![]() ”もしあの日・・・・で、なかったら?。 人生は神の定めた運命の日々?・・・」”「危険な情事」、「幸福の条件」のエイドリアン・ライン監督が ”人には誰にも分岐点があって、そこを越えると、極端へと流れる危険性を抱えている”と言い、何不自由ない幸せな結婚生活を送っていた専業主婦が、その日から危険で甘美な情事の道へのめり込むという、何処にもありそうな女の運命を描いた作品。
字幕翻訳 戸田奈津子
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【キャスト】
コニー・サムナー (ダイアン・レイン) ニューヨークの郊外で、夫と8歳の息子と何不自由なく暮らす、専業主婦の女性
エドワード・サムナー (リチャード・ギア) コニーの夫、マンハッタンで車の販売会社を経営している男
チャーリー・サムナー(エリック・ペア・サリヴァン) サムナー家の8歳の息子
ポール・マーテル (オリヴィエ・マルティネス) アパートの一室で古本の売買をしている青年ディーラー
ウイルソン (ドミニク・チアニーズ) 素行調査などを行う探偵員の男
トレーシー (ケイト・バートン) コニーの友人で、昔、不倫の体験をもつ女性
サリー (マーガレット・コリン) コニーの友人で、コニーを羨望の主婦と思っている女性
グローリア サムナー家の家事使用人の女性
ボブ・ケイロード エドワードの友人で、妻のコニーがオークションの資金を借りるという男
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【ストーリー】
都会の喧騒を嫌って、わざわざニューヨークの郊外に引っ越してきたサムナー家の朝。 リビングルームで息子のチャーリーがオモチャ遊びをしている。 母のコニーが声をかける「人を殺すゲーム?」 「違うよ!。ママ」 父のエドワードも顔を出す。 コニーは夫に「どう思う?」と聞く、チャーリーが「パパも練習したんだよ!」と先に答える。 エドワードはテレビの株式情報を見て、以前に買おうとかと話し合った株が高くなってしまっていることなど話している。 やがてエドワードは学校に行くチャーリーを連れて出かける。 コニーに「愛してるよ!」と言ってから、チャーリーに「行こう!」と声をかける。 ドアを開けると強い風が室内に舞い込む。 チャーリーがママに「プレゼントはバスケのジャージだよ」と念を押す。 「やれやれ・・・」思わずコニーは声を出して、車で出て行く二人を窓越しに見送った。
コニーが息子の誕生日プレゼントを買うため、電車に乗ってニューヨークの街にやってきた。 チャーリーに頼まれたジャージなどたくさんの紙袋を持って帰りかけるが、朝からの風が一段と強くなり紙切れや風船などが舞い上がる。 「タクシーッ!」手を上げてもタクシーは止まってくれない。 10冊くらいもの古本を重ねて胸に抱えて歩いてくる青年とコニーはぶつかってしまう。 自分も転びながらコニーが「ごめんなさい・・・」と言い、青年も同時に「ごめん!」と言って顔を見る。 「君の荷物?・・・」風で飛んでる紙袋を彼が追っかけて拾ってくる。
「僕の本が・・・」二人で散らばった本を集める。 コニーが「タクシーを捕まえて・・・」と言うと、青年は「本はそこへ・・・」と言ってタクシーを止めに行く。 タクシーはどれも止まってくれない。 コニーはやっと本を揃えて積み上げた。 「手をバタバタさせりゃ、風に乗って帰れるよ」青年が笑いながら冗談を言う。 コニーのスネの擦り傷を見て、目の前のアパートの上の階にアゴをしゃくりながら「バンドエイドならあるよ」と言う。 「心配しなくても僕は殺人鬼じゃないよ・・・」と笑って階段を上る。 「もう1階上・・」ドアを開けて自分の部屋に案内する。
部屋の中は所狭しと棚に古本がいっぱいで図書館のようだ。 コニーが聞く「作家?・・」 青年が答える「本の売買・・。トイレはその奥の左」 コニーが化粧室に入って中から鍵をかける。 バンドエイドを取ろうとして棚の扉を開けると化粧瓶が便器の水の中に落ちる。 一瞬考えるが思い切って便器の水に手を入れ取り出す。 自分の手を鼻に持っていって「臭い」と言う顔をする。 コニーは便器に片足を乗せてバンドエイドを貼る。 部屋に戻ると古本の棚が迷路のようになって青年のいる場所がわからない。 「どこ?・・」 「お茶を入れたよ」彼の声がした。 サンドバッグが天井からぶら下がっている。 「ボクシングを?・・」と聞くと、 「面白いんでね・・」と答える。 青年は「この部屋の持ち主は建築家で、今はパリに住んでいる」と語った。
コニーは家のお手伝いさんに電話を入れる「グローリア。・・・チャーリーは?。 学校はどうだった。」 (後1時間で戻ってきます) 「帰ってから全部話すけど、少し遅くなるの・・お願いね」 青年は「名前はポール・マーテル、7月で28歳になる」と教えてくれた。 帰ろうとするコニーにポールは「今日の思い出に本をプレゼントしたい」と言う。 「さっき通った左の棚」 コニーが取りに行く。 「そっちじゃない、左。・・そこで上から2段目、左から4冊目。・・・28ページを読んで・・・」 コニーが声を出して読む。 ポールも暗唱しているらしく一緒に声を出す。 そばに来たポールの射るような眼差しに戸惑いを感じる。 コニーはあわててその場を去った。
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コニーは駅の構内を走り電車に乗り、近くの駅から車のスピードを上げて家に帰った。 チャーリーはテレビのプロレスを観ている。 グローリアに足の怪我をみせる。 「喧嘩?・・」 「転んだの・・」。 チャーリーがポラロイドカメラを持ってきて「痛いという顔をして・・・足を上げて」とポーズをとらせる。 コニーは「あ〜ああッ」と声を出して写真をとらせる。 夫のエドワードが帰ってきて、写真を見ながら「従軍カメラマンがいる」とおどける。 コニーが説明をする。「近所の青年がバンドエイドをくれたの・・・」 「ハンサムだったか?・・・その男の名前を聞いてるか?」さらにエドワードは「お礼の手紙でも出さなければ・・・」と言う。
エドワードがベットで「ズームの仕方がわからない」と言いながらビデオカメラを構えて、コニーが寝室に入ってくるところを撮影している。 「そのまま・・動かないで・・・」 アップにして「君は本当に美しい」と言いながら、カメラを投げ出して抱き寄せる。 コニーは為すがままで返事も無く、うつろな顔をしている。 「どうかした?・・」 「いや・・何でもない・・触って」とエドワードの投げ出した両足にまたがり、手を取って豊なバストに押し当てる。 「このアングル最高だ・・僕もズームしてきた」とエドワードが言った時。 「パパッ・・」階下で子供の呼ぶ声がした。 「直ぐ戻るよ・・・眠るな!」 コニーに言う。
朝、チャーリーは「ママの忘れん棒。・・弁当にうなぎのハンバーガーはいやだと言ったのに・・・」と愚痴を言う。 子供と夫を送り出して、クロケットから上着を取り出す。 ポケットから昨日貰った本を出す。 少しページをめくった時、ページの間に挟まれていた紙切れが床に落ちた。 急いで拾い上げる。(電話番号が書いてある) 犬が観ている。
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ニューヨーク中央駅の構内、大勢の人の流れの中で、コニーが公衆電話を架けようとしている。 ダイヤルの途中で止めて受話器を置き、戻ったコインを取り出し動きかけるが、再度考えてからコインを入れてダイヤルをした。 「ポール・マーテイです。・・・ご用のある方はピーの音の後にお話ください」 「もしもし・・」
コニーが録音しようとしたとき急にポールの声がした。 「あの君か?・・」 「ひざの怪我・・お陰でよくなったのでお礼を・・・住所教えてよ」 「今どこに・・」 「中央駅に・・」 「お出でよ・・・コーヒーを入れるよ」
コニーがポールの部屋のドアをノックする。 ドアを開けたポールはいたずらっぽく「ちゃんと健康保険証をお持ちでしょうか?。・・うちは無料治療はお断りで・・・」とドアを閉める。 再びドアを開けてコニーを迎え入れてくれる。 「どうぞコートを・・」とポールが脱ぐように言うが、「長居は出来ないわ・・・」と言って少し拒んだもののコニーはコートを脱ぐ。 後ろに廻ってコートを持ち上げたポールの目がコニーの首すじに注がれた。 からみつくような視線を感じながらコニーは胸を騒がせた。 コーヒーを飲みながらめくった本は点字本だった。 ポールは「目を閉じて・・」と言ってコニーの手を取り、点字本の上を滑らせた。 そのままポールは手を握って離さない。 これ以上深入りしてはいけない。 しかし、身体に芽生えたうずきは収まらない。 ポールの目が訴えている。 「これで失礼するわ・・・行かなくちゃ・・コーヒーをどうも・・」 「飲んでないよ・・・」 飛び出したコニーはその足で夫エドワードの事務所に行く。 「コニー!・・・。君か・・驚いたよ」仕事中のエドワードは暖かく迎えてくれた。 「嬉しいよ・・君が今日来るなんて・・・」 「そこで買ったのよ。・・・プレゼント」 「なぜ?・・」 「別に意味は無いわ・・」ブルーのセーターを出す。 エドワードはそれを着て喜ぶ。 そこに電話が入る。 「忙しいのね・・帰るわ」 「私もこれからオークションの資金集めなの・・・ボブ・ケイロードにお願いしてるの」 「彼は出さないだろう・・・彼の財布の紐は固いぞ」
夕食後の台所、コニーが食器を洗っている。 手が止まりコニーが物思いにひたっている。 エドワードが顔を覗き込むが気づかない。 コニーはポールのことを考えている。
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三度目。 コニーがポールのアパートにやってくる。 「待たせたわ」 ポールが立ち上がりコニーのコートを脱がせる。 室内に流している曲のことをポールが聞く「音楽は?・・」 「気に入ったわ」 「踊る?・・」 「今?!・・いいわ」 二人は向き合って手を取る。 「私、リードするくせが・・・」 二人はスローテンポの曲に身体を寄せ合う。 コニーが聞く「何時もこうなの?」 「何が?」 「今まで何人恋人いたの?」 「二人・・ウソは言わないよ」 ポールが耳元でささやく「君の眼はすばらしい・・・横へ寝るときも開いているんだ?」 「練習しておくわ・・」 しばらくしてコニーが急に思い出したように言う「私、やっぱり間違っていた」 ポニーが止めるのも聞かずコニーは部屋を飛び出す。 しかし、コートを忘れていることに気づき再び部屋に戻る。 ポールがコニーを抱き寄せる。 コニーもそれに答えて二人はキスをし、強く抱き合う。
帰りの電車の中でコニーは激しく燃えたポールとの事を思い出す。 口を開き、眼をつむり、まゆを寄せる。 (コニーがベットに横になっている。ポールが持ち上げられたシャツの下の、肌蹴たお臍の周りに口をつけ・・・そっとキスをする。・・・静かにお腹の上で口を這わす・・) 電車の中のコニーの顔がゆがむ。 (ポールの手がショーツにかかる。 コニーの手が押し返す) コニーは車内で眉を寄せて一人で興奮しもだえる。 (ポールが荒々しくコニーの下着を剥ぎ取り、自分もシャツを脱ぐ、「だめよ!」 「どうして!・・」 「いけないことですもの・・」 「ひっぱたいてくれよ、僕の顔を・・」 コニーがたたく。 「もっと・・たたけよ」 コニーがポールに抱きつく) 苦しそうに唇をなめてコニーは立ち上がり、ふらつきながらトイレに駆け込む。 便器に座り込んだコニーは、トイレットペーパーを長々と取り出して手洗いの水に浸した。
コニーが駅に下車した。 後の電車でエドワードと友人のボブ・ケイロードが駅に降りる。「ボブ・・今週は残業続きかね?。・・・コニーが君のふところを狙っているぞ」 「知らないね・・」 「僕の聞き違いだ・・きっと」
夜、部屋の中。 エドワードが物思いにふけるコニーに声を掛ける。 「寝たら・・・。何か問題でも?・・。君は1日何をしていたの?・・・」 「いつもの通りよ・・・」 「僕を愛してる?」 「馬鹿な質問ね・・・」 「僕はどうかしてる・・・。」 ベットに向かうコニーに「直ぐに行くよ・・・」と声を掛ける。
ポールから出て来るようにと電話がかかってくる。 夫のこと、ポールのこと、交互に顔が浮かぶ。 コニーはポールの所に行き激しいセックスの後、ベットで眠っている。 ポールがコニーの腹にマジックペンで矢印とハートマークを書く。 コニーは気付かない。
二人はレストランに入る。 コニーが「ここで何を?・・」と聞く。 「ランチさ?・・」 「いけないわ、あなたとなど・・・」 イスに座ると直ぐポールは、左手をコニーのズボンの後ろに深く入れて、お尻の下まで回したままそしらぬ顔でしゃべり出した。 「直ぐ出ましょう」と言うコニーにポールは、入り口近くで支払い伝票を取り合ってる二人を見つけて、「右の人が払ったら出ない。左の後ろ向きの人が払ったら直ぐ出よう・・」と提案した。 やりとりの後右の人が支払いをし、二人は店を出ないことになるが、後ろ向きの人が店を出るときコニーに目が行き、何度も振り返り確認をする。 彼はエドワードの会社の部下の男で、コニーが事務所を訪ねた時、挨拶して顔見知りだった。
夜、コニーは風呂に浸かって体を洗っていて、ポールのいたずら書きに気がつく。 急いでタオルでこするが、いくらか色が薄くはなっても完全には消えない。 急に室内の照明が落され、夫が浴室の入り口に立っている。 「僕も入れるか?・・」 エドワードが向き合って浴槽に入って来た。 「いい音楽だ・・」 「アフリカの音楽かしら?・・・」 エドワードが「いいかね?・・」と声を掛けて、コニーが立てひざをしている両足を包み込むように抱いて、顔を近づけひざ頭にキスをする。 コニーは下腹部のいたずら書きが気になってそれどころでない。 「いいね・・」と言ってコニーの身体に手を伸ばしてくるが、コニーは「ベットに行きましょ」と冷たく言う。 「ここで・・ネ・・行かないで・・」と止める夫に、「でも、寒いのよ・・」と言ってコニーは浴室を出て行く。
出勤前の部屋の中、エドワードが「昼飯を一緒に食べない?・・」と声を掛ける。 コニーが「今日はオークションの資金集めで忙しいのよ・・」と答える。 「12時でどう?」 「いいわよ」 「何処に行く・・?」 突然コニーが思い出したように「イヤだ・・・忘れてたわ。・・12時半にパーマの予約がしてあったのよ。・・・ジョージアナでは必要ないのに・・・」
エドワードが電話の番号調べをしている。 「美容院のジョージアナだ・・どうも・・」 改めてダイヤルする。 「コニー・サムナーです。 12時半の予約の確認を・・・」 「12時半には予約入っていませんが?・・・別の時間に予約があります」
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ニューヨークのポールのアパートの前。 「コニー!・・驚いたわ」 「トレーシー!・・お久しぶり・・何処行くの?」 友人のトレーシーとサリーの二人ずれにばったり出会った。 「ねえ・・ちょっと一緒にお茶しない・・・」 三人は喫茶店に入るが、すぐにコニーは「ちょっと電話を・・・」と置くの公衆電話に行く。 サリーが「携帯があるのに・・・」と不満顔をする。 「友立ちに捕まって・・・待っててね」 家にも電話をしてお手伝いのグローリアに「チャーリーを学校に迎えに行く時間」を打て合わせる。 そこにしびれをきらせたポールが入ってきてカウンターに腰を掛ける。 眼で合図をしてポールがトイレに立つ。 「おなか一杯なの・・ちょっとトイレに・・・」 トイレで待っていたポールはコニーを見ると直ぐに抱きつき、そのまま扉を押して個室に押し込む。 「待って・・・友達がいるのよ」 ポールはコニーのズボンもショーツも引き摺り下ろした。 「こんな所で正気?・・・」 胸までしかない扉の向こうで、ベルトを外し、ジーパンのチャックを下ろしたポールの腰の上に、足を絡ませ抱きついたコニーの身体が上下に踊るのが見える。 席に戻ってきたコニーにサリーが「心配してたのよ・・・」といい。 「カウンターのハンサム男、素敵じゃない」と彼を話題にする。 コニーは「私って鈍感だから・・・」ととぼける。 ポールのことをサリーは「私なら、彼から声を掛けられたら寝るわ。・・・もちろん秘密にするわ」とカッテなことを言う。 トレーシーは以前に不倫をしたときの体験を話して「自分を見失ったら人生に傷がつく。人生は大切に生きたいわ」と諭す。
エドワードは会社の部下を意見の違いから首にする。 「俺を裏切った。・・もっと会社への忠誠心をもってほしかった。会社だって家族だ」と言うエドワードに「君に家族のことを言う資格があるのか?。・・もっと自分の家族を見直せ!」とコニーの密会を見た部下が言う。
エドワードは公園で素行調査員のウイルソンに会っている。 「急いだことで・・・ある人間の尾行を願いたい。・・・僕の妻の尾行だ」
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コニーが夕食の準備をしているが、気持ちがポールのことばかり、息子のチャーリーに「焦げてるよ!」 「鍋が沸騰してるよ!」と注意されるばかり。 三人で夕食中エドワードが「明日はシカゴへ出張だ。・・明日は帰れない」と言う。 「何時の便?・・」 「8時だ!・・」 「朝の?・・」。
チャーリーが突然「僕は結婚しない・・」と言う。 「なぜ?・・」コニーが聞く。 「女が嫌い!」 「たいてい途中で気が変わるわ」
朝、エドワードが一人支度をして家を出る。 コニーはベットの中でそっと目を開けて夫の後姿がドアの外に消えるのを確認する。 コニーはポールとの密会のために、新しく買った黒いブラジャーとそろいのショーツを着ける。 黒いサテンのランジェリーが肌をすべる。 まだ付いていた価格札を外す。 ルージュを引く。 ボデーラインを鏡に映してブラジャーを引き抜き外す。
映画を見る二人。 ティーンエイジャーのカップルのように手を繋ぎ、はしゃぎまわる二人。 それらを探偵のカメラが捕らえる。 お手伝いさんのグローリアとチャーリーが、迎えの時間を過ぎても来てくれない母を待って学校の玄関に座り込んでいる。 コニーは危険で甘美な情事という道へのめりこみ、また今もポールの部屋でその誘惑に逆らえられないでいる。・・・罪悪感を覚えながらも・・・。 はっと気付く「大変チャーリーが・・・」 車に飛び乗る。 車のフロントガラスには駐車違反の切符が挟まれている。 学校に急ぐ・・・。 「遅れてごめん・・・」 日暮れの学校の玄関に二人は座って待っていた。
コニーは家に帰って部屋の台所で泣いている。 ポールに電話をする。 留守電の案内が流れるだけ・・。 チャー-リーが「泣いてるの?・・・悲しまないで・・ママ」と声を掛ける。
探偵社のウイルソンとエドワードが会っている。 たくさんの証拠写真を広げながら「名前はポール・マーテル・・・住所はマーチサー・ストリート43番地・・」二人が手を繋ぎはしゃいでいる写真が並ぶ。
コニーはスーパーマーケットでの買い物中も、ポールのことを思い出し寂しさに涙ぐむ。 雨の中車を運転しての帰り道、ポールに会いたくて、車をUターンさせて通り過ぎた分かれ道まで引き返しニューヨークに向かうコニー。 彼が何時もいる古本屋に入り店内を探す。 棚の向こう側の本の隙間からポールが見えた。 しかし、ポールは一人ではなかった。 若くて美しい女性と楽しそうに寄り添っている。 上気したコニーはポールに飛び掛り「彼女は誰なの!・・」 「落ち着け!・・」 静止も聞かず「女は5人・・・10人・・私は何なの!・・」 「彼女は友達だ・・」 「もう終わりよ・・・」
それでも二人はまたポールの部屋に行く。 階段の踊り場でポールがキスをしようとする。 「汚い男!・・」 かまわずポールは手を伸ばす。 「やめてったら!・・・。強引ね・・」 ポールはコニーのセーターを持ち上げ頭から脱がす。 「フアックをしたいか!・・・」 「したい・・」。 ポールは踊り場で後ろからコニーを攻める。
アパートの玄関の前にエドワードが立ってアパートを確認している。 ポールが裸のまま窓のブラインドの隙間から下を見ると、見知らぬ男が上を見ている。 エドワードが玄関のドアを開けようと近づくが、中から人が出てきたのでためらって道路に戻る。 エドワードが背を向けて歩いていた時、何も知らないコニーが玄関を出て帰って行った。
エドワードがアパートに入る。 氏名札を確認する。 "ポール・マーテル” ドアをノックする。 ドアが開いて顔を出した若者が「何?・・・」と言う。 「何をしている?・・」 「だれ?!」 「エドワード・サムナー・・・中に入ってもいい?・・」 「ああ、いいとも・・」 たくさんの書棚をくぐり奥のテーブルに行く。 「飲むかい?!」 「いただこう・・」 「オレンジ、コーヒー、ウオッカに・・」 「ウオッカ冷えてる?・・」 「ああ、冷蔵庫に入れてたから・・・」 ウオッカをゲラすに注いで来る。 「それで・・コニーとは?・・・」 「道路で風の強い日に転んで、怪我をしていたので手当てをしてあげて・・・」 「それで・・・」 「とってもうれしいって電話が来て・・・」 直ぐ横のベットは激しい情事の後がそのままになっていた。 「コニーとは外ではせずにいつもここで・・・」 「出かけることもあったが・・・」 「結婚して11年だ・・息子のために郊外に移ったことが誤りだった。 僕の話もしたのか?」
「いろいろ聞いた」 「本が多いが?・・」 「本の売り買いが商売でね」 丸いガラス球のついた見慣れたオルゴールを見つける。 「これを何処で?・・なぜこれを?・・」 「プレゼントだよ。・・彼女からの・・僕に何か買いたかったんだ」 「僕が彼女に送ったんだ!・・」と言って手にとる。 エドワードが旅行をする度に、旅先で思い出に買い集めた7〜8個あるオルゴールの中の一つだった。 「観ていると気分が悪い!・・胸がムカツク・・・・ダメだ!。・・気分が悪い」 エドワードはガラス球のオルゴールを頭上にかざすとポールの頭に振り下ろした。 グッと睨みつけたつけたまま無言で立ちつづけるポールの顔に、あふれるような鮮血が流れ、ポールはその場に崩れ落ちた。 呆然と流れ出る血を見ていたエドワードは、我に返り、ベットのシーツを掛ける。 シーツの顔のあたりが血に染まる。 座り込んだエドワードは電話機を持ち上げ ”1・1・0” と回しかける
がやめる。 コップの指紋をシャツの裏で消して、オルゴールを洗う。 ![]()
電話がかかってくる。 留守電に吹き込む妻コニーの声が流れる「私よ!・聞いて・・・留守中に言うのは厭だったんだけど、これで終わりにしましょ。 主人と子供に後ろめたくって、・・・ごめんなさい。・・」 床の血をふき取る。 ポールをジュータンに包みテープで止める。 留守電のメッセージを消去する。 死体を引きずりエレベーターに乗せ降りようとしたら途中でエレベーターが止まる。 どんなにしても動かない。 頭上にあいた隙間から死体を押し出し、玄関まで運ぶ。 雨の中を車まで運んでいると「手伝おうか?・・」と見知らぬ男が声を掛けてくる。 「ノー!・・」 男は黙って去って行く。 エドワードはリア・トランクにジュータンの死体包みをねじ込む。
学校で学芸会が始まっている。 エドワードは車を駐車場に入れて洗面所に行き、顔や身体を洗い会場に急ぐ。 コニーが待っていて「大丈夫?・・」と声を掛ける。チャーリーの演技が始まる。
♪♪ 胸を張〜り・勇気を出して・・・どうせ歩くな〜ら・・上を向いて・・歩いていこう〜・・・♪♪ 「すばらしかった」 「そうでしょ?」 チャーリーに「すばらしかった、おどろいたよ・・・」
三人で駐車場に行って、車に乗りエンジンをかけようとしたとき、「ドスン・・」と後方に追突される。 「すまない!・・僕が悪いんだ!」と男が駆け寄る。 リア・トランクの蓋が曲がって持ち上がっている。 合わない蓋を押し付けながら「これでいい、・・・気にするな!」と男を追い返す。 「警察を呼ぼうか?・・」とさらに言う男に「明日調べる・・」と言って無理やり蓋を押し込み帰っていく。
夜中にエドワードはそっと起き上がり、シャツを着て出かける。 車を運転してゴミ捨て場に来る。 ビニール袋に入ったゴミが山積みされている中に、死体の包みを投げ捨ててゴミの袋を上に積み上げる。 家に帰りシャワーを浴びて、車を洗車する。 ベットに入るが眠れないで朝を迎える。 台所に行くと妻がいて「パパ・・顔色が悪いわ・・夜中何処に行ってたの?・・」と聞く。 「ちょっと、散歩をしたくなって・・・」といい、「君はこの家に満足か?・・。街に戻ってもいいんだよ」と言う。 「変な人・・・だいじょうぶ?・・・みんな元気でここで暮らせるのよ」
夫の留守中に家の前に警察のパトカーが来る。 コニーはチャーリーに「心配しないで・・・」と言う。 「ニューヨーク警察です。・・・ミセス・サムナー?」 「コニーです・・」
警官が聞く「最近マーチサー・ストリートへは?・・」 「いいえ、ぜんぜん・・・」 「ポール・マーテルという男をご存知ですか?・・・」 「さあ、知りませんけど・・・」
「古本の売買をしていますが、彼のデスクにあなたの住所がありまして・・・奥さんが連絡が取れないと心配して。・・・別居中なんです。」 「ああ、判りました・・」 「いつ、彼に?・・」 「さあ、いつだったか?。・・個人的には知らないの・・彼から本を買うまでは会ったことがありませんから・・・」 警察官はリビングにたくさん並べられたお土産用の、ガラス球の付いたオルゴールを観つけて「うちの息子も集めているよ・・・」と言って帰っていった。
夜、エドワードが帰ると、息子のチャーリーが「警察が来たんだよ」と報告する。 「警察が?・・・なぜ?」 「行方不明者の問い合わせ・・・あなたの知らない人よ」 「なぜ、あなたに・・・」 「本を買ったことがあるのでデスクに住所と電話番号があったみたい・・・」
サムナー家でパーテイが始まる。 皆でお祈りをする。 ”恵まれない人たちのことを忘れません・・・・アーメン ”
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ゴミ置き場で、廃棄ごみをシャベルカーで整理中の男が、ジュータンに撒かれた死体を発見する。
エドワードとコニーが庭の整理をしているところにパトカーで警察官が来る。
「デイーンです・・・。週末まで押しかけてきてすみません。・・彼の死体が先週末発見されたのです。・・・」 コニーにポールの写真を見せながら「最近、彼に会ってますね?・・」 「会いました」 「伺ってませんでした!・・・彼のアパートの前で駐車違反をしていますね。」 「はい・・」 「友達と近くの喫茶店でお茶を飲みました。」 エドワードが「もういいじゃないか・・・」と警官の質問を制する。 「お邪魔しました・・・」と警察官は帰っていった。 コニーは泣き出す。
コニーはポールの住むアパートの近くのクリーニング店に行って、ポールのネームのついた洋服を探す。 見つけた洋服のポケットから封筒が出てくる。 封筒の中からは探偵が写した、コニーとポールの二人が楽しそうに遊んでいる写真が出てくる。 (コニーは夫が二人の関係を調べたことを知る)
エドワードは昔のことを考える。 旅行の記念に旅先で集めた、ガラス球の付いたオルゴールの一つを手にとって「コニー・・・これは何処?」と聞く。 「フイジーよ・・・どう、ハワイへ行って毎日マイマイ釣りは?・・」 コニーが思い切ってエドワードに聞く「一体何をしたの・・・彼に何を?・・・」 「君がにくい・・・殺したくは無かった・・・」 「やめて、エドワード・・・お願い・・・」
夜中、コニーは眠れないで階段に腰掛けて考え込んでいる。 エドワードがやってきて黙って肩に手をやる。 チャーリーが「ママ・・漏らしちゃった」と起きてくる。 「いいのに・・気にしないで・・・誰にだって間違いはあるのに。・・・ママは誰よりもあなたを愛しているワ・・・どんなことがあっても・・・」 エドワードとチャーリーが二人でピアノを弾く。 コニーは二人の結婚写真を観ている。 サイレンを鳴らしてパトカーが近づく、・・・二人が無言で顔を見詰めあうが、パトカーはそのまま遠ざかっていく。 エドワードがオルゴールをよく観るとポールの部屋で見たオルゴールがそこにある。 ガラス球を外しオルゴールの蓋を開ける。 静かな曲が流れる。 はこの底に紙が入っている。 取り出して読む。” 結婚25周年まで開けない。”と上書きがある。 ”「美しい妻へ 君は僕が生きる糧だ」” 二人は黙ったまま見つめあう。 コニーは探偵が写した不倫の証拠写真を焼く。
エドワードが言う「僕は鬼じゃない・・・自首する」 「ダメ!・・・やめて!・・」 二人は今にも泣き出しそうな顔でダンスをし、キスをする。
「逃げましょ・・・・何もかも売り払って外国へ・・」 「よくある話よ・・・だが、チャーリーには何と?」
二人は夜の道を車で走る。 信号機が赤になって車を止める。 信号が青に変わったが車は動かない。 道の真中でライトをつけたまま車が停まっている。
そこは警察署の前。
= 終わり = H,15,01,11鑑賞
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