ロード・オブ・ザ・リング

   スケールのでかい映画がやって来た。CGなど映像テクノロジーを駆使した壮大なドラマが展開する。
 3部作の第1部が完成公開。 総制作費340億円、撮影15ヶ月、エキストラ20.000人、スタッフ・キャスト2.000人。
     監督はピーター・ジャクソン。    字幕版翻訳・戸田奈津子

                                   
 【キャスト】

フロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)主人公のホビット族の少年。指輪を破壊するためモルドールの"滅びの山"を目指して
          旅をする少年。
アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン) ゴンドールのお王イシルドゥアの末裔、エルフのアルウエンとは種族を超えた恋仲、人間
          の統一王国再建を目指す男。
ガンダルフ(イアン・マッケラン)  闇の勢力サウロンと戦うため"中つ国”に遣わされた賢人。悪鬼バルログと奈落に落ちる
          が、戦いに勝って白の魔
法使いとして甦る老人。
サルマン(クリストファー・リー)  かって白の会議を主宰した魔法使い。自らの野心と闇の力の誘惑に負け、指輪を手に入
          れるためサウロンと手を結
ぶ暗黒の王。
ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス) ドワーフ族の斧の達人。指輪を捨てるたびに加わる。エルフ族に不信感をもっていたがこ
          の旅でレゴラスト友情を深
める男。
レゴラス(オーランド・ブルーム) 闇の森のエルフ族の王の息子で弓の名手。金色の永く美しい髪の端正な容姿の男。
サム (ショーン・アスティン)    ホビット族のフロドの家の庭師、素直で温厚で
フロドの旅について行く勇気ある少年。
ピピン と メリー   二人ともホビット族でフロドの親友。ピピンはフロドのいとこ、メリーはまたいとこ、フロドと旅に出ては
          ぐれたが大冒険をする少年たち。
エルロンド(ヒューゴ・ウィービング) ゴンドールの男。「中つ国」のエルフ族のガラドリエル王妃の娘と結婚し、裂け谷の王と
          なった男。(エルフ族は不老不
死)
アルウエン(リヴ・タイラー) エルフ族のエルロンドの娘。人間のアラゴルンと恋に落ち、不老不死を捨てることを恐れない
          美しく強さを備えた女性。
エオウイン(ミランダ・オットー)  ローハン族の美しい姫。盾をもつ勇敢な女戦士。アラゴルンを一目見て恋に落ち彼を恋
          慕う女性。
ファラミア(デヴィッド・ウェンハム)オークに殺された旅の仲間ボロミアの弟で、イシリアンの森を警備している男。 彼が率
          いる軍隊はオリファント(巨大
な象を思わせる戦争に使う獣)に乗っている。
ゴラム 大河に沈んだ指輪を拾って500年間、山脈の下に潜んでいたが、ビルボに指輪を奪われた。 フロドの手に渡っ
          たと知って追いかける妖怪。  
元々はホビットの一支族で醜い姿になる前の名はスメアゴルと言う。 
          醜い姿になる前の心が
同居している。
                                 
  【ストーリー】
  ”深い海の底で、地球の奥深くで、世界は変った。 大地からそれを感じる。 かつて存在したものも消え失せ、今は誰の記憶にも残っていない。 すべては指輪の誕生で始まった。 遠い昔・・・19の魔法の指輪が作られた。 
 3つは最
も賢く美しい不老不死の種族、エルフ族に与えられた。 7つは山の洞窟に住む穴掘りと工作に巧みなドアーフ族に。 そして9つの指輪が他の誰よりも力や欲望の強い人間に与えられた。 それぞれが指輪の魔力で自分の種族を治められるはずであった。 だが、すべてはワナだった。 モルドールの火を吹く滅びの山で暗黒の王サウロンが、19の指輪すべてを操るひとつの指輪を作ったのだ。 その指輪にはすべての命の支配をたくらむサウロンの、邪悪で残酷な思いがこめられていた。 一つまたひとつと自由の大地が指輪の魔力に呑まれていった。 だが、あるものは抵抗した。 人間とエルフの連合軍がモルドール軍の進行に反撃し、滅びの山の裾野で"中つ国”の自由を賭けた闘いが始まった。”

 何万と言う兵が対峙し戦った。「用意。 うてッ!」。 ”勝利は目前であった。しかし、一つの指輪が連合軍の前に立ちはだかった。 すべての希望が絶たれたかと思ったその時、王の息子イシルドゥアが死んだ父王の剣を取った。(サウロンの腕が切り落とされ、指輪は勇者イシルドゥアの手に渡った) こうして「中つ国」の自由の民の敵サウロンは敗れ去った。”
 
 ”イシルドゥアが悪を永遠に滅ぼす機会を得たかに見えた。 しかし、堕落の道をたどるのが人間というもの。 指輪にはサウロンの邪悪な意思が宿っていた。 指輪はイシルドゥアを裏切り彼を死に導いた。 そして決して忘れ去られてはならない、失われた歴史は伝説となり、伝説は神話となった。 その後2500年もの間、指輪は人々の記憶から消え去っていた。 しかし、ふとしたことで新しい持ち主が現れた。”

 "指輪はゴラムのものとなり、ゴラムは霧降山脈の奥深い洞窟に住み着いた。 そして、指輪の魔力のとりことなった。 指輪はゴラムに不老不死の力を与え、500年にわたってゴラムの心を蝕みながら、闇が再び世界に忍び寄るよ
うに待ちつづけた。 東の方ボルドールの闇で黒い恐怖がよみがえろうとしていた。 指輪はその時がまじかに迫ったことを感じ取っていた。 指輪はゴラムを離れた。 しかし、その時は思いもしなかった、指輪には最も縁の無い純朴な
生き物が指輪を拾った。”

 「何だこれは?・・・誰にもやらないぞ。俺の宝物だ!。」  ホビット(身長約1メートルの種族)の里の住人、ビルボ・バギンズ(イアン・ホルム)少年である。 こうして「中つ国」に住むすべての人々の運命をホビット族が握ることとなった。
 それから60年後のシャイア(ホビットの国)。馬車に乗った老人ガンダルフ(イアン・マッケラン。黒い長髪で、指輪の魔力を知り、フロドに助言をする賢い魔法使い)が歌を唄いながら村にやって来る。 フロド・バキンズ青年(イライジャ・ウッド)が村はずれまで迎えに行く「遅いじゃないか・・・」「わしは魔法使いじゃ。早すぎもせん、遅すぎもせん思ったとおりの時間につく・・・アハハハ」。 「良く来 ましたね、・・・・」。「ビルボおじさんの誕生日を忘れるもんか・・・」。 「外で変わった事は全部話して・・・・。」 「全部じゃと、ホビットにしては欲張りじゃのォ・・・。さて、どういえばいいか、外の世界は依然と変わることなく続いている。 命が生まれ死んでいく。 じゃが・・ホビットのことを口にする者はおらん。 幸いと言うべきじゃァ。」
 
 村の入り口には”祝、ビルボ111歳誕生日”の横断幕がある。老人が言う「盛大なパーティーになりそうじゃのォ。ビルボは元気か?。今回のパーティは特別とのうわさじゃが、・・・・ビルボも満足じゃろ」。 フロドが言う「皆も盛り上がってるし、里の半数が集まる」。 「そりゃすごい・・」。 「何かありそう・・・・。知ってるくせにとぼけないで・・・」。 「あなたが来る前のバギンズ家は平和だった」。 「ビルボとドラゴンの対決を言ってるのならわしに責任はない。ちょいと戸口でビルボの肘をついただけじゃ」。 「どのみちあなたには平和の壊し屋っていうレッテルが貼られてますよ」。  子供達がガンダルフを見つけて名前を呼びながら「花火を・・・」と集まってくる。ガンダルフは花火を上げる。

                                                   
 馬車は村に入る。 花火が上がりガンダルフを迎える。 フロトが言う「ガンダルフ、また会えてよかった」。 「わしもじゃフロト・・・」。  村の入り口には”祝宴の用事以外はおことわり”と立て札が立っている。  ガンダルフはフロトの家に行く。 戸口でノックをする。 奥から養父ビルボ・バキンズの声がする「帰ってくれ・・・。客は一切お断り、お祝いだろうが、親戚だろうがダメだ」。 「古い古い友人でもかな・・・」。 その声にビルボは戸を開け、抱き合って再会を喜んだ 。「あァ友よ、ガンダルフ・・・」。「元気かの・・・111歳の誕生日とは、信じられんわ。 ちっともふけてない」。 「お茶は?・・・いや、ワインのほうがいいか。1296年のワインはいかが・・・。」と台所に入り歓待の準備をする。 部屋を見回していたガンダルフは ”はなれ山”の地図が広げられているのを眼にする。

 ビルボが言う「もう一度山に戻りたい、山だよ・・ガンダルフ・・・静かな場所を見つけてそこで本を書き終えたいんだ」。 ガンダルフが訊ねる「するともう計画済みなんじゃナ?・・」。 「そう、プランは練った。後は実行あるのみ」。 「フロド
は薄々感ずいとる」。 「当然だよ。バギンズの家計だ・・」。 「彼には打ち明ける気か?・・・」。 「そのつもりだ」。 「おまえを好いてるぞ・・・・」。 「知ってる・・・・行くかと聞けばついてくるだろう・・・。だが、フロトの心は里への愛に満ちている。森や草原それに小川・・・・私も年をとったよ。外見はともかく心に老いを感じるようになった。・・・・休みが欲しい・・・・。永い休暇が・・・・行けばもう戻れないだろう。戻るつもりも無いが・・・・。ガンダルフ友よ。今夜は忘れられない夜になる」。ビルボがポケットの中で何かを握り締めた。

 村の夜、外では花火が上がり、村人が総出で歌に踊りに大騒ぎをし、子供達を集めてビルボ老人が昔話をしている。 フロドの友人メリーとビビンが花火を持ち出しテントの中で火を付けて、テントを空高く飛ばして、”花火のドラゴン”だ
といたずらではしゃぐが、ガンダルフ老人にしかられる。

 ビルボ老人が挨拶に立つ「親愛なる皆さん。今日は私の111歳の誕生日だ。111年の歳月も敬愛すべきホビット族の中で過ごせばあっという間だった。諸君の半数に関しては知りたいと思うことの、半分も知らんし、会ってしかるべき
好意も抱いてはおらん。・・・・私にはなすべき事がある。今まで出来なかった。最後にまことに残念ではあるが、そこに行かねばならぬ。諸君にさよならを言わせてくれ、・・・グッバイ。」と言って魔法で消える。

 ビルボとフロドの家の中。魔法で現れたビルボが指輪を頭上に投げて、片手で受け取りニヤリと笑う。 ガンダルフ老人が先に来て隠れていて、びっくりするビルボに聞く「うまく、してやったりと上機嫌か?・・。」。 ビルボ老人が答える「みんなの顔を見たかね・・・。」 「この世に魔法の指輪は数多くあるが、どれ一つとして軽率に扱ってはならん。」 「ちょいとからかっただけだよ・・・。すまん、あんたの言うとおりだヨ。・・・フロドのことは頼んだぞ。」 「指輪はどうする?。残していくのか」 「ああ、置いてく、暖炉の上の封筒の中にある。・・いや、まってくれ。ポケットにある」。 ビルボ老人は一瞬ウソを言おうとしたことを恥らいながら、ポケットから指輪を取り出す。 「変だな、出したはずなのに・・・。考えてみると私が持って行ったほうが・・・・」。 「いかん、指輪は置いていけ、ビルボ手放しがたいか?」 「そうではない・・・・。いざとなると手放すのがつらくなった。私が子供の頃見つけたものだ!」と怒りだす。 「怒ることはあるまい・・・・。」 「あんたが悪い。私の指輪を・・・私だけのいとしい人・・・。」。 「その指輪をそう呼んでいたのはおまえではなかったはず」。「だまれ、私が自分の物をどうしようと勝手だッ!」。 「指輪を永く持ちすぎたな!」。 「あんたがほしいんだろ!」。 「わしを泥棒扱いするのか?・・・・・おまえを助けたいのじゃ。おまえとは昔からの古い友達じゃ・・・このわしを信じないか?・・置いて行け」。 「あんたの言うとおりだ、指輪はフロトに譲ろう・・・遅くなった。もう出かけないと・・・」と出かけようとする。 「ビルボ。指輪がまだポケットの中じゃ・・。」。 ビルボ老人は、はにかみながら、しぶしぶ指輪をポケットから出して床に落とす。 そして語る「本の結末を思いついたよ。・・・”彼はその生涯の最後の日まで幸せに暮らした”」。 「きっとそうなる、友よ・・さよならビルボよ」。 「では、これで・・・」。ビルボ老人が夜道を出て行く。ガンダルフ老人が床から指輪を拾い上げる。
                                        
 ガンダルフ老人が床の指輪を拾おうとすると、指輪はすごい光を放つ。”私だけの、・・・私だけのいとしい人・・・。コラムとのなぞなぞが・・・”。ガンダルフ老人がつぶやいた時、フロドが帰ってくる。 「ビルボ。ビルボ!」家の中を見回し、ビルボ老人が出て行ったことを知る。床に落ちている指輪を見つけて拾い上げる。 「出かけるとは言ってたけど、本当とは思わなかった・・・」。 「ビルボの指輪じゃ・・・あいつはエルフ達と暮らす。この指輪をおまえに残したぞ。家財もすべてじゃ」。ガンダルフ老人は指輪を封筒に入れて「隠しておけ、大切に指輪を守るのだぞ」。といって立ち去ろうとする。 「何処へ行くの?・・」。 「確かめねばならないものがある」。「いったい何を・・・」。 「疑問じゃ・・。答えを知らねばならん。・・・指輪のことは秘密じゃ」。 火の山の塔。シャイア(ホビットの里)のバギンズを探しに騎馬軍団が城門から出て行く。

 ビルボの残して行った古文書がある。  ”中つ国第2紀3439年ゴンドール国の王シルトアート。彼の見つけた魔法の指輪についてこれから話す。「我が物となった一つの指輪。我が王国の宝となった。われわれの子孫は指輪を守り、指輪の定める運命に従うべし、この指輪のためにいかに多くの血が流されたか?。刻まれた文字は消え失せたが、かっては炎のように赤く浮かびあがっていた文字が、今は薄れて炎の中でのみ秘密を語る。」”  ガンダルフ老人がフロトに聞く「指輪がほしいか?・・」。老人が指輪を入れた封筒を受け取り、暖炉の炎の中に投げ込む。フロドが炎の中から探し出した指輪を、ガンダルフ老人が取り上げて「手を出してみよフロド、熱くは無い。」とフロトのての上に置く。 「何が見える?」。 「何か書いてある。文字のようだ、でも、 読めない」。 「読めずともよい、それはモルドールの言葉じゃ、口にしてはならん。・・・ここの言葉に訳せばこうなる・・・。”一つの指輪はすべてを支配し、一つの指輪はすべてを捕らえ、暗闇の中へつなぎとめる。”・・・・これが一つの指輪じゃ・・。暗黒の王サウロンによって滅びの山の火で作られ、息子イシルドゥアが父サウロンの指から奪い取った」。 「60年の間指輪はビルボのもとで静かに眠り、彼の老いを遅らせ命を長引かせた、それも終わりじゃ。・・モルドールで悪がよみがえり、指輪も目覚めた。」。 フロドが聞く「でも、彼は死んだ。サウロンも滅びたでしょ」。 「いいや、フロト。サウロンの魂は生きておる。やつの生命力が指輪に宿り、指輪は生きつづけた。サウロンの復活じゃ。モルドールの地では暗黒の塔が再建された。この世を再び闇でおおうためにサウロンは指輪を探している。指輪こそがサウロンの野望を満たすカギとなる。指輪も主人の元に帰る事を欲している。だが、決して渡してはならぬ。」。 「分かった。見つからぬように隠しておく、口にも出さない。誰もここにあるとしらないでしょ」。 「指輪をビルボに奪われたゴラムが知っている。ゴラムは恐ろしい拷問を受けて、シャイア・・バギンズと答えている。」。 「じゃあ、ここに来る・・・・。受け取って、あなたが持っててください」。 「だめだ、よせ、誘惑するな、・・・・だめなんじゃ、分かってくれフロド。・・・・わしならその力を善のため使おうとする、だが、そうなれば、指輪は想像もつかぬ悪をもくろむだろう」。 「でも、ここには置けません」。 「無論じゃ、ここはだめだ・・・・。」 「どうすれば、いいのですか?・・・」。 
                                            
 村を襲撃する騎馬集団の声と逃げ惑う村人の声がする。ガンダルフ老人がいう「今すぐ、村を出るのだ。里から離れよ。なるべくわき道を通りグリーン村に行け・・・。宿屋で待ってる。”踊る子馬亭”と言う宿だ。安全かどうかわしにもわからん。魔法使いの先輩に会って聞こうと思っとる。彼ならキット、答えを知っている・・・・。旅は昼間だけ。」。 「野山を突っ切るのは慣れてます」。 「ホビット族はすばらしい種族じゃ。おまえ等の生き方は素朴で単純そのものだが、100年付き合った今も新鮮な驚きじゃ。」。

 庭でコトンと音がする。ガンダルフ老人が窓の下にいる男を部屋に引き込む。「誰かと思ったら庭師のサム盗み聞きしていたか?」。 「とんでもないです。窓の外の下草を刈ってただけで・・・・。何も・・・」。 「こんな夜中に草刈をしてたと・・・本当のことをいえ。」。 「ほんのちょびっと。・・・魔法の指輪のことと、暗黒の世界の終わりとかで・・・。お願いだから俺をカエルに変えたりしないで・・」。 「では、替わりにぴったりの役をあたえよう」。そういってサムにフロドの旅に同行することを命じる。サムはフロドの親友である。 「気をつけろ。敵は多くのスパイを放ってるからな・・・。指にはめてはならん。暗闇のほうの手先が力を感じて飛んでくる。指輪は主人の元にかえりたがっておる。迎えを呼んでおるのだ。」

 ガンダルフ老人はフロトとサムを連れて野を超え、山を越えて逃げるが、途中
で急ぐからと馬を走らせ先に行く。
 
 「ここです・・・」サムが言う。 「ここが何だ・・」 「ここから一歩踏み出せば、俺には行ったことの無い土地になります」。 「ビルボが何時も言ってたな。家から一歩外に出ると言うことは危険なことだ。道に踏み出せばしっかり立ってないとどこまで流されるか、分からないと・・・。」。

 サルマン(かっては良い仲間であったが悪の誘惑に負ける、白髪の老人)が言う「滅びの山から煙が上がっている、闘いの時は迫った、灰色のガンダルフがわしの忠告を求めにアイゼンガルドにやって来た。そのために来たのだろ。 違うか?・・」。 ガンダルフ老人が言う「古き友よ。サルマン・・・」 「本当にその指輪か?・・・」 「間違いない・・・。」 「力の指輪が世に出たか・・・」 「長い間ホビットの里にあった。眼と鼻の先に・・」 「だが、おぬしの目には見えなかった。」 「まだ、時間はある、すぐに手を打てばサウロンを抑えられる。」 「どれほどに時間があると言うのだ。サウロンはかつての力をほぼ取り戻した。肉体はまだ得ておらぬが邪悪な魂は弱ってはおらぬ。モルドールの暗黒の塔の中から、すべてを見ておる。奴の眼は雲を闇を大地を肉体を貫く、まぶたが無く周りを炎にふちどられた大きな眼。邪悪な者達が集っておる。中つ国を襲うのに充分な軍勢が揃うのもほど遠くない」。 「なんでそれを・・・」 「見たのよ・・・。なんで、それほどに恐れる」。 室内には”遠見の石”があり映し出す。 「残る6つの玉が今も行方知れずじゃからよ」。 「すでにサウロンの配下は動いておる。ナワズーグル(九人勢)が黒い騎士姿で暗黒の塔を出た。指輪を求めてナ・・・」 「ではホビットの里に・・」 「その持ち主は殺される」。

 ガンダルフ老人が部屋を出ようとすると扉が閉まる。次々にすべての出口の扉が閉まる。 サルマンが言う「ホビットごときがサウロンにはむかえると本気で思ったのか?・・・。誰も逆らえぬ・・・。モルドールの力には勝てる者はいない。 いさぎよく軍門に下れ、サウロンの配下となれ、それが賢明な道だ。」 「賢者サルマンともあろうものが何時から道をすてた」。 二人は部屋の中で魔法の杖を振り回して闘う。 サウロンが言う「自ら進んで仲間となる機会を与えたのに おぬしは愚か者だ」。 ガンダルフ老人が杖を奪われ天空に高く飛ばされる。
                                                                                                                                                       
 とうもろこし畑の中「フロドさま・・・ぼくです。見失ったかと・・・」。「ここはまだホビットの里だ何も起きない・・・」。 ガンダルフ老人に、「若旦那から離れるんじゃない」と言われて後を追っていると。突然畑の茂みから友人メリーと親戚の年若いピピンが飛び出してくる。二人は野菜ドロボーをしていて、追っかけられ逃げているところだった。4人はがけを転びながら夢中で逃げる。きのこを見つけ取っていると変な風が通る。皆が木の根っこの穴に隠れると、漆黒のマントをまとい剣をもった騎士がやってきて、あたりを探し始める。虫が身体を這うが声を出せない。遠くに石を投げると音の方に騎士は去っていった。 「今のはいったい何なんだ。あの黒の騎士は何かを探している。・・・出なきゃア誰かを・・フロト?。・・・里から出なくちゃ。付いてきな」。 フロト達四人が穴から出ると、あたりには数騎の兵士がいた。身を隠しながら進む。森を抜け川に出る。騎士が追う。川船に全員飛び乗り騎士からやっと逃れる。 「一番近い橋は・・・」 「グランデワイン橋だ・・・・30キロ先だ」。これでしばらく安心。

 「ホビットか?。それも4人、この村に何の用だ・・・。」 「”踊る子馬亭”に泊まりたい」 「分かった、入んな。気をわるくするなよ、最近変なのがうろついていてな。気をつけろと言われてるんだ。」グリーン村の門番がこう言いながら門を開
けて村に入れてくれる。 「ホビットか・・ハハハハア。どこみて歩いてる。じゃまだじゃまだァ」と小さいのでからかわれる。 「いらっしゃい、小さいだんな方泊まりのお部屋をおさがしなら、ホビットサイズの居心地のよい部屋がありますよ。・・・えーと。お名前は?」。 「アンダーヒル。ぼくはアンダーヒル。・・あなたは灰色のガンダルフの友達でしょ?。」 「ガンダルフね?。アーァ ソゥ思い出した。年寄りの魔法使いだ。灰色の長い毛にトンガリ帽子の・・・・。半年ほど見かけない」。 宿屋に入った4人はビールを飲む。「俺も飲む・・・」「だめ、飲みすぎですよ・・・。」
 
 「さっきからあの男、ずーっとあなたを見ています。」 「あの奥にいる客は?・・・」 「さすらい人の仲間じゃ、山や森をさすらい歩く、ぶっそうな連中でな、本名は知らないがここでは、”韋駄天”と呼ばれている。」  近付いた男がビビン少年に訊ねる。「バギンズ?。」 「あそこにいるよ。フロド・バギンズ。ぼくの又従兄さ、」。 男はフロドのところに来る。フロドは逃げようとして転び、落とした指輪を拾おうとしたとき、指輪が指に入る。「隠れても無駄だ、・・命は無い」。 指輪を取り上げて「人目を引く真似は慎むんだ。アンダーヒル。あれの扱いには注意が必要だ」 「アレッてなんだ」。 「「指輪だ!。普通に身を隠すことは出来ても、完全に消えることは人には出来ない。」 「あんたは誰?・・・」 「私が怖いか?。君を売った奴等はもっと怖いぞ。ガンダルフを待っても無駄なことだ。・・奴等が来る。」男の名はアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)と言った。
 
村に黒い騎士がやって来た。少年達はベットでみんな寝ている。 黒い騎士がベットに近寄り四人に同時に剣を刺す。四人はアラゴルンの指示でベットを抜け出ていた。 「あいつらは何?・・」 「かつては人間だった。偉大な国の王だった。だが、サウロンは力の指輪を作り、欲に眼のくらんだ王達は嬉々として受け取った。そして残らず闇の世界に取り込まれた。いまでは指輪のしもべ、サウロンの奴隷と化している。奴等は常に指輪の存在を感じ取り、その力に引き寄せられている。どこまでも君を追うだろう。」
 アラゴルンが道案内をして出て行く。「どこまで行くんだ先生?・・」 「山の奥までだ」 「あいつがガンダルフの友達だって本当かな?」 「今は信じるしかないだろう」。 暗くなるまでは歩き、食事も抜き、エルフ族の国、エルロンドの館のある”裂け谷”に急ぐ。
 
 白髪の魔法使いサルマンが祈る。「大地の王にして暗黒の王サウロン、アイゼンガルドの力をお役立て下さい。」 「モルドールより如何なるご命令が?・・・遠見の玉は何と?・・・」。 「大仕事になるぞ、モンドールにふさわしい軍を立ち上げよ」。

 ガンダルフ老人が息を吹き返すが、アイゼンガルドの高い塔の上。ふもとではサルマンの指示で大地に深く根を降ろした木を引き倒し、悪の国つくりがすすむ。                                                
                                                         
 アラゴルンと四人の少年はアモン・スールの見張り台に着く。「今夜はあそこで寝る。護身用だ、離さず持っておれ!。動くなよ!」と全員に短剣をくばり、彼は見回りに出る。 腹の減ったサム達が火をたいて鳥やベーコンを焼く。 フロドが「何をやってんだ!・・・」とあわてて火を消すが、すでに黒い軍兵に囲まれている。子供達は抵抗できず逃げ惑う。フロドが指輪を取り出すと指輪の光で近付く黒い軍兵が倒れる。しかし、フロドが敵の剣で刺される。アラゴルンが戻り
敵を蹴散らすことは出来た。 「韋駄天、・・・助けてあげて・・・」 「モルグルの毒剣で刺されている、私の力ではダメだ、救えない、薬がいる。」。 「急げ!。”裂け谷”までは6日かかる。・・・とても持たない」皆で力を合わせ励ましながら、負傷したフロドを運ぶ
                                。
 アイゼンガルドの高い塔の上、ガンダフル老人の所に大きい蛾が飛んでくる。老人は蛾に命じて「行け!・・」と言う。開墾された大地では、サルマンの命で鉄が溶かされ刀となり、大地に中からオーク族が生み出されている。

 「体が冷たい、闇の世界に入ろうとしている。アセラス草を探せ、毒の廻りを抑えられる。」アラゴルンは薬草を探しに行く。 不意に喉もとに剣を突きつけられる。「さすらい人ともあろう者が隙を見せるとは・・・・」。 「何者だ?・・・」現れたのは女性で、エルフ族の姫、アルウェン。負傷したフロドを見て、「このままではもたない、父の館に運びましょう。2日間あなたを探してた。追ってくる騎士は5人います、あと四人は見当たりません。」。 アイゼンガルドが言う「アルウェンひたすら走れ、振り返るな」。 アルウェン姫は白馬にまたがり敵の中をフロドを抱いて走りつづける。黒い騎士軍9人があとを追う。草原を抜け森を走る。川を渡る。 川岸で一瞬躊躇した騎士たちが川に入った時、姫が呪文を唱えると、上流から鉄砲水が一気に流れてきて騎士全員を飲み込んだ。

 フロドは虫の息、「死なないで、しっかりして・・・。」アルウェンがフロドを抱きしめる。

 「ここは何処?。」フロドが眼を覚ます。 「エルロンドの館じゃ。ちなみに今日は10月24日午前10時じゃ。」 「ガンダルフ?。」 「わしじゃよ。おまえもわしも運が良かった。数時間遅ければ救えなかった」。 「どうして宿にこなかったの?。」 「すまんフロド・・・予定が狂った。」

 サルマンとの戦いをガンダルフは思い出す。サルマンが言う「私との友情を簡単に捨てて良いのか?。捨てるならそれなりの覚悟がいる。承知だな!。指輪の力にひざまずくか。それとも破滅を選ぶかだ!・・。」 ガンダルフが言う「指輪の主は一人しかおらん。だれとも力を分かち合うことは無い」。 二人は戦いガンダルフは打ちのめされる。 ガンダルフは大きい鳥になって空に飛ぶ。 「自ら死を選んだか・・・・。」 サルマンがつぶやく。

 「ガンダルフどうしたのですか?。」フロドが聞く。 「なんでもないフロド・・・」。  サムを始め友達みんなが元気になったフロドを見て喜ぶ「助かったのはエルロンドのお陰だ、礼を述べよ。」。 

 「裂け谷へようこそ・・。フロド・バギンズ」。 エルフのエルロンドとガラドリエル女王が姿を見せた。美しく、気高くエレガントな種族、不死の命を持つエルフは、自分達がまもなく神話の世界に入ることを知っている。 フロドはここで養父 ビルボと再会する。 「ビルボ!。」 「やあ、フロドよかったなあ」 「”ホビットの冒険”と言う本。ビルボ・バギンズ著。すごいや!。ついに完成か・・・ホビットの村のことが書いてある。」。 「また行くつもりだった、闇の森の不可思議な魔力。湖の町。離れ山も見たかった。だが、年がとうとう私に追いついてきた。」。 「里がなつかしいな。・・子供の頃はどこか遠くへ行きたいと夢を見ていました。あなたと一緒に冒険に出たいと・・。実際の冒険は夢とは大違い。あなたにはかないません。エルフに会いたかった。それが夢だった。でもガンダルフに言われたことはやりました。指輪は無事に裂け谷に届けたし、後はあなたの傷が治るのを待って家に帰るだけです。指輪もここなら安全だ・・・。ぼくも家へ帰りた
い。」。
  
 エルフのエルロンドが言う「元気になったようだな。指輪を身に帯びながら、悪の誘惑に打ち勝つとは、ホビットとは見上げた種族よ。」。 ガンダルフが言う「とは言え、あの子には過ぎた重荷、二度と背負わせたくはない。」  「ガンダルフ!。敵が動き出した。東の地でサウロンの兵が集結。裂け谷をうかがっている。サルマンまで裏切った。モルドール軍とアイゼンガルドの連合軍には勝てぬ。・・・ガンダルフ指輪はここには置けない・・・・。これは中つ国すべての危機だ、みなで手立てを考えねばならぬ。エルフの時代は終わった。我等はまもなく海を渡る。我等が去ったあと誰を頼りにドワーフ族は生きる。彼らは鉱山を掘るばかりで他の種族に関心は無い。」 「人間に望みを託すしかあるまい。」。 「人間?。彼らは弱い!。最早過去の種族だ。ヌメノールの血もすでに絶えて誇りも威厳も失った。指輪が今あるのも彼らのせいだ。私は観ていた、あれは3000年前のことだ。イシルドゥアが指輪を拾った時、人間の力は衰え滅びに向かった。私は滅びの山の火口に彼を誘った。指輪を葬るに適した唯一の場所だった。彼は投げ込むことを拒否し、その日で終わるはずだった悪はこうして生きながらえた。イシルドゥアは指輪を捨てず、王の印は死に絶えた。導くものを失った人間の世界は、最早何の力ももたぬ」。 「一人だけ彼らを束ねるゴンドールの王位を継ぐ資格をもつものがいる。・・・」。 「そのものは自ら資格を捨てた。 さすらい人となってな・・・」。

 宮殿に剣が飾られ保管されている。 「ナルシスの剣か?。指輪をサウロンから奪った剣。」と取り出して、自分のゆびに当てる。少し血が出る。 「まだ鋭い!・・。だが、ただの骨董だ。」と足元に投げだす。

                                                   
 "韋駄天”と言われたさすらい人アラゴルンに、エルフ族の姫アルウェンが恋心を打ち明ける「なぜ、過去を恐れるのです。イケルドは私にとっては・・・もう・・・。あなたとは文明の異なる身体に生まれてはいますが・・・・。」 「身体に彼と同じ血が流れている。同じ弱さが・・・ 」 「あなたはエルフの不老不死の道を捨てて私と契りを結びたい。そう言っている。」 「今も変わりません。ここで永遠の命を生きるより、あなたとともに限りある命を終わりたい。」 「これはもらえない」とアルウェンが差し出した大型の胸飾りを返そうとする。 「いいえ、あなたに差し上げたいの・・・。心とともに・・・・」
 
 エルロンドの館の会議場に、ガンダルフ・フロド・アラゴルンとエルフ族の幹部が集まった。 エルフのエルロンドがいう「中つ国はまさに滅びようとしており、誰も逃れられない。結束しなければ破滅あるのみだ。前途には種族の違いを問わず悲惨な文明が待っている。指輪をここに・・・フロド!。」 フロドが指輪を石のテーブルの上に置く。 周りから「本当だったのか・・」とか「サウロンの血が・・・・」とささやく声がする。 エルフの幹部ギムリが言う「モルドールからの贈り物を使わない手はない!。おれの父は我が種族の血を流して、永い間モルドール軍の侵略からこの地を守ってきた。俺たちに敵の武器をよこせ!。」 アラゴルンが言う「指輪はおまえにも、誰にも扱えない。指輪は主人をサウロン一人と決めている。」 「さすらい人に何がわかる・・・。」 「ただのさすらい人じゃない!。彼はアラゴルン。アラソルンの息子、おまえの主君の家系だ。ゴンドールの王位を継ぐ者だ。」 「ゴンドールに王は必要ない。」 ギムリが言う「アラゴルンは正しい・・・。指輪は使えない・・・。」 エルロンドが言う「残る道は一つだ。指輪を葬るのだ。」 ギムリが剣を抜いて指輪に切リつけるが自分の体が飛ばされる。 王が言う「指輪はどんな道具を使っても傷つけることも出来ない。指輪は滅びの山の火の中で作られた。葬るにはそこに行くしかない。モルドールの奥深く滅びの山に上り、その火口に指輪を投げ込むのだ。問題は誰が行くかだ・・・。」 「モルドールの門を守っているのはオークだけじゃない。眠ることの無い悪霊が張り付いている。サウロンの眼が・・・荒れ果てた大地に炎が噴出し、毒に充ちている。1万の兵を送り込んでもダメだ。」 「行って葬るしかない!・・」 「おまえが行くつもりか?・・ネグロス」 「もし、サウロンが取り戻したら・・・。」 みなが言い争っている時、フロドが立ち上がり 「ぼくが行きます・・・・。ぼくがモンドールに行来ます・・・。道は知らないけど・・・」 ガンダルフが言う「おまえ一人に重荷を背負わせはしない、わしが道案内をしよう。」 アラゴルンが言う「私も命をかけて君を守る。フロド・・・」 ボロミアが「剣に誓って・・・。」 レゴラスが「私は弓に誓って・・・」 ギムリが「俺は斧に誓うぜ・・。」と言う。 「おまえが運命を握る。それが会議が下した結論だ。」 「待って・・おれもフロドさまと一緒に行く。」サムが飛び出す。 「俺たちも行くぜ。」ビビンもメリーも同行することとなり、指輪が結ぶ9人の旅の仲間ができた。

 フロドはビルボのところに別れの挨拶に行く。 ビルボは短剣をくれる「これはエルフが作ったものだ、もし、オーク族が近付くと刃がブルーに輝く、その時は充分に用心しろよ。」と言い。 「そうだ・・・いいものがある」と次にシャツを取り出す。 「ミスリルの下着だ・・・。羽毛のように軽く、ドラゴンの鱗のように硬い。・・・着てみろ。」と言ってフロドに着させる。 シャツを着ているときネックレスに釣るした指輪が目の前に見えた。ビルボ老人が「私の指輪・・アァー、できれば最後にもう一度この手で触ってみたい。」 手を伸ばすと指輪が急に光を放つ。「ギャーッ。 すまない、私のせいでおまえに苦労を・・・。飛んだ重荷を背負わせて、・・・私を許してくれ・・・。」    

                                       
  9人の旅の仲間が出発した。山を越え、野を走り、雪山を行く、霧降山脈の内側にそって40日間歩きつづける。ガンダルフが言う「運がよければ、ローハンの谷を抜けられるはずだ。抜けたら道を東に進みモンドールに向かう。」 「そいつは遠周りだ、モーリヤの鉱山を抜けよう」 「いや、モーリヤの鉱山を抜けるのは、取る方法がそれしか無くなったときだ。」 「あれは何だろう・・。雲にしては、やけに早いぞ。」 見るうちに迫るのはトリの集団で皆は岩陰、木陰に隠れたが白髪の魔法使いサルマンの放ったスパイのトリに見つかってしまった。 ガンダルフが言う「南への道は見張られておる、カラズラスの峠を越えよう。」

 雪山でフロドが足を滑らせ転んだ時、首のネックレスが切れて指輪とともに雪の上に残る。ボロミアが奪おうとする「いかん、・・・ボロミア!。信じられん。」  ボロミアが言う「こんな小さなものが、我等に多くの恐怖と猜疑心をもたらせたわ。」 「指輪をフロトに渡せ!。」 ボロミアはしぶしぶ指輪をフロトに返した。

 一行が雪山から断崖絶壁の谷の道を通っているのを、魔法使いサルマンは”遠見の石”で見ていた。「ガンダルフめカラズラスの峠を越えるか?。超えられなければ次は何処へ行く。もし山の力に負ければ更なる危機に立ち向かうことになるぞ。」 サルマンが祈る。頭上の岩が崩れ、雪山が崩れなだれが9人を襲う。 「山を崩すつもりだ。ガンダルフここは引き返そう。」 サルマンが祈り続ける。 ギムリが言う「早いとこ山を降りろ・・谷を抜けて西へ・・・。俺たちの町へ行く」 ボロミアが言う「ローハンはだめだ、山を越えるのはムリだ、モリアの坑道を行くしかねーで」 ガンダルフが言う「指輪を持つ者に決めさせよう・・・。」 「坑道を行きましょう」

 サルマンが"遠見の石”で見ている「モリア?。あの、恐ろしい地下を行くか?強欲なドゴロフが地球深く作っていた。やつらが闇で目覚めさせたものを・・・。」 一行は谷を歩く。「見えたぞモリアの壁だ。」 坑道の入り口には扉があり、閉ざされている。 ガンダルフが言う「これはモリアの領主ドゥリンの扉、”唱えよ友、そして入れ”」 「それってどういう意味?」 「合言葉を唱えれば扉が開く。・・・」 ガンダルフがいろいろ試すが扉は開かない。 連れてきた馬を坑道では使えないから帰す。 「心配するな、ちゃんと帰るさ・・・」 サムが川に石を投げる。 「やめろ!危ないぞ・・・。」 フロドが言う「なぞなぞだ。エルフ語で友達は何?。」 「メルロン」 扉が動き始める。

 坑道の中はヨロイを着けたままの死骸がいっぱいで、矢が刺さったままの兵士もある。 「墓場だ!。 ローハンの谷へ行こう。ここにきたのが間違いだ。」 引き返そうとした時、川の中へ石を投げられて目覚めた大タコの化け物が、足を伸ばし皆に襲ってきた。剣をふり弓を射て、闘うが勝ち目は無く、全員中に入って扉を閉める。ガンダルフが言う「最早、進むしかなくなったな。暗いトンネルを行くしかない・・・。油断するな。・・・この地底深くには、太古のむかしより恐ろしい魔物が潜んでいる。向こうに出るのに四日はかかる。」 魔物どもに気付かれないよう静かに進む。ピピンが足を滑らせた。

 フロドが言う「誰か下にいる。」 ガンダルフが言う「ゴラムじゃよ。三日前からあとを付けている。やつもその指輪を愛し、そしてまた憎んでおる。決して指輪をあきらめる事は無い。」 「ビルボがあの時殺しておけばよかったんだ。」 「情けじゃ。ビルボが情けで命を取らなかったんじゃ。死ぬべきものが生きながらえ、生きるべき者が死んでいく、おまえにそれが決められるか。生と死を軽率に語ってはならん。賢者と言えども未来は見えん。あのゴラムもわし等にとって吉か凶かは分からんが、何か役目があるのじゃ。いずれ明らかになる、ビルボの情けが大勢の運命を変えた。・・・今、自分は何をなすべきか?を考えるべきじゃ。ビルボは指輪に出会うべくして出会い、おまえもそれを受け継ぐべくして受け継いだのじゃ。」 

 ガンダルフが言う「道は向こうじゃ、だがこちらの空気のほうが臭くない。道に迷った時はのビビン、鼻を利かせることじゃ。 広大な地下宮殿に出る「こんなすごい物が地下に・・・・。」 ボロミアが何かを見つけて急に走り寄る。「うそだろォ。アーァ・・・なぜ・・・・。」 ”モリアの両親ウンディンの息子バーリンここに眠る”と墓誌銘がある。 ガンダフルが言う「死んでいたか・・・・。恐れていたことが・・・」 「なぜ死んだ・・・。」 「先へ進もう・・。」 ガンダルフがバーリンの死骸がもっている書物を取って読む(オーク族は橋を奪い、第2の広場も落ちた、我等は門を閉じたが長くはもたないだろう。大地はゆれている。地の底から太鼓の響きが伝わる。逃げ道は無い・・・。闇の中で陰がうごめく・・・どこにも逃げられぬ。やつらが来る・・・・・。) 

 叫び、地鳴りとともに地の底から太鼓の響きが聞こえる。「周りにオークが来た・・・!。」 門をしめる。しかし、斧で門を割ってくる。レゴラスが弓矢で門の割れ目から射抜く。なだれ込むオークと皆が戦う。「さー来い。モリアのこわっぱがまだ一人ここに残っているぞ・・。」 戦いの最中にトロール出てくる。大型のサルのようなトロールの首に飛び乗っても振り落とされ、弓も剣も受け付けずとても相手に出来ない。 フロドが狙われ追いまわされているうちに、オークの剣がフロドの胸を刺す。 トロールは口の中にレゴラスが矢を射込み倒した。 「フロド・・アア・・フロドーッ。生きてるよ!。てっきり死んだと・・・。あのヤリのひと突きで・・・まさに奇跡じゃ。何時のまに魔法を覚えた。」 フロドはビルボにもらったシャツを見せる。「ミスリルの下着を着ていたのか?・・・。おまえさんにはおどろかされっぱなしだ。」 「橋へ急ごう」

 醜悪な容姿の怪獣の大群があとを追ってくる。周りを取り囲まれ動け無くなった時、ガンダルフが剣を取り出す。彼らはその剣の光を見て、ちりじりに逃げていった。

 奇声がして、また、新たな怪獣がせまる「今度は何の化けもんだ!。」 ガンダルフが言う「バルログじゃ。古代より生きてきた悪魔。おまえ達とは相手にならん。」 「逃げよう!。」 「おまえが導け、アラゴルン!。」 崩れたがけを越え、人が通ると足元が崩れ落ちていく橋を渡る。前後が崩れ落ちた橋脚の上で、ガンダレフとフロドが体重を移動してみんなのいる方に橋脚を倒し助かる。 火の塊が後を追う。 「我等は神秘の火に仕える者。魔法の炎の使い手じゃ。 貴様のかざす火はわしには通じん。闇の世界に戻れ!。ここは断じて通さん。」 ガンダルフが祈ると火の怪獣が消えていった。

 ガンダルフが崩れた橋を渡っているとき。地底から延びてきた妖怪のタコのような永い足で足元を救われる。がけにやっと手をかけたガンダルフをみて、フロドが「ガンダルフ!・・・。」と叫び助けに行こうとするが、ガンダルフは「行け!。バカモノ・・・ウアーァー」と声を残して谷底へ落ちていった。

 坑道を抜けて8人は山の上に出る。皆が一休みしたいと言うが、アラゴルンは 「立つんだ・・・。日が落ちれば多くの群れが這いだしてくる!。その前にロストリアンの森へ・・・。ボロミア、レゴラス、ギムリ、皆を立たせろ!・・・。立つんだサム、フロド・・」と声をかける。  フロドは谷に落ちていったガンダルフ老人のことを考えていた。
                               
 みんなは森に入る。 ギムリが言う「みんな離れちゃダメだぞ。この森にはな魔女がいる。魔女を一目見たものはとりこになって、この世には戻れない。だが、俺には鷹の鋭い目と、狐の耳がある。」  言い終わらないうちに弓を持った男達に取り囲まれる。 「おまえの息なら暗闇でも射殺せる。森の貴婦人の領地に入った者はもう引き返せぬ。・・・こい!。奥方がお待ちだ・・!。」皆は森の奥の宮殿に連れて行かれる。 女王が現れる。男が尋ねる「おまえ達は9人で裂け谷を出たはずだが8人しかおらぬ。 ガンダルフはどうした?。俺はガンダルフと話がしたい。」 「彼は闇の底に落ちました。薄い刃の上を渡るような旅です。少しでも気を抜けば、たちまちのうちに・・・・。」 女王が言う「でも、望みはあります。旅を続ける意思さえあれば、・・・。しばらく心配は忘れゆっくり休みなさい。旅の疲れを癒すのです・・・。」
  
 ガンダルフを悼んでいる。 アラゴルンが言う「悲しみが深すぎる・・・。ここでは落ち着けない。・・・父とゴンドールの復興のことで彼女は”まだ希望は残されている”と言ってる。だが、俺には見えない。どっかに費え去った望みだ。父は統治にいきつまり民の希望を失った。できることなら、父の志を継ぎたいと思う。ゴンドールに栄光を取り戻したい!。 白い都には朝の風に旗がはためき、夕べにはトランペットが帰宅の時を知らせてくれた。いつの日か、君とともに都に帰ろう。・・・塔の衛兵が俺たちを見て叫ぶ。ゴンドールの救いの士が戻った・・・と。」

 寝ているフロドのところに女王が来る。フロドは起き上がり女王のあとについて行く。女王は銀の杯に水を汲み広場に下りて行く。広場の真中にある石のテーブルのくぼみに水を満たす。「鏡を覗いて見たいか?・・・。 賢者と呼ばれる者にもわからん。・・・ 鏡は多くの者に、過去にあったもの、今あるもの、そして時にはこれから起きるであろうことを・・・・。」  フロドが覗き込むと、自分の顔が写り、ガンダルフ、ビルボそして大勢の仲間の顔が次々と写っては消えていく。村が焼かれ、村人達が鎖に繋がれて連れて行かれてる。 ハッと我に帰るフロド。 「何を観たか分かっている。・・そなたが使命を果たさねば未来はそうなってしまう。すでに旅の仲間達は心が一つではない。あの男が指輪を狙っている!。ひとりまた一人と指輪は彼らを滅ぼしていく。」 「もしあなたが望むなら、あなたに指輪は差し上げます。」 「私にくれるというのか?。・・私もその指輪がほしい。そして暗黒の王に代わり女王になるのだ。闇に変わって暁のように美しく、海のように慈善に満ちた、そして大地のように強い力を持つであろう。」・・・女王は我に帰る。「試練に耐えられた。小さくなって海の向こうに渡りましょう。ガラドリエルへ・・・」 「ぼく一人では出来ません・・・」 「あなたは指輪を身におびた。その重荷には一人で耐えなければ、そして使命を果たさなければなりません。それが出来るのはあなただけ・・・。」 「やるべきことは分かりました、でもとてもぼくは怖いんです。」 「もっと小さな者達が世界を未来を変えるのです。」

 大魔王モルゴスが叫ぶ「オークがどのようにして生まれたかおまえは知らぬだろう。彼等はかつてエルフだった。暗黒の力に捉えられて拷問を受け、引き裂かれて今のような醜いばけものに変わった。わしが手を加えた。闘うオーク・・・ウルクニハイよ、おまえの主人は誰だ!。」 「サルマ〜ン」・・・・。 サルマンが叫ぶ「やつらを駆り出せ。見つかるまで帰るな!。 おまえ達は苦痛も恐怖も知らぬ。人の肉の味を知れ!。ホビットの一人が貴重なものを持っている。ホビットどもは殺さず、無傷で連れ帰れ。ほかは殺せ!。」オーク族の大群が出撃する。

                                
 一行が3艘のボートに乗って川を下る。女王が見送る「サヨナラ・・。フロド・バギンズ・・・。お別れに我等の大切な星の光を・・・。たとえ暗闇にさまよい、あらゆる光が消えても、この星の光があなたの行くてを照らすでしょう。」

 オーク族の怪人が一行の後を追う。フロド達はアルゴナスの石像の見える所まで来た。「見よ!。あれがアルゴナスの門だ。伝説の王たちにやっと会えた。私の先祖だ。」 一行は滝の手前で上陸する。 アラゴルンガ言う「湖を渡るのは夜だ!。ボートを隠したらしばらく休もう・・・。北からモルドールに入る。」 ドワーフ族のギムリガ言う「北から?・・。山越えは楽しい旅になるだろうな、切り立った岩の壁が迷路のように続く難所だゼ。しかもその先は地獄だゼ。」 「そこを通るのさ・・。夜までゆっくり休み英気を養え・・・。」 「俺に休めだと・・・。」 「今すぐ発とう・・。」 「だめだ、オークが見張ってる。暗くなるまで待つべきだ。」 「心配なのは向こう岸じゃない・・。さっきから胸騒ぎがする。何かが近付いている。」

 フロドが一人裏山に入る。ボロミアが後を追う。「一人で出歩いちゃダメだ。特におまえは大事な身だからな。一人になりたい気持ちは分かる。」 「いいたいことは分かるよ、忠告に聞こえるけど、実は警告だ。」 「警告!。何のことだ、誰でも不安は同じだ。だが、その恐怖に負けたら、すべてが無になる。」 「道は一つしかないよ。」 「俺は自分の種族を守る力がほしいだけだ。指輪を貸してくれ・・・。」 「いやだ!。」 「なぜ、必ず返すから・・・。」 「任務を果たせると思っているのか?。やつらに捕まり、おまえは死ぬよりつらい苦しみを味わうぞ。・・・ばか者がァ・・。ただ運命の悪戯でおまえの手に入っただけ・・俺のものだッ。  よこせー。」 「いやだーッ。」二人はもみ合いになる。 「そーか分かった。サウロンに指輪を渡す気だな・・。この裏切り者!。呪われろホビットども・・」  フロドの姿が急に指輪の力で飛んでいく。 「フロド・・。なんてことだ。フロド許せ!・・。許してくれ・・・。」

 強風に乗ってフロドが戻る。アラゴルンに言う「ボロミアが指輪を・・・・」 「指輪は何処だ?・・・。」 「こないで、・・・」フロドが逃げようとする。 「フロド!・・・私は味方だぞ!。」 「あなたは指輪の誘惑に勝てますか?・・・。葬れますか?。」  フロドは指輪を手に握り締めている。

 アラゴルンが言う「最後まで君と運命をともにしたかった。モルドールの火の山まで・・・」 「分かってます・・・。みんなを頼みます・・・。特にサムは怒るだろうな・・。」   オークが大群でやって来る。 アラゴルンは「行けフロド・・。早く走れ!・・。」と剣を抜き立ち向かう。  「ホビットを探せッ・・・。行けッ。」オークが山を駆け巡る。 フロドが大木の株の陰に隠れているのが、ビビンとメリーに見えた。ビビンが呼ぶ「こっちに来い。早く・・。何でこないんだ。」 メリーが言う「一人で行く気だ・・。だめだよ・・。」 そこにオークが来る。二人はわざと飛び出して「おーい、ここだーッ。・・・こっちだーッ。」とオークを引き寄せフロドを助ける。  逃げる二人が危なくなった時、アラゴルンガ助けに来て助ける。ボロミアもレゴラスも参戦する。そのとき「ブー、ブー、ブー、」と合図の音がする。「逃げろーッ。早く」。 闘っていたボロミアの胸に矢が刺さる。二人の子供の前で、二本目、また一本。しかし、ビビンとメリーはオークにさらわれどこかに連れて行かれる。ボロミアにとどめを刺そうとした怪人に、アラゴルンが駈け寄り、怪人の首を剣ではねる。 虫の息のボロミアガ言う「フロドは何処に・・・。はずかしい・・・。指輪を取ろうとした。・・愚かだった。おしまいだ・・・・」 「立派だったぞ・・・。白い都は私が守る。」 「あなたについて行きたかった。わが兄。!。わが王よ!。ボロミアは息をひき取った。 「静かに眠れゴンドールの息子よ」。 レゴラスとギムリがそばにたたずむ。

 フロドが一人で湖のところに来ている。「ぼくが指輪を貰わなければ、・・・」一人ボートを出して漕ぎ出す。サムが見つけて湖に走り出す。サムは泳げない。溺れるサムをみてフロドは引き返し、ボートの中に助け上げる。 サムが言う「ごめん。ガンダルフと約束しました。決してあなたからは離れないと・・・。」二人はボートの中で抱き合う。 「行こうぜ・・・・。」とボートをこぐ。

 フロドとサムが東の岸に着いた。  「追わないのか?・・。」レゴラスがいう。 「フロドは彼の運命に従った・・・・。」アラゴルンが言った。 「メリーとビビンを救ってやろう。解散するのはその後だ・・・。いらないものは捨てていけ・・。オーク狩りを始めるぞ・・。」 三人は再び森に入った。

 フロドとサムがモルドールの見える丘の上に着いた。「モルドール・・・。」 「みんな無事だといいけど、もう会えないだろうな・・。」 「いいえ、また会えますよ・・。」  「サム・・・・。おまえがいてよかった・・・。」 
          
                         第1部 作品   の 終わり  

                                                        H.14.3.2  鑑賞
                                 
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