「サウンド・オブ・サイレンス」は ”沈黙の声” と訳されている。 原作は全
米探偵作家協会のエドガー賞を受賞した作品。 マイケル・ダグラスが父親とし て好演し、過去のトラウマのため心を閉ざした少女にブリタニー・マーフィ。 足 を骨折して動けない妻にファムケ・ヤンセン。 8歳の娘にスカイ・マッコール・バ ーツシアク。 誘拐犯にショーン・ビーンが出演している。 監督ゲイリー・フレダ ー。 日本語字幕翻訳 松浦美奈
【ストーリー】
川の向こうに広がる巨大な夜の街、ビルの窓からもれる明かりがダイヤモン
ドを敷き詰めたように光り輝く。
ブルックリン1991年7月の午後4時に5分前。 「カナル通り駅」駅前のガード
の下に車が停まっている。 車の中では、「ドルフインズは走らずパスばかりで ダメだ」 「ジャイアンツに賭けた方が儲かる」 「勝チームに賭けてもあまり儲か らない」 「ノミ屋が喜ぶのはダラスだ」などのんきにアメフトの賭けの話で盛り 上がっている。 緊張した顔の男が神経質に「うるさい、静かにしろ」と注意をす る。
銀行の前に停まった現金輸送車では、荷物の積み降ろし作業をしている。
「さっさと運べよ!・・」 別の車でその様子を見ていた男が舌打ちをして独り言 を言った。 輸送車が去った。 「時間だ!」との男の声で、全員が車の中で覆 面をかむり、駅前ガード下から車を発信させた。 銀行の前に車を乗り付けし て、銃を手に4〜5人の男が銀行内に走り込んだ。 「床に伏せろ」 「動くな」客 に指示をしている主犯格の男が、腕時計を見て「時間は2分」と仲間に告げる。 彼等は貸し金庫室を爆破しドアを破き、金庫も爆破した。 「90秒・・」 貸し金 庫の番号を探している。 「あった!。上へ行け・・」 貸し金庫の箱を持ち出し、 引き出し中の物をかき混ぜて探す。 「ドレもクズばかりだ」 「1分ないぞ」 「必 ずある、赤いダイヤが・・・探せ」 「45秒」 「あった!。」 小さい布の袋を取り 出し中に手を突っ込む。 指先に赤いダイヤをはさんで取り出す。 「見事 だ・・・」 「30秒・・」 「行くぞ!」 街の中をみんな走って逃げる。 二手に分か れ別々の車に飛び乗り逃げる。 銀行はさらに爆発して火の海となっている。
乗りつけた車に戻りフルスピードで逃げる。 走る車の中で「ダイヤを見せてく
れ」興奮した顔で男が言う。 主犯格の男が、袋から取り出して「1000万ドル の赤いダイヤだ」と手のひらに載せて見せながらニヤリと笑う。
10年後、ニューヨーク、ブリッズリーの精神科医ネイサン・コンラッド(マイケル・
ダグラス)の診察室。 女性のパンティを盗んだことで悩んだ患者が来ている。 ネイサンが言う「君がやったことは誰でもやる・・。やらないと言うやつはウソつ きだ」 「秘密は守ります」
ネイサンが勤務後の帰りの車の中から、自宅に電話を入れる。 「パパ
ッ・・!?」子供が電話に出る。 「ジェシー?・・・。きみは8才だけど、しっかりし てるから11歳くらいだぞ。 明日の感謝祭のために何か買って帰ろうかな?」 ジェシー(スカイ・マッコール・バーツシアク)は「七面鳥を買って来て・・・」と声 を弾ませる。 切ったばかりの携帯電話のベルが鳴る。 ネイサンは「うるさ い・・・。よせよ」と電源を切って、携帯電話を助手席に置く。
男の死体が運河に浮かんでいる。 連続殺人事件を追う女性刑事サンドラ・
キャシデー(ジェニファー・エスポジート)が現場に急行する。
ブリッズリー精神病院。ネイサンに同僚の医者サックスが言う「金持ちの娘じゃ
ないが、助けを求めている。 8歳の時父親が地下鉄にひき殺されるのを見た。 精神的に参っている、一生薬漬けにはしたくないだろ。 金持ち相手に前には よく見た症例だ。 君の力が必要だ、5分でいいから会ってくれ」
ネイサンが独居房に入りカルテを見る。 助手のルイスが説明する「食事は食
べず、飲まず、口も利かない。暴れて刺された看護士を救うのに5人がかりだっ た」 「ルイス・・。ほかに言うことは・・・・?」 全身傷だらけの少女がベットの上 に座っている。 「やあ・・・」ネイサンが声をかけるが、鋭い目で黙ってにらみ返 している。 「エリザベス。 私はコンラッド・・・。 私もこの病院に勤めているが 食事はまずい・・・。君にさわることになる」 ネイサンはエリザベス(ブリタニー・ マーフィ)の手に触るが少女は動かない、しかし、おびえている。 傷だらけの 手を持ち上げて離すと、ストンと落ちる。 「緊張症の患者は無反応になる。 つ まり動かないんだ」と言って「私に何かして欲しいことは?・・・」と訊ねる。 「君 は苦しんでいる。 来週話をしよう」 「狙いはやつらと同じ・・・。そうでしょう?」 エリザベスが一点を見つめたまま、身動きもしないで口を利いた。 「エリザベ ス。誰が?・・。何を・・・?」ネイサンが聞き返すと。 エリザベスは「誰にも言う ものか・・・。誰にも・・・」とつぶやいた。
部屋の中、老婦人が一人テーブルに料理を運び、食事の準備をしている。 ド
アのノブが静かに廻り、ドアが開けられる。 「どなた・・・」老夫人が声をかけ る。 男が黙って入ってくる。 驚く夫人を制して「ケーブルテレビはないな?」と 男が聞く。 恐怖に口も聞けない夫人に「ディナーは終わりだ・・」と言ってテーブ ルクロスの端を持ち引っ張ると、料理は食器の割れる音とともに床に散乱した。
ネイサンが自宅マンションに帰って来た。 玄関に入り、部屋を次々調べてい
る。 「女の子を探しているんだけど、何処に消えたかな・・・。もしその子がいな ければ別の女の子を見つけなきゃ・・・」独り言を言いながら、カーテンの陰やベ ットの下、クローゼットの中などを捜す。 娘のジェシーが扉の陰から声を弾ませ て飛び出す。 足を骨折してベットに寝たままの妻のアギー・コンラッド(ファム ケ・ヤンセン)が「遅かったわね」と声をかける。 さらに「なぜ、遅かった の・・・?」と問う。 「仕事だよ」と答える夫に、アギーは「キス2回・・・」と罰則を 要求し、彼はそれに笑って答えた。
運河に浮かんだ死体を引き上げて検視している。 「手を貸しますよ、刑事サ
ン」女性刑事サンドラに検死官が言う。 「マンハッタン橋は工事が間違ってい る。水死体は2〜3日水の中だったようだ」 サンドラが言う「縛られていたよう ね、ロープの跡がある」 さらに「バッテリー公園でも死体が見つかったわよ。 感謝祭は大変なのよ」と言う。
妻のアギーがベットの上に作られた固定枠の上にギブスで固めた足を乗せて
寝ている。 ネイサンがベットに入り、抱き寄せてキスをする。 「静かにし て・・・」アギーが言うと、ネイサンが「声を出すのは君のほうだ・・・」と言い返す。
朝、ネイサンが台所で食事の準備をしている。 「おはよう・・・ジェシー
は・・・?」 ネイサンが大きな声で「ジェシー・・・パレードはじき始まるよ・・・。い ろんな山車を観に行くんだろ?。・・・朝飯が冷えるぞ。・・・ジェシー直ぐ起きなさ い」 「あの子ベランダに出たのじゃないの?・・」妻のアギーが言う。 ネイサン がベランダに出て下を見る。 下の通りは何時もと変わらず人の流れも変わら ない。 「ジェシー・・直ぐ記なさい」 ネイサンがジェシーの部屋を見るがいな い。 玄関の前の廊下に出てみるとソックスが片方だけ落ちている。 姿が見え ない。 ドアチエンが切られている。 「誰かが来て、連れて行ったと思う」 電話 をかけようとしたが、電源が切れていて通話音がしない。 その時、携帯電話の ベルが鳴る。 「娘は預かった・・・」男の声がした。 「一番の恐怖は・・・・?」 ネイサンが問う「娘は・・・」 「取引だ・・」 「断る!」 男が言う「娘と会いたかっ たら次のことを守れ。 ルール1、命令に従え、お前の患者のエリザベスから6 桁のある数字を聞き出せ」 「まずジェシーの無事を確かめたい」 男が携帯電 話をジェシーに渡す。 「パパ・・帰りたい。パパ・・・」ジェシーの声が聞こえた。 妻のアギーがベットの上で起き上がろうとしている。 電話の男が「女房を起こ してやれ・・・」と言う。 (なぜ、妻の動きがわかったのか、考える) 窓の所に 行ってカーテンを閉める。 (向かいのマンションの窓をずっと見回すがあやしい 動きはない。)
男が続ける「ルール2、警察に知らせるな。知らせたらその時は娘は死ぬ」
「判った・・」ネイサンが答える。 「あんたも俺もプロだ約束は守ろう」男が言っ て、さらに続ける「ルール3、期限は今日の午後5時だ」 ネイサンが妻に言う 「言われたとおりにしよう・・」 アギーは「警察に・・・」と言うがネイサンが首を横 に振る。 ”危険な時には携帯も使え”と書いたメモをギブスの陰に置いてネイ サンは外出する。
隣のビルからネイサンの動きをジット見ている男がいる。 エレベーターに乗る
と急いで乗り込んできた目つきの悪い男もいる。 ネイサンは数字の意味を考 える。
死体検案室で女性刑事のサンドラと男性の検察医が話している。 「死因はク
ビが折れている。 2本の手だ。 バッテリー公園の方も手口は同じだ」 今日 中に検査結果を出して欲しいと言うサンドラに検察医が言う「キャシディ、今日 は感謝祭だよ。 指紋と歯は直ぐやっておくけど、それだけで今日は帰るぞ」 「じゃあ、それだけでもお願いね・・・」
ネイサンが車を飛ばしている。 クラクションを鳴らして突っ走っている。 バイ
クの男が後をつけている。 街の中でパレードが通っていく。 ネイサンは車の 窓をあけて、警備の警察官に「私は医者だ、急いでいる。 パレードを抜けた い・・。」 「迂回して57丁目を行け・・」 バイクの男が携帯電話でどこかに連絡 している「デカと話をしている・・。どうする?」 「様子をみろ・・・」と指示が来る。 ネイサンは女の子が急病で急いでいると警察官にウソを言う。 やがて警察 官が「バンドを止めろ!」と合図し、道路いっぱいになっていたパレードを道の脇 に片寄せる。 「サツに先導させパレードを抜けるぞ」男があわてて連絡しネイ サンの後を追う。 ネイサンの携帯に電話が入る「サツの先導とは気にいった。 報酬はゼロだが、家族の命がかかっているんだぞ、数字を聞き出せ」といわ れる。
ブリッズリー精神病院。ネイサンが同僚医のサックスに言う「彼女は10年も精
神病を病んでいるんだぞ、聞き出すことなんて無理だ」
ネイサンが病院の警備員室に入って言う「サックス先生の事務所を開けてく
れ・・・・」 感謝祭の休日で誰もいない事務室に入りカルテを調べる。 午前 10時10分。
妻のアギーがギブスで固めた右足をベットの上の固定枠に乗せて寝ている。
身体の脇に隠していた携帯電話を取ろうとしたらベルが鳴る。 出てみると男の 声で「だんなにルールを聞いただろ、携帯を戻せ。 ダンナの腕を信じていれ ば、家族の愛は深まる」と言われる。 どこかから監視されていることにきずい た妻に「テレビをかけろ!。HDDにしろ」と男が言う。 テレビでは映画を放送し ている。 「この映画は見た、もういい」男はテレビを見ることができる所にいる。
ネイサンは少女エリザベスのカルテを読んでいる。「疲労、うつ病、自殺行
動、・・・・」 同僚医師のサックスが事務室にやってくる。 「ネイサンッ!、何し てる?・・」驚いた顔で聞く。 「彼女のカルテは変だ・・」 「全部目を通した か?・・・」 「いいや・・・。 彼女は他の患者の真似をしている。心的外傷後スト レスは本当だ。 しかし施設には望んで入ったのだ。 20通りの診断は彼女の 演技だ。 この子は頭のいい子だ」
ネイサンが助手のルイスに聞く。 「ルイス、私が彼女を診ると知っているの
は・・・・?」 「私とサックス先生だけ・・・」 ネイサンはエリザベスの病室に急 ぐ「開けてくれ・・・」監視員に鉄格子の入った病室のドアのかぎを開けさせる。 カルテを読みながら、エリザベスに近づく「おはよう。・・・。感謝祭は好き か?。・・」 「先生は?・・。もう一人の先生は・・・・」エリザベスが聞く。 「サック スか?・・・。 来ているよ。・・・君に大事なことを聞きたい。 まず見せたいもの がある。 私の娘の年は8歳、名はジェシーという、彼女のお気に入りを持って きた。 "ドクター・スースの絵本だ”、そしてこれはサリーだ。といってヌイグルミ の人形を見せる。 エリザベスが急に叫ぶ「コンラッド先生出て行って、 いや ッ!。帰って欲しいの・・・先生の目的はわかっている。私を困らせようとしてい る・・・。」
ネイサンが病室で質問している。 「兄の子の名前は?・・。首のマークは?。
質問に答えないのは失礼だ。」 「質問に答えて見せてあげる・・・」エリザベス が言う。 「君が傷つけた看護士は、地下鉄での恐ろしい出来事に関係してい るのか?・・やつらが狙うものは何だ!」 エリザベスが急に騒ぎ出す「出て行っ て!・・・。消えてッ!」 同僚医師のサックスが「失敗だな・・・」といって近寄 る。
エリザベスが人形を離さず持っている。 「しくじったな・・・。もっとよく見ろ」サ
ックスが言う。 12時22分
「カナル通り駅」 新聞に「少女をハート島で保護。 少女はひつぎのそばで保
護された。」と出ている。
女刑事サンドラが、死体検案室にいる。 ネイサンから電話がかかってくる。
サンドラが言う「首を折られた男の身元がわかった。逮捕暦が20回ある。 彼等 は各地で銀行強盗を行っている。 殺された男は運転手役よ」
ネイサンがエリザベスの病室にいる。 エリザベスがヌイグルミを手放さない
「ジェシーはどこ?・・」と聞く。 「連れ去られた・・・。あの子はおびえているはず だ。 君ほど強くない」 「私は君を助けるためだけに来たのじゃない・・・。 君 の力を借りないと娘は帰らない。 教えてくれ誰と会った・・・」 「パパと・・私と パパと・・・・」 「あの町で何があった・・・。あの日に戻るんだ。 やつらの目的 は少しだ・・・」 「やめて・・・」 「数字は何だ!・・。住所か?・・電話番号 か?・・銀行口座か・・・」 「パパをいじめないで・・・」 「父さんはいない・・・。死 んだんだ・・私の娘はまだ生きている」 「コンラッド先生・・私こわいの・・・」 二 人は手を取り合って、見詰め合った。 エリザベスがヌイグルミを抱きしめる。
娘のジェシーが閉じ込められた部屋の中で、監視をしている男に言う「私、朝
から何も食べてない。・・チーズバーガーがいいわ・・・」男がドアにカギをかけ て、買い物に出かける。
エリザベスが記憶をたどっている。 父が赤いダイヤを持って逃げる。 医者の
サックスが言う「もう少しで思い出す。睡眠薬を飲ませれば・・・」 サックスの 電話が鳴る。 「すべて順調だ。・・別の方法でやる」 誘拐犯からの電話。 「愛人が誘拐されている」サックスが言う。 「私の方は娘だ!・・」ネイサンが言 う。
娘のジェシーは窓から外を見る。(見慣れたマンションが隣に見える) 男がパ
ンを買ってきてくれる。ピーナツバターとゼリーを持っている。
女刑事サンドラが病室にサックス医師を訪ねる。 「キャシデーです」 「何の
御用で・・・」 サンドラは女性の写真を見せる。 サックスは「見覚えない」と言 う。 「5ケ月前実習生としてこの病院にいたんだけど・・・」 「それなら知ってい るはずだ。」 繰り返し「知らぬ・・」と言う。 「これは先週セントラルパークで殺さ れていた女性で、私はサッシュ郡の刑事です」 サックス医師が言う「これは サラじゃない・・・我々の相手は・・・」 サンドラが口を挟む「我々とは誰・・・・」
娘のジェシーは窓際の換気口のそばに行って、何時も口ずさんでいる歌を唄
う。 ジェシーは外の景色から自分が捕らわれている部屋が、自分達の部屋の すぐ上の部屋であることに気づいて、母に聞かせていた。 「おい、音が漏れて るぞ。頭の切れる子だ」 「女に漏れたかも知れない、女の様子を見ろ」 「カメ ラをもっと近づけろ。何をしていた」 「女は気が付いた・・・」 ジェシーが換気口 に向かって「ママ!・・上の階にいるのよ」と叫ぶ。 誘拐犯のボスが司令を出す 「女を始末しろ・・」
ネイサンは警備室に行き、警備員を襲い注射をしてピストルを奪う。 「1時間
で戻る。・・軽い神経抑制剤だ」ネイサンはサンドラと病院を出る。 「警備員が 一名襲われた」病院の中は大騒ぎになっている。
ネイサンはエリザベスも車に乗せて、車を走らす。 「カナル通り駅」へ
妻のアギーが松葉杖をついて、隣の部屋に行く。 部屋の中にはアギーの寝室
だけでなく、コンラッド家の部屋内を写している監視カメラのモニターが3台もあ る。 部屋の住人であるところの老婦人が殺されて毛布をかけられている。 ア ギーの動きはこの部屋から監視されていたのだ。 部屋にいた男が「何の真似 だ!。くそアマ!」と襲ってきてアギーの首をしめる。 アギーは足のギブスの中 に隠していた短刀を抜いて、飛び掛ろうとする男の胸を一突きで倒す。
ネイサンはエリザベスと「カナル通り駅」に着く。 人を掻き分け「どけ!。 ・・
思い出せ!。ここで事件が?・・・」 「いいえ。・・パパと私、・・大きい手が・・。 パパはすごくおびえていた。 私の腕をつかんで、地下鉄の出口に向かって走 ったの」 「さあ、降りてみよう・・」 「人が大勢いたわ・・パパは走って逃げた の・・後ろを振り向くとさっきは三人いたのに、一人いなくなっていたの・・・気が つくと前に一人いたの」 「パパは『いいか、お前はそこに隠れていろ』と言って 逃げたけど、直ぐにホームで取り囲まれカバンの中味を全部引っ張り出したの」 彼等はパパに「何処にある・・。何処だ!。・・このやろう」といって責めたの。 「赤いコートの男がパパを蹴り上げ、『頼む、助けてくれ・・』というパパを誰も助 けては呉れなかったわ」 「男達はパパをホームから線路に落したの。・・・」 ち ょうど列車が入ってくる。 手を上げて列車を止めようとする父の姿をエリザベス は目の前に見た。 ネイサンが聞く「やつらは何を狙っていたんだ・・・」 エリザ ベスが言う「私の人形よ・・・」
誘拐犯から電話がかかってくる「娘が殺されるぞ。 あと7分しかない!。」 ネ
イサンがいう「ルール2、娘と話したい」 「パパでしょ。・・早く助けて・・・」 「す ぐ行く・・・これから電話はするな!」と言って自分の携帯電話をゴミ箱に捨て る。 電話のベルがゴミ箱の中で鳴りつづける。 ネイサンは「医者だが緊急事 態で電話を借りる」と通りがかりの男の電話を取り上げる。
ハート島に向かってネイサンとエリザベスが夕暮れの街に車を走らせる。 ハ
ート島行きのフエリー乗り場は閉門後で、鉄のクサリが門に張ってある。 ネイ サンはかまわず車でクサリを破って、フエリー乗り場に入り、港に係留中のボー トに勝手に飛び乗ってエンジンをかける。 「おまえら何してる!・・・おれのボー トで何をする」男が叫ぶが二人の乗ったボートは島を目指して走る。
ネイサンとエリザベスは島に着いて無縁墓地に入る。 急にピストルを突きつ
けて男が現れる。「コンラット先生・・。よくここが判ったな・・」 男は誘拐犯のボ スのコスター(ショーン・ビーン)。 「娘は何処だ!。今すぐ会わせろ・・」 「エリ ザベス。・・・10年間かたときも忘れなかった。・・お前の父親のせいだ・・。数字 は?。・・先に番号を?。」 ネイサンのピストルを見つけて「これは必要ない。」 と取り上げる。 ネイサンが言う「娘に会わせろ・・」 娘のジェシーが走り出る 「パパ!」 「大丈夫だ」ネイサンが声をかける。
「数字は墓の番号だ」 「上に行け」 コスターがピストルを突きつけて、二人を
丘の上の空き小屋に連れてゆく。 テーブルに二人を座らせる。 「娘はダメだ 外に連れて行け」コスターがジェシーを小屋の外に出す。 「ジェシー・・・。怖が らなくて良い」ネイサンが娘に言う。 エリザベスが話す「ボートで発って、この島 には始めて来た。 汚くてじめじめしていた。」 「どこに番号があった?・・」 「棺おけの蓋に張ってあったの・・・。蓋は重すぎてミシュカ(人形)を入れられな かったの・・」 「私の口ビルが真っ青だったので毛布を呉れたの。」 「男達がミ シュカもパパと一緒に土の中に入れてくれたのネ」 エリザベスが番号を言う。 ”802218” エリザベスは昔を思い出して泣く。 「探しているものが見つか ればやつはお前を殺す」サックスが言う。 「私と娘をお前に殺させるわけには いかない」 「お前は娘が好きだろう?・・」コスターがこう言って墓の台帳を探し 出し、802218の墓の場所を確認して棺を掘り始める。
「感謝祭にクルージングの真似事かね」島に向かうボートに、女性殺人事件を
追う女刑事サンドラと警察官が乗っている。
「マークス、開けろ!」コスターが言う。 マークスがひつぎの蓋を開けると、そ
こには髪の長い女性の白骨死体が入っていた。 他人の墓だった。
「もう一度番号を言え!。」 「番号はもういい、父親の所に行け・・」コスターが
言う。 「番号はさかさまなのだ。”815508” 」 (その時ジェシーは気分が悪 くて床に寝ていてので、標識札を下(裏)から見ていた) 標識番号815508 の墓を改めて探して掘る。 蓋を開けるとジェシーの人形ミシュカがある。 コス ターが人形を取りだして腹を破く。 おなかの中から布の袋が出てくる。 袋の 中に手を入れて赤いダイヤをつまみ出す。 「おれの10年間がやっと救われ た・・・。おい、こいつ等を始末しろ!」 コスターに言われて、部下のマークスが スコップを振り回しネイサンに襲い掛かるが、ネイサンは辛うじてよける。 コス ターが笑ってみている。
「銃を捨てろ・・・」女刑事のサンドラが声を張り上げる。 サンドラは殺人事件
を追ってハート島に来た。 サンドラの追う犯人はコスターだった。
コスターが墓穴の中にダイヤの入った布袋を落し、ネイサンに拾えと言う。
ネイサンが言う「俺はお前とは違う。 こんなものに命をかける価値があるの か?・・・。お前の命と引き換えなら拾っていい・・・」 「なら・・拾ってみろ・・」 墓 穴のそばに棺を穴に降ろすための、木製の滑車がある。 「撃て!・・」サンドラ の声で銃声が響き、撃たれたコスターが滑車のロープにすがる。 ネイサンが ロープを切る。 墓穴に落ちたコスターの周りの土砂が崩れてくる。 コスターが 必死に逃げようとするが、壁のような土砂の崩れが逃げる彼の後を追いかけ る。 迫り来る列車の前で逃げようとするエリザベスのパパと、土砂の崩れから 逃れようとするコスターの姿がダブる。 コスターも墓も埋まってしまう。 エリザ ベスがパパを思い出して泣いている。
母のアギーがジェシーを迎えに来る。 刑事のサンドラが身体を心配して「どん
な具合いか?」と聞きに来る。 エリザベスをタンカで救急車に運ぶ。毛布に包 まったエリザベスが、手招きをしてジェシーを呼ぶ。 ジェシーが走りよって、搬 送されるエリザベスの手を握る。 二人は眼でうなずき合う。薄明かりの墓地の 中夜明けが近い。 終わり H14.06.17
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