手元供養

気になるコラム

週間ダイヤモンド−2013年1月19号
カネをかけずに納得の寺・墓・葬儀』より

葬儀ビジネス最前線〜深刻化する墓選び、ベンチャー参入でデフレ化加速・・・

毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読!2大週刊経済誌「週刊東洋経済」と「週刊ダイヤモンド」を比べ読み。小難しい特集を裏読みしつつツッコミを入れ、最新の経済動向をピックアップする。





「週刊ダイヤモンド2013/01/19号」の特集は『カネをかけずに納得の寺・墓・葬儀』。形式としての葬儀や墓なら“カネをかけずに”済ませたいと考える人が増えている。一方で、葬儀や墓をめぐるトラブルは多く、国民生活センターなどへの相談件数は増えている。寺は檀家制度が崩れ、存続の危機にある。「納得できる」寺、墓、葬儀を探し求めた特集だ。

 葬儀をめぐるトラブルが増えている。契約者数約2400万人、契約者から集めた前受金総額約2兆3000億円に上る互助会では、立派な葬儀会館等の建設費用、代理店への手数料等による契約コストなどが葬儀代に上乗せされるために、追加的な負担が発生してしまいトラブルになりがちだ(記事『経営破綻リスクが高まる互助会』)。

 急速に進むのは「低価格・追加料金一切不要」を打ち出した「小さなお葬式」だ。火葬式プラン17万8000円などネット系ベンチャーの参入で、葬儀のデフレ化が進んでいる。イオンの「イオンのお葬式」でも19万8000円〜だ(記事『デフレ化する「葬儀」編』)。一方の大手葬儀社は、ダイヤモンド誌記者の覆面調査によれば「ティア(愛知)」で提案価格約82万円、「さがみ典礼(埼玉)」は約188万円だという「小さなお葬式」の登場で、これまでの業界がザル勘定だったことが明らかになってしまったのだ。

 また、墓選びは深刻だ。死亡者が年々増える大都市だが、霊園の新設・増設が深刻化し、小スペースで済む納骨堂や手元供養の需要が急増している。さらに横浜市など墓地開発に関する条例が厳しくなりつつあり、規制をクリアして開発しても採算が合わないおそれが出てきているという(記事『縮小する「墓」編』)。

 さらに、葬儀・法事の簡素化で収入が激減しているのは「寺」だ。江戸時代以来の伝統仏教の収益基盤であるはずの檀家制度を廃止した寺まで登場している(記事『存続危機の「寺」』)。檀家でも菩提寺に相談せずにこっそりと葬儀をあげてしまうケースも出てきたのだという。

 危機感を感じたのか、宗教本来の目的である布教に立ち返る僧侶が登場している。

 東京・銀座では、浄土真宗の若手を中心とした「僧侶と語る会」が開催され、仕事帰りのOLたちが人間関係の悩みを相談する。東京・神谷町では、本堂前のテラスを「神谷町オープンテラス」として開放。期間限定で精進料理を提供した「お寺レストラン」も開催されたほどだ。寺離れ、宗教離れがいわれるが、20〜30代の女性中心に仏教ブームも起きている。「寺ガール」の誕生だ。中高年に支持される寺も増えている。東日本大震災後の無力感にとらわれた心の傷をいやすべく、時代が信仰を求められているようだ。

 寺視点の終活セミナーなど、常識にとらわれない僧侶の試みがなされている。興味深いのは、今回の特集のインタビューにも出てくる、お寺カフェやインター ネット寺院の開設を手掛け、著書も多数の松本紹圭僧侶のようにMBAをとるなど高学歴の僧侶が多いことだ。MBAの経営の知識を寺院の経営に役立てようという動きなのだろうか。MBAという生くさい経営の世界では得られない魅力が仏教にあるからなのかもしれない。
(文=松井克明/CFP)