ロード・オブ・ザ・リング「二つの塔」(上)



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 HERALD 日本ヘラルド映画株式会社

 今回始めて映画のパンフレットを買いました。 ニュージーランドの原野に26、000人のエキストラを使い、400人を越える製作スタッフが一部デジタル技術も駆使して製作したというこの作品は、見ごたえのある超大作です。 
J.R.Rトールキン原作の「指輪物語」は1954年に出版された冒険フアンタジーで、その完全映画化「ロード・オブ・ザ・リング」は3部作となります。 
第1部は全世界で1050億円の興行収入を記録し、アカデミー賞13部門にノミネートされました。 
  監督はピーター・ジャクソン。 字幕翻訳 戸田奈津子
                                       
 【前作あらすじ】
 遠い昔、・・・第2期の1500年頃、エルフの国でサウロンの助言のもと ”力の指輪” が鍛えられ始めた。1600年頃には魔法の指輪は19個作られた。 
暗黒の王サウロンは彼らを支配するために、3つは不老不死の種族エルフ族に送り、7つは山の洞窟に住むドアーフ族に、そして9つの指輪が力と欲望の強い人間に送った。 しかし、彼等はやすやすと支配に屈しなかった。 モルドールの火を吹く滅びの山でサウロンは、19の指輪全てを操る一つの指輪を作った。
 その指輪には全ての支配をたくらむサウロンの邪悪で残酷な思いが込められていた。 人間とエルフの連合軍がモルドール軍と戦った。 サウロンと闘った人間のゴンドール国王は倒れ、息子のイシルドゥアがサウロンを倒して指輪は彼の物となった。
 彼が悪を永遠に滅ぼす機会を得たが、堕落をたどるのが人
間。 指輪は彼を死に追いやった。 その後2500年指輪は人々から忘れられていたが、洞窟に住むゴラムが大河に沈んだ指輪を見つけ500年間持っていた。 それをホビットの里の住人ビルボ少年に奪われる。 こうして「中つ国」に住む全ての人々の運命をホビット族が握ることとなった。
 その60年後ビルボ老人の111歳の誕生日に古い友人ガンダルフ(魔法使い)がホビットの里を訪ねてくる。 裂け谷で回想録を執筆し静かに余生を送りたいというビルボ老人は、養子のフロドに指輪や家財を渡して家を出て行く。 
フロドはビルボ老人の残していった古文書によって指輪の秘密を知る。 ガンダルフは、ボルドールの地でサウロンが復活したこと、ゴラムが拷問に耐えられずビルボ老人が持っていることをしゃべったと言うことを知る。やがてサウロンの騎馬集団が村を襲う。 ガンダルフ老人の命令でフロドは庭師のサムと指輪を持って村を出る。 サウロンと手を結んだモンドールの魔法使いサルマンが、ガンダルフに仲間となるよう誘うが彼は断り、二人は対決してガンダルフは負ける。 フロドは逃げる途中友人のピピンとメリーに会い一緒に逃げる。 宿屋でアラゴルンと知り合う、彼はゴンドール国王の末裔。 彼の道案内で四人はエルフ族の国”裂け谷”をめざす。
 サルマンはエルフ族から作り上げたオークという邪悪な兵隊を土の中から造る。 ガンダルフはアイゼンガルドの砦にそびえる高さ500フイートの塔の上で息を吹き返し、大きい蛾に乗って戻ってくる。 黒い兵隊に襲われたフロドは毒剣で意識がなくなるが、エルフ族の姫アルウエンに助けられる。 彼女の父エルロンドとその妻の母ガラドリエル王妃に世話になっている養父ビルボとフロドはここで再会する。 指輪を無事”裂け谷”に届けたと安心した時、モンドール軍とアイゼンガルドの連合軍が裂け谷を攻めてくる。 エルロンドは「イシルドゥアが指輪を手にしたとき私は観ていた。 滅びの山の火口に彼を誘って指輪を葬るよう説得したが彼は拒否した。その日で終わるはずだった悪がこうして生き長らえた」と話す。 エルロンドの館で会議の結果、ガンダルフ、アラゴルン、ボロミア、レゴラス、ギムリ、フロド達4人の9人が滅びの山の火口に指輪を捨てに行くこととなった。こうして9人の旅が始まった。
 彼等の行動をサルマンは”遠見の石”で見ていた。 魔法で雪山になだれを起こす。坑道を抜けるとき大タコの化け物やトロールやバルログという怪獣と戦う。 オークの兵隊が襲ってくる。 ガンダルフはモリアの洞窟で妖怪バルログという怪獣に襲われともに谷底に落ちていった。 一行はオークに追われるがローハン国の女王に助けられる。 女王に励まされて彼等は3艘のボートで再度出発しオークが彼等の後を追う。 フロドが見つかりそうになった時ピピンとメリーがオークの前にわざと飛び出して捕まる。 ボロミアは矢で撃たれて死ぬ。 
フロドとサムはボートで出発し対岸に渡った。 アラゴルンとレゴラスとギムリはピピン達の後を追って再び森に入った。
    
 【キャスト】
フロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)主人公のホビット族の少年。指輪を破壊するためモルドールの"滅びの山"目指して旅をする。
アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン) ゴンドールのお王イシルドゥアの末裔、エルフのアルウエンとは種族を超えた恋仲、
                    人間の統一王国再建を目指す。

ガンダルフ(イアン・マッケラン)  闇の勢力サウロンと戦うため"中つ国”に遣わされた賢人。悪鬼バルログと奈落に落ちるが、
                     戦いに勝って白の魔
法使いとして甦る。
サルマン(クリストファー・リー)  かって白の会議を主宰した魔法使い。自らの野心と闇の力の誘惑に負け、指輪を手に入れ
                     るためサウロンと手を結
ぶ。
ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス) ドワーフ族の斧の達人。指輪を捨てるたびに加わる。エルフ族に不信感をもっていたが
                    この旅でレゴラスト友情を深
めた。
レゴラス(オーランド・ブルーム) 闇の森のエルフ族の王の息子で弓の名手。 金色の永く美しい髪の端正な容姿の男。
サム(ショーン・アスティン)    ホビット族のフロドの家の庭師、素直で温厚でフロドの旅について行く勇気ある男。
ピピン と メリー   二人ともホビット族でフロドの親友。ピピンはフロドのいとこ、メリーはまたいとこ、フロドと旅に出て
                    はぐれたが大冒険をする。

エルロンド(ヒューゴ・ウィービング) ゴンドールの男。「中つ国」のエルフ族のガラドリエル王妃の娘と結婚し、
                    裂け谷の王となった。(エルフ族は不老不
死)
アルウエン(リヴ・タイラー) エルフ族のエルロンドの娘。人間のアラゴルンと恋に落ち、不老不死を捨てることを恐れない
                    美しく強さを備えた女性。

エオウイン(ミランダ・オットー) ローハン族の美しい姫。盾をもつ勇敢な女戦士。アラゴルンを一目見て恋に落ち彼を恋慕う女性。
ファラミア(デヴィッド・ウェンハム)オークに殺された旅の仲間ボロミアの弟で、イシリアンの森を警備している。
                   彼が率いる軍隊がオリファント(巨大
な象を思わせる戦争に使う獣)に乗っている。
ゴラム 大河に沈んだ指輪を拾って500年間、山脈の下に潜んでいたが、ビルボに指輪を奪われた。 フロドの手に渡った
                   と知って追いかける。
元々はホビットの一支族で醜い姿になる前の名はスメアゴルでその心
                   が同居している。

          
    【ストーリー】 
雪深い尾根が続く荒涼とした大地、・・・フロドとサムがサウロンが支配するモルドールを目指して、"滅びの山”の亀裂に指輪を捨てるための旅を続けている。
 "闇の底に戻るが良い!・・。ここは断じて通さん!・・”  ガンダルフ老人がモリアの洞窟の中のガザド=ドゥムの橋で、悪鬼妖怪”バルログ”と闘ってい。 やがて橋が崩れ落ちて老人が崖にすがり付くが誰も近寄ることが出来ない。 「行け!。・・バカもの!」ガンダルフが叫ぶ。 火を吹く妖怪と老人がもつれ合って闘いながら奈落の谷底に落ちて行く。 「ウワ〜アッ!・・・ガンダルフ〜!!・・」フロドが悲痛な叫び声をあげて、我に返り眼を覚ます。 「ガンダルフ・・・アアッ」 「どうなさいました?」サムが聞く。 「・・・タダの夢だ・・・」
 フロドが言う「モルドール・・・この”中つ国”で唯一間近に見たくない場所・・・そこに辿り着こうとしているけど、辿り着けるかどうか?・・・」 サムが言う「どうやら俺たち迷ったようです・・。」 「ガンダルフもここをいくつもりは無かった。彼の予想とは違ったことばかりが起きている。」 「食料の残りを見てみます。・・・・  良かった"レンバス”がある。 よその食べ物は嫌いだけど、エルフのこれだけは悪くないです」 「サム・・おまえはどんな時もくじけないな・・」  二人は山道の岩場を登る「何だかここ見覚えが・・・・。一度通った場所だよ。ひと回りしたんだ。・・・なんだろこの匂い?・・」 「匂いますか?・・近くに沼でもあるのかな?」  「確かに匂う・・・誰かが後を付けてる・・・」 岩の上から裸のサルのような妖怪(ビルボの前に指輪を持っていたゴラム)が二人を見ている。  「盗人だ!・・泥棒虫!・・汚いちびのこそ泥め!・・あれはどこにある・・わしらから盗んだ!・・俺のいとしい人・・憎い!呪われろ!。・・わしらのモンだ。わしらに返せ!」 ゴラムがいきなり飛び出して、フロドのネックレスに止めてある指輪を取ろうとする。 ゴラムが噛み付きもみ合う中でフロドが剣を抜く「これはスティングだ・・・観たことがあるだろう(フロドが養父ビルボから譲られた剣)・・・彼を離せ喉を切り裂かれたいのか!・・」 捕まえてゴラムの首にロープをつける。 悲鳴をあげて「外しておくれよ・・・」と騒ぐゴラムにサムが「静かにしろ!・・どうしょうも無いです。モルドール中に知られてしまいますよ。縛っておいていきましょう」
 「いやだ!・・わしら殺されるよ・・」 「確かに殺されて当然かも知れない、でも、観てると哀れを感じる・・・」 ゴラムが泣き声で言う「わしら優しくしてくれたら、わしらも優しくなるよ・・・このナワ外してよ。・・わしら誓うよ・・どんなことでも言う事聞くよ・・・」 「お前の約束など信用できるものか?」 「誓うよ・・ワシらいとしい人のご主人に仕えるよ・・いとしい人に賭けて誓うよ!」 「指輪は当てにならない。・・自分の言葉を守ることだ」 「守るよ・・・いとしい人に賭けて・・」 「信じるものか!・・騙されちゃだめです。自由にしたら寝首をかかれますよ」 フロドが聞く「モルドールへの道を知っているか?」 「知ってる・・」 「行ったことはあるのか?」 「あるよ・・」 「よし・・黒門まで案内をしろ!」一行は歩き出した。
 ピピンとメリーを馬上に縛ってオークの兵士ウルク=ハイの大群が行く。 「メリー・・メリー!」 「何だ!」 「人の臭いだ・・」 ピピンがエルフのロリアンから貰った木の葉の形をした、ブローチを気付かれないように路上に落す。 サルマンが言う「アラゴルンか?・・・後をつけられている」。
 三人が後を追う。 アラゴルンが言う「早駈けになった・・我々に気付いたようだ。・・急げ!・・ギムリ」 ギムリが言う「三日三晩の追跡で食事も休みもなし・・」 レゴラスがブローチを見つける。 「ホビットたちがつけていたロリアンのブローチだ・・。二人はまだ生きている。」 「行こう!・・奴等に追いつこう」三人が走る。  アラゴルンが言う「何か邪悪な力を感じる・・・。それがオークどもを勢いづかせ、我等に敵意を向けている。・・・レゴラス!・・何が見える!」 「奴等が方向を変えたぞ・・・ホビットをアイゼンガルドに運ぶ気だ」
 冥王サウロンが言う「いまや"中つ国”でモルドールとアイゼンガルドに抵抗できる勢力はありましょうや・・」 サルマンが答える「世界は変わりました。・・・サウロンとサルマン・・強大なる二つの塔(アイゼンガルドの砦にゴンドールが建造したが、サルマンが支配している150メートルの塔オルサンクと、冥王サウロンがモンドールの南に”一つの指輪”の力で建造した砦パラド=ドゥア、サウロンはここからサルマンを操っている)の連合に、はむかえる者など居りません。・・・我が主サウロンよ、我等ともに中つ国を支配しましょうぞ・・」 
 サルマンが言う「古き世界は精錬所の炎で焼き滅ぼされ、森は姿を消し・・」 「新しい秩序が生まれます・・・我等は多くの剣とヤリで、情け容赦無く戦いに勝利しましょう」 土の中からオークを次々と作り出す。 「たてつく愚か者どもを皆殺しにしろ!・・木を切り倒せ・・・村々を焼き払え!」 「まず手始めはローハン・・・」 「奴等は長年あなたにたて突いてきましたが、それもこれまで・・」
  ローハンの村をオークの兵が襲い、火を放つ。 母親がが子供に「エオサイン!・・エオサイン・・妹をつれてお逃げ・・二人だけなら速く走れる。・・エドラス(ローハンの首都)に急を知らせるのよ」といって二人を馬に乗せる。 「私行きたくない・・・行くのイヤだ」 「好い子ね・・すぐ会えるわ・・」馬を走らせる。 「生きるのよ・・・」  村は火の海となった。 サルマンの部下が言う「ローハンはすでに滅びたも同然です」
 ローハンの城に傷ついたセオドレド王子が馬で逃げ込む。 姫君エオウインが言う「セオドレド・・・王子は重い手傷を負われておいでです。」  姫の兄エオメルが言う「オークどもの待ち伏せに会い・・・我等が戦わねばサルマンに国を奪われてしまいます。・・・」  王の相談役グリマが言う「ウソでございます。・・・白のサルマンはかねてより我等のよき友であり、同盟者です」 「オークが我が物顔で我が領内で殺りくを繰り返しています」 「ご病気の陛下に何ゆえ心配させるようなことばかりを言うのだ。・・判らぬか・・叔父君はあなたの不平不満、戦好きにうんざりしておいでだ」 エオメルが言う「戦好きだと・・・いつからサルマンに魂を売った?・・報酬は何だ!・・グリマ。・・貴様は我が妹に思いを寄せ、常に妹に付きまとっていた。」 「エオムンドの息子エオメル!・・・余計なものを見すぎたな・・」 グリマが言う「そなたにローハン王国よりの永久追放を申し付ける・・戻れば死罪だ」
         
 アラゴルンたち三人が走る。 ギムリが「一息入れんともたん。・・」とへばり声で言う。 
  オークの兵士の大群の中、捕らわれているピピンが言う「メリー!・・俺たちホビットの里を離れたのが間違いだったかな・・」 どこかでうなり声と共にカタコトと音がする。 「なんだよ変な音?・・」 「木の話し声だ・・」 「フルモイのことを覚えてるか?・・。バックランドのはずれの・・・あすこでは水に含まれる何かが、木々に命をはぐくむと言われている。 「木々がお互いに言葉を交わし、動くことさえできる。」
 オークの兵、ウルク=ハイが言う「腹が減った・・この三日間食った物は腐りきったパンだけだ。・・・奴等はどうだ・・新鮮だゼ」 「その二人は食いモンじゃない。・・」 「足はいらねえだろ・・美味そうだ」 「さがれバカモノ・・」 「せめてひと口・・」 ピピン達は縛られたまま逃げようとするがすぐに捕まる。 「どうした・・助けを呼びナ・・叫べ!・・誰も助けにはこねえ」 そう言っているところに馬に乗った一団が急に現れ、ウルク=ハイの兵士を次々と切り倒していく。 メリーとピピンは転がりながら逃げ回る。
  アラゴルンは立ち登る煙で、昨夜の戦いを知った。 「赤い火が登る!・・夜中に血が流れた。」  平原の中でアラゴルン達はローハンの騎士の一団と出会う。 アラゴルンが言う「ローハンの騎士よ!・・バークシャスで何があった?」 ローハンの隊長エオメルが言う「人間とエルフ・・それにドワーフまでがこの地で何をしている?・・。早く答えろ!」 ギムリが言う「そっちから先に名乗るんだな・・そうすりゃ答えよう」 「もしそなたの首が地面よりもう少し高くあれば、跳ねてくれようものを・・・」といって剣を抜く。 レゴラスが「その前にお前の命が無いといって弓を構える。   「アラソルンの息子、アラゴルン」 「グローインの息子、ギムリ」 「森のエルフ、レゴラス」各々が名乗った。 「ローハンのアールチク、・・セオデン王の友だ。・・王はもはや敵見方の区別もつかない。・・自分の身内さえも・・・サルマンが王の相談役として、自分の配下の蛇の舌グりマを送り込み、ローハンを奪おうとしている。・・我等はローハンに忠誠を誓った者・・それゆえ追放された。・・・手先も網の目をくぐって潜り込んでいる。」 アラゴルンが言う「我等はそうではない。ウルク=ハイの一団を追ってこの地に入った、友人二人が奴等にさらわれた。」 「ウルク=ハイなら昨夜我等が皆殺しにした。」 「ホビットがいたろ!・・ホビットの二人を見なかったか?」 「身体は小さい・・・子供にしか見えないだろう」 「生き残りはいない・・・死体は皆積み重ねて焼いた」 「死んでるぞ!・・」 「気の毒だが・・・」 エオメルは「ハスベン・・・バルゴ」と二人の兵を呼んで、馬を二頭持ってこさせて「主人は昨夜の戦いで死んだ、変わりに可愛がってくれ・・さらば・・探すのは勝手だが望みは持たぬことだな・・・この地に希望は失せた。・・・北に向かうぞ!」とみんなに合図をして一団は去って行った。
  黒焦げの焼け残った死体がうずたかく積まれ、まだくすぶっている。 ギムリがピピンのベルトを見つける「遅かったか・・・」 アラゴルンが土の異常を見つける。「ここに横たわっていた・・・もう一人も・・はった跡だ・・縛られてた・・石で縄を切った。・・ここまで逃げている。ファンゴルンの森に・・・」 ギムリが「何を血迷ってファンゴルンの森に・・・」
  ピピンとメリーがファンゴルンの森の中に逃げ込む。 「奴等をまけたか・・もう追ってこないだろな・・・」。 森には妖怪が住んでいて二人を襲う「テメエラのはらわた掻き出してやるぜ。出て来い!・・」 逃げていた二人が「木だ!・・。登れ!・・」と登って行く。 「いないぞ・・」 二人が登っていった木が、眼を開き動き出す。 「ああッ・・ギャァ〜・・ああッ〜」驚く二人。 木が何かをしゃべり出す。 「口を利いたぜ・・木が話してる・・」 「木じゃと?・・・わしは木ではない・・わしはエント・・」 エントは二人を枝に乗せたまま、ゆらゆらと歩き出す。「木々の守りで、森の守護神ですぜ。・・」 「話し掛けるなよ・・調子に載せるなって・・」 「木の鬚(ひげ)と呼ぶものもあるがな・・」 「で・・どっちの味方なんだ」 「わしは誰の味方でもない・・誰も森のことなど気にも掛けんわ・・」 「僕達はホビットです」 「ホビット?・・。聞いたことが無い・・オークがわしをだまそうとしておるんじゃ。わしらの森に入って・・」 「誤解です。・・俺たちはホビット・・小さい人です。オークじゃない」 「かもしれんし・・そうでないかも知れん・・白の魔法使いに聞けば判る」 「白の魔法使い?。・・サルマンだ」

                                
 「ほらね・・無事抜け出せたよ・・・ホビットさん早く!・・」ゴラムがフロドとサムを黒門に案内している。 霧が立ち込めた沼地に出る「沼に誘い込む気だ」 「早くおいで・・わしら安全な道教えるよ・・ホビットさん。・・ほら早くお出で・・わしが見つけた抜け道よ・・沼を抜ける早道・・オーク使わないよ。オーク知らないよ。・・静かに、早く歩くよ」 サムが「死体があります。・・水の中に死人の顔が・・」と叫ぶ。 「みんな死んでるよ・・腐ってるよ・・エルフに人間にオークたちみんなよ・・ずーっと昔よ・・戦があった。・・"死者の沼地”よ・・気をつけて・・死んで、死者の仲間入りすると小さなローソク灯るよ」 沼の周りに三人が足元に注意しながら沼地を進んでいるとき、フロドが意識もうろうとして沼の中に入る。 「フロドさま!・・」 水の中に沈んでいる”死人の顔”に誘い込まれるように、フロドも沈んで行く。 、「だからあんなに注意したろ!・・」 ゴラムが飛び込んでフロドを助ける。 ゴラムは意識が遠退いているフロドの首に掛けられた指輪を見て欲しそうに「キラキラ光るよ・・とっても綺麗だよう・・わしらのいとしい人・・」と言う。 サムが問う「今、なんて言った。」 「だんな様休むよ、よく休まないと身体もたないよ・・・」 フロドが聞く「おまえは誰だ?」 「関係ないよ・・聞かないよ。」 「ガンダルフから川辺の民だと聞いた。」 「冷たいは心。手には骨、家を離れた旅人・・」 「悲惨な人生を送ってきたこともだ・・」 「月の無い夜・・行く手はヤミ。何も見えない・・」 「かつてのお前はホビットと変わらなかった。そうだろ」 「スメアゴル(良心をもっていた頃のゴラム)・・・今なんて呼んだ」 「かつてのお前の名だ・・遠い昔だが・・」 「わしらの名が・・スメアゴル・・・。」 ゴラムの中の”良い心”が目覚め始めていた。

 フイに上空に蛇の首とコウモリの翼をもつ巨大な飛竜が現れた。 ゴラムが叫ぶ「隠れろ!」 三人は急いで木の影に隠れる。 モルドールのナズグルの空飛ぶ乗り物で、彼が指輪を探して飛んでいるのだ。 「行くよ・・・ホビットさん。もうすぐそこよ」ゴラムが言う。
 アラゴルン達三人がピピンとメリーを追って山に入る。 アラゴルンが新しい足跡を見つける。 「おかしな足跡がある・・・」 ギムリが「空気がやけに濃くはないか?」と警戒する。 レゴラスが「ここは古い森だ・・とても古い・・」 「木と木が互いに話してる」 アラゴルンが言う「何かがいる・・・白の魔法使いが近づいてくる・・口を開かせるな、魔法を掛けられる。・・先手を打つぞ」。  突然一面が明るく光り声がする「若い二人のホビットの後をつけておるのであろう」 「二人は何処だ!・・」 「一昨日のこと、思いがけない相手と遭遇しての・・」 「お前は誰だ!・・姿を見せろ!」 白髪の老人が現れる。 アラゴルンが「そんなバカな・・地の底に・・・」と言うのをさえぎり、老人が「落ちた・・闇の底に・・地底から高い峰の頂までわしは悪鬼妖怪バルログと闘った。 永い戦いの末奴にとどめの一撃を与え、山腹に叩き落して滅ぼした。・・その後闇に捕らわれ時と空間を越えてさまよった。一日一日がこの世の一生に匹敵する長さだった。 身内に再び生気が甦った・・わしは再び送り返された。・・使命を果たすために」 「ガンダルフ・・・」 「そうか・・・そう呼ばれておったか。・・灰色のガンダルフ・・・わしの名前じゃった。・・今は白のガンダルフじゃ。・・おぬしらの元に戻ってきた。・・ 敵がローハンを襲った。急いで都に行かねばならん」 老人が口笛を吹くと白馬が遠くから駈けて来る。 「マヤカシでなければあれは王のみに許された馬。・・ メアガス・・」 「名をとびかげと言う。全ての馬の上に立つ馬じゃ。」 四人はローハンのエオメルから貰った二頭と白馬の三頭にまたがり、ローハンに向かった。 

  ピピンとメリーを枝に乗せてエントが歩きながらしゃべる。 「わしはガンダルフにお前達を守ると約束した。わしが付いておるかぎり安全だ。 木々は危険なまでに猛々しく育った。 怒りが彼等の心を蝕む、お前達を傷つけるやも。 私がエントの数を減らし木々の面倒を見切れなくなったのじゃ。・・」 

 モルドールの黒門が見える丘のうえにゴラムとフロド達がやって来た。 岩陰に隠れて様子を探る。 正門の前にはさえぎる物もなく広大な広場がある。 ゴラムが言う「ほら、モルドールの黒門だよ。・・モルドールへの道を教えろと言ったのはだんな様よ。・・・だから言われたとおりにした。」 城壁の上では警備の城兵が見張っている。 サムが「潜入はムリです。」と言う。 その時大軍の兵隊が戻ってくる。 合図の角笛が鳴って、彼等を迎えるため巨大な門が開かれる。 「降りる道があります。」 サムが下り始めてすぐ足を滑らせる。 「サム・・危ない!・・」 警備兵がやってきてそのあたりを探すが何の姿も見えない。 フロド達はエルフのマント(ガラドリエルが織ったマント。これを着ると敵の眼から見えにくくなる)を冠って隠れていた。 「一緒に来てくれとは頼まなかったぞ。  エルフのマントもあの中では効くかどうか?」 兵士が全員城内に入って巨大な門が閉まり始める「行くぞ!・・」サムが言うのを、ゴラムが止める。 「だめ!・・ いけないよ、捕まる・・捕まるよ。 あいつに取られちまうよ・・あいつも欲しがってる・・いとしい人を欲しがってる。 いとしい人もあいつのとこ返したがってる。 でも、あいつにだけは絶対渡しちゃダメ。・・・他の道あるよ、秘密の暗い道が・・・」 「どうして先に話さ無かった。」 「だんなさん聞かなかったよ」 「何かたくらんでる・・・」 「モルドールへ行く道が他にあるのか?・・」 「そうよ・・・道があるよ・・・その先は暗いトンネルよ」  「ここまではウソをついていない・・約束を守ってきた」 「案内しろ・・・スメアゴル・・・」 「いいスメアゴル、だんなさん助けるよ」
                                
 馬に乗った三人と白のガンダルフがやって来た。 白のガンダルフが教える「メルセルドのこがねの館。 ローハンの王セオデンの城じゃ。・・いまは心を病んでおる。 サルマンめに支配され気力がなえておるのじゃ」 

 ローハンの城内。 サルマンの軍隊に襲われて死んだ息子セオドレドのことを、姫君エオウィンが泣きながら告げる「皇后陛下・・王子が亡くなられました。・・・陛下、叔父上・・・お会いになりませぬか?。」 姫君の叔父セオデン王はサルマンの部下の”蛇の舌グリマ”に心身を蝕まれ廃人のようになっている。 姫君に思いを寄せている近衛隊長のハマが来て言う「昨夜の内にみまかわ
れたようですな。 一人息子のお世継ぎをなくされた陛下にはさぞお嘆きでありましょう・・・あなたにも受け入れがたい悲劇でしょうな。 とくに兄君があなたを見捨てた今は・・・」 「触らないで汚らわしい・・・」 「あなたは一人ぼっち・・・眠れぬつらい夜の底で自らのしぼみ行く人生に涙する時、寝室の壁はあなたにせまりきたり、あなたを閉じ込める牢獄にも見える。・・かくも美しく冷たい早春の朝。・・・それがあなただ」 「そなたの言葉は毒です」 泣きながら部屋を出た姫君が、城に近づくアラゴルン達四人を見つける。 彼等が城門に近づくと国旗が破れて落ちてくる。 城内に入ると村人達が気力なく、立ちつくして見ている。  ギムリが言う「墓場でもここよりは活気があるぞ」 ハマが言う「武器を帯びたまま御前には参れぬ」 みんなが武器を外して渡す。 「灰色の衣のガンダルフ、 蛇の舌グリマさまのご命令だ・・そのツエ・・・」と杖を取り上げようとするが、「いや、・・年寄りから杖まで奪うことは無かろう」とガンダルフ老人に言われて諦める。

 一行がセオデン王の前に案内された。 ハマが案内して言う「陛下、灰色のガンダルフが参りました。」 その時いっせいに全ての出入り口の扉が閉められ、鍵が掛けられる。 「歓迎されていないようじゃのう」 「この宮廷の礼儀作法は近頃地に落ちたとみられますな・・」 セオデン王が言う「ガンダルフよ・・・そなたを歓迎する理由などどこにある」 グリマが言う「ガンダルフ!・・この魔法使いめ、・・・貴殿は疫病神だ」 ガンダルフが言う「黙らんか!・・その二枚舌を歯の奥にたたんでおけ!。貴様ごときと言葉遊びをするために、黄泉の国から戻ったのではないわ」 「杖を・・・武器は全て取り上げて置けと命じていたはずだ!」 武器を持った兵士が四人を取り囲む。 ガンダルフが杖を振り上げ祈りながら言う「センゲルの息子よ!・・永く闇に留まりすぎた・・魔法から解き放つ・・・」 「アッハハハ・・ここではお主の力は通じぬ・・」 「傷から毒を吸い出すようにサルマン・・お前を引きずり出してくれよう・・」

「アーアッ・・・わしが出て行けばセオデン王は死ぬ・・わしを殺せるものなら殺
せ!・・ローハンはわしの・・」 ガンダルフの杖の一突きでサルマンの魂を追い払うとセオデン王が正気に戻り、かつての偉大で高貴な王の姿に戻った。 エオウィン姫が駆け寄る。 「そなたはエオウィン・・・。オゥ・・ガンダルフ」 「友よ!・・自由な空気を吸われるが良い・・」 「暗い夢ばかりを観ておった・・」  蛇の舌グリマが引き出される「私めはタダひたすら陛下に使えてまいりました。・・おそばに居させてください」 言い訳をするグリマを王は剣を振り上げ切ろうとするが、「もういいでしょう・・既に多くの血が流されております・・」アラゴルンに止められ、グリマは馬に乗せられて一人城外に出て行く。  「息子はいずこに・・・セオドレドは?・・」 「セオドレドの死は陛下のせいではありません。」  「親が子を葬るなどあってはならぬ。」 「ご子息は勇士であられた。・・その御霊はご先祖達の元へ向かわれたはず・・・」

 ローハンの村がオークに襲われた時、母親に馬に乗せられ逃げていたエオサイン兄妹が城内に逃げてきた。 エオウィン姫が「村は全滅だそうな・・武器を持たぬ村をいきなり襲ったとか・・敵兵は火を放ちながら西の谷を移動しています」と言う。 アラゴルンが言う「そのサルマンをつき動かしているのは、サウロンへの恐れです。・・今こそ討って出るとき・・闘うのです。・・陛下には今北に向かっている2000の兵がいます。エオメルは忠義の人・・戻って陛下のために闘うでしょう」 セオデン王が言う「既にエドラスより300リーグ(1500Km)離れておる。戻っても間に合わぬ・・・そなたたちは戦えと言うがこれ以上ローハンの民の血は流したくない」 「戦いは避けられません」 「ローハンの王はアラゴルン・・そなたではなく予、セオデンである」 「ならば王のご決断は?・・」 王の決断によって全ての人々が、難を避けるため都から出てヘルム峡谷に移ることとなった。 食料のみを持った人々が長い列を作って移動した。 ガンダルフが言う「同じ戦術で昔救われたことがある」 レゴラスが「自らワナにはまるようなものだ。待つのは虐殺のみ・・」と言う。 「灰色の放浪者!。・・かつてはそう呼ばれていた。・・人間の300倍もこの地をさすらってきたわしじゃが、いまは時間が無い。・・行かねばならん・・五日目の朝、わしの帰りを待つのじゃ・・でわ」そう言ってガンダルフは白馬に鞭を入れエオメルを探しに行った。 

 城の中でエオウィン姫が剣を振り回し一人で練習をしている。 アラゴルンが「少しは扱えるようだな・・」と言ってやってくる。 「この国の女のたしなみです。・・使えぬ者はただ殺されるだけ、私は死を恐れません」 「では、何を恐れる?・・」 「オリの中で年を経、闘う気力を失われること。優れた功績を立てる機会が失はれることを恐れます」 「あなたは王家の人間、ローハンの盾持つ乙女だ。・・・オリの中に留まることはありえない」 

 モルドール軍が移動している。 「セオデンはエドラスには留まりますまい。」 サルマンが言う「あの街は攻撃にもろい」 「百も承知のセオデンはローハンいちの要塞といわれるヘルム峡谷に向かうはずです。・・山間を抜ける道は長く危険です、女子供も一緒の旅・・・はかどらぬでしょう」 

          「以下(下)に続く」
  
                


ロード・オブ・ザ・リング「二つの塔」(下)

 【キャスト】
フロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)主人公のホビット族の少年。指輪を破壊するためモルドールの"滅びの山"目指して旅をする。
アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン) ゴンドールのお王イシルドゥアの末裔、エルフのアルウエンとは種族を超えた恋仲、
                    人間の統一王国再建を目指す。

ガンダルフ(イアン・マッケラン) 闇の勢力サウロンと戦うため"中つ国”に遣わされた賢人。悪鬼バルログと奈落に落ちるが、
                    戦いに勝って白の魔法
使いとして甦る。
サルマン(クリストファー・リー)かって白の会議を主宰した魔法使い。自らの野心と闇の力の誘惑に負け、指輪を手に入れる
                  ためサウロンと手を結ぶ

ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス) ドワーフ族の斧の達人。指輪を捨てるたびに加わる。エルフ族に不信感をもっていたが
                  この旅でレゴラスト友情を深
めた。
レゴラス(オーランド・ブルーム) 闇の森のエルフ族の王の息子で弓の名手。 金色の永く美しい髪の端正な容姿の男。
サム(ショーン・アスティン)  ホビット族のフロドの家の庭師、素直で温厚でフロドの旅について行く勇気ある男。
ピピン と メリー  二人ともホビット族でフロドの親友。ピピンはフロドのいとこ、メリーはまたいとこ、フロドと旅に出て
                   はぐれたが大冒険をする。

エルロンド(ヒューゴ・ウィービング) ゴンドールの男。「中つ国」のエルフ族のガラドリエル王妃の娘と結婚し、
                   裂け谷の王となった。(エルフ族は不老不
死)
アルウエン(リヴ・タイラー) エルフ族のエルロンドの娘。人間のアラゴルンと恋に落ち、不老不死を捨てることを恐れない
                 美しく強さを備えた女性。

エオウイン(ミランダ・オットー) ローハン国の美しい姫。盾をもつ勇敢な女戦士。アラゴルンを一目見て恋に落ち彼を恋慕う女性。
ファラミア(デヴィッド・ウェンハム) オークに殺された旅の仲間ボロミアの弟で、イシリアンの森を警備している。
                 彼が率いる軍隊がオリファント(巨
大な象を思わせる戦争に使う獣)に乗っている。
ゴラム  大河に沈んだ指輪を拾って500年間、山脈の下に潜んでいたが、ビルボに指輪を奪われた。フロドの手に
                 渡ったと知って追いかける。元々
はホビットの一支族で醜い姿になる前の名はスメアゴルで
                 その心が同
居している。
  
 フロド達三人がモルドールを目指し旅を続けている。 「おい小っさいの・・勝手に先に行くな!」 「サムよせ・・彼をさげすんで呼ぶのはよせ・・」 「ウソと偽りの塊ですよ・・あいつの頭には指輪のことしかない」 「指輪が彼に何をしたか・・お前には判らないんだよ。助けてやりたい」 「なぜです・・」 「スメアゴルに戻れると信じている」 「そんなこと出来っこないです」 「お前に何が判る!・・でしゃばるな!」 「すまないサム・・ひどいこと言った。何で・・」 「指輪です・・指輪にとらわれておいでです。・・ここずっと・・殆ど食事も・・寝ても無いです。自分の務めと戦わなくちゃ・・」 「判っている・・指輪は僕に託されたんだ。僕の使命だ。僕一人のな」 ゴラムが揺れ動くスメアゴルの良心とゴラムの悪い心に苦しんでいる「ほしいよ・・あれがいるんだよ・・わしらのいとしい人がいるよ・・あいつらがわしらから盗んだ・・ずるいチビホビットだよ・・きたねえ泥棒よ。・・でもだんなさん別よ。・・いいや違わない、泥棒だ・・お前をだましていじめるぜ、ウソつきだ。・・・だんなさん、友達よ・・お前に友達なんかいない。・・聞きたくないよ、お前はウソつき泥棒よ。あっちに行け!。・・俺から離れてどうするの。 これのお陰で活きてこられた・・もうお前なんか要らない・・だんなさんが面倒見てくれる・・どこかに消えて二度と戻ってこないでいい・・わしがどこかに行けと行ったら、あいつどこかに行ってしまったよ・・いとしい人・・・行った!、行った!・・スメアゴルもう自由よ」  スメアゴルはウサギを捕まえてくる。 「やわらかくて美味しいよ・・食べてご覧」と言ってそのままでかじりつく。 「死んだウサギを食べる方法は一つだ。・・」と言ってサムが火の上の鍋に入れる。 「何をするの・・バカだよ・・台無しだよ」 サムが煮物をしている。 「あとジャガイモさえあれば・・・」 「ジャガイモって何なのよ」 「ゆでたり、つぶしたり、シチューに入れて、魚のフライと一緒に食べれば最高なんだけどな」 「せっかくの美味しい魚が油で揚げれば台無しよ・・生の魚だけおくれよ」
 フロド達が山の上に出る。眼下に大勢の人の集団が見える。 「何でしょう?・・」 「悪いやつ等よ・・サウロンに仕える兵士よ・・。モルドールに呼ばれたのよ・・暗黒の王が兵隊を集めて戦いの準備をしているよ。・・世界中が影で覆われる最後の大きな戦争よ」 「急いだ方が好い・・サム行こう」。 
 その時前方に土煙を上げて別の集団が現れる。 「フロドさま・・あれを・・オリファント(巨大な象を思わせる戦争に使う獣)です」 フロド達が逃げて隠れた目の前で獣に乗った南方人と呼ばれるハラドリム族とオークの戦いが始まった。  ハラドリムはイシリアンの森を警備しているファラミアが率いる軍隊で、逃げ遅れたフロドとサムがつかまった。 「両手を縛れ!・・」 オスギリアスの砦に連行された。 
  ドワーフの女は鬚があり声も見かけも男とかわらないので、女はいないと思われている。 
                                 
 アラゴルンがエルフのアルウェン姫といる。 アルウェン姫がペンダントをアラゴルンの胸に掛けながら「充実の光に満ち欠けはありません、私の心と共にあなたに持って頂きたいのです。・・おやすみなさい」 「おやすみ・・これは夢だな」 「ならばいい夢です・・眠って・・」 アラゴルンが目をつむる。 アルウェン姫が上から静かに唇を重なる。 アルウェン姫がいう「あなたは言った・・この日が来ると・・終わりではなく始まりです」 「わが道は見えない・・」 「ためらいを捨てて・・・信じる物が無い時はこれを信じて・・私たちの愛を信じて・・」

 父エルロンドがアラゴルンに言う「中つ国でのエルフの時代は終わろうとしている。 行かせて呉れ・・西に行く船に娘を乗せて欲しい。 そなたへの愛も永久に褪せる事の無い不死の国まで持っていかせるのだ。 娘をこの地で死なせたくないのだ」 アラゴルンが言う「まだ希望があるからこそ残るのだ。 そなたへの愛ゆえに残ろうとしているのだ。・・・あなたには別の道が開けている」 「どうしてそんなことを・・・」 「人とエルフ・・定めが違いすぎる・・・愛はつかの間の夢に過ぎない・・幻だよ・・・これは君に返す。・・」といって”エルフの石”を返そうとする。 「あなたに差し上げた物を・・・お持ちになって」と渡される。一度は諦めかけたアラゴルンも彼女の愛に揺るぎの無いことを知る。

 裂け谷に住むエルフたちは不死の国に旅立つ事となった。

 セオデン王の率いるローハンの人々が都を出てヘルム峡谷の角笛城に移動している。 馬が異常に騒ぎ出す。 アラゴルンが「どうした・・何があった・・」と飛び出す。 「オークです・・敵が出ました」 山の上からワーグ(巨大な熊と狼とハイエナを掛け合わせたような動物)に乗ってサルマンの兵士オークの大群が襲ってくる。 人々が逃げ惑う。 エオメルが「民を率いてヘルムへ向かえ・・急ぐのじゃ」と言うが、エオウィン姫が「闘います」という。 「ならん・・」 「予の頼みじゃ・・・行け!・・・続け」と馬を走らせた。 エオウィン姫は「谷へ向かうのです・・闘って・・」と人々に指示をした。 ワーグに乗ったオークも「進め!・・」と押し寄せる。 双方共に壮絶な戦いが続いた。 アラゴルンがワーグに乗った敵兵と馬に乗ったまま崖から落ちていった。 ヤリが投げられ、首が飛び、剣が振り下ろされた。 戦いが静まりギムリとレゴラスがアラゴルンを探すが見当たらない。 ギムリが負傷し苦しんでいる敵兵に「何があったか言え・・そうすれば楽にしてやる」と言う。 「あ・い・つ・は・ワーグとともに・・崖から落ちた・・」 崖の渕に立ち下を見ると谷は深く川がある。 がっくりする二人。 エオメルが言う「負傷者を馬に乗せよ・・アイゼンガルドの狼はまた来る。・・死者は置いて行く」

 エオウィン姫の率いる人々がヘルム峡谷の角笛城に着いた。 城門の中でエオサイン兄妹は別れていた母と再会する。 「ママーッ・・」 「エオサイン・・」母子は涙で抱き合う。 エオメルが「道を明けろ!・・」騎馬の兵士が戻ってくる。 姫が「これだけですか?・・戻られたのはこれだけ?・・。アラゴルン殿は?・・どちらで」 ギムリが「崖から・・」とだけ言った。 「兵を全て城壁に配置せよ!・・ 門を堅く閉じよ!」 「闘えない女、子供は洞窟に避難させよ」

 グリマがサルマンに報告する「ヘルムの砦にはタダ一つ弱点があります。外壁は強固な岩ですが、下には排水路が出されています。みぞといってよいほどのものですが、・・火薬を何にお使いになるのですか?・・」 「城壁さえ崩せばヘルムの砦は落ちる・・」 「城壁は崩せても、あの要凱を落すには何万の兵が必要です。」 「そろえればよい・・」 「でもそれだけの兵が何処におりましょう・・」 間もなくオークのウルク=ハイ兵が大群で城外を囲った。 サルマンが叫ぶ「新たな勢力が立ち上がった!。勝利は目前じゃ・・」歓呼の雄たけびが城外を埋めた。 「全軍進め!・・一人として生かすな・・闘いじゃ・・人間どもに夜明けは無い」  ウルク=ハイの数は1万人、ローハンの軍隊は300人に足りなかった。
                     
 ピピンとメリーがエントの木の鬚の枝に座って言う「あれは・・南に煙が見える。」 「あれはアイゼンカルドの煙だが、近頃では毎日の事だワナ」身体をゆすって歩きながらエントが言う。 「アイゼンカルド?」 「サルマンがわしの森を散策していた頃もあったが、命をはぐくむ者に愛情を持たなくなった」 「何だ!あれは・・・」 兵士の大群が移動している。 「戦が始まるんだ。・・サルマンの兵隊だ・・」

 意識を失ったアラゴルンが川で流れている。 浅瀬に留まって流れ着いた。 エオウィン姫にキスをされ「バガールの恵みがあなたを守りますように・・・」と言う声が聞こえたような気がした。 川辺で木を失っていたアラゴルンを一緒に落ちた馬が顔をなめていた。 気を失ったままの彼が這うようにして馬の背中に抱きつくと馬が歩き始めた。
 
エルフ達が"裂け谷”を発ち不死の国に行く船が出ようとしている。 父エルロ
ンドが娘アルウェン姫を説得しているが彼女は「私は残ります」と言う。 父は「あの男は戻っては来ぬ。・・望みも無い土地に何ゆえ留まる。」と言うが姫は「まだ希望はあります・・」と言う。 父が「たとえこの戦いにアラゴルンが生き延びても別れは来る。 サウロンが倒れアラゴルンが王となってそなたの望みがかなえられても、彼には死という悲しみの定めが待っている。 剣によって死なずとも時が死をもたらすのだ。 彼を失った悲しみ、その苦痛を癒すすべは何処にも無い。 アラゴルンの死はかつてこの世が滅びる前の人間の王たちのようにかげることなき栄光に包まれるやも知れぬ。だが娘よ私のアルウェン・・そなたは夕暮れのような星一つ無い暗闇と不安の中に留まるのだ。・・時が流れそなたの長い生涯が尽きるまで、そなたは悲しみのみを伴侶に生きねばならんのだ」 「愛しているわ・・父上様」親子はこうして分かれ別れとなった。

 ヘルム峡谷に敵ウルク=ハイの数が増強されている。 エオウィン姫が言う「冥王サウロンはサルマンを使って、ローハンを滅ぼそうとしています。 アイゼンガルドの軍勢は放たれました。 サウロンの目は今や、ゴンドールに向けられています。 人間の最後の自由の地への攻撃は目前です。」 さらに続ける「サウロンは指輪が近づいたのを感じ、フロドは旅の意味が判りかけています。 終わりは死を意味します、あなたは危険を承知で行かれたのです。 指輪は人間の手に渡ろうと懸命になっています。 人間の誘惑は指輪にとって簡単なことです。 ゴンドールの年若き大将ファラミアが指輪を我が物とすれば世界は滅びます。 その時は間近です。 サウロンは世界を滅ぼすことになっても地上のあらゆることに君臨するでしょう。 エルフの時代は終わりました。 中つ国を運命のままに任せて良いのですか?。彼等を見捨てても・・・」 

 エオメルに兵が報告する。 「サルマンの軍がローハンに攻め込みました。 セオデン王は人々とともにヘルムへ・・わが国の国境も心配です。 モンドールの黒門にはサウロンの命令で東方や南方のやつ等が集結をしています」 「川の北の方には500の兵を回しましたが、オスギリアスの守りも心配です。」  「サルマン軍はアイゼンガルドから、サウロンの軍はモルドールから来る・・前と後ろから敵を向かえることになる・。 我等に反撃する力の無いことも知っている。」 

                    
 ファラミアがフロドとサムに聞く「お前達はオークの回し者か?・・」 「冗談じゃねえよ・・。」 「じゃ・・何者だ?」 「僕等はホビットです。 名前はフロド・バキンズ。 彼はサムワイズ・ギャムジー」 「護衛役か?・・」 「庭師だよ・・」 「もう一人の仲間は何処にいる?」 フロドが答える「仲間は5人・・裂け谷を出たときは7人の仲間がいました、一人はモリアで死にました。 二人は親戚で、他にドワーフとエルフが一人ずつ、人間が二人です。・・・アラソルンの息子アラゴルンにゴンドールのボロミア・・」 「ボロミアの友人か?。・・」 「そうです。・・そのつもりでした」 「では・・彼の死を聞けば悲しいだろ」 「死んだ・・いつ!・・どうして?・・」 「仲間だと言うならお前から教えて欲しい」 「・・・」 「ボロミアは私の兄だ!」

 「ファラミヤ隊長!。・・・・仲間を見つけました」 「一緒に来てもらおうか?・・」 二人を谷に連れて行く。 谷底を指差して「あそこだ・・・禁断の池に入った者は死の罰を受ける。」 そこにはゴラムが何も知らず水遊びをしている。 周りには弓を引いたファラミアの部下が「打て!」の合図を待っている。 フロドが言う「待って!・・ぼくの使命を果たすために、欠かせないのです・・道案内でした。 お願いです、彼と話をさせて・・」 フロドがゴラムのそばに行く「スメアゴル・・・だんなさんだよ・・おいで、だんなさんを信じて・・僕に付いて来い・」 ファラミアが言う「どこに案内する気だ!答えろ!」 ゴラムが独り言を言う「スメアゴル! どうして泣いているんだ。・・・スメアゴルだんなさんをだましたよ。・・・だからそう言ったろ。あいつは信用できないと・・ずるい奴だってなァ。・・ だんなさん友達だと言ったよ。・・わしらを裏切ったんだ。・・違うよ・・お前消えろよ・・チビのホビット!・・・わしらからあれを盗んだ」ゴラムの醜い姿とスメアゴルの良心が戦っている。 ファラミアが聞く「何を盗んだ!」 ゴラムが答える「俺の〜いとしい人・・」。 サムが言う「フロドさまここから逃げましょう、・・今すぐです。あれを使って・・指輪をはめるんです・・一回だけ!。これきりです・・姿を消せるでしょ」 「出来ないよ・・・お前の言うことに耳を貸さなかった僕が間違ってたよ・・指輪に勝てそうも無い・・今、はめたらサウロンに見つかる。」  ファラミアが剣を抜いて言う「そうか・・指輪が全ての答えだったのか?・・おぬし等”小さい人”との荒野での出会いは、決して偶然では無かったのだ・・力の指輪を授かる天命だったのだ。・・ゴンドールの大将ファラミアがその力を示す時だ」  サムが言う「やめろ!・・だんな様は指輪を葬りに来たんだ。・・俺たちの行き先はモルドールだよ。滅びの山に行くんだ・・。お願いです、俺たちの使命を果たさせてください」  しばらく考えてファラミヤが告げる「よーし判った・・出発の用意だ!。・・指輪の行き先はゴンドールだ」 
                  
 意識を失って馬に助けられたアラゴルンが、ヘルム峡谷の角笛城にやってくる。 「王はどちらに?・・」 「良くぞ生きていた・・・」 セオデン王もレゴラスも喜び迎える。

 アラゴルンを慕うエオウイン姫も嬉しさを隠せない。 しかし彼は姫から贈られ
た銀の彫刻のペンダントを返す。

 アラゴルンが報告する「サルマン軍の出た後のアイゼンガルドはいまや無人。 兵力は少なくても1万を越すでしょう。 タダ一つの目的のために生まれた軍です・・・人間の世界を滅ぼすために・・夕刻には押し寄せてきます。」 エオメルが言う「男は全員・・子供でも武器を扱える者は夕暮れまでに戦いに備えよ。 石橋と城門はこの城壁で防げる。」 ギムリが言う「今度の敵は間抜けなオークと違い強力なウルク=ハイです」 セオデン王が言う「余は数え切れなぬ戦を闘ってきた。 城をどう守るかはよく心得ておる。 村は焼かれ略奪もあるだろうが、何時ものこと・・作物はまた作ればよい。 家もまた建てればよい。 ここに立て篭もっておれば負けることは無い」 「敵はローハンの根絶やしです」 「もしこれが最後となるなら、兵たちに後の世に語り草となるような名誉ある死を遂げたせたい」 アラゴルンが言う「早馬を走らせては?・・・援軍を求めるのです。」 「誰が駆けつける?・・・エルフか?・・ドワーフか?・・我等はそなたほど友に恵まれてはおらぬ。・・同盟は遠い過去のことだ」  「ゴンドールならキット・・・」 「今まで彼等が何をした?・・無駄なことだ。・・助けは来ない」 「女、子供を洞窟に移すのじゃ・・命の限り闘う」王は悲壮な決意を述べた。
 エントの”木の鬚”が、ピピンとメリーを枝に乗せ、身体をゆすって歩きながら言う「わしらエントは人間や魔法使いたちの争いには、昔から係わらないようにしている。 じゃが今、大きなことが置きようとしとる。 何千年にわたり起きなかったことが ・・・エントムートだが?・・・」。 サムが聞く「なにそれ?・・・」 「寄り合いのことだわ・・・」 「誰が集まるの・・・」 見る見るうちにたくさんの”木の鬚”の仲間が集まってきた。 「さて・・わしらエントは戦いに行くかどうか?、決めねばならん」

 角笛城では女、子供、老人が洞窟に避難をしている。 抱き合って泣きながら別れて行く家族もある。 男達に武器が配られる。 アラゴルンが言う「農夫や蹄鉄工・・兵士とは言えない・」 ギムリも「それも年寄りばかり・・・あとは子供だ」と嘆く。 「みんな恐がっている・・・300対1万だ・・」 レゴラスが言う「ローハンはこれまでこの砦で戦いに勝てた」


 セオデン王が悩んでいる「余は何者であろう?・・・」 「我等の王であらせられる」 「信頼できる王であろうか?・・」 「何があろうと臣民は何処までも陛下につき従います」 「どこまでもか?・・・・栄光の日々は西の方に去って行った。・・ なぜこうなってしまったのか?・・」 少年にも武器や兜が渡されている。 アラゴルンが少年に「その剣を見せてくれ・・・」と言い、受け取りながら「おまえの名は・・」と問う。 「ハレス・・ハマの息子です。みんなが言ってます・・朝まで生きられない、もはや望みは絶たれたと・・・」 「すばらしい剣だ・・ハレス!・・常に望みはある・・」 

 レゴラスがアラゴルンに言う「あなたを信じたからこそここまで付いて来た。一度でも疑った私を許せ・・」 「謝ることは無い・・・」  その時遠くから角笛の音が聞こえてきた。 「オークの角笛じゃない・・」 「門を開けろ!・・」 「門をアケロー!」  エルフのハルディアが率いる兵士が続々と門内に入っていく。 「夢ではあるまいナ・・」 ハルディアが言う「裂け谷のエルロンド卿よりの伝言です・・”昔、エルフと人間の間に同盟が結ばれ、我等は共に戦い共に死にました。 その義務を果たすべく参りました”」 「100万の見方を得た・・友が一緒だ」 雷鳴が轟き雨が降り出す。 「どっちも死ぬんじゃないぞ・・」ギムリが言う。
                        
 サルマンによって作られたオークの人造人間ウルク=ハイの大群が猛獣のような奇声をあげて押し寄せる。 城壁の上で兵士がいっせいに弓を引く。 「待て!・・」 城壁に引き寄せる。 「ついに始まるか・・・」 「うち方用意!・・」 「撃てッ!・・」 弓矢が雨のように飛び交う。 「敵の甲冑は首と肩の間が弱い・・狙え!」 城壁にはしごが掛けられオークが登ってくる。 兵士を乗せたままで台車の上に起き上がり、門の上にオークを運ぶハシゴが動き、城壁の上でも刀で切る、ヤリで突く、殴る戦いになった。

 エントの”木の鬚”が集まって揺れ動いている。 エントムートで話し合っている。 ピピンが言う「サルマンのことは?・・友達が危ないのです。 助けを必要としているのです・・」 「わしらにも係わること・・ジャがのうホビット君よ古いエント語で話し合うには長い時間がかかるんだわ。・・」

 ヘルム峡谷の戦いが激しくなる。 城壁の排水路に火薬が押し込まれる。 たいまつを持った男がそこに飛び込み、大音響と共に城壁の一部が崩れ落ちる。 門を破るために大木を車に縛り大勢でぶつかっていく。 「サルマンの魔術も大したことは無い。・・・門を守れ・・・ささえよ」 

 エントの”木の鬚”が言う「エントにこの嵐を止めることは出来んわ・・これまでのように吹き過ぎるのを待つだけじゃ・・」 ピピンが問う「それがあんた達の結論?」 「わしらの戦争ではないからのう」 メリーが言う「助けてください・・お願いだ・・何かすべきです」 「メリー君お前さんの出番は終わった。・・家に帰るんじゃ・・」 「僕等の手には負えない・・彼等の言うとおりだ・・ホビット村に帰ろう」 ピピンは「アイゼンガルドの死は広がっていくぞ・・かつては緑で豊だった森は消えちまうんだ。・・ホビットの里も村もなくなる」と言う。

 アラゴルンが叫ぶ「城まで退却しろ!・・」 「全員引き上げろ!・・」 援軍の指揮官ハルディアが頭を後ろから来たオークに割られる。 「ハルディアーッ!・・・」 ついに門は破られ、ウルク=ハイがなだれ込んできた。 切っても叩いても、ウルク=ハイは次々現れる。 「これ以上は持ちません・・」 「できるだけ永く・・」
 アラゴルンが下の岩場を指差してギムリに問う「あそこまで飛べるか?・・」 「投げてくれ・・あそこまでは飛べん、・・投げてくれ」 アラゴルンとギムリは門の前の敵の中に降りて「どけどけ!・・」と刀を振り回し敵を蹴散らかし、その間に門を閉めさせた。 城壁にロープのついたいかりを投げて「引き上げだ!・・退却だ!・・城内に引き上げろ・・」と言う。 二人はこのロープにすがって壁の上に戻ってくる。

 エントの”木の鬚”で枝に乗った二人に言う「森の西の境まで運んでやるとしようわい。 そこから北に向かえば故郷に帰れる。・・」 ピピンが「待って!・・止まって・・回れ右だ、戻って南に行って・・」 言葉では木の鬚の心を変えることは出来ないと知ったピピンは、サルマンの手によって無残に伐採された南の森の木々を見せることを思いついた。 「なぜ?・・そうするとアイゼンガルドをかすめる事になる。」 メリーも「わざとサルマンの目と鼻の先をすり抜けてやるんだ。・・危険に近づくほど危害に会わずに済む」と言う。 「わしには危なっかしく思えるが?・・しかし、お前さんたちは小さい・・ようし・・南に向かうか・・しっかり捕まっておれよ・・」彼等は向きを変えて動き出した。

 フロドが煙を見つける「あれを!・・」 「モルドール軍だ!・・」 フロドが言う「指輪でゴンドールは救えない・・滅びの力しかないんだ。お願いです、自由にして・・ファラミア!、モルドールに行かせて」 
                                 
 エントの”木の鬚”がアイゼンガルドに来てみると、一面の緑の木々は切り倒されている。 ”木の鬚”が怒って「サルマンッめ!・・あの連中ときたら・・この木々とは友達じゃった。 みんなが木の実だった頃から知っておった。」 「判るよ・・ひどいな」 「みんな命を生きておった。・・・魔法使いは分別があろうに・・これほどの裏切りをののしる言葉は何処にも無い。・・わしのなすべき務めは、今夜アイゼンガルドに破壊をもたらすこと。・・・いざ、エントが戦いに赴こうぞ。・・これで我等は滅びるやも知れん、エント最後の行進じゃ」 エントがいっせいに動き出す。アイゼンガルドのオルサンクの塔を襲撃するために・・。

 ファラミアがフロドとサムとゴラムを連れて城に帰る。 フロドがサムに言う「指輪がサウロンを呼んでいる・・・あいつの目に見つかる」 ファラミアが「二人を連れて行け!・・父上にすばらしい土産があると伝えてくれ・・この戦いの運命を替える武器だ」と命令する。 サムが「ボロミアのことを知りたくないか?・・あんたの兄さんがなぜ死んだか・・フロドさまを守ると誓ったのに、指輪に魅せられてだんな様を殺して、指輪を奪おうとした。 指輪の魔力でおかしくなったんだ・・・ 危ない!」 その時上空に翼をもつ飛竜に乗ったナズグルが漆黒のマントをはおり現れフロドを襲った。 「皆隠れろ!・・・」

 セオデン王が言う「砦はすでに落ちた最早これまで・・」 アラゴルンが言う「ローハンの火が守る限り砦は落ちないとおっしゃった・・彼等は今も戦って死んでいる。・・女子供を外に逃がす道は無いのか!・・」 「細い道が一つだけ・・山中へ抜けられます。・・しかし、ウルク=ハイに直ぐ追いつかれましょう」 「女子供達にすぐその道に行くように言え。・・入り口にバリケード!」 エオメルが言う「むだなあがきだ・・到底人間のあがないなど通じぬ相手よ・・」 「打って出ましょう!。あいまみえましょう」 「名誉ある死のためか?・・」 「ローハンのため、 その民のために・・・」 「直ぐに日が昇るぞ・・」  ”5日目の朝わしの帰りを待つのじゃ・・暁に東の方を・・”そう言っていずこかに去った白のガンダルフをアラゴルンは思い出していた。 「そうか・・・先祖エルフの角笛を今一度最後に民に響かせようぞ」 「剣を連ね共に闘う時が来た」 ”ブオ〜ッ。・・ブオオ〜ッ” 「進めッ!・・エオメルの子らよ・・やあ〜っッ」 馬にまたがりエオメルが城を飛び出す。 「セオデン王は一人でおられる」 「我等が居ります」 

 その時山を駆け降りてくる白のガンダルフの姿が見えた。 老人に続いて山を駆け降りる大群が見える。 ガンダルフの姿が光輝き、まぶしくて周りも見えない。 ガンダルフが祈る「土をこわせ!・・水を流し込め!・・」 ダムが壊れ水が塊となって峡谷に押し寄せる。 ウルク=ハイの兵隊がみんな水にさらわれる。 エントの”木の鬚”も水に流されそうになる。 「捕まってろよ!・・」
           
 ナズグルは執拗にフロドを襲う。 鋭い牙をむき出して指輪を狙う。 ゴラムは恐れおののき震えている。 フロドは指輪の誘惑に負けて指輪をはめようとする。 「どうしました?・・」サムが聞く。 「何処に行くんです・・」 飛び出したサムがフロドを倒して剣を抜き、フロドの喉に突きつける。 「サムですよ・・判らないんですか?・・」 フロドが正気に戻る「僕には出来ないよ・・・サム」 「ひどすぎます・・・ここにいること事態間違いです。」 「でもここにいる・・・」 サムが続ける「まるで偉大な物語の中にでも迷い込んだような気分ですよ・・闇や危険がいっぱい迫っていて・・・その結末を知りたいとは思いません。幸せに終わる確信が無いから・・・こんなひどい事ばかり起きた後でどうやって世界を元通りに戻せるんでしょうか?」

 「勝ったぞウ〜ッ。・・ローハンの勝利だ!・・」 「暗い夜の後にも必ず朝が来る。・・どんな暗闇も永遠に続くことは無いのです。新しい日がやってきます。・・ 太陽は前にもまして明るく輝くでしょう。・・それが人の心に残るような偉大な物語なのです。子供の時読んで理由がわからなくても、今ならなぜ心に残ったのかよく判ります。・・登場人物たちは重荷を捨てて引き返す機会があったのに帰らなかった。 信念をもって道を歩きつづけたんです。」 「その信念て何だい?・・」 ゴラムが黙って二人の会話を聞いている。 「この世には命を掛けて闘うにたるすばらしい物があるんです」 ファラミアが近寄って言う「ようやく君のことを理解できたようだ。・・フロド・バギンズ!」 「わが国の法をご存知のはず・・・お父上が定められた。・・彼等を放てばあなたは死罪となる」 「甘んじて受けよう・・・彼等を放て」

 白のガンダルフ、アラゴルン、レゴラスの三人が馬に乗って角笛城を見下ろす山にいる。 ガンダルフが言う「サウロンの報復は速やかの行なわれるであろうな」 「ヘルム峡谷の戦いは終わったが中つ国を掛けた戦いはこれから始まる。」 「我等の禊ぎは今荒野のどこかを進む二人のホビットにかかっておる」

 サムが言う「俺たちのことが歌や物語にならないでしょうか?・・・子供達がこう言うんです ”フロドと指輪のお話聞かせて” ”フロドって勇敢だったんだよね父ちゃん” ”そうとも坊主・・ホビットいちの有名人だ”」 「もっと大事な登場人物がいるね。」 「勇者サムワイズだ。・”サムの話を聞きたいな”」 「サムがいなけりゃフロドはやっていけなかった。」 「よしてください・・・俺は真面目に話してるんですフロドさま」 「僕もだよ・・・」 「勇者サムワイズか・・・」

 「スメアゴル・・何処にいる?・・おいて行くぞ」 「だんなさんはわしらの面倒見
るよ。・・わしらのこといじめないでよ。・・そのだんなは約束を破った。・・やめて、何にも言わないでよ、スメアゴルかわいそうよ。・・だんなはわしらを裏切った。ずるくて汚いうそつきよ。・・殺せ!・・殺せ二人共だ。そうしたらいとしい人を取り戻し、わしらが主人となるんだ。 ・・でも、デブのホビット知ってるよ。いつもわしら見張ってるよ。・・奴の目玉を抉り出してやる・・二人とも殺す!。・・・ダメダメよ。危ないよダメよ。」また醜い心のゴラムとスメアゴルの良い心が動く。
 
 フロドが探す「どこに行ったんだろ・・おいゴラム!何処にいる。スメアゴル!」 ゴラムが言う「そうよ、あのお方にやらせればいい・・いとしい人やれるぜ。それで二人がくたばったら、いとしい人を貰う・・二人死ぬよ・・・早くホビットさんまだ先は永いよ・・スメアゴル案内するよ。・・ついておいでよ」 フロドたちの旅は続く・・・
                  第二部終わり          H.15.03.01鑑賞

                             
 
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