父親は皆、息子にとって英雄です。 父親は息子に何を伝えられますか?。 アル・カポネ亡き後のギャングの
世界を舞台に、二組の父子を通じて親子の愛を描いた感動のアクション叙事詩です。 主演のトム・ハンクスは93年「フイラデルフイア」で、エイズに感染した弁護士の役を演じてアカデミー最優秀男優賞を。
続く94年「フォレスト・ガンブ」で2年連続受賞という快挙を成した遂げた。 ギャングの首領を演じるポール・ニューマン は1925年生まれで、銀幕には53年デビユーの誰知らぬもの無い大物俳優。 殺し屋を演じるジュード・ロウは14歳の 時から舞台に立ったという俳優、2001年の「スターリングラード」の狙撃主の役は忘れられない。 一家の長男マイ ケルを演じるタイラー・ホークリンは、2000人の候補者の中から選ばれた新人とは思えない13歳の少年。 【キャスト】
マイケル・サリヴアン =(トム・ハンクス) 主役となるマフイアの幹部でサリヴアン家の父親。
マイケル・サリヴアン・jr =(タイラー・ホークリン) サリヴアン家の長男、父親と逃亡する。
アニー・サリヴアン =(ジェニファー・ジェイソン・リー) サリヴアン家の母親。次男とともに射殺される。
ピーター・サリヴアン =(リーアム・エイケン) サリヴアン家の次男。母親とともに射殺される。
ジョン・ルーニー =(ポール・ニューマン) サリヴアンを実の子のように可愛がるギャングの首領。
コナー・ルーニー =(ダニエル・クレイグ) 首領ルーニーの長男で、父がサリヴアンを可愛がるのを妬んでいる。
マグワイア =(ジュード・ロウ) フランク・ニッティが差し向ける殺し屋。
フランク・ニッテイ =(スタンリー・トゥッチ) アル・カポネ亡き後に実在したシカゴのギャングの首領。
一人の少年が波が打ち寄せる湖のほとりに立って静かに語りかける。
”僕の父マイケル・サリヴアン。 彼はいい男だった。人は彼のことをワルという。 1931年の冬、僕は6週間彼と旅をした。 これは彼と僕との物語である。”
一面雪に埋もれた銀世界。イリノイ州ロックアイランドの町。丘の上から麓に向かって踏み固められた蛇行した一本道を、自転車に乗った少年が駆け下りてくる。「工場で死亡事故」と大きく見出しのついた新聞を手に、労働者が工場に出勤を急ぐ。 人の流れに逆らうように少年は進み商店に届け物をする。店主がちょっと目を離した隙に少年マイケルは、カウンターに手を伸ばしてすばやくポケットに仕舞いこんだ。
家の前自転車を降りて玄関に急ぐマイケルに、いきなり何処からか雪球が飛んできた。 マイケルも負けずに投げ返す。弟のピーターとの雪遊びを二階の窓からガラス越しに母のアニーが観ている。穏やかな充実した生活を思わせる母がいる。
夕食の準備をしている母のそばで、二人は勉強をしている。 「父さんを呼んで・・・」と母がマイケルに言う。 マイケルは父の部屋に近づいた時、ドアが開いたままの部屋で着替えをする父が見えて立ち止まる。 上着を脱いでポケットの物をベットの上に放り投げている父が、ピストルを取り出して無造作に投げた。 「父さん食事だよ・・・」 食卓を囲み、家族皆んなでお祈りをして食事を始める。
「マイケル通夜に行くんだサイコロは観たくない」父サリヴアンが息子に言う。車に乗って家族四人はギャングの首領ルーニーの豪邸に行く。父のサリヴアンはこの街を牛耳るボスのジョン・ルーニーに息子のように可愛がられている。
「僕いやだ・・・怖いよ」弟のピーターがむずかる。 父とマイケルがひつぎの前でひざまづく、棺から水滴が落ちている。 「氷で死体を保存するのだ・・・」と父が説明してくれる。
「マイク元気か・・・・」ルーニーが二人の子供達を暖かく迎えてくれる。 ルーニーは子供達を孫のようにいつも可愛がり一緒に遊んでくれる。 遊びのゲームに勝ったマイケルに「金は書斎の上着のポケットにある。取って来い」 と命じる。 マイケルは書斎に行く。 「やあ、サリヴァンの息子だったか?。」と電気を消した部屋から声をかけてきたのは、ルーニーの実の息子のコナーだった。 コナーは父とサリヴアンのそんな親密さを苦々しく思っている。 「マイケルです」 「コナー叔父さんと呼べ・・・。何の用だ?」 「ルーニーさんの上着を取りに・・・」 「自分で取りに行けといえよ・・・」
通夜の席に集まった人たちにルーニーが挨拶を始める。「皆も聞いてくれ・・・今夜は大勢良く来てくれた。父リーが逝ってから、この家の中をうろつくのはダニーと一緒の時くらいだった。そのダニーとももう会えない・・・・」 同僚ダニエルの通夜の席でルーニーは、ダニエルの思い出話を続ける。 「彼が無事に天国に行き着くことを祈って、乾杯!」
続いて無くなったダニエルの兄のフインが酔った勢いで挨拶に立ち、ルーニーに批判的なスピーチを始める。「弟ダニーは永い間あなたに使えて働いてきた。うそも無く言い争いも無かった。だのに弟にあなたは無理難題を押しつけ、あくどい仕事をやらせてきた・・・」
サリヴアンが話を止めて彼を車に押し込み家に帰した。 コナーが「埋葬を終えたら片付けるぞ・・」と怒り立つのをルーニーは「話だけだぞ・・・いいな」と一言注意した。 マイケルはこれらのやり取りを玄関の外まで出て見ていた。
パーテーが始まり、ホールでは皆が踊り始める。 部屋の隅のピアノが静かに音を出す。ルーニーが片手で引いている。そこにサリヴアンが並んで座り一緒に鍵盤をたたく。何時の間にか踊りが止まり、みんながピアノの周りを囲んでいる。 演奏が終わって周りから一斉に拍手が沸き起こる。
コナーがマイケルのそばにやってくる。マイケルが聞く「どうしていつも笑っているの・・・?。」 「死ぬほどおかしいからさ・・・」
マイケルとピーターが部屋でベットの中にいる。 マイケルが弟に話し掛ける「ルーニーさんの家の怖い夢を見た・・・。父さんの仕事って知ってるかい」 「知ってるよ。ルーニーさんの仕事の手伝いをしてるんでしょ」 「ルーニーさんの仕事は危険だから銃を持っていくんだよ」
朝、食卓に揃って家族での食事中父が突然言い出す「今夜の音楽会だが、仕事と重なって行けないことになった」
夜、雨の中、父が車庫から車を出して出かける。途中でコナーを載せてどこかに向かう。父サリヴアンが聞く「やつと話すだけだろ」 「もちろん」
後部座席が持ち上がり、隙間から息子マイケルの顔が一瞬見える。 車は無くなったダニエルの兄フインの家の前で止まった。二人は後部座席に置いてあったトランクから拳銃を取り出して家の中に入っていった。 這い出してきたマイケルは助手席で様子を見ていたが、家の様子を探りに車を降りて家に近づく。 中から声がするほうを探していると、ドアの下が破れていた。 コナーが言う「フイン・・君には同情している長い付き合いでわかるだろ。」「悪かった・・・・」「よし、ありがとう・・改めて悔やみを言うよ。家族のために口はつぐむか?・・・弟は帳簿をごまかしていた。」 「やくざな弟に立派な葬式を出してもらって・・・」 いきなりピストルの銃声がしてフインが倒れた。 続いて機関銃が連続音をとどろかせてフインの身体に打ち込まれた。 ドアの下で動くものがあることに二人は気づき外に出る。 マイケルは必死に逃げようとしたが、高い塀と門のところで行き止まり座り込む。 追って来たサリヴアンが息子と気づく「何てことだ・・・マイケル。・・観てたのか」 コナーも来る「俺の子供だ・・・」マイケルは震えて立つことも出来ない。 「口は堅いか?」「俺の息子だ大丈夫だ」 「俺は歩いて帰る、じゃあつれて帰れ・・・」
帰りの車の中。父に聞く「母さんは知ってるの?・・」 「ルーニーさんとの絆はこうして強く結ばれている。それでこれまで生きてこれた」
家に帰るが寝付かれない。父がベットのところに来る。あわてて寝たふりをする。父はそっと額にキスをして出て行く。少し眼を開き観ると父が銃を戸棚に仕舞いカギをかけている。
ボスのルーニーがサリヴアンに聞く「マイケルの様子はどうだ・・・・」 「解かったようですがショックだったようです」 「自然の掟だ。息子は父親の盾になるために生きている」
組織の幹部会でボスのルーニーが挨拶をしている「多忙の中来て頂いたランス氏には感謝する」。 コナーに向かって「コナー昨夜の出来事で言いたいことは?・・・。 良い男をまた失った。・・1ヶ月に二つも葬式を出そうとは・・・」 ドン!とテーブルをたたき声を張り上げて「皆さんに謝罪しろ!!」と叫んだ。 ランス氏があわてて「小額の取立てでも依頼します・・・」と言って頭を下げた。 コナーは父への恐れとサリヴアンへの嫉妬、憎悪で皆が席を立った後も一人残り、目をつむりフインを殺したことで、父に責められた悔しさと恨みに震えていた。
コナーはサリヴアンを呼んでチンピラのギャング。トニー・カルヴイノのところに取り立てに行くようにと命ずる。 サリヴアンは一人でクラブに出かける。用心棒がボデーチェックをしてピストルは取り上げる、エレベーターに乗る。 サリヴアンが来たことを連絡されたトニーは机の上に銃を置き、広告紙を上に広げて彼を待った。 サリヴアンは店内を通って事務所に入る。 「カルビーノさん、サリヴアンです。」 「銃は?」 「取り上げました」とボデーガードの男が言う。 「それで用は?・・」 「ルーニー氏からの手紙だ・・・」 封を開き読んでいるトニーの眼が何度もサリヴアンを観る。店内の激しい音楽の振動で机の上の広告紙がずれて、ピストルが覗いている。 トニーが手を伸ばしてピストルを取ろうとしたとき、すばやくサリヴアンがピストルを奪ってトニーとボデーガードを打ち抜いていた。 サリヴアンが机に残った手紙を読むと「サリヴアンを撃れ。貸し金はチャラにする」とあった。
マイケルが学校の教室で友達とけんかをする。居残りをさせられて黒板全面に”僕はもう友達とはケンカをしません”と何度も書いて家に帰る。たまたま帰るのが遅れたマイケルが自転車で家の前まで帰った時、二階の窓から閃光と銃の発射音が二度聞こえた。身を潜めているマイケルの前を、洗面所で身繕ろいを質したコナーが出ていった。部屋に入ったマイケルはその場に座り込みただ号泣するだけだった。
家族の身の危険を感じたサリヴアンが、急いで家に引き返すがそれは妻アニーと次男ピーターの惨劇の後だった。サリヴアンも泣き喚き父子はただ強く抱き合うのみだった。
コナーは父ルーニーにサリヴアン一家の殺害を打ち明ける。ルーニーのもとにはサリヴアンの逆襲も伝えられている。「ガキの口封じとは情けない。俺はお前がこの世に生れ落ちたその日を呪う。神よ・・お救いを・・・」
サリヴアンが息子マイケルに言う「ここはもうお前の家じゃない。必ずお前を守る」 マイケルを守り、コナーに復讐するために、父子は車に乗ってこの街を出る事にする。 とあるビルの前で車を止めたサリヴアンは「逃げてもやつ等はお前を追ってくる。30分で戻らなかったらワンチ神父のところに行け」と言う。 「僕要らないよ」と言うのを「6発弾が入っている」とピストルをマイケルに渡して彼はビルの中に消えていった。協力を仰ごうと立ち寄った仲間の所にもコナーの声はかかっていた。「俺はただの伝言係だ。ルーニーさんに伝える」と彼は逃げる。
再び父子は車を走らせる。「何処へ行くの?」 「シカゴ。・・・少し寝ろ」 しばらく眠ったマイケルが眼を覚ましたとき見たのは、ビルの立ち並ぶ街だった。 シカゴでアル・カポネが逮捕された後の街を牛耳るフランク・ニッテイをサリヴアンは訪ねた。
ビルの待合室にある空席を見つけて、サリヴアンが「ここで待ってろ。直ぐ戻るから・・・』といって奥に入いっていった。
「やあ・・マイク良く来た。 事件のことは聞いたよ。・・・大変だったな」顔見知りの男が案内してくれる。ボデーチェックを受けてエレベーターに乗って階上へ。
一人で寂しくなったマイケルが、悲しい事件を思い出してシクシク泣き出す。隣の席の男が心配そうに覗き込む。
ニッテイは「待たせて悪かったマイク・・・。全部聞いたよ・・・。それでこれからどうする、私に何か頼みでも・・・?」と切り出す。「私を使ってください」 「驚いたな・・・。」 「代りに俺のすることに眼をつむっていてほしい。妻と子のアダを討ちたい」 「私は君を克っている。働いてもらいたいがダメだ」 「庇護する人間がいたから、君は今まで生きてこれた。これからは孤独だ。・・・君は単身孤独だ。」 「もうコナーの味方か・・・」 「家に帰れ。妻と家族を葬ってやれ。」 サリヴアンは席を立つ。エレベーターに乗ると続いて用心棒らしき男が乗り込む。ドアの閉まる直前に廊下に飛び出して逃げる。
支援を仰ぐつもりで訪ねたニッテイのもとに、すでにルーニー親子が来ていた。二人の息子の間で悩んだルーニーは、出来が悪くても血の繋がったコナーを選んだ。 ルーニーが言う「やつがこの建物にいる間にやってしまえ。サリヴアンと思わずただの男と思ってやれ」 コナーが聞く「子供も?・・・」 「子供はやるな・・」 「殺しにうってつけの男がいる。前にも頼んだことがある。」
「2分だけ、席をはずせ」監視の警官に金を握らせ、殺人現場の写真を撮っている男はマグワイア。彼は表向き特殊写真のカメラマンを装っているが実は殺し屋。胸に短刀が刺さったままのこの死体も、撮影中に男が息を吹き返すがハンカチで口を押さえて殺してしまう。ニッテイはこの殺し屋を二人に差し向ける。
サリヴアン父子は美しい湖のそばに一人で住んでいる伯母のサラを訪ねることとする。バーディション(地獄)という名の街である。サリヴアンが言う「いい所だ。覚えてるか?」 「四つか五つの頃行った。犬がいたのを覚えているよ」 二人は車を走らせる。
墓地で母アニーと次男ピーターの埋葬が行なわれている。ルーニーもコナーも何食わぬ顔で立会い祈りをする。
サリヴアンが葬儀のためロックアイランドに来ている伯母のサラに電話をする。「俺たちは元気だ。・・・葬式はどうなった?」 「2日後には家に戻るは・・・」 サラを見張っていたマグワイアが切られた直ぐ後の電話を持ち上げる。 「交換手!。話の途中で切れた。繋ぎ直してくれ・・」発信地を確認した。
日が暮れて国道沿いのレストランを見つける。駐車場に止めて「何か食うか?・・・」 「要らない」 「ずっと食べる所は無いぞ・・・」 サリヴアン一人がレストランに入る。
マグワイアが国道を後を追う。 レストランに座っているサリヴアンが見える。駐車場に滑り込んだマグワイアは、車の中のマイケルには気が付かない。 サリヴアンの前の合い席に座り「スペシャルを・・・」 ウエートレスが「何でもスペシャルよ・・」と冗談を言い合う。 サリヴアンにも「仕事は何かね?」と聞いてくる。「セールスマンだ、機械のね・・・」。 やがてマグワイアはカメラを取りだしフイルムを入れる。 「それがあんたの仕事かい?」 「新聞社の報道カメラマン。かなり特殊な写真を撮る。・・・死人を撮っている。死体は面白いよ・・・」 サリヴアンは小便に行くと行って席を立つ。 マグワイアはテーブルの下で銃を出して弾の装填を確認する。 カウンターにいた男が食事を終えて外に出るが、すぐに忘れ物をしたとトイレから入ってくる。 マグワイアはトイレが外に通じていることに気づき、外を見るとサリヴアンが駐車場を出るところだった。外に出てみると自分の車はタイヤがパンクされている。
「俺の言うとおりにするんだ。食事も一緒に取れ」 「伯母さんの家までは無理だ。・・やつが追っている。父さんの言うとおりにしてたら、二人ともやられる。」 サリヴアンが言う「カポネを利用するんだ。お前の手助けが必要だ」。 サリヴアンはマイケルに車の運転を教える。ギクシャクしていた運転もそのうちうまく走れるようになった。 銀行に行く。 ピストルを突きつけて「カポネだけの汚れた金を寄越せ!」 「やられるぞ」 「勤勉な農夫の稼いだ預金がやられたと報告しろ。・・・手数料だ」といって札束を二つ握らせた。 「名前はサリヴアンだ。受け取りのサインをしようか?」と言って出て行った。
サリヴアンは次々と銀行を襲う。マイケルが外で車で待っていてサリヴアンを載せて逃げる。 二人は木箱の中に奪った金を放り込む。 マイケルが言う「いつ僕の取り分は呉れるの?。」「いくら欲しい?」 「200ドルでは?」「よかろう200ドル」(何万ドルという金がある)
レストランでルーニーとコナーが食事ををしている。コナーが電話に出る「親父はもうオンボロだ。次は俺のものだ」
サリヴアンが銀行を襲っている。「銀行に金は有りますが、カポネの金はもうないんです。計理士が2日前に来て、全部出して行きました。」
サリヴアンはマイケルと二人でホテルの前に来た。「万一の時はクラクションを鳴らせ。車から出るなよ・・・いいな」 「いいよ」 サリヴアンが車を出てホテルに入る。 フロントで部屋番号を確認する。 部屋に行ってノックをする 「空いてるよ、ルームサービス随分早いね・・」 後ろも見ないで男が話し掛ける。 「ランス君久しぶりだね・・・」 「その銃を降ろしてくれ・・・」 「この部屋がどうしてわかった?」 「そりゃ解かるさ、ホテルの最高の部屋を探せばいいんだから・・・」 「帳簿を渡せ!」 「帳簿は渡せない。」 「脅しじゃないぜ」とピストルを突きつける。 「帳簿は隣の部屋にある。」 向かい側の部屋から、この部屋の異常な動きを監視していた男が長身の銃を持って駆け出す。 車の中で本を読んでいたマイケルは、男のつまずいた気配に外を見ると隠した銃の先端が見えた。 男は銃を持って二階に駆け上がった。
サリヴアンを隣室に案内した男は、箱の鍵がどれか忘れたと時間稼ぎをする。やっと開けるが箱の中は空っぽ。 マイケルが危険を知らせるために、クラクションを押す。クラクションが鳴りつづける。 サリヴアンは帳簿を持っている男を射殺して、カバンを奪い逃走するが、撃った銃の弾がサリヴアンの左肩にあたる。サリヴアンは傷がもとで熱をだす。だんだん意識も遠のいてくる。 二人は道路沿いの老夫婦の住む農家に飛び込む。 老人は短刀を火で焼いてピストルの弾を取り出してくれる。 老夫婦の手厚い介護でサリヴアンは元気を取り戻す。 老婦が聞く「これから何処へ?・・・」 「これ以上長居は出来ない。迷惑をかけてしまった」 窓の外では老人とマイケルが畑を耕している。 「良く働く子よ。・・わたしたちは晩婚で子供がいないの。子供との生活がこんなに楽しいものと気付かなかったわ」
サリヴアンが奪ったカバンの中の書類を見ている。 マイケルが部屋に来る「父さんはピーターの方が好きだった?」 「どちらも愛していたよ」 「でも、僕とは接し方が違っていたよ」 「たぶんピーターが可愛そうだったからだろ・・彼に比べるとお前は俺似だった。差別すると言う気はなかったが・・・」 「寝るよ」 「お休み・・・」 マイケルはイスに座ったままの父親の背中越しに、首に手を回し無言で抱きついている。サリヴアンも動こうともしないで待った。マイケルは手をほどく黙って部屋を出て行った。
「マイケル・・起きて荷物をまとめろ」父に起こされて二人が荷物をまとめ、仕事だといって車で出発する。二人を見送って車庫に帰るとカバンが残されている。二人が開けてみると中には札束がびっしり入っていた。
ルーニーが教会でお祈りをしている。後ろの男が声を掛ける。振り返るとサリヴアンがいる。「話をしたい」 「ここで・・・」 「階下へ・・・」 二人はガレージで向き合う。サリヴアンはカバンを差し出す「中に帳簿がある、観てくれ、コナーはあんたの金を盗んでいた」 「お前は俺の息子同然だ。・・彼は厄介者として消される。お前も俺も人を殺してきた。・・・お前に約束できることは一つ、俺たちは誰も天国には行けない。・・・・マイケルだけは行ける。・・・頼む今すぐ発つのだ、その後は失った息子のことを思い悲しみに浸ろう。」
雨の夜、サリヴアンが部屋で箱に入った機関銃を取り出し組み立てしている。マイケルが寝ているベットから見える。 「どうするの?」 「一つだけやることがある。ベットに戻れ」 サリヴアンが手紙を書く ”マイケルへ・・・ ” 手紙を書き終えてベットのそばに置き、サリヴアンは銃を持って部屋を出た。
ルーニーが子分を6〜7人連れて外出するため外に止めた車に向かう。雨が激しく降っている。 ルーニーが車のドアの取っ手を持って中を見るとすでに動かなくなった息子のコナーが座っている。 振り返る間もなく、何処からとも知れない銃声が連続して響き、周りの男たちが倒れていった。
ルーニーのみが動くことも無く取っ手を持って立ちつづける。 静かに振り向くルーニーの前にサリヴアンが立ち、二人は向き合う。 「お前でよかった、悲しみに泣きながら死ねる・・・」ダダダダダッ銃声が続いてルーニーが倒れ込む。 周りのすべての窓のカーテンの隙間から住民がこの惨劇を見ている。
「カポネ親分は?・・・」 「レキシントンホテル、1432号室」サリヴアンは電話で男と話す。 「それもすべてを終わりにしろと・・・」 サリヴアンはホテルに行って廊下で銃を抜く、部屋に入り浴室にいた男に3発打ち込んで悠然と帰っていった。
部屋でマイケルは起きて待っていた。 マイケルは父に走り寄り、二人は何も
語らず強く抱き合った。 サリヴアン父子は車で田舎の道を走り、湖が見える丘で車を降りた。 二人は肩を並べ波打ち際を歩いていった。 やがて家が見えた。「あの家、あの家だ!。・・ほーらね、あの犬だ」犬が遠くから走り寄るのが見えた。 サリヴアンが家に入る「サラ!。俺だよ・・・着いたよ」 部屋の中はがらんとして物音も無い。 遠くの水際でマイケルと犬が遊んでいるのが見えるが、打ち寄せる波の音も聞こえない。 背後からいきなり銃声がしてサリヴアンの身体が崩れ落ちる。 マグワイアが銃を置いて写真機の三脚を組み立て始める。 激痛に顔を歪めるサリヴアンに「笑えよ・・・」とマグワイアが言う。 シャッターを切る。
背後にマイケルが銃を構えて立っている。「バカはよせ。・・・よこすんだ」。 マグワイアが手を出してジワジワと距離を詰める。マイケルは引き金が引けない。 手が届きそうになった時、銃声とともにマグワイアが崩れ落ちる。 倒れた父が後ろから撃ってくれた。 「撃てないでいた」 「解かっている。・・・ごめんよ。・・・許してくれ」 血に染まったサリヴアンはやがて動かなくなった。「父さん!。・・父さん!父さんッ!・・」 頭を抱え込んで泣くマイケルの横に写真屋マグワイアの死体があった。 "父が怖れていたのは、僕が父と同じ道を歩むことだった”
マイケルは車を飛ばして老農夫の住む家に行く。老夫婦が出迎える・・・・。
”でも、僕はその年の6週間に人生を生きた。 マイケル・サリヴアン いい男だった。
彼は僕の父でした・・・簡単な答えです・・・。” = 終わり = H,14,10,12 鑑賞
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