ギャング・オブ・ニューヨーク 

 構想30年、制作費120億円、アメリカの移民のルーツを描いたアカデミー賞最有力候補の作品。    主演は世界中の女性を” タイタニック ”で魅了したレオナルド・ディカプリオ。
 競演も今ハリウッドで最も人気のある女
優、キャメロン・ディアス。   監督マーティン・スコセッシ。  
                                     日本語版翻訳   戸田奈津子。
  
 【キャスト】

アムステルダム・ヴァロン(レオナルド・ディカプリオ) 子供の頃、父を目の前で殺され孤児となる。
           父を殺したギャング団のボス、ビルへ復
讐を誓う。
ジェニー・エヴァディーン (キャメロン・ディアス)  ギャング団のボス、ビルに守られニューヨークの街に生きる美女のスリ。
ビル・ザ・ブッチャー   (ダニエル・デイ=ルイス) 昔、アムステルダムの父を殺し、今はニューヨークのギャング団を
          支配しているボス。

ヴァロン神父  (リーアム・ニーソン)  アイルランド移民たちのリーダーで、アムステルダムの父親。
ジョニー   (ヘンリー・トーマス)   アムステルダムの幼い頃からの友達。 ビルの手下となっている。
ハッピー・ジャック (ジョン・C・ライリー) ヴァロン神父と共に戦ったが、神父の死後、ビルの手下になった警察署長。
マックグロイン (ゲイリー・ルイス)  ヴァロン神父の腹心だったが、神父の死 後、ビルの右腕として働く男。 短髪白髪の男。
モンク・タマニー  (ブレンダン・グリーソン)  ビルの支配するギャングとひるまず最後まで戦う男。
ウイリアム・トゥイード(ジム・ブロードベント)  ビルと手を結んで裏社会に通じた政治家。
                                 
    【ストーリー】
 男が閉じていた眼を開ける。 ナイフで顔の髭を剃っている。 子供がそばで見ている。 男はナイフを頬に押さえる。 ナイフに血が流れる。 「いかん!。拭くな!・・・血はそのままに・・・今に判る・・」 父は血のついたナイフを布に包み子供に渡した。 幼かったアムステルダムにはぼんやりした、父の記憶である。
 19世紀の始め頃、アイルランドは大飢饉に見舞われた。 貧困から逃れようとアメリカンドリームを夢見た人たちがアメリカを目指した。 ニューヨークにも毎日何千人ものアイルランド移民たちが希望をもって港に降りたった。 しかし、現実のファイブ・ポインツは夢とは程遠く、職が無く、安アパートや酒場、売春宿が密集し、けんかもギャングの殺し合いも日常ごとの犯罪と欲望の街であった。
 この街に古くから住み” ネイティブス ”と名乗る住民は、新しくやってきた移民をよそ者と呼び、自分達の土地や仕事や苦労して勝ち取った自由を脅かす者とみなして対立していた。 アイルランド移民たちは ”デッド・ラピッツ ”という組織を作って対抗した。
 聖ミカエルの祭りの日「聖霊のはがねを汝の背中に・・・」 戦いを前に祈りをささげている。 ファイブ・ポインツの利権を争い" ネイテブス "対 ” デッド・ラピッツ ”の戦いが始まろうとしていた。 アムステルダム少年が幼なじみのジョニーに「待てよ・・ジョニー・・」と言って後を追って行く。 モンクはいつも先端がコブになった棒を武器にして闘っているが、相手を倒すごとにその人数を棒に刻み込んでいる。 「一つ刻むごとに10ドルよこせ」と今度も仲間に約束をさせている。
 アイルランド移民が各々斧や棒の武器を手に雪のちらつく広場に向かって集会場から出てくる。 集団を率いるのはヴァロン神父、息子のアムステルダム少年が手を引かれている。 反対側からもネイティブスを名乗る集団が広場に出て数百人が対峙した。 ネイティブスを率いるのはギャング団のボス、ビル・ザ・ブッチャーであった。 ビルが一歩前に出て「やあ・・神父!。おまえが言ったとおりになった。・・・挑戦を受けろ!」 ヴァロン神父も前に出て「今日こそ決着を・・・」 「この国を汚す移民どもをやっちまえ!・・」 ビルの合図で全員が入り乱れての戦いが始まった。 斧を背中に打ち込まれる者、ナイフで切り付けられる者、剣で刺される者。何百人もが倒れて広場は死体の山。 アムステルダムは隠れて戦いの様子を見ていたが、父のヴァロン神父がビルに刺されたのを見て飛び出す。 戦いは角笛を合図に終わった。 ビルが得意そうに「俺のナイフの餌食だ・・・」と仲間に叫ぶ。 「父さん立って!・・・。」父にアムステルダムがすがりつくが、ビルは「殺せ!・・」と命じる。 ビルは「三途の川で必要だろう」と言ってナイフを胸の上におく。 部下が「約束のこの子をどうする?・・」と聞くとビルは「役人に引き渡せ、教育を受けさせろ・・」という。 アムステルダムは洞窟の中に逃げ込み、父から渡された血のついたナイフを穴を掘って埋めた。 戦いに敗れたカトリック教徒の移民たちは街から追放され、アムステルダムは少年院に送られた。
                                       
 1846年のニューヨーク、あの日から16年の月日が過ぎていた。 少年だったアムステルダムも成人している。 ヘルゲート刑務所の中の教会で「すべてに許しの心をもって、世のために働くのだぞ・・・」と教誨司の説教を受けて釈放された。 しかし、彼を今日まで支えてきたものは、父を殺したビルへの復讐だけだった。 彼は刑務所の門を出ると直ぐ聖書を川に投げ捨てた。
 アムステルダムは再びファイブ・ポインツの街に帰ってきた。 街では、デッド・ラビッツは解散し、ビルのギャング団が街を牛耳り、ヴァロン神父の腹心だったマグロインがビルの右腕となっていた。 
 「リンカーンを倒せ!・・白人が奴隷にされるぞ!。黒人はアフリカに帰れ!」と政治家のウイリアムが演説し、「タマニー党は君等の味方だよ・・」と入党を勧誘していた。 ウイリアムは移民たちに職と食べ物を与え人気を得ていたが、裏ではビルと手を結び裏社会を動かしていた。 
 ウイリアムは昔ナイフを埋めた洞窟に入り、床を掘って布に包まれた、父が残した血のついたナイフを取り出す。 二人のならず者に絡まれけんかとなるが、アムステルダムが喉元に突きつけたナイフを見て「神父の息子だ!・・」と気が付く。 相手の一人は幼なじみのジョニーだった。 ジョニーもこの街で生きるためにビルの手下になっていた。 アムステルダムは「脱走を試みるたびに刑期が延びた・・・」と話し、ジョニーは「ブルー・アメリカンズは英国人をののしる」とか、街のことを教えてくれた。 ジョニーはネイティブスに合わせると言い、二人で歩いていると女がジョニーにぶつかって来る。 女は「頭で考え事をしていたから・・・」とか言い訳をして去って行くが、アムステルダムはスリだと気付いてジョニーに調べるように言う。 ジョニーは「わざと取らせたんだ・・」と笑って言う。
 街の中で火事がある。 市警察が来て消火活動中に、別の組織の中央警察が来て縄張り争いからけんかとなり、消火を止めて乱闘になる。 そこにビル・ザ・ブッチャーが部下を引き連れてきて、手当たり次第に商品を略奪する。 アムステルダムとジョニーもまだ燃え方の少ない隣のビルに飛び込み略奪中にジョニーが逃げ場を失い、アムステルダムが助けてくれる。 ビルは「手ぶらで戻った奴は出て行け!・・・盗品は売っぱらってネイティブスに渡すんだ!・・」と怒る。
 神父と共に戦った警官のハッピー・ジャックさえも悪徳警官になっている。 若いギャングの盗品を見つけては没収しようとする。 「ブッチャーへの上納金が無くなる」と困ってるのを横目に、「女房が喜ぶ・・・トラブルを起こすなよ」と言って横取りする。 
 亡き父と共に戦い、今も正義に燃えるモンク(相手を倒すごとに棒に刻みをつくっていた男)だけがアムステルダムを神父の子だと見抜いていた。 "王を殺す時は、全宮廷が見守る中で殺す!。・・暗闇で王は殺さない・・」
                 
 ビルの経営する酒場。 アムステルダムとジョニーがやってくる。 悪童達が犬 が時間内に何匹のネズミを殺すかを賭けあっている。 ジョニーを見つけてビルが声をかけてくる「ジョニー・・よく来たな。・・奴は友達か?。・・何処から来た?」 彼等は誰もアムステルダムに気づかなかった。 ビルは「次からは手ぶらで俺の前に来るな」と言う。 死体を売る奴までいる腐敗振りにアムステルダムは悪鬼横行を知る。 彼はかって父の腹心であったが、今ではビルの右腕となっているマックグロインに「ボッタクリで盗人の面汚しだ・・」とからむ。 マックグロインが「立てッ!。・・やることがある。・・」と言うと「受けよう!・・」とアムステルダムも上着を脱ぐ。 まわりで騒ぎを知った者たちは直ぐに「賭けよう・・」と集まり出す。 二人は対決し、殴り合い打ち合う。 「マグロイン!左を固めろ!」と応援の声が飛ぶが、アムステルダムがマックの首をしめて意識の遠のく中を見て「もういい!・・・引き分けろ!」とビルがそれを止める。 「マグロイン・・お前は年だ!。 その頭から耳と鼻をふこうか?」と言うと「とんだアイリッシュ・シチューだ」と声が飛びみんなの笑い者にされる。 こうしてアムステルダムは素性を隠したままビルの組織に入り、復讐の機会を待ってジョニーと行動を共にする。 意外にもビルが「追悼・・ヴァロン神父へ・・」などと敵であった亡き父に深い敬意を抱いていることをアムステルダムは知った。
 街では軍隊への入隊を勧誘している「3万人の志願者が必要だ!。・・3食保障付きだよ!・・・50ドル・・・」 冷ややかに話す人もいる「ニューヨークまで戦争が来るわけがない・・・」
そんなある日、アムステルダムはジョニーがあこがれる美貌の女スリ、ジェニーに出会う。 ジェニーがぶつかった時メダルを取られたことに気づいた。 後をつけるとジェニーは馬車に乗り、隣の紳士に愛想を振り撒いて油断させて、紳士の時計をスリ取った。 後をつけて行ったアムステルダムは「スリにもいろいろあるが、ジェニーは色目を使って男を困惑させる。・・・おれのメダルを返せ!」と言う。 女はとっさに短刀をアムステルダムの喉に突きつける。 「突けよ!。・・」ぐんぐん近寄るがジェニーは突けない。 一瞬、アムステルダムが短刀を奪い「メダルを返せ!・・」と詰め寄る。 ジェニーは上着の胸を黙って広げる。 そこには6〜7個のメダルがぶら下がっている。 「どれがそう・・取ってよ・・」 「そっくり頂こうか?」 「やったら!・・」 アムステルダムは上着の胸をぐっと広げるが、自分のメダルだけを取って胸を閉めてやる。 アムステルダムが魅惑的な美しさと、すさまじい生命力のしたの純粋さに惹かれ「一緒に稼ごう・・」と言うが、ジェニーは「私は一匹狼なの・・・これでお別れよ・・」と言って立ち去る。
 ビルは度胸があり、機転の利くアムステルダムに目をかけていく。 「新入りが、俺の暖かい懐に転がり込んだ」と笑わせ、「豚は人間と構造がよく似ている。・・肝臓・・心臓・・動脈を切れば死ぬ」と言ってぶら下げた豚の肉に次々ナイフを刺して見せる。 ビルは「やってみろ!・・」とアムステルダムにナイフを渡す。 彼は次々と豚の肉にナイフを刺していく。 「子供の頃に父が教えてくれたやろ・・・」  ジョニーが言う「ビルに気にいられたな・・・しでかす気なら好きにやれ!」 ジョニーはアムステルダムがビルに眼をかけられだしたことに嫉妬し始めていた。
     
  ある夜、オールド・ブリュワリーで若い男女を集めてダンスパーティが開かれた。 女性は今夜の相手を自分で選ぶ。 「ミス・エヴァディーン・・」名前を呼ばれてジェニーが前に出てイスに腰掛ける。 手鏡を持って待つ。 後ろに並んだ男達が一人づつ前に出る、鏡に映った男の顔を見ながらジェニーが首を横に振る。 アムステルダムの番になったとき彼女が首を縦に振った。 フアンファーレが鳴り、一斉に拍手が起こる。 ダンスが始まる。 一本のローソクを二人で持って何十組もの男女が踊る。 「なぜ、俺を選んだ!・・・パーティは初めてだ。踊りもわからない」 「もっと強く抱いて・・・」 「ジョニーと踊るだろ?」 「どうでもいいの・・」
 二人は農家のワラの中で抱き合い、キスをしている。 アムステルダムの手がジェニーの洋服のベルトを外そうとする。 「いけないわ・・待って・・」 「外せよ・・」 「絞め直すのに一晩かかるわ・・。待って、外すわ」 ジェニーは自分でベルトをはずしシャツを広げる。 お腹に縦に永く手術後がある。 「赤ん坊を取り出したのごめんネ・・」 「かまわないさ・・」 「あなたも傷跡が?・・・」 アムステルダムは黙ってシャツをかきあげる。 胸一面に鞭の痕が残っている。 ジェニーの手を取って自分の胸に運ぶ。 ジェニーはその胸に唇をおしあて、胸一面にキスをする。 その時ジェニーの首にかかっているロケットが見覚えのあるものだった。 怪訝そうに見るアムステルダムにジェニーは「カッティングさんからの贈り物よ・・」と言う。 「誕生祝いか?・・・君からは何を?・・・」 「あなたには関係ないわ・・」 「そういう女か・・・」 (送り主がビルだとわかり、二人の関係を疑う)
 誰もがブッチャーのしもべ。 ボクシングの試合を開催中に、市警察と中央警察の手入れがある。 アムステルダムは港の沖合いに浮き桟橋を出して客を集め、合法的に興行を成功させる。 アムステルダムはマグロインを押しのけて今ではビルの右腕となっている。 アムステルダムはビルに憎しみとは別の感情を抱くようになっており、ビルも彼にだけは孤独な心を打ち明けるようになった。
 
 ” アンクル・トムの部屋 ” ビルが子分たちを連れて舞台を観に来ている。 「連合政府なんかつぶれろ!・・・」と叫ぶ男にブッチャーが討たれる。 「そいつを押さえ込め・・」 「誰に雇われた!・・」 口を利かない男に「誰の身内だ!。 英語で答えろ!・・・死ね!。せりふを忘れたらしい」と言って射殺する。 ビルは犯人の男が来ていた血染めのチエックのチョッキを剥ぎ取って「いいチョッキだ・・・今夜の記念品にしよう」と取り上げて、「役者ども・・続けろ!・・」と叫ぶ。 舞台も客席も何も無かったように再び劇が続いた。 「シェークスピアの髭までが親父と同じだ・・親父は同胞を愛していた」ビルがポツリと言う。
 ビルが二階に上がってくる。 ジェニーがビルの傷の手当てをする。 ビルは別の女を連れていなくなる。 部下達もおもいおもいに女と抱き合っている。 アムステルダムとジェニーがキスをする。 ジョニーが見ている。
 アムステルダムとジェニーがベットで寝ている。 眼を覚ますと直ぐ横のイスにビルが黙って腰掛けている。 「彼女とここで寝た。・・怒られるだろうな?」 ビルは「好きにするがいい・・・年はいくつだ?」と聞く。 「昔から数えてない・・」 「俺は47歳だ」 「誰の力でここまで生きられたか聞いてみたい」 「俺を怒らせるのか?」 「俺は今夜23歳になった」 ビルは昔闘った男の話をする。 「自分が倒され横をむいたが奴は俺をやらなかった・・・すごい奴だ。 俺は傷ついた片方の目を紙に包んで贈った。 記憶に残っている奴はそいつだけだ。・・・神の祝福を・・・」 ビルが部屋を出て行った。 その間ずっと背を向けて身動きもしなかったジェニーにアムステルダムが言う「何か言いたいか?・・言うなら今の内だ」 「私がここに来たのは12歳の時、母が直ぐ死んで彼が拾って面倒を見てくれたの。 おなかの赤ん坊も出して貰った。・・・私が許すまで彼は私の身体に触れなかった。」
 夜、アムステルダムが自分の部屋でナイフ投げの練習を黙々と繰り返すのをジョニーが見ていた。 
 京劇の舞台を観にビルが来ている。 男達の頭上に籠に乗った女達がゆっくりと降ろされる。 「この鳥を一夜歌わせて見たいと男なら思うはず・・・」司会の男が大声で叫ぶ。
 ビルのところにジョニーが密告に行く。 「奴に騙されてる・・」 「俺に助けられたことを考えろ」 「奴の父親はヴァロンだ。・・奴はあんたを殺すことを考えている」
 ビルが京劇の舞台を見ながら「中国人は何も隠していないと言う証拠に袖が短い」と言う。 アムステルダムが正面の良い席にやってきて、先に座っていた男を「どけ・・どけ!」と言って立たせて自分が座った。 司会者が「今日はビル・カッティング氏が見えている」と紹介し、ビルが舞台に進んだ。 舞台で驚き逃げ回る踊り娘の足元にナイフを投げて衣装を舞台に止めていく。 「どうだジェニー・・・昔のよしみでやらないか」 ビルはジェニーを舞台に呼んで壁際に立たせ顔の両側にナイフを立てた。 「ショールを取ったほうがいいよ。 ポケットの中に何がある?」と聞いた。 「仕事はこれからなの・・・」と言って取り出したロケットもナイフで突き刺した。
 ビルが舞台で脱帽して言う。 「我々は忘れない!・・・街に倒れた兄弟のことを・・・。信念のために勇敢に闘ったヴァロン神父を・・・その父親の名を汚すせがれがここにいる」
アムステルダムが立ち上がりナイフを投げた。 その飛んでくるナイフを払ってビルが投げたナイフがアムステルダムに刺さる。 怒りに燃えたビルは「殺すな!・・死の一歩手前までいためてみんなの見せしめにするんだ。・・命は奪うな」と言う。
ジェニーは洞窟の中にアムステルダムを運んで献身的な看護をする。 ジェニーが「見せたい物があるの・・・母の遺骨も入っているの・・・13歳から1ドルずつ貯めたの。盗みで貯めたお金なの・・・サンフランシスコ、カリフォルニア・・何でも夢がかなう街、西部に私と一緒に行って欲しい」と言う。しかし、アムステルダムは返事をしない。
 洞窟にモンクがやってくる。 武器の棒を見せながら「刻みが44個になった・・・」と自慢げに話す。 モンクは「親父のポケットを探ってたら、これがあった。そいつを君に返す」 といって紙切れを渡す。紙には父が戦いに出る前に街の人たちを思い綴った決意の文字があった。
 ビルが死んだウサギを前に悪徳警官のハッピー・ジャックに言う。「やせこけたウサギだ。どうだ・・・厭な役目か?」 ジャックが言う「厭じゃない・・だが、法を守ることがおれの役目だ」 「そりゃ一体何の話だ・・・今更迷っていると行き着く先は地獄だぞ。・・お前の良心など聞いておらん。子分にやらせてしまえ」
 ジャックはタイマツを持って地下に入る。 アムステルダムの所に行く「お前に手は出さん!・・・親父の友達だ・・お前のジャック叔父さんだ。何もしないよ」と言いながら近づくが手にピストルを持っている。 アムステルダムが岩陰に隠れ待ち伏せて首をしめる。 翌朝、広場の電柱にジャックがさらし首にされてい
た。
 アムステルダムはジョニーと会っている。 ジョニーが「俺がお前を売った!・・・悪かった!」と白状する。 アムステルダムは「裏切りの制裁は死だ!。」と言う。
 ビルはジョ二ーに「消えろ!。・・二度と戻るな!」という。子分たちが「さあ、一緒に来るんだ」と港に連れて行く。 「お前はネイティブスになる資格など無かったんだ」
 夜の港にリンチを受けて傷だらけのジョニーがいる。 アムステルダムとジェニーがいく。 「苦しくて我慢できない。・・殺してくれ!・・ひとおもいに頼む」と言う。ジェニーがピストルを出してアムステルダムに渡す。 「眼をつむれジョニー・・・」喉に当てたピストルの引き金を引く。
                             
 教会にマグロインがいる。 アムステルダムが「お前もジョニーの二の舞だ」と言う。 「ヴァロン君、この記事を読んだかね、私と手を組もう。」 アムステルダム達は自分達の手で " デッド・ラビッツ ”を再結成する。  「アイルランド人を保安官に・・・」 「我々は摂取する者を許さん」 「「アイルランド人の戦う姿を見せよう」  選挙が始まった。「投票に行くんだ!」 「引っ立てろ!・・モンクに入れろ」 「モンク・タマニーと書けよ」と運動する。
 
 ビルたちは同じ人を何度も投票に行かせて張り合う。 「ビルからだ・・・」とモンクの事務所に嫌がらせの豚の頭が届けられる。
 ビルはモンクの事務所にやってきて「民主的に話をつけよう」と言う。 しかし、部屋に案内しようとして後ろを向いたモンクの背中に斧を投げつける。45人目の刻みがつけられないまま棒が落ちた。 モンクは当選していた。 「勇気ある者の味方。 当選公職者を殺した」と人々は叫んだ。 
 教会から棺が出され、馬車に乗せられた。葬列は広場を廻ってビルたちが立っている前に差し掛かる。 アムステルダムがビルに「挑戦する」と言う。 ビルも「ちょうどいい、受ける」と言う。
 南北戦争が激しさを増し、史上初の徴兵制度が実施された。 これに講義する人たちが暴動を起こしている。 第6連隊死傷者名簿が発表され、たくさんの棺が帰ってくる。
 運命の時が近づいている。 「日時はいつでも・・」 「武器は決めてくれ!・・」 「レンガ・・ナイフ・・ピストル・・」 「ピストルは外せ・・・。これで決定だ!」
 「徴兵制度反対!・・」 「金持ちを殺せ!」 「徴兵役場では警官が頭を割られた」
 アムステルダムは父が顔を切ったナイフで左の頬を切った。 「明日まで待て」と言うと、ジェニーは「明日は死んでるわ・・行き着かないわ、この街は灰になるのよ」と言う。
 すべての家の窓にローソクが灯された。 ” 大地は震えたいた。・・だが、俺には親父の復讐がある。・・・お導きを・・・復讐の日です ”
 「女達は二階に行け!・・」 「18管区暴徒が襲撃中・・」 「保安官事務所火災発生!」 「交信線が切られた」 「サーカスから動物が逃げ出した・・・」 「警官が襲われた」 「この戦いに捕虜は無い!・・殺せ!」
 ” ファイブ・ポインツ ”の街の交差点で " ネイテブス "対 ” 警察官 ”が向き合う。 ビルとアムステルダムも向き合う。 ビルが「合図しろ!・・ヴァロン」と言う。 「撃てッ!」警官の並ぶ銃の前で市民がバタバタ倒れる。 沖合いまで来た軍艦からも砲弾が街の中に炸裂する。 警官が「皆殺しだ!・・」と砲撃をする中で、二人はナイフを持って闘っている。
アムステルダムのナイフがビルの左胸を刺した。「神よ感謝を・・・。アメリカ人として死ぬ・・」 ビルも手にしたナイフで「ヤアッ!・・」とアムステルダムを刺す。 ビルの左眼の義眼が光る。
 無数の死体の中をジェニーが二人を探して歩く。 二人とも既に重なるように死んでいる。 街は火の手があちこち上がっている。
 「明日の朝下船する移民にス-プを・・・」  その夜、すべての死体の胸の上にローソクが灯されていた。 敵も味方も今となっては関係ない。 昼夜四日かけてやっと暴徒は鎮圧された。
 ジェニーは新しく出来たばかりの、ブルックリン・ブリッジのすぐ脇の高台の墓地で穴を掘って、今ビルとアムステルダムを埋葬したばかりで、呆然と立っている。 対岸のニューヨークの街は、街を焼き尽くすように燃えている。 眼科に見下ろす煙るニューヨークの街が近代建築のビルの立ち並ぶ街にオーバーラップしていく。
           =  終わり  =               H14.12.21鑑賞
 
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