かおり風景100選一覧表

  都道府県 市町村 名称 概要
1 北海道 富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町 ふらののラベンダー 富良野周辺では、広い面積でラベンダーを畑で栽培しており、その風景はラベンダーのふるさとである南フランスを彷彿させる。これらの各市町は、ラベンダーを観光資源として活用しており、訪れる観光客はこれらの風景と香りのために心やすらぐひとときを味わうことができる。
2 北見市 北見のハッカとハーブ かつて世界の7割のハッカを生産していた北見市は、香りゃんせ公園、ハッカ記念館のハーブ園など、環境基本計画によりハッカをシンボルとしたまちづくりの推進を位置づけている。昨年度は市民がペパーミントなど約7000株のハーブを植えた。行政と市民による「香り彩るまちづくり推進機構」や市民による「仁頃香りの会」により、保全活動が行われている。
3 登別市 登別地獄谷の湯けむり 自然湧出量1日1万トンの硫黄泉、食塩泉など11種類の温泉が湧出しており、温泉街に近づくに従い、硫黄独特のかおりがする。爆裂火口の跡で、正面に剣が峰と呼ばれる鋸の歯を逆立てたような赭岩の絶壁がある。地獄谷、大湯沼などが遊歩道に沿ってみることができる。国立公園内にあり、天然記念物に指定されている。
4 釧路市 釧路の海霧(うみぎり) 冷涼な夏季に海霧が釧路地方の海岸地域の広い範囲で発生し、潮のかおりがする。また、釧路湿原は国内最大の湿原で、国立公園、ラムサール条約登録湿地、特別天然記念物であるタンチョウの生息地である。
5 青森県 尾上町 尾上サワラの生け垣 春から夏にかけて、町内のサワラでできた生垣を刈り込むかおりがする。古くから植木の町として有名で、町では生け垣を守り育てる条例を制定し、生け垣作りに対し補助金を出し、生け垣による緑ゆたかな景観の推進と保全に取り組んでいる。また、町では、年1回、旧家等の庭園や手入れの行き届いた民家の庭園を見学するツアーを開催している。
6 南部町 南部町長谷ぼたん園 初夏にぼたんの大輪が咲く。ふるさとづくりの一環として、町で整備し、現在3.3haに130種8,000本のぼたんが植栽されている。ぼたん園開園期間には、遠く残雪をいただいた八甲田山を背景にぼたんを観賞できる。園内の管理は町婦人会や老人クラブによる除草作業等が行われている。また、ゴミの持ち帰り運動を推進している。本年5月に「なんぶフラワーフォーラム21」を開催し、花を活かしたまちづくりを一層推進している。
7 岩手県 宮古市 浄土ヶ浜の潮のかおり 霊鏡和尚が「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したことから浄土ヶ浜といわれたこの浜では、潮のかおりが漂う。その景観は宮古市を代表する観光スポットであり、国立公園、県指定名勝となっている。また、浄土ヶ浜をきれいにする会などが中心となって清掃活動が行われている。
8 盛岡市 盛岡の南部煎べい 盛岡を代表する南部煎餅の焼き上がる香ばしい香りが店先で感じられ、南部煎餅をもとめ多くの観光客が訪れる。盛岡の昔の面影が残る紺屋町にある建物の一部は市の保存建築物に指定されている。
9 宮城県 一迫町 南くりこま一迫のゆり 2.5haの栽培面積をもつ園内には、150種15万株のゆりの花が栽培されている。「ゆり祭り」開催時は、「町おこしゆりの会」が主体となり、公園管理や清掃活動を行っている。
10 牡鹿町 金華山の原生林と鹿 金華山には、ほぼ手つかずの原生林が見られ、生息するシカ、草、潮のにおいが感じられる。島内は国定公園の特別保護地区に指定されている。
11 秋田県 能代市 風の松原 300年前から植栽を続け、現在700万本といわれる黒松が生育している。松葉や土、潮のかおりが感じられる。朝夕のジョギング、散策や環境学習の場、キノコの採取など、地元の住民の生活に関わりが深い。各種団体による自主的な清掃活動に加え、平成13年3月には「風の松原に守られる人々の会」が中心となり、監視パトロールやガイドなどの活動が行われている。
12 小坂町 小坂町明治百年通りのアカシア 歩道にあるアカシア並木をはじめ、町内全域で500万本といわれるアカシアからのかおりが漂う。また、通りには町内に点在する歴史的建造物とともに通りの風景が自然と調和した空間となっている。地元のボランティアなどにより、年数回の清掃活動が行われている。アカシアからとれる蜂蜜やアカシアを活用した工芸品は町の特産物である。平成12年度には中国大連市と「アカシア祭り友好交流意向書」を締結した。
13 大潟村 大潟菜の花ロード 14haの菜の花畑(ロードを含む)が広がる。入植した農業者のOBで組織する「耕心会」が村から委託を受けて栽培している。
14 山形県 羽黒町 羽黒山南谷の蘚苔と杉並木 月山の残雪、羽黒杉、霊山の空気が独特の雰囲気を感じさせる。松尾芭蕉が羽黒山に訪れた際に、6日間逗留した場所があり、句を残している。県指定史跡に指定されている。
15 大石田町 大石田町そばの里 手打ちそば店や各家庭からそばのかおりが町内全域で感じられる。11月には「新そばまつり」を開催し、観光の目玉とする予定で、そば作り・そば打ちの体験活動を充実させる取り組みを進めている。
16 村山市 東沢バラ公園 145haの都市公園内に、7haのバラ公園があり、700品種2万株が植栽されている。バラ公園は3つの湖と森林に囲まれた自然豊かな環境にある。
17 福島県 須賀川市 須賀川牡丹園の牡丹焚き火 樹齢200年以上の古木牡丹290種7,000株が咲き、かおりが園内に広がる。また、天寿を全うした牡丹の枯木を供養する「牡丹焚き火」で、ほのかなかおりが漂う。俳句歳時記の季語にもなっている牡丹焚き火は、年中行事となっている。国指定名勝に指定されている。
18 郡山市 郡山の高柴デコ屋敷 高柴デコ屋敷で作られる張子人形の塗料として使われる「にかわ」のかおりが、工人屋敷周辺に漂っている。ここで作った面をかぶり、伝統的な七福神踊りを、6月に披露する。地元小学校では、授業に取り上げ、踊りの継承に努めている。
19 茨城県 水戸市 偕楽園の梅林 三名園の一つである偕楽園は、正月から彼岸過ぎの長い間にわたり梅のかおりを感じることができる。梅は100種3000本。周囲の樹林地を保全し、親水性のある歴史的景観形成など総合的な周辺整備を進めている。
20 栃木県 今市市 今市竜蔵寺の藤と線香 境内には市指定天然記念物で樹齢100年、太さ1mの「六尺藤」があり、線香のかおりが漂っている。境内の近くには湧水を水源とする用水路があり、水生生物などが見られる。なお、今市市の杉線香の生産量は全国の半分を占めている。
21 日光市 日光霧降高原のニッコウキスゲ 霧降高原には全国有数のニッコウキスゲの群落があり、6月から7月には辺り一面黄色になる。国立公園内にあり、各種団体やボランティアなどによる保護活動が行われている。
22 那須町 那須八幡のツツジ 那須岳の中腹、八幡地区に約10万本のツツジ類が群生しており、5月下旬から6月上旬には一帯が真赤に染まる。国立公園内にあり地元小学校をはじめ、地域全体による清掃活動が行われている。
23 群馬県 草津町 草津温泉「湯畑」の湯けむり 町の広い範囲に渡って薬効の強い温泉からでる硫黄のにおいが漂っている。自然湧出量は日本随一である。町の中心部に位置する「湯畑」は、湯の町草津のシンボルでもある。
24 埼玉県 川越市 川越の菓子屋横丁 長さ80mの菓子屋横丁の商店街には、ハッカ飴、駄菓子、焼き団子のかおりが漂っている。明治の初めから駄菓子を製造している菓子屋横丁は、川越を代表する観光スポットの一つであり、石畳や茶色の電柱など景観に配慮している。
25 草加市 草加せんべい醤油のかおり 煎餅店の付近では、しょうゆの焼ける香ばしいにおいが漂っている。日光街道の宿場町として栄えた草加市の伝統的なかおりである。
26 千葉県 天津小湊町 天津小湊町誕生寺の線香と磯風 長さ1.5kmの磯場には、磯場特有の潮のかおりがする。また、誕生寺の境内には線香のかおりがする。大弁天小弁天周辺の磯場は干潮時には100m以上沖合まで広がり、県内有数のヒジキ、ノリの生産地である。誕生寺周辺は、町の観光の中心地であるとともに、国定公園に指定されており、漁業組合や清港会により清掃活動が行われ、行政、住民が一体となって自然環境の保全に努めている。
27 山田町 山田町府馬の大クス 樹齢1300年から1500年のタブノキが境内をおおい、枝が地上に垂れて根を張り子楠となり、別の木のように見える。境内はダブノキ特有のかおりがする。国指定天然記念物で、樹高20メートル、幹回り27.5メートルにもなる。地元住民が中心となり、「おおくすを守る会」を発足し、自然保護活動を展開している。
28 東京都 千代田区 神田古書店街 約200mにわたる古書店街の古書類から独特のかおりが漂う。明治時代より数多くの学生やサラリーマンなどに利用されてきた。特に秋には神田古本祭りが行われ、大勢の人々でにぎわう。
29 江東区 江東区新木場の貯木場 貯水場を囲み、製材工場が建ち並び、周辺を歩くと製材の木のかおりが漂う。深川木場から製材工場、木工工場、卸し問屋が集団移転した。
30 神奈川県 箱根町 箱根大涌谷硫黄のかおり ロープウェイの駅を降りると、白い噴煙とともに硫黄のにおいがする。3000年前に水蒸気爆発を起こした爆裂火口で、今もなお熱い水蒸気と硫気を噴出している。雄大な富士山の眺めを楽しむことができる風景は、かながわの景勝50選に選定されている。また、国立公園に指定されている。
31 藤沢市 鵠沼、金木犀の住宅街 小田急本鵠沼駅周辺の家屋の多くにキンモクセイが植えられており、花の時期にはキンモクセイのかおりが感じられる。住民の心がけによりかおりが保たれている。
32 新潟県 豊栄市 福島潟の草いきれ 県最大の潟湖の6割を覆う植物からかおりがする。その風景は越後平野の成立を今に伝えるものであり、市と市民団体が協働で自然保護に取り組んでいる。
33 富山県 砺波市 砺波平野のチューリップ 53haの規模にわたり、チューリップの開花期には一面花の絨毯が広がる。昭和27年からチューリップフェアを開催している。チューリップ四季彩館では、チューリップ情報の受発信を行っている。フェアは、500人のボランティアが清掃や会場案内を行うなど、行政、市民、企業等が一体となって取り組んでいる。
34 宇奈月町 黒部峡谷の原生林 日本最大級のV字谷である黒部峡谷一帯では、カエデ(町木)類、イワウチワ(町花)、ブナ、ナラなどの原生林が生育し、豊かな緑のかおりに恵まれ、黒部峡谷鉄道のトロッコ電車で堪能することができる。また、黒部峡谷は国立公園に指定され、清流黒部川の水は、下流で黒部川扇状地湧水群として「全国名水百選」に選定されている。
35 富山市 富山の和漢薬のかおり 和漢薬の調剤等によるにおいが、市内の多くの場所で感じられる。
36 石川県 輪島市 輪島の朝市 360mにわたり、朝市通には日本海でとれた新鮮な魚介類のかおりがする。物々交換の市からはじまり、1,000年以上の歴史がある。
37 福井県 勝山市 白山神社境内菩提林の杉と蘚苔 1,300年の歴史がある史跡白山平泉寺には、アシュウスギや土、コケのかおりが感じられる。夏休みには縁台を持ち出して宿題をしている地元小学校の姿も見られる。史跡整備基本計画策定委員会を設置し、史跡の保存、整備を進めている。また、地元住民による杉葉拾いの清掃活動も行われている。
38 山梨県 勝沼町、一宮町 勝沼・一宮のぶどう畑とワイン 地域全域にブドウ畑が広がる。また、ワイナリーでは、醸造の際に、ブドウや樽のかおりが広がる。国内産ワインの生産高の多くに占める。JR勝沼ぶどう郷駅で降りると勝沼町から一宮町にかけてブドウ畑が広がり、山梨独特の風景である。
39 長野県 上松町 赤沢自然休養林の木曽ヒノキ 樹齢300年の木曽ひのき天然林が広がり、728haの赤沢自然休養林内には木のかおりが漂う。赤沢の自然林は日本三大美林として知られている。国有林、自然休養林、ヒノキ材木遺伝資源保存林、ヒノキ植物群落保護林に指定されており、ボランティアや森林インストラクターによる活動、専門誌の発刊など自然保護の啓蒙活動を推進している。
40 松本市 松本大名町通りのシナノキ 国宝松本城の表玄関にあたる大名通り沿いには、200mにわたり「信濃の国」の由来となったシナノキの並木道があり、淡黄色の花からあまいかおりが漂っている。お城下町まちづくり推進協議会により、お城に相応しいまちづくりを進めている。市では「かおりポイントマップ」や「かおり活用・保全マニュアル」の作成、「かおり探検隊」を行っている。
41 飯田市 飯田りんご並木 りんご並木は、飯田のまちの中心にあり、地元の中学生が育てている。春にはりんごの花、秋には赤いりんごの実のかおりが感じられる。やまびこマーチや人形劇フェスタの会場として、またこのほど並木に面して再開発ビルも建ちあがり、まちの賑わいと文化のかおりの拠点となっている。
42 諏訪市、下諏訪町 霧ヶ峰の高原と風 全国有数規模の霧ヶ峰高原の草原は、レンゲツツジ、ニッコウキスゲや様々な草花のかおりが感じられる。3つの湿原にある植物群落は「霧ヶ峰湿原植物群落」として国の天然記念物に指定されている。また、複数の団体により帰化植物の撲滅や清掃活動を実施している。
43 岐阜県 加子母村 加子母村の檜とササユリ 東濃ヒノキとして知られる加子母村にある施設は、ヒノキ材で作られており、村全域でヒノキ材のかおりがする。また、林内の一部にササユリの自生地があり、ササユリのかおりが感じられる。ヒノキ材は伊勢神宮の遷宮用材をはじめ、全国の神社仏閣の建築用材として使用されている。ササユリは村の保護条例によって保全されている。
44 高山市 飛騨高山の朝市と古い町並 陣屋前及び宮川の2カ所の朝市で売られる野菜、果物、花、漬け物などからかおりがする。また、みたらしだんご屋からだんごを焼く香ばしいかおりが、前畑点心堂前では栃の実煎餅を焼くかおりがする。商人町として作られた古い町並みは「高山市三町伝統的建造物群保存地区」になっている。
45 宮川村 種蔵棚田の雨上がりの石積 太陽に照らされた焼けた石に夕立があたり、湯気がたちこめるかおりが感じられる。1haに渡り棚田が広がっており、独特の景観を形成している。条例により棚田の保全を図っている。
46 静岡県 豊田町 豊田香りの公園 1haの香りの公園内には、キンモクセイ、ハーブなどかおり豊かな植物が植えられており、園内では四季折々のかおりが楽しめる。また、香りの博物館では果実・花・ハーブなど香りを実体験や、嗅覚の仕組み、かおりの歴史などを紹介している。藤の花をこよなく愛した熊野御前(平宗盛の妻)のふるさとである豊田町は、熊野御前にちなみ、町全体にかおりが感じられる草木を植栽しており、「熊野の里・文化が薫るまちづくり事業」を推進している。
47 牧之原地区、川根地区(島田市、掛川市、御前崎町、相良町、榛原町、吉田町、金谷町、浜岡町、小笠町、菊川町、川根町、中川根町、本川根町) 牧之原・川根路のお茶 牧之原、川根周辺はいたるところに茶園があり、お茶のほのかな香りが感じられる。また、製茶工場から芳しいお茶のかおりが感じられる全国的に知られたお茶の一大産地である。特に、旧東海道日坂宿周辺の旧道沿いからは、牧之原台地が眺望でき、天気が良ければ富士山も見られる。峠の上には昔ながらの茶店があり、芭蕉や西行などの歌人の句碑もある。自治体によってはまちづくり条例により、お茶生産地としての景観保護に取り組んでいる。
48 松崎町 松崎町桜葉の塩漬け 桜餅に使用する桜葉の全国生産量の70%を占める松崎町では、桜葉を塩漬けする時期になると甘いかおりが街を漂う。桜葉の生産は町の基幹産業であり、多くの人がその生産に関係している。
49 浜松市 浜松のうなぎ 浜松といえば蒲焼きのイメージが定着しており、市内の数十軒ある鰻屋から蒲焼きのにおいが漂う。浜名湖畔には養鰻場が多数ある。また、うなぎの霊を慰める「うなぎ観音」が設置されており、毎年8月24日にうなぎ供養祭が行われる。
50 愛知県 半田市 半田の酢と酒、蔵の町 半田市内の中村町周辺では500mにわたり、醸造酢の黒塗り板葺き倉庫群が立ち並び、江戸時代から作られている酢のかおりが漂う。『博物館「酢の里」』は無料で見学でき、「酢の里」の運河沿いには遊歩道がある。また、半田は醸造の町であり、醤油、酒の工場群がある。
51 三重県 鳥羽市 答志島和具浦漁港の塩ワカメづくり 2月〜4月頃、数十基の塩ワカメ作りの釜が並び、潮のかおりが港全体にたちこめる。伊勢湾最大の離島である答志島和具港特有の風景である。温泉もある。国立公園内にあり、すぐれた自然が残る島である。
52 宮川村 大台ヶ原のブナの原生林 宮川の最上流部にある原生林にはブナ等が生育しており、木のかおりが感じられる。また、多くの滝があり、水のかおりが感じられる。国立公園に指定されており、三重県、関係市町村、県民と協働で、「宮川流域ルネッサンス事業」を展開し、清流を守る運動を行っている。
53 伊勢市 伊勢神宮参道千年の杜 2000年余の歴史を有する内宮参道には、神宮スギやヒノキの常緑樹の他、自生の木々のかおりにつつまれ、内宮の鳥居前町800mの参道沿いには、お茶、お菓子、うどん等のかおりがする。神域と宮域林は国立公園に指定されており、神宮スギは県の木に指定されている。またおはらい町は、建築物の景観に配慮している他、地元住民と行政が一体となって地域の再生に取り組むまちである。
54 滋賀県 大津市 比叡山延暦寺の杉と香 延暦寺は多数の堂塔を持つ日本有数の規模の寺院であり、霊峰・比叡山の名にふさわしく、杉の巨木がうっそうと茂り、威厳に満ちた雰囲気と特有のかおりが訪れる者の心を引き締める。また、延暦寺や山麓の門前町坂本の里坊群の各寺院で供えられるお香があたりにただよう。延暦寺は最澄により788年に建立されたが、坂本は平安時代より延暦寺と密接な関係をもって発展し、現在は、延暦寺の里坊と穴太(あのう)積みの石垣が風格ある歴史景観を保つ。比叡山は全体が天然記念物の指定を受けており、延暦寺は、平成6年にユネスコの世界文化遺産にも登録され、坂本は、伝統的構造物群保存地区に指定されている。
55 信楽町 古窯信楽の登り窯 日本六古窯の一つに数えられる信楽焼は、742年に聖武天皇が紫香楽(現在の信楽町)に遷都された際に瓦が焼かれたのが原点とも言われている。それを今に伝える「登り窯・穴窯」から立ちのぼる煙のかおりは、その歴史と文化を彷彿とさせる。町内には、その歴史に触れることのできる県立陶芸の森、信楽伝統産業会館などの施設がある。
56 京都府 京都市 祇園界隈のおしろいとびん付け油のかおり 祇園界隈の、特に、花見小路から新橋にかけて500mの範囲では、舞妓、芸妓が歩くときに華やかなおしろいとびん付け油の香りが漂い、古都の風景に彩りを添える。江戸時代から続く花街には大勢の観光客が訪れ、舞妓、芸妓の文字通り「花」を楽しんでいる。祇園新橋地区は「伝統的建造物保存地区」に指定されている。また、祇園甲部歌舞練場、弥栄会館などで古典芸能の保全・伝承に取り組んでいる。
57 宇治市 宇治平等院表参道茶のかおり 平等院表参道の商店会約160mには多くのお茶屋が軒を連ね、茶を焙じる香ばしい香りが街角に漂っている。参道にある商店会では、宇治茶のかおりを楽しむことができる。参道周辺を舞台に毎年10月上旬に茶祭りが行われている。
58 京都市 伏見の酒蔵 伏見区内の南浜、板橋、住吉を中心とする区域に33銘柄の酒造会社が点在しており、冬季には新酒のかおりが漂う。約400年の歴史をもつ伏見の酒造りの歴史などを紹介する記念館を中心に多くの酒蔵がならび、多くの人が訪れている。また、豊臣秀吉が作った城下町のなごりを訪ねる歴史散策が楽しめる所でもあり、坂本龍馬が常宿にしていた寺田屋もある。まとまりのある地域色豊かな賑わいのある地域に指定されており、観光協会などが中心に水路を利用した景観の整備に取り組んでいる。
59 京都市 東西両本願寺仏具店界隈 両本願寺に挟まれた東西300m、南北400mの範囲には仏具店が多く存在し、お香のかおりが門前町一円で感じられる。両本願寺は、浄土真宗の本山であるため、全国各地からの参拝客が多い。西本願寺には、国宝や重要文化財に指定された書院や宝物があるほか、桃山文化を代表とする建造物や庭園が多く残されており、世界文化遺産に登録されている。このような歴史的な建物が重要な要素となり、趣のある街並みを形成している。
60 大阪府 大阪市 法善寺の線香 苔むして独特の雰囲気をもつ水掛け不動には、いつも線香の煙が絶えず、立ちこめた線香のかおりが、小料理屋、居酒屋などが軒を連ねる横丁にも漂っている。1637(寛永14)年創建の法善寺は空襲で本堂を焼失したが、戦後、西向不動明王(水掛け不動)と金比羅堂が再建された。大阪ミナミの土地柄もあり、商売繁盛祈願の参拝者がいつも絶えない。また、昔ながらの浪速情緒漂う法善寺横丁に訪れる者は多い。
61 大阪市 鶴橋駅周辺のにぎわい 商店街には、焼肉店やキムチなどの食材を扱う店などが建ち並び、焼き肉の香ばしいかおりやキムチなどの独特なかおりが広範囲にわたって漂っている。また、買い物客とのやりとりなど、庶民的なムードがあり、失われつつある古き良き風景は生活者や来訪者に憩いと安堵感をもたらしている。
62 東大阪市 枚岡神社の社叢 古くから「河内国一の宮」と崇められてきた古社で、生駒山西麓のうっそうたる森にしずまる境内には楠、桜、杉、小賀玉(おがたま)などの古木が多く、拝殿そばにビャクシンの大きな切り株が残され、様々な樹木のかおりが楽しめる。また、本殿南側の斜面は有名な梅の名所となっており梅の開花時期には多くの人々がかおりを楽しむ。枚岡梅林は、もと神宮寺のあったところで廃寺になった後、近在の人々が梅を植えたのがはじまりという。1月の「粥占(かゆうら)神事」、12月の「注連縄掛(しめかけ)神事」は古式を残す。10月の秋祭には、20台の太鼓台が宮入りするなど、地域の生活に密着した行事が数多く行われている。
63 兵庫県 津名郡一宮町 一宮町の線香づくり 嘉永年間から続く線香づくりは、全国の約70%のシェアを占めており、町内には線香事業所が16社、下請け業者が多数並び、お香の香りが生活の香りとして漂っている。特に江井地区では4人に1人が線香と関わりあっている。また、線香産業を核に香りをテーマとして総合計画を策定し展開している。香りの館は香りのテーマパークとして整備され、150種類のハーブが植裁されている。
64 神戸市、西宮市 灘五郷の酒づくり 阪神間約12kmの範囲に酒造メーカーが集合しており、仕込期には新酒の香りが漂っている。寛永年間に西宮で醸造が始まり、灘五郷は今日まで400年を経ているが、酒文化の歴史を後世に伝えるための資料館・記念館等を開設している。
65 山崎町 山崎大歳神社の千年藤 西暦960年に植えられたとされる千年藤は神社の境内をほぼ覆いつくすかたちで四方に枝を伸しており、周囲2.8メートルの根から生えた枝は四方に伸び、枝張りの面積は420平方メートルにも及び、狭い境内をすっぽり覆うほどである。花期には周囲に甘い香りを漂わせ、5月の上旬には藤まつりも開かれる。また、地元住民が千年藤保存会を組織し、千年藤保存基金、観光客からの募金、町観光協会補助金等をもって運営にあたっている。
66 奈良県 奈良市 ならの墨づくり 墨造りは、にかわと松煙、油煙などの煤を練り合わせ、香料を加え、型に入れて乾燥させる。この地域での墨の生産は、長い歴史を有する伝統産業で、全国シェアの約90%占めている。墨の販売している店先や作業場から1年通して、墨独特の心安らぐ香りが漂う。また、世界遺産である古都奈良の歴史的文化遺産が数多く隣接している。奈良市では、奈良の歴史的町並みを保全し、住民主導の行政支援型まちづくりを支援している。
67 奈良市 なら燈花会のろうそく ならの燈花会は、毎年8月6日〜8月15日にかけて奈良公園を会場に行われ、ろうそく灯りに恩返しや未来への祈りをこめた心のかおりが漂う。燈花会には、ボランティアの参加希望者も多くあり、地域の人はもちろんのこと、他府県からの希望者も多い。
68 和歌山県 高野町 高野山奥之院の杉と線香 総本山金剛峯寺奥之院では、一年を通じて、杉の巨木林、杉を原料とした杉線香、歴史、文化のかおりが漂う。杉の巨木林は、奥之院一ノ橋入り口から御廟までの約2kmの参道沿いに広がり、約6haほどの規模を持つ。また、参道周辺には、40万基と言われる苔むした墓碑が立ち並び、供花やお供えがされ、森の癒しの香りとともに、文化や歴史の香りが溢れる。また、毎年8月13日の夜には、高野山万灯供養会(ローソク祭り)が行われる。奥之院は、弘法大師空海が入定した地として、総本山金剛峯寺により、淨域として厳格に守られている。
69 桃山町 桃源郷一目十万本の桃の花 桃山町は、全国有数の桃の産地で、「桃源郷」は近畿一の規模を誇る。紀の川沿いには、「一目十万本」と謳われる一面の桃畑が広がり、春、一斉に花が咲き誇るさまは、桃色の霧がたなびいているのと見紛うほどで、ほのかな甘い香りが町中を包む。
70 鳥取県 倉吉市 酒と醤油のかおる倉吉白壁土蔵群 白壁土蔵群の周辺は、一年中醤油や酒を醸造するかおりがする。この地区は、17世紀からの歴史を有し、かつての商店街の落ち着いた雰囲気を現在も保っており、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。裏を流れる玉川周辺は、県の環境美化推進地区の指定を受け、監視・清掃が行われている。
71 島根県 浜田市 石見畳ヶ浦磯のかおり 地震により隆起した特有の岩場として国の天然記念物に指定された石見畳ヶ浦一帯は、海風にのって磯のかおりがする。4.9haの隆起した海底部分は他に例を見ない規模である。
72 岡山県 岡山市、倉敷市、山陽町 吉備丘陵の白桃 一宮地区では、なだらかな丘に一面、131haの広大な桃畑が広がり、中に入るとあまい独特のかおりがする。桃を主体としたフェスティバルも今夏で9回を迎えた。また、玉島地区の137haの北部丘陵地では、傾斜地による栽培が行われており、桃の開花・果実の実りにあわせてかおりの風景が広がる。西山地区でも開花の時期になると桃の花を楽しむ観光客が多数訪れている。
73 新庄村 毛無山ブナとカタクリの花 県下最大規模を誇る150haのブナの原生林で、山頂から山麓に至るまで連続しており、ブナの若葉のかおり、山頂付近のカタクリの花のかおりが楽しめる。また、山麓には天然杉が見事なコントラストを見せている。
74 広島県 宮島町 厳島神社潮のかおり 社殿が回廊で結ばれており、満潮時には敷地が海となり、潮のかおりがする。緑濃い弥山山塊を背景に、波静かな紺碧の海を前景とした、竜宮城のような景観は宮島独特のものであり、国宝、世界遺産に指定されている。
75 瀬戸田町 シトラスパーク瀬戸田の柑橘類 柑橘の花や果実のかおり(約600品種)が楽しめるシトラスパビリオンがあり、一年中いつでも柑橘系のかおりを楽しむことができる。県と町によって整備され市民から愛される公園であり、農業体験学習を通じて、市民の農業への理解を深める取組が行われているほか、市民による公園の維持管理が行われている。
76 山口県 萩市 萩城下町夏みかんの花 明治維新後、禄を失った武士達の経済救済のために植裁されたことが始まりで城下町全体が夏みかん畑に変貌。現在でも、開花時の5月には、萩中に夏みかんの花のかおりが漂う。特に土塀からのぞく夏みかんは、訪れた人々を感動させ、維新のかおりを感じさせる。市民も誇りを持って、維持・保存に努めている。「伝統的建造物群保存地区」を指定し、景観保全事業を進めている。
77 徳島県 藍住町 吉野川流域の藍染めのかおり 染料である藍はタデアイを発酵させて作られるため、特有のかおりを伴う。特に吉野川流域は江戸時代からの藍の産地であり、現在も数軒の藍師が伝統を受け継いで藍を生産している。現在は藍染め体験が観光コースに組み込まれ人気を得ている。藍染めは県指定無形文化財に指定されている。また、藍住町歴史館「藍の館」では伝統工芸の保全に努めている。
78 上勝町 上勝町の阿波番茶 棚田を中心とした農業集落では番茶製造にかかると、茶葉を蒸すにおい、お茶を摺るにおい、天日干しするにおいが農家周辺一帯約30km2に充満する。標高200〜700mの急斜面に張り付くように棚田と農家が点在しておりする。阿波番茶の天日干しが始まる夏期には、棚田を吹き抜けるさわやかな風に乗ってお茶のにおいが漂う。棚田の夏は蝉しぐれと相まって最盛期を迎える。棚田保全と併せて住民の保全活動も根強い。
79 香川県 白鳥町 白鳥神社のクスノキ 樹齢700〜800年のクスノキが境内に生育しており、クスノキ特有のかおりがする。国宝・重要文化財級の宝庫である熊野邸の前に高くそびえる景観は、歴史的雰囲気を漂わせている。白鳥神社のクスノキは県の保存木に指定され保護されている。
80 愛媛県 内子町 内子町の町並と和ろうそく 伝統工芸の和ろうそくや和傘づくりが現在も息づき、独特のかおりを創出、また操業100年を越えて味噌・しょうゆ作りを営んでいる店舗があり、麹のかおりが漂っている。町並みとそれに続く高昌寺への参道は約700mにわたって続く。町並みは江戸時代から続く歴史があり、重要伝統的建造物群保存地区として指定されている。住民が景観や環境保全に取り組んでおり、美しい町並みが創出されている。
81 西条市 西条王至森寺の金木犀 木の根のまわりは4m、地面近くで三本にわかれて、そのどれもが1mから1.6mのまわりに太っている。この種類としては珍しい巨木で、高さが16mにもとどき、秋、赤みをおびた黄色い花を咲かせる。昔からキンモクセイのかおりにのって西条祭りがやってくると言われ、秋の実りをもたらす「黄金の花」として珍重され、開花自には枝一杯に星のよう花をつけ、一里四方にその高貴なかおりを漂わせる。また、王至森寺周辺の住民や檀家が周辺の清掃、草刈りなどの環境美化活動や腐葉土をいれるなどの活動を行っている。昭和2年、国の天然記念物に指定された。    
82 愛媛県 愛媛西宇和の温州みかん 瀬戸内海に面した傾斜地にはみかん園が広がっており、花が咲く4〜5月の夕方海岸線を歩くと、みかんの花のさわやかなかおりを楽しむことができる。温州みかん栽培面積は9,210haと日本一の規模であり、果樹農家数は17,433戸と多くの人がみかんの栽培に関わっている。農家の高齢化や後継者不足などにより、耕作放棄地が徐々に増加しているが、自治体においては各種補助事業を進めることにより、園地の保全に努めている。
83 高知県 四万十川流域(中村市、西土佐村、十和村、大正町、窪川町、大野見村、東津野村、梼原町)  四万十川の沈下橋をわたる風 四万十川の清らかな川面をゆらす風が、清流独特のかおりと河畔の緑の木や野辺にゆれる花のかおりとをミックスし、清流・四万十川にふさわしいかおりを沈下橋に運んでくる。また、水田の稲わらのかおりや火振り漁(アユの伝統漁法)に用いる松明のかおりなども運んでくる。四万十川本川と支川合計374kmには合計47の沈下橋がかかっており、周囲の自然や四季折々の景観とマッチしている。高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例や、四万十川沈下橋保存方針などによる保全が行われている。また、沈下橋には国内で唯一有形文化財登録を受けたものがある。
84 梼原町 梼原神在居の千枚田 標高600mの山の斜面に築き上げられた「千枚田」は四季折々の花、田、水、土、風等の色々な香りの共演が楽しめる。農家の高齢化、後継者不足等で手入れができなくなった田をオーナー制で貸し出すことによって、年間約60人ほどが地元の人に米作りを習いに訪れており、その結果、景観が損なわれず昔のままの姿で見ることができる。「日本の棚田百選」に選定されている。
85 福岡県 太宰府市 太宰府天満宮の梅林とクスノキの森 祭神菅原道真に縁のある梅林の中に、クスノキが境内をところ狭しと生育しており、特有の風景を醸し出している。境内には197種6000本の梅が生育しており、1月から4月上旬まで梅の香りが楽しめる。また、4月末から5月末の新緑時には樹齢1000年とも言われる大樟を含む51本のクスノキのかおりも楽しむことができる。太宰府天満宮は天満宮の総本山。クスノキのうち2本は国の天然記念物、49本は「天神の森(樟)」として県指定され保護されている。
86 北九州市 合馬竹林公園の竹と風 3〜4月にかけて、しなやかにのびた竹が生い茂るさわやかな竹林のかおりが感じられ、合馬たけのこは、心地よい食感とふくよかな香りで、全国的にも知られている。竹林公園内には、竹の「展示館」「見本館」「売店」など、竹細工や料理にも参加できる体験型の施設が整備されている。その他、合馬川は蛍が舞い、美しい水辺が守られている。
87 柳川市 柳川川下りとうなぎの蒸籠蒸し 川下りを終えると、そこに軒を連ねている名物の鰻やさんからのあまがらいたれのにおいが一年を通じて漂っている。規模は小さいが、川下りで美しい景観を楽しんだり北原白秋の文学に触れたり、御花(立花藩別邸)で歴史に触れたりすることができる。
88 佐賀県 唐津市、浜玉町 虹の松原潮のかおり 玄界灘からのさわやかな風と百万本のクロマツから漂う新緑のかおりが楽しめる。延長4.5km、238.22haにわたって虹のような美しい緩やかな弧を描いてる。虹の松原は、森林浴だけでなく、野鳥や植物の観察もでき、多くの観光客が訪れている。毎年多くの市民による海岸清掃が活発に行われているほか、松食い虫駆除対策を実施し、また国の特別名勝地にも指定されている。
89 伊万里市 伊万里焼土と炎のかおり 伊万里焼は、1675年佐賀鍋島藩の御用窯としてはじまり、朝廷や将軍家・大名への献上品として用いられた。またこの他、伊万里津から積出された肥前地区で焼かれた焼物は遠くヨーロッパまで運ばれ「伊万里」は焼物の代名詞ともなった。
90 長崎県 野母崎町 野母崎水仙の里公園と潮 水仙の里公園には約1,000万球の水仙が植栽されており、開花期には水仙の甘い香りと潮風がまざりあい、独特の香りがする。花と海・空のコントラストが非常に美しい。
91 熊本県 水俣市 大学山の照葉樹林 国有林に残されたシイやカシの大木のある照葉樹林に入ると、土や木のかおりがする。水俣市久木野地区では、明治時代より林業に力をいれ、スギ、ヒノキを植林を行っている。平成8年から市民参加により、大学山の緑を倍増すべく「水源の森」において植樹、下刈りを行っている。水源の森は、全ての市民参加で植えた森としては全国有数規模(15ha)であり、水俣病患者、漁師、住民参加も得て、不知火海の再生の一端を担っている。
92 河浦町 河浦崎津天主堂と海 崎津天主堂を中心に港町が栄え、海のかおりが漂う。天主堂の周りには物静かで教会の鐘の音も聞こえる。港フェスティバル等も開催される。
93 大分県

 

別府市 別府八湯の湯けむり 別府市には「別府八湯」と呼ばれる八つの地区の温泉があり、変化に富んだ温泉と、それぞれのかおりを楽しむことができる。市内至るところから湯煙が発生している。別府温泉は、泉質の種類の多さとその色や香りの多様さからみても、全国屈指の温泉である。国民保養温泉地・国民保健温泉地に指定されている地域もあり、県では共有の財産として温泉資源の保全を図っている。
94 野津原町 大分野津原香りの森 ラベンダー、バラ、ハーブなどの香りの花やニオイザクラなどの香りの樹木と、森のかおりが年間を通じて楽しめる。平成森林公園は、県民が自然に親しみ、香りにふれることができるふれあいの場として整備された公園であり、約200haの区域内は、香りの森、野鳥の森、森林浴の森などテーマの異なるいくつもの森で構成される。また、中核施設である「大分香りの森博物館」は香りの文化に対して総合的、多面的にふれあうことができる施設として整備されている。環境保全条例により、自然に恵まれた町の風土、文化、香り高い環境を保持するため、町民の協力のもとに、環境保全の取組を進めている。
95 臼杵市、竹田市 臼杵・竹田の城下町のカボス カボスは大分県の特産物であり、花が咲く初夏から果実が実る初秋にかけて、さわやかな香りが漂う。県内の生産の中心となっている臼杵市と竹田市はともに城下町として栄え、現在もその佇まいを残し、歴史と文化の息づいた町である。カボスの利用は300年以上の歴史があり、今でも愛用されている。
96 久住町、九重町 くじゅう四季の草原、野焼きのかおり 阿蘇くじゅう国立公園の中に位置し、ミヤマキリシマをはじめ、四季折々の花々や草木の香りが漂い、山群をわたる風のかおりが魅力的である。また牧草の干し草のかおりも、秋の高原の風情を醸し出している。また、湿地や湿原が多く、希少な植物が生育しており、自然の宝庫となっている。自然公園法による保護のほか、久住町では「地球にやさしいむら」として環境の保全を進め、地域全体で環境を守る取組を進めている。
97 宮崎県 延岡市 五ヶ瀬川の鮎焼き 秋の五ヶ瀬川では、やな場で鮎を焼くかおりが河原を漂い、広く市民に浸透した秋のかおりとなっている。大規模なやなを架設し、鮎料理を食べる風景は五ヶ瀬川独自のものとなっている。市民ボランティアによる河川清掃や市の水質監視など、良好な水環境の保全と鮎資源の増殖のための積極的な活動が行われている。
98 鹿児島県 上屋久町 屋久島の照葉樹林と鯖節 世界自然遺産に連なる大規模な照葉樹林が集落に肉薄しており、縄文杉や「もののけ姫」の舞台となった白谷の森から吹きおろす風にのって花のかおりが漂う。また、豊かな照葉樹林の恵みを受けて育った鯖から作られる地元特産の鯖節のかおりも漂う。この森は世界遺産条約、自然公園法、森林法などの自然環境保全法令や屋久島環境文化村構想により保全されている。住民の熱意もある。
99 指宿市 指宿知林ヶ島の潮風 鹿児島湾(錦江湾)の入り口に浮かび、干潮時には砂の道(砂州)で薩摩半島と陸続きになる無人島であり、砂州を渡って多くの観光客や家族連れが訪れ、潮の香りを満喫している。また、島内では四季折々の草花が広く分布し、島の東南部では森林も発達してきている。さらに、砂州及び知林ヶ島一帯は、自然海岸がそのまま残されており、国立公園区域内に位置していることから、国や県と連携しながら海岸環境の保全に努めており、市民総出の環境美化運動「クリーン指宿」も年に2回行われている。
100 沖縄県 竹富町 竹富島の海と花のかおり 海に囲まれた竹富島は至るところで潮のかおりが感じられる。草木、ハイビスカス、ブーケンビリア、青い空、赤い煉瓦が見られる竹富島は、沖縄県の古い町並みが残っている。重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。