リベラ・メ 


  韓国の映画  監督ヤン・ユノ  「Libera・ME」 はラテン語で「我を救いた
まえ」という意味らしい。 全編最初から最後まで息をつかせぬほど、爆発と炎
の連続。 消防車輌300台、LPガス6トンを使った火災シーンもCGではなく本
物の炎。 しかも撮影はスタジオではなく韓国・釜山市で本物の高層ビルを爆
破、炎上させたという息をもつかせぬ緊迫感、迫力、恐怖、熱気がまともに襲い
かかるスペクタクル映画。      訳 :根本理恵

 刑務所の中、全員真っ裸で囚人達が身体検査を受けている。 釈放命令書を
受け取って一人の男が門を出た。 ヒス(チャ・スンウォン)である。

 5ヶ月後、ビルの火災発生現場、防火服に身を包み消火活動に励む消防士
サンウ(チェ・ミンス)とペアを組んだヒョンテ(ユ・ジテ)がいた。 サンウがビルの
ひび割れが広がるのに気ずく。 「みんな逃げろ」叫んだ直後に爆発が起こる。
火焔が吹き上がる、床が抜ける。 二人は5階に閉じ込められた。 「503号室
に放水を・・」 「火元の405号室に突入失敗」 指揮をとるチョング先輩に携帯
通信を行う。 「部下を見捨てることは出来ない、ここは突入だ」とチョング班長
は炎のビル中へ入って行く。 サンウとヒョンテが入った部屋にはすでに焼死し
た人がいる。 「サンウは405号室を出て班長と合流せよ」爆発炎上の繰り返
す中を炎の405号室に入ってみると二人倒れている。 さらにチョング先輩とも
う一人消防士も倒れている。 「民間人が先だ、あきらめるな、必ず戻ッて来
る・・・」二人は一人ずつ背負って1階まで降りてくる。 二人は再度炎の中に入
る「逃げないと全員命を落とすぞ」。 「中に誰かいます」 「全員撤収だ85-1応
答しろ。まだ出てこないのか」。 消防士二人を背負って崩れ落ちる寸前のビル
からサンウとヒョンテがまた出てきた。

 消火活動の終わりかけた現場で、女性消防署員のミンソン(キム・キュリ)が取
材を始めている。 恋人を火に奪われた彼女は常に危険と戦うサンウに想いを
寄せている。 「405号室の人ですね」声をかけられた女性は気を失って倒れ
る。

 救急車の中「チョングおまえはゼッタイ死なない」。 運転手に言う「もっとスピ
ードを出せ。殺したらおまえを殺す」とチョング班長は病院に運ばれた。

 クレジョン消防署の中、火災担当刑事のソルが聞き取りに回っている。 ミンソ
ンのそばに来て「俺に任せろ、報告書を参考にする。まさか今日も放火と言うの
じゃないだろうな」と聞いている。

 ヒョンテはサンウを尊敬しているが、いつか自分は火の中で出口を見失うので
はないか、と恐怖感で悩んでいる。 「先輩と組んだ僕はいつも出口を探してい
る。いつも一人だから、・・・コンビを解散しましょう」と言う。 サンウはヒョンテの
顔面を殴りつけ「これで満足か?」。

 過去を振り返る。(インスとサンウが遊んでいる。ソンウンとチャンソンもいる。)
「先生に初めて会ったのはあの子(女の子7歳)くらいの時だった。」 「15年前
の患者記録は残っているのか?」。

 「火の回り方が変だ」と消火の後を検証するサンウとミンソン。 405号室の女
性に訊ねる「私はスーパーに買い物に行っていた。幼稚園に娘を迎えに行った
らバスが出たあとだった。父と母が家にいた。ガス漏れだと思います」と答え
た。

  ガソリンスタンドで火災発生。 サンウとミンソンが出動する。 まもなく鎮火
する。 何者かから「邪魔するな」と電話が入る。 サンウが「ここが発火地点」
と写真をとる。 「二次災害に気をつけろ」。 スタンドの主任に「温度が上がって
いるタンクを調べて欲しい」と言う。 調べに行って、かえってきた主任は「どうも
変だ、うちのじゃないパイプがある」という。 「どうも変だ、逃げよう」外に出ると
すぐスタンドは大爆発。 道路向こうで火事見物の群集の中にいた男が姿を消
す。 スタンドの裏で男がバルブを回している。 パイプの先端からコンクリート
の床に油が流れ出る。 男は吸いかけのタバコをコンクリートのひび割れ部に
立てるように差し込んで逃げた。 あふれた油がタバコの火に届き油タンクが
次々に大爆発を起こす。 サンウは怪しい人物を発見し後を追うが一瞬男はバ
スに乗って逃げられる。

 病院、女性医師「ヒス、15年前のあの日どうして放火したの?」(ヒスは妹が
全身火に包まれて、泣きながら立っているところを思い出す)。 女医は15年前
のカルテを警察に出そうとするが、思いとどめてやめる。

 ノイローゼぎみのヒョンテが当直の夜、サンウに言う「僕は火の中で死にたくな
い、弱虫と言われたって死にたくない」。 サンウは「ヒョンテ、俺の家の鍵だ当
直を代わろう、少し休め」。 ヒョンテは「すまない」と鍵を受け取る。

 ミンソンが言う「インス先輩のことあなたのせいじゃないわ。病院でヨンジュ先
輩を見かけたの」。 サンウがいう「子供治療室は精神病棟だろ?」。

 当直中のミンソンに携帯電話がかかる「すぐに逃げろ。何処に居る。おまえの
家具や電気が見える。恋する女も見える」。 ミンソンは自宅が狙われているこ
とに気付く。 「もしもし、ヒョンテか!、外に出ろ。家を出るんだ」
 
 ヒョンテがサンウの部屋でテレビのスイッチを入れたとき時限装置がONされ
ていた。部屋は爆発炎上する。

 病院の広間。クリスマスツリーの飾りつけの中に、女医が手紙を見つける。
「ヒスお兄さんからよ・・・」
 
 サンウと交代して死んだヒョンテの調書を消防署員がもってくる。       
エレベーターの中 。ヒスは子供の頃父親から虐待を受けた。
 「ヒスは放火犯にされましたが私はそうは思いません。」医者として、良心的
な判断をしたつもりです。

 子供達にプレゼントの約束をする。過去の犯罪とつながる!」 「重なる子が
居ます。クリスマスの日に病院で確かにあの男を見た。おれの目の前ににいた
んだ。」

 火災発生。全員出動。「チクショウ。今度こそ捕まえてやる。こちらクムジョン町
24番」

 処罰が軽くなるならシャベリます「7歳の時放火したのはヒスじゃありません」
とおんなが言う。

 女医がくるまで警察に行こうとする。 ヒスがいう「警察には何の用で・・・」 
「コレは犯罪よ」。 ヒスが続ける「先生らしくない、僕を守ってくれると思ってい
た。 時間がありません。 罪の無い人や消防が死ぬのがだめと言うのは先生
の考えだ。全員死ぬべきだ。
 
バプティスト病院で厳重な警備の中、時限装置によって爆発が起きる「現場に
近付けない、歩いて行く」。

 「家族で食事の予定だったが、おまえにプレゼントが今年も出来なくなる」。
「パパは消防士なんだ!」。

 「ボイラー室に入ります」(立ち入り禁止の地下駐車場から女医先生の車が走
り出る。ヒスが運転している) 「先生とどうしたらいいかと考え中なのだ。僕を
信じるか?。僕は先生を信じている」  「ほぼ鎮火しました。」 「コレで終わる
はずがない」  女医の車は駐車場の壁に激突して止まる。 「先生!こちらに
近よらないで。先生にはベストをつくすところを見せたかった」  二人の乗って
きた車が爆発する。 「火が生きて動いている」(病院の病室にも火が回る) 

 「通風口です、すべて計算している。病院ごと吹っ飛ぶかもしれない」。スプリ
ンクラーのドアを開けると室内は火の海。 「やつのねらいがわかった。子供
だ。」(女医が死んでいる)水が出ない。消火が出来ない。

 「サンウ先輩。 ミンソンはどこに居るんだ答えてくれ。見つけたら望みどうり水
を出してやる」 サンウが乗ったエレベーターは途中で止まる。

 ミンソンがつかまって縛られている。「もうヤメテ、お願いだから、」 「そうだろ
う。終わりにしよう」と言って水道のバルブを開ける。 流れ出る油。 病院は爆
発し吹き飛ぶ。 サンウはミンソンをさがして屋上に行き、タンクのバルブを閉め
ようとしているとヒスが出てくる。    「この世は不条理だ・・・」

 格闘の末サンウはヒスを倒し、ヒスは屋上の換気扇の上から落ちる。 ミンソ
ンを助け二人は抱き合う。

 はしご車が救出したひとを載せて降りようとする。 全員は乗れない。 「ハン
ム待っていてくれすぐ来る。 「傷ついた子供の痛みがわかるか」 「いま、教え
てやるよ。」 「子供達を救いたかった」 「卑怯なやつめ」 「俺は救世主だ」女
が「やめて。やめて」と叫ぶ。

 男はにこっと笑って立っている。 「一緒に行こうよ、姉ちゃん」子供達は火事と
言って火の中に消えた。
 
 男はビルの屋上に戻りタンクを吹き飛ばす。   二人は手を取り合って火の
中を逃げる。

 雪が舞う中死んだとうちゃんの、遺体が運ばれて皆が並んで敬礼する。  消
防士たちは消火活動に走る
           終わり   H13.11.17

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