァ姫の正体をしらず、ただの地元民だと思った男は銃をつきつけて道案内をするよう命じます。
ところが怯まないエヴァ姫。本人を脅しても無駄だと悟った男は、近くにあった玄武岩を人質にとって再度道案内をするよう命じます。
・・・なんで玄武岩なのか・・・深く考えていては先へ進みません・・・
渋々道案内を始めたエヴァ姫に、男は自分の名前はクラーク・ケントだと名乗りました。明らかに偽名、そして怪しすぎる・・・。
歩いているうちにすっかり夜になり、男は疲労困憊してぐっすり眠ってしまいます。エヴァ姫はその隙に、一旦城へ戻りました。
夕食の献立はサバ尽くし。ヨーロッパでは4月がサバの旬で、とっても安いらしいです。
貧乏国なので姫と言えども安いディナー。
城で待っていたオーソンは、これから三日間スイスへ出張するけれど、自分がいない間、大人しくするようにエヴァ姫にお説教します。お説教っていっても、多分エヴァ姫って20歳くらいなんだろうけどね。
とはいえトド松を人質に取られているエヴァ姫(なんでトド松かは考えない・・・)は、翌朝クラークが目覚める前に森に戻って再び道案内を始めます。
が、案内役の姫が道に迷ってしまい、再び夜になってしまいました・・・。
待ち合わせの時間に遅れる、と言い始めるクラーク。どうやらスイスで誰かと待ち合わせをしている模様。
で、エヴァ姫の誘導尋問に(といより自白剤・・・)引っかかってぺらぺら喋り出すクラーク。
実はクラークはアメリカCIAのスパイなのです。でも、ソ連(ソ連があった頃の話だからね)に亡命するつもりで、スイスでもソ連のスパイと落ち合う予定なのでした。
何故にアメリカからソ連へ亡命?普通逆だろ〜と思うエヴァ姫ですが、実はクラークは大のタバコ嫌い。なのにCIAは「タバコはスパイの必需品!」とばかりにタバコの煙に満ちています。
そんなクラークの心の隙間に入り込んだのはソ連の二重スパイ、ハイランダー。ソ連だとタバコも配給制なので、そんなに煙たくないのでした。
煙が少ないという言葉に惹かれたクラークは、ソ連への亡命を決意したのでした。
・・・ちょっとだけ気持ちは分かるな。私もタバコのない世界へ行きたい・・・。
一方城では姫が帰ってこないので心配して探しています。スイスに出張中のオーソンのところにも連絡が入りますが、全く心当たりがありません。
城での心配を余所に、なんとかスイスへ辿りついたエヴァ姫とクラークですが、喜んだのも束の間、いきなり狙撃されます。
きっと自分の裏切りを知ったCIAの追っ手だ、と思ったクラーク、辛くも逃げ切りますが、まだまだ油断は禁物です。
一方オーソンはスイスに出張中。仕事相手との待ち合わせ場所で怪しげなロシア人たちを見たので話を立ち聞きすると、
「明日午後1時、一緒に居る妙な小娘も始末しろ。」
ロシア人たちはそう言ってます。
妙な小娘と言えば・・・オーソンの脳裏に浮かんだのは、行方不明になったエヴァ姫です。まさかね・・・と思いながらもものすごく嫌な予感がするオーソンでした。
一方クラークは、自分と一緒にいたエヴァ姫も命を狙われるんじゃないかと心配し、スイスへついても共に行動しています。
ソ連に亡命するにはそれなりの手土産が必要です。クラークはCIAがソ連に送った二重スパイのリストを菓子缶の中に隠して持ってきていました。
これをハイランダーに渡せば無事ソ連へ亡命できます。その用事が済めばエヴァ姫を国まで送ってやると約束してくれました。
クラーク、基本的にはいい奴です。
ところが落ち合ったハイランダーは、菓子缶を渡した途端狙撃してきます。しかも菓子缶の中は空。お腹を空かせたエヴァ姫が食べてしまったのです。
食べてる最中に中にフィルムが入っていることに気付きましたが、どこへ隠したかは言いません。だって言ったら用は済んだとばかりに殺されるから。
隙を見て再び逃げ出したエヴァ姫とクラークですが、アメリカを捨て、ソ連には裏切られたクラークはもう行き場がなくなったと落ちこみます。
人間不信になったクラークを慰めるエヴァ姫。クラークは少しだけ元気を取り戻しました。
が、いつの間にかソ連のスパイ達に囲まれて絶体絶命の危機に陥った二人。もうだめか、と思った瞬間、オーソンが駆けつけます。
どうしてここに?と驚くエヴァ姫。実はオーソンの出張はCIAに協力するためだったのです。
実はCIAは、ハイランダーを二重スパイじゃないかと疑っていたのですが、確証が掴めず、クラークをおとりにして尾行していたのでした。
おとりにされていたとはいえ何も知らなかったクラーク。自分がCIAを裏切ろうとしたのは事実なのだから、きっと捕らえられて裁判にかけられると思ったのですが、クラークの上司は驚くべきことを口にします。
「君が国を出たのは4月1日、エイプリルフールだ。冗談や嘘をついても構わない日だ。」
あっけにとられるクラークに、上司は禁煙タイムも設けたから、少しは居心地がよくなっている、と話してくれます。
やっぱり人を信じてみようかな、と思い直すクラーク。人間不信になった時に励ましてくれたエヴァ姫にも感謝の気持ちで一杯です。
ところで、クラークが持ち出した二重スパイリストはどこへいってしまったのでしょう。いくら許してもらえたとはいえ、リストは本物なので、CIAに返さなければいけません。
なのに・・・木の根元に隠したと答えるエヴァ姫。森のどのあたりの木の根元なのかさっぱり覚えていません。
見つけなければ国に帰れないクラーク、毎日毎日森の中でフィルム探しです。
「あのお姫様のことなんかもうっ、絶〜っ対信用しねーぞー!!」
今日も森にはクラークの叫び声が聞こえるのでした。


お気に入りphrases

エヴァ姫が人間不信に陥ったクラークに言った言葉
「信じるものがあるかどうかじゃなくて、自分がしんじるかどうかだろう。お前は信用してると自分にばかり損を被っているように言うけど、世の中のすべて信じないで生きてる奴なんていないぞ。皆だって損したり得したりしているんだ。」

・・・長いです・・・。
こういう場面って「そんなことないよ!信じてればきっといいことあるよ!」ってフレーズはありがちだと思うのです。
でも、遠藤流はちょっと違う。いいことあるかどうかは分からないけど、信じないで生きていける人はいないし、信じたことでいいこともあれば悪い事もある・・・。
随分現実的です。でも、嫌なことがあった時に、
「どうして自分ばっかり・・・。」
って思うことはよくあります。
でも本当は自分ばっかり嫌な思いをしているわけではなくて、みんなそこそこに嫌な思いをしているし、適度にいい思いもしている。
人生そういうものだから、悩んだってしょうがない・・・って、そこまで達観することはできないけどなあ。
なんにせよ、やたらと希望を強調するのではなく、いい意味で「これが現実だよ。受け入れなきゃしょうがないよ。」って言ってるような気がするなあ。
ああ、達観したい・・・



『エヴァンジェリン姫シリーズ2』収録「南から来たインディラ」

あらすじ

「最近エヴァ姫の食欲がすごい、じゃがいもを袋ごと食べている」
と、料理番からききつけたオーソン、いくらエヴァ姫でもじゃがいもひと袋を食べているわけがありません。
きっと何かを飼ってるんだ!と慌ててエヴァ姫の部屋を訪れた執務室の面々は、ゾウにエサをやっているエヴァ姫に慌てふためきます。
エヴァ姫は森の中で拾った、と言い張りますが、そんなわけはありません。とりあえずは近隣の諸国にゾウが脱走したという情報がないか問い合わせる事になりました。
ところが、どうしてもゾウ=インディラを飼いたいエヴァ姫は、インディラを連れて家出をしようと計画します。
それというのもエヴァ姫が昔見たドラマでは、母親に「捨ててきなさい!」と言われて子犬と一緒に家出した少年が、最後には飼ってもいいと言ってもらえてハッピーエンドだったからです。
が、ゾウを連れても家出は目立ち過ぎです。
単に別れる前にゾウを国民に見せているだけだと勘違いした執務室の面々はまったく気にも留めず、さっそくゾウの情報を得ますが、なぜか自分のゾウだと主張する人々が3組も現われます。
一方、家出を計画していたエヴァ姫ですが、誰も家出だと思ってくれないので城に帰ろうとします。が、その時インディラが倒れたのです。
何事かと驚くエヴァ姫の前に現れたのは自然保護協会だと名乗る一団。
が、自然保護団体がインディラを車に乗せ終わり、運ぼうとした時、動物商だと名乗る別の一団がやってきます。
それだけでも訳が分からないのにさらに現われたサーカスの一団。
みなそれぞれにこのゾウは自分達の所有物だと主張しています。
エヴァ姫が呆然としていると、インディラを乗せたトラックがっゆっくりバックし始めました。下り坂なので、勝手に下がってしまっているのです。
車を止めようとトラックに乗り込んだエヴァ姫ですが、その助手席にはぞう使いだと名乗る少年がいました。
それはそうとトラックは止めなければなりません。が、車を運転したことの無いエヴァ姫に、どれがブレーキでアクセルでクラッチか分かるわけがありません。
勘で踏んだのはアクセル。トラックは暴走して森の中に突っ込み、木に激突してやっと止まります。
安心したのも束の間、エヴァ姫は突然倒れたインディラが心配です。ゾウ使いの少年は、「麻酔銃を打っただけだから心配ない。」と説明しますが、それ以上は口を噤みます。どうやらインディラを早く手に入れたかったらしいのですが・・・。
とにかく、今夜は動けないので、野宿するしかありません。エヴァ姫とインディラ、ゾウ使いの少年は、森の中で夢の中です。
翌朝、エヴァ姫が元気になったインディラと遊んでいると、動物商の一団が現われ、インディラを引き取ろうとします。が、不審を抱いたエヴァ姫はそれを拒否し、ついでにメスのインディラに牙があるのはおかしい、と指摘したため、動物商に追いかけられます。
ゾウ使いの少年も加わって、逃げようとする二人と一頭ですが、ゾウ使いの少年は、途中でインディラの牙を外します。その上で、インディラをおとりにして自分達は逃げよう、とエヴァ姫に提案するのです。
そんなことをしたらインディラが殺されてしまう、と反対するエヴァ姫に、「人の命に関わるんだから仕方ない。」と答えるゾウ使いの少年・・・。
「多少の犠牲は仕方ない。」と話す少年に、エヴァ姫の怒りは爆発します。
「犠牲がなけりゃ守れない立場なんかやめてしまえ!」
怒鳴るエヴァ姫と黙り込む少年、その沈黙を、銃の音が破ります。追っ手が近づいてきているのです。
が、行き止まりになってしまい、追っ手に追いつかれてしまったエヴァ姫一行。追っ手は、ゾウ使いの少年を見て驚きます。
なんとこの少年は、アジアのシファカ王室のアクシス王子だったのです。
アクシス王子の国では、王位を継ぐものは即位の儀式で宮殿から一歩も外に出てはいけないことになっています。王位継承者であるアクシス王子は、父王が亡くなったため、即位の儀式の真っ最中、こんなところにいてはいけなはずなのですが。
正体はばれるわ、追い詰められるわで絶体絶命の時、姫とインディラが森にいると聞いて、ハイキング気分の執務室長ご一行様が現われます。持って来たのはお弁当だけ・・・でも人海戦術(?)で、追っ手達は捕らえられます。
実は、インディラの角には細工がされていて、王位を継ぐのに必要な宝石が隠されていたのです。
裏切り者の大臣(動物商)が国外に持ち出そうとしてサーカス団にインディラを預け、それを知った自然保護協会(王室派の人々)が宝石を取り戻そうとしていたのでした。
無事に宝石を取り戻し、インディラも故郷に帰れることになって一件落着。
アクシス王子は、平和そうなエッシェンシュタイン公国を見て、この国が幸せなのはエヴァ姫が幸せだからだ、との思いを胸に即位の儀式のために自分の国に帰っていきます。


お気に入りphrases

「犠牲がなけりゃ守れない立場なんかやめてしまえ。」

・・・月並みですが、これしかないです。エヴァ姫が自分の「立場」に対してどう思っているかをよく表している言葉です。
お話の最後で、アクシス王子が、「この国が幸せなのはエヴァ姫が幸せだからだ。」と思うシーンがありますが、これはきっと、逆も真なりということで、「エヴァ姫が幸せだからこの国は幸せ」だと言いたかったのでしょう。
別に、エヴァ姫が王女であり、豊かな暮らしをしているから幸せなわけではありません。むしろ貧乏・・・で、城の修理もままならない時には、自分で出稼ぎにいったりするほどです。
国民から修理用の税金を取ろうなんて考えていないのです。
こんな風に、エヴァ姫は自分の立場を、誰かを犠牲にして守っているわけではありません。むしろ、「誰かを犠牲にするのは、王女として失格だ。」と思っていることでしょう。
誰も犠牲にせずに幸せでいること、それが自分の「立場」にとって最低限必要なことなのです。だからといって無理に幸せになろうとしているわけでもありません。
誰も犠牲にはしないけど迷惑はかけてるしな・・・。ゾウを飼いたいなんていえば、そりゃあ城の者は迷惑でしょう・・・。
「犠牲」というのは、それで何かを得るから「犠牲」なのですが、このお話の場合、ゾウの命を犠牲にして、次期国王が逃げ延びることを得ようとしました。ある意味、一国の安泰がかかっているから、ゾウの命を「多少の犠牲」と考えるアクシス王子の気持ちも分からないではありません。
でも、動物だから犠牲にしていいや、と思えば、次はつまらない人間だからいいや、という気持ちになる、とエヴァ姫は言います。それを絶対にだめだと言い切ることは出来ないけれど、そう考えてはいけない立場の人間だっている・・・。
たとえば、国を存続させるためには国民を犠牲にして元首を守るべきなのか、元首が犠牲になってでも国民を守るべきなのか・・・
小さい頃、ものすごく疑問だったことがあります。どうして戦争は、都市部を狙うんだろう、って。戦争をしたがってる人だけやっつけたら解決するのに・・・でも、戦争をしたがってる人って何故か一番奥で守られていて、前線やら基地やらには普通の人がいる・・・。幼心にものすごく不思議だったんですけどねぇ・・・。
閑話休題・・・誰であっても、自分の立場を守るために何かを犠牲にしちゃいけないんでしょう。でも、エヴァ姫が言いたいのは、実際に犠牲にする、しないの問題ではなく、「多少の犠牲が必要」と発想してしまう事への警告かもしれません。何か問題が起きた時、トカゲのしっぽ切りのように何かを切り捨てて解決しようとする・・・そんな発想を安易にすることに慣れてしまうのは危険です。
事実、アクシス王子もインディラを犠牲にしない方法を考えようと思えば考えることができました。(失敗したけど)
私達の日常でも、「○○のためには△△を犠牲にしても仕方ないんだ。」って思うことは多々あります。でも、
1、本当に仕方ないのか。
2、△△を犠牲にするほど、○○は大切なことなのか。
をよく考える必要があるのでしょうね。


『エヴァンジェリン姫シリーズ2』収録「アルト・・・」

あらすじ

エヴァ姫の父王は晩婚の上、母親まで体が弱かったため、エヴァ姫が生まれてすぐになくなってしまいました。だからエヴァ姫には兄弟がいません。
あまりの兄弟欲しさに父王に再婚を勧めたエヴァ姫ですが、愛する王妃の忘れ形見(しかも自分と違って超健康)に再婚を勧められたショックは大きく、容態が急変して寝込んでしまう始末です。
そんな折、エヴァ姫に、卒業記念パーティの招待状が届きます。
実は姫、過去に留学していて、しかも飛び級していたのです。でも、頭が良いから飛び級したわけではなく、「留学費高いからさっさと卒業しろ!」と言われて根性で単位を取ったのでした。
で、招待状がエヴァ姫の留学時代の親友マリー・ルイーズから。彼女達は今年卒業したのです。
余談ですが、ここからエヴァ姫の年齢を検証してみましょう。
「大学部などは2年で出た。」と姫が言っているなら、高等部も3年ではないのでしょう。多分2年で卒業です。
他のみんなは22才で卒業ですが、エヴァ姫は19才で卒業後、学友があと2年卒業するのを待っていて、今、21才ってことになります。
ってことは、高校2年、大学2年で卒業し、大学部の卒業パーティが今、ってことは、エヴァ姫は同級生より1歳年下なのでしょう。
余談終了。
招待状をもらって喜びいさんでマリー・ルイーズの邸に遊びに行ったエヴァ姫。そこには他の友達もたくさんいて、楽しい毎日が待っているはずでした。
が、姫が乗っている馬が暴れ出したり、突然柱が崩れて来たり、贈られたバラの花のトゲに毒が仕込んであったりして、明らかにエヴァ姫は狙われているのです。
こうして滞在しているうちに、いよいよパーティの日になりました。
が、エヴァ姫は何者かに塔に閉じ込められてしまいます。
脱出の仕方が分からないので、とりあえず近くにあった階段を上るエヴァ姫。ところが、登り切った場所でエヴァ姫を待っていたのはマリー・ルイーズでした。
彼女は弓をエヴァ姫に向け、自分の母親は、エヴァ姫の父王に遊ばれた上捨てられたから、その娘であるエヴァ姫を殺して復讐しようとしていたのです。
危機一髪でオーソンに助けられるエヴァ姫ですが、自首しようとするマリー・ルイーズに対して、「彼女は私の姉で王位継承第1位の方だから父上にお目通りいただく。」と言います。
が、父王にお目通り願った結果、母親を弄んだのは隣の国の王子だと判明。父王は、娘に隠し子の濡れ衣を着せられたのです。
で、見当違いな恨みを抱いていたマリールイーズに対し、父王は「これで復讐を終わりにしなさい。」と伝えます。
太っ腹!
自分を殺そうとしたマリー・ルイーズに王位継承権を譲ろうとするエヴァ姫(出も、貧乏国だから本当は継ぎたくなかったのかも)も太っ腹だが、再婚しろ!と愛娘に言われれば容態が急変するほど王妃を愛していた国王も、隠し子の濡れ衣を着せられた割には太っ腹!この父にしてこの子あり、ってことでしょうか。
で、誤解だと分かって復讐心を無くしたマリールイーズとエヴァ姫は元通り親友に・・・・めでたしめでたし♪



お気に入りphrases


「あなたが幸福になる事こそが母御の本当の願いですよ。」

父王の言葉です。
父王はエヴァ姫の母親、つまり王妃を本当に愛していたのでしょう。だから再婚なんて勧められれば容態を悪くするし、隠し子 疑惑では必死で首を振ります。
にしても、自分の後継ぎでもあり、愛する王妃との忘れ形見のエヴァ姫が殺されかけたと言うのにその犯人を許すこの度量。
父王は、意外にエヴァ姫を信頼していると思うのです。だから、愛する娘でもあり、後継者でもあるエヴァ姫を殺そうとした相手にもこんなに寛容になれるのでしょう。
ここで、本当にマリー・ルイーズが父王の娘=エヴァ姫の姉だったと考えて見ましょう。
エヴァ姫は、恐らくもっと幼い頃から父王に代わって政治の中心にいます。留学を早めに切り上げろ!と言われたのも、10代の姫にとっては過酷なことです。
本人が言っていますが、「ただ単位をとるだけなら根性だけで充分取れる。」
ってことはエヴァ姫、根性はあります。それは、普段どんなに迷惑をかけていてもいざというときには部下を信頼したり守ったり、貧乏小国の割には自分の理想を貫いてやたらと狙われる・・・でも狙撃者にも一目置かれている・・・ということからも分かる(?)ことです。
その根性ある姫にとって、命を狙われる事は珍しくもなく、親友に裏切られたとしても恨まず、むしろ王位を譲ろうとまでする気概・・・やっぱり上に立つものとしての厳しさと戦いながら、責任や義務からも目をそむけない人間だと思うのです。
でも、疑問もあります。
エヴァ姫は国民の幸せを第一に考えています。だから、ぽっと出てきたマリー・ルイーズに王位を譲ることが正しいのだとしても、国民の為になるかどうかは疑問だということは分かっていたはずです。
。でも、正妻ではなくても姉は姉、父王の血を受けているなら次期女王の座はマリー・ルイズ。本当にそうであっても、エヴァ姫は女王の妹として国民の平和を願いながら生きたのでしょう。でも、父親の浮気以上に国を譲る可能性もあったことを考えると、淡々としていながら、かなり重い決意だったんじゃないかとも思います。
ま、なんにしても「この父にしてこの子あり。」でしょう。
父王は長年恨みを抱きながら生きてきたマリー・ルイーズに微笑みかけます。許す事は、責めたてることの何倍も相手の心に響きます。
マリー・ルイーズが長年苦しんできた母親の受けた苦しみへの復讐・・・それが的外れであったことや、人に恨みを抱いて生きることが大事なのではなくて、それでも今生きている人間が幸せであることが大切・・・それはエッシェンシュタイン公国の王室の家訓でもあるのかもしれません。
というわけで、あとにも先にも活躍の場は1つしかなかった王様の発言、意訳すれば「今を大切に生きなさい。」ってのは、名言だと思うわけです。
本当に、この父にしてこの子あり、ですね。
ところで、全然関係ないといえばないのですが、父王は一体何才なのでしょう?
エヴァ姫が、晩婚の上、年を取ってからの娘というのにかなりの矛盾を感じるのですが・・・。
だって、恐らくマリー・ルイーズはエヴァ姫より2歳上。
で、マリー・ルイーズの本当の父親は、エヴァ姫の父王と一緒に留学してたはずです。ということは、マリー・ルイーズが産まれたのは産まれたのは留学が終わって1年以内のはずです。
で、父親と同級生だった父王だって、せいぜい22、3でしょう。その2年後にエヴァ姫が生まれるはずですから、エヴァ姫が産まれた時、父王は25才くらいのはずです。
晩婚でもなけりゃあ年を取ってからの子供でもありません。
父王・・・一体いくつなんだ・・・。




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