陽だまりのグラウンド

  僕は、子供達に野球を教えた。 子供達は夢も希望も未来も無かった僕に、
人生を教えてくれた!。
 全米で大ヒットの感動作品。 キアヌ・リーブスがいい。 映画初出演の子供
達がいい。 監督ブライアン・ロビンス


  雨の街角、男が雨に濡れながら教会に来る。 牧師が祈りをささげている。
 男も深く頭を下げて祈る「神様・・どうか「ブルズ」が勝ちますように・・・・」 男
の名はコナー・オニール(キアヌ・リーブス)

 酒場 ”クラッカー” の中、今日は、地元シカゴ・ブルズとミルウォーキーのバ
スケットボールの試合を中継しているテレビの画面を観てみんな興奮している。
 コナーは「ブルズ」に5000ドル賭けているが、ブルスは今4点負けている。 
仲間のテイッキーが教える「あと3本で負けだ!」。

 「追え!。」逃げるコナーを数人の男達が追う。 「放しやがれ・・・!。痛めつ
ける気か?。」つかまったコナーは、殴られて自動車のガラスに身体をぶつけら
れ、ガラスが飛び散る。 最後はフロントガラスを突き破って身体ごと車の中へ
投げ込まれる。

 留置所の中、コナーがいる。 係官が来てカギを開け釈放される。 コナーが
聞く「保釈金は払ったか?」  テイッキーが言う「払ったよ。チケットを売って返す
んだな」。 友達のテイッキーはチケットを売買しているダフ屋仲間で、依然に買
ったチケットをいくらで売ったのか気になっている。 

 コナーの部屋。 ドアがノックされて「テイッキーだ!」の声。 コナーがドアを
開けると数人の男がなだれ込む。 執拗な金貸し屋バーバーの部下が、貸し金
の取立てに来たのだ。 「死んだ父親の名で賭けてた。とんでもないやつだ!。
有り金全部だせ!」 「47ドルしかない・・」 「借金は6600ドルだぜ!。毎週5
00ドルずつ払うんだな!・・・。払えなかったら週に1000ドルずつ増や
す・・・」。と言って立ち去る。 テイッキーは「脅されて、仕方なく案内したん
だ・・・」とコナーに詫びる。

 保険会社の受け付け。 コナーが「ジミーと面会の約束がある」と言って中に
入る。 コナーはこの会社でエリートの道を歩む、幼なじみのジミーのところに行
って「12,000ドル貸せ・・・」と言うが、取り合ってくれない。 「5,000ドルだけ
でも頼むよ・・」と粘るが、「ノミ屋への借金は俺には関係ない」と断られる。 あ
きらめて帰りかけた時、ジミ-が「窮地を救ってくれるかも・・・」となにかメモしてく
れる。 メモには「少年野球のコーチ。毎週500ドル払ってやる。明日野球場で
会おう。  ジミー 」とある。 「3時半だ!」とジミーがいった。子供など相手に
したこともないコナーだったが、切羽詰まった彼には選択の余地などない。

 子供達が野球をやっている草野球のグラウンド。 コーチのジェファーソンがや
ってきて「毎日の練習のコーチを変わってもらいたい」と言う。 「3週間だ。 ニ
ューヨークにいってくる。 お金は毎週月曜日に彼女がここに持ってくる」といっ
て、名簿と予備表を置いて行った。 リーグの会長ジミーフレミングスがやってき
て「”キカンバス”か?。・・・名簿を金曜までに出せないなら、リーグを脱退してく
れ・・・・」と言って去る。 コナーは「木曜4時に練習・・・」と子供達に伝える。

  翌日から早速コナーのコーチが始まる。 チームの名前は ”キカンバス” 。 
応援に来ている子供の母親が声をかける「ミスター・ウイルクス?。・・」 「い
や、コナーです」 「マーフィとレイモンは本当は野球をやりたいんです。でも、宿
題を提出しなかったので、先生からやっちゃいけないと止められているんです。
何とかしてやってください」

 コナーが学校にエリザベス・ウイルクス先生(ダイアン・レイン)を訪ねる。 子
供をチームに復帰させてくれと頼むコナーに、彼女は「本を一冊読めば野球を
やってもいいわ。・・・あなたが野球を教えることはいいことよ。・・子供達に読書
も教えて欲しいわ。・・二人に感想文を書かせて下さい」という。

 酒場”クラッカー”でコナーがテイッキーに言う「本当に困ってなきゃァ、あんな
賭けはしないさ。 おれも必死だ。子供に野球を教えて、週500ドル呉れるって
いうから、・・・まずバーバーに返さなきゃ」。

 「私は母のバーバラ。 子供達が野球をやれるように宿題を手伝うんですっ
て?。 勉強させなかったら、ケツを蹴っ飛ばすよ」と言われる。

 子供達がTシャツにジーパン姿で練習をしている。 ボールは取れないし、空
振りばかり。 テイッキーが車で来て、クラクションを鳴らして呼ぶ。
コナーが「解散!・・次は土曜日」と子供達に伝えた。

 夕暮れ、練習を終えた子供が家に急いでかえる。 一見して低所得者が住ん
でいると分かる団地の、人通りのない所で4人の少年に囲まれる。 「バッグを
早くよこせ!」少年がバッグを取ろうとする。 子供は抵抗したが「いただきだ
ッ!・・・」バッグをもぎ取られる。

 病院でコナーに母親が言う「遅くまでなぜ練習させたの?・・」 「早く練習を終
えるべきだった」コナーは母親に謝り、子供に「直ったらまたやってくれるな・・。
背番号はなんばんがいい?」と声をかける。

 コナーがテイッキーに言う「大きな賭けをやる所を探している・・・・」。 「案内し
てやる・・」テイッキーが答えて車で連れて行く。

 グラウンドでアンドレとマーフィが喧嘩をしている。 「アンドレ!」 「何だ!マ
ーフィ!・・」 「おまえはへただ」 「マーフイはどんな球でも取れるのか?」 
「球が怖いのか?」 「声ぐらい出せよ・・・」  「ジャマル!。気にするな・・・」 
コナーコーチはノックを続けている。

  グラウンドにエリザベス先生が来る。 「オニールさんは野球のコーチな
の?・・・」と聞かれる。 これから読ます本についてコナーが「M。ジョーダンの伝
記がいい」と言う。 先生が「でも、あれはフイクションよ」と言うと。 子供が「父
親が戻るなんて考えるのはバカだ。 父親は誰も帰らない」と言う。

 グラウンドに、新しいユニホームが届く。 みんなが喜んで奪い合うように、ユ
ニホームを取って着替える。 コナーが大きい声で「みんな練習しろッ!」と言
う。みんながグラウンドに駆け出す。 最年少の子供が自分だけユニホームが
なくてウロウロ している。 コナーが呼ぶ「G・ベイビー話がある。・・・何歳だ。」
 「10月で9歳。いや、正確には8歳だよ」 「9歳からでないと、試合には出ら
れない。・・・11人いてユニホームは10着しかない」。分かってるな・・・」 G・ベ
イビーは悲しそうにひきさがる。

 いよいよ、試合が始まった。 仲間は空振り三振にはり。 打たれた球は取れ
ないし、やっとつかんだ球を何処に投げればよいのかも分からない。 「なぜ、
僕に投げる・・・」と喧嘩をしている間に相手は塁を回るし、「お前もパスボールを
した」とつかみ合い。 試合は16対1で惨敗。

 コナーが聞く「腹すいたか?。・・ピザでもどうだ」 みんな大喜びでついてくる。
 ピザ屋でコナーは交渉する「ブルズの試合の特別席のチケットだ。」 店の主
人は大喜び、子供達もピザを腹いっぱい食べて大合唱「♪♪選手権試合に進
出だ。・・♪♪選手権試合に進出だ!」

 帰りが遅くなったのでコナーが子供を家に送る。 子供の家は薄汚れたコンク
リート剥き出しの団地で、誰もが床に座ったり横になっている。 コナーがなぜ
聞くと「銃弾が流れてくるから、窓より低い所にいるんだ」と子供が答える。

 今日も野球の試合中。 ヘッドホン・ステレオを片時も放さず聞いているマイル
スを、コナーはピッチャーに指名した。 マイルスは音楽に合わせて腰を振り踊
りながら投げる。 相手はタイミングを外され次々に空振り三振となる。 ♪♪ 
ビッグ・パパ ・・・・今夜ここに 僕の将来の お嫁さんが来る・・・・♪ 

 コナーが応援に来たエリザベス先生に言う「マイルスのお陰で勝ったよ・・・今
夜一緒に食事でもどお?・・・」 「用事があるの・・・」 「土曜日の試合に勝った
ら付き合ってくれる?」。 子供達がひやかす「ウイルクス先生をくどくの・・・」 
「条件を出さないと来て貰えないだろ」。

 テイッキーの案内でコナーは大物金貸し屋に会う。 「職業は何だ!・・」 「証
券会社に勤めている」 コナーが言う「12,000ドル賭けたい・・」 「10万ドル賭
ける客もいるが、お前はいたって冷静だ。君に興奮している。貸そうじゃない
か・・番号は27・・君のハンドル名はモカンバスだ」

 外に出ると、先に踏み倒した金貸し屋バーバーの手下に追われる。 ビルの
谷間を逃げ、やっと自分の部屋に逃げ帰る。 部屋から電話をする「27番モカ
ンバスだ。ブルズとヒートの掛け率に、ハンデ6で12,000ドル、ブルズ」。

 酒場”クラッカー”にエリザベス先生が来る。 大勢の酔っ払いがジロジロ見て
る。 コナーが言う「ゆっくり話をしたい。・・飲む?。」 先生が言う「何が、同僚と
よくここへ?・・。 証券会社の人じゃないみたいネ。見れば分かるヮ・・。」 「な
あエリザベス・・君はウソを暴きたいの?。・・・俺は確かにコーチに裏金を貰っ
ている。ノミ屋に狙われている。・・・ジミーに頼まれて手伝ってたの、全部知っ
ててなぜ来た。」 「子供に信頼されていたから・・・。用心深い彼らが何を見た
のか知りたくて・・・」 「君もよく見ろ!」。 先生は怒って帰る。

 テイッキーが言う「賭け高も記録的、掛け率はマイナス6点。

 キカンバスはマイルスの好投で連戦連勝。今日は強豪ブーワス戦、コーチの
マットがやってきて言う「君の選手の年齢に問題あるよ。アンドレとジャマルはリ
ーグ除名です」 「君は子供に野球をさせたくないのか?。なぜ、外すんだ!」 
「出生証明書を変えただろ?」。 ジャマルが答える「聞かれたら証明するってマ
マがいったもん」。 さらにマットは「ヘッドホン・ステレオはダメだ。安全面からも
問題だ」と難癖をつけてきた。 
 リーグの会長が来て「二週間早く生まれてるぞ、ジャマルを追放する。 次は
ヘッドホン・ステレオだが試合中は禁止する」と告げる。 コナーは「どうせ最後
の試合だ。俺は試合が終わったら別の町に行く・・・」と口走ってしまう。彼はブ
ルズの賭けに勝っても負けてもこの町を出て行くつもりでいる。

 「守備につけ!・・。」 相手のチームから「ヘボだ、ヘボ!ピッチャーがヘボ
だ」と、はやし立てられる」。 ホームランを打たれる。 子供達が次の練習は土
曜でしょ」と話し掛けるが、コナーは「お前等のことよりモット大事な用事がある」
とつれない返事。

 バスケットボールの試合を店の外からテレビで見ている。 コナーは見てられ
なくて、座り込んで下を見ている。テイッキーが解説する「2点勝ってる。ハンデ
は6.・・ファール。・・1本目成功。2本目が入った。7点差。・・スミスだぞ・・・入
った、何てこった4点差。・・・ハンデで勝った」コナーは飛び上がって喜ぶ。  
♪♪ ビッグパパとよんで ・・・♪   テイッキーが言う「人生の勝負に勝った
つもりか?。 まだ、勝ってもガキどものコーチをする気か?・・・」 「俺はどうせ
負け犬・・・ガキどものコーチが似合ってる」
 
 コナーが一人部屋にいる。 ドアがノックされて「テイッキーだ・・一人さ・・」。 
バットをもってドアの陰に回りドアを開ける。 テイッキーは「クインクスに賭ける
か?・・・」と次の試合に賭けてさらに大きく稼ごうと言う。 夢を膨らませながら
もコナーの心には「本当にそれでいいのか?」と疑問が芽生えてくる。

 子供達の所へ戻ったコナーは「1時間で試合が始まる。・・キカンバス、早く乗
れ!・・」と子供達全員を車に乗せて、プロの試合が行われる野球場に連れて
行く。 「みんな見ろ・サミー・ソーサだぞ」 「ソーサ!、ソーサ!」子供達は始め
ての球場で、ソーサの姿に眼を輝かせ大はしゃぎする。 ソーサがホームランを
打つ。子供達は大感激の夜だった。 コナーは自分の進むべき道を確信する。

 コナーは学校に来ている。 コナーが言う「この前のこと誤りたい。・・最悪の
デートだった」 先生が言う「野球観戦ありがとう。・・みんな喜んでいたわ。 子
供達の本当の指導難は信用なの・・・。このままコーチをやってくれないかし
ら・・」

 子供達がグラウンドにいる。 この前負けたチームとの再試合。 コナーがダ
ンボールを担いでやってくる。 「かっこいい、見ろよ!」子供達が新しいユニホ
ームを奪い合うように取り出して、早速着替えしている。 またGベビーにユニホ
ームがない。 がっかりして立ち続けるGベビーに、コナーが隠していたユニホ
ームを差し出す。 「やったーッ」Gベビーは大喜び。

 みんなが喜びの声を上げながら、元気にグラウンドに飛び出す。 両チームと
もファインプレーガ多く、打ちまくって同点となった。 コナーが「タイム」と叫ぶ。
 「よくやった・・・」とほめて、ピッチャー交代を告げる。 次にマイルスを呼ぶ。9
回表のツゥアウト 「マイルス!・・アウトをひとつ取れ!」 マイルスはストライク
が取れず、相手チームに野次られる。 「マイルス!。自信をもて・・・ビッグパパ
が聞こえるか?」 相手からは「ヘボ投手。・・ヘボ投手・・」の合唱。 
 ♪♪ ビッグパパ 今夜ここに 僕の将来の お嫁さんが来る・・・ ♪ マイル
スは自分だけに聞こえる歌に合わせて、腰を振り踊りながら投げる。三球三
振。 コナーは「よくやった!」とマイルスを誉める。 9回裏、2対2の同点だ、
最後の攻撃。 「選手権に出れるか、どうか。大事だアンドレ頑張れ」
しかしアンドレはショートゴロでワンアウト。 次のレイレイがヒットで出塁。 続く
マーフイがレフト頭上を破るかと思った大飛球も取られてツゥアウト。 

 コナーは最年少のGベビーを呼ぶ「ジュリアス!。 ジェファーソンと交代
だ!」。 Gベビーが打席に入った。 ピッチャーがボールを投げる。 Gベビーが
バットを振る。 空振り。

 Gベビーが兄と二人で例の荒れ果てた団地の自宅に帰る。 「今、追い詰めら
れてこの建物に入った。人を打つ気だ。」入り口に身を隠しながら警官が言う。
  ピストルを持った犯人が、団地の中に逃げ込んだと言う。 「何時、入れる
の・・・」 ジャマルと弟のジュリアスは裏口にまわった。 裏口を入ろうとしたと
き、男が飛び出して警官と打ち合いになる。 二人は建物の壁に身体を寄せて
小さく座る。 打ち合いが続き、やがて静まる。 「G,立てよ!戻ろうッ!・・」。 
ジュリアスの胸から血がにじみ、身体をゆすっても動かない。 

 コナーが部屋で寝ていると電話が鳴る。 「エリザベスか?。・・なんて事
だ!」 

 朝、教会でGベビーの追悼式ミサ。 Gベビーの母親が立ち上がり、棺にグロ
ーブをそっと置く。 そして「どなたかジュリアスのために、親しい方々のお言葉
を頂きたい」と言う。 コナーが手を上げる。 「オニールさん、こちらへどうぞ・・」
 コナーが前に出て壇上に上がる。 「ジュリアスは私の野球チームの子で
す。・・・彼は強くて勇敢な子でした。 先日、ジュリアスと言う選手のいるチーム
と強豪チームとの大切な試合がありました。 コーチは《三振でもいいから何も
恐れず振り抜け》と命じて代打に出しました。 ツーストライクとなり絶対絶命の
とき、ピッチャーの投げた球を彼は打ち返しました。 1塁腺にヒットしチームは
勝ちました。 彼は勝利を喜び、1塁上で飛び上がって喜びました。 あの瞬間
わたしは、これはジュリアスが皆に与えてくれた喜びだと思いました。 あの瞬
間だけでも私には価値あることでした。 あの子に死ぬまで感謝します」。 コナ
ーは一礼して静かに席に戻った。

 教会から棺が出る。 コナーは離れてたたずむ。 エリザベス先生が近寄って
きて「感動したわ・・。チームのことで、お話したいことがあるの・・・」と話し掛け
る。 「チームはもう解散したの・・・。選手権は出場辞退することにしたの・・」 
「何でした・・」 子供達がやってきて「試合をしたい・・」と言う。 「本気
か?・・・。」 しばらく考え込んだコナーが「じゃあ、明日1時に・・・」

 アーチャー・リトルリーグ選手権試合。 エリザベス先生がコナーに「指導員と
して働いてほしい」と伝える。 先生は「きっと勝つように応援する」と言って、先
生の方からコナーにキスをする。 コナーは「勝つんだ!。 アンドレ皆を集め
ろ!。 自分達の姿を見て誇りを持つんだ!。・・・」と言うが「でも、8人しかいな
い。・・・8人じゃ戦えない」と気が付く。

 「僕の弟だ・・」と母親に連れられてきた子供が紹介される。 彼は「Gベビー
のために頑張る・・・」と言って黒の腕章をしてくる。 コナーも黒の腕章をつけて
試合に臨む。

 「プレーボール・・」  ♪♪ トンネルの中みたいに暗い ・・・見上げてみても
何も見えない  ・・いつか太陽が見える・・・  何時も僕のそばに・・・・  ♪。
    終わり
                             H14.05.11
 
                    モンスターズ・インク   にリンク
トップへ
トップへ
戻る
戻る