今年のアカデミー賞13部門のうち12部門にノミネートされ、最優秀作品賞、最優秀助演女優賞、最優秀美術賞、最優秀衣装デザイン賞、最優秀音響賞、最優秀編集賞の6部門で受賞したミュージカル映画。
監督、振付はロブ・マーシャル。 酒、女、快楽の渦巻く犯罪の匂う町シカゴで、スターを夢見る女と彼女たちを利用する男の物語で、普遍的であるが踊りはすばらしい。 衣装も舞台もミュージカルの好きな人にはたまらないであろう作品。 でも映画のいいところはすばらしい映像や音楽を見せる、聞かせる所にあるので、ストーリーを紹介してもつまらない。 ストーリーだけなら、本を読むほうがずっと面白い。
【キャスト】
ロキシー・ハート (レニー・ゼルヴィガー) スターを夢見ているキャバレーの踊り子。夫が居るが誘惑に乗り男を殺害、
そのスキャンダルを逆手にとって名声を得た女。 ビリー・フリン (リチャード・ギア) ロキシーとヴエルマの裁判を利用して名声を高めようとする辣腕の悪徳弁護士。
ヴエルマ・ケリー (キャサリン・ゼタ=ジョーンズ) ロキシーに名声を奪われるキャバレーの踊り子のスター。(最優秀助演女優賞)
エイモス・ハート (ジョン・C・ハート) ロキシーの夫。妻をひたすら愛し、妻の浮気も信じないお人好しの男。
ママ・モートン (クイーン・ラティファ) 堕落した女性刑務所の看守長。 囚人から賄賂を貰って、便宜を図っている女。
フレッド・ケイスリー (ドミニク・ウエスト) ロキシーに「ショーに出れるよう計らう」とウソを言って近づき、バレて殺される男。
【ストーリー】
1920年代のシカゴの街。 酒、女、ジャズ、セックスと犯罪の臭いのする町。 人々は刺激を求めて夜の街に繰り出す。 とあるキャバレーの舞台、
5-6-7-8!。 トランペットの音が一段と高く鳴り響きジャズ演奏が始まった。 舞台では踊り子達が身をくねらせて激しく踊っている。 舞台裏で舞台進行係りの男が走り「ケリーシスクーズは?・・」と訪ねている。 店の看板スターのヴエルマを見つけて「後5分だぜ・・・」と告げて行く。 "ヴエルマとマロニカ特別ショー”。 ヴエルマはトランクを開け舞台衣装を取り出す。 洗面所で着替えをする。 「ヴエルマ・・急げ!」男が叫んでいる。 「みなさ〜ん・・オニックス・クラブが贈るケリー・マスターズショーの開演です。」 まぶしく交差するライトの中をヴエルマが唄う。
♪♭ ベイビー ストッキングを下げて オール・ザッツ・ジャズ オール・ザッツ・ ジャズ♪
(ロキシーが出勤してきてキャバレーの裏口から入る。 入り口に張られたポスターを剥がして破いた)
♪♭何でもあり 舞台で大勢踊る 舞台の袖で観てる♪
(ロキシーは舞台の袖で壁にもたれて、艶やかにステージで唄い踊るヴエルマを羨望の眼差しで見ている。)
♯唐んたが途中でへたばったら やり直すときのために♪♪
(ロキシーは早く自分もヴエルマのようになりたいと思っている)
♪唐ィ酒は何処 早く飲ませて 腰をシェイクして踊ろ ♪♪
(ロキシーはフレッドと店を抜け出す)
二人はロキシーのアパートに行く。 我慢できない若者のように二人は廊下で、また階段で抱き合いキスをする。 抱き合った二人がもたれかかったドアがそのまま中に開き、部屋の住人と目が合う。 ロキシーが言う「あ〜ら、ミセス・ハント・・・あたしの兄なの・・・」いぶかしげな夫人を見向きもしないで、二人は階段を登った。
ロキシーとフレッドはベットの中、激しく抱き合っていたが、フレッドが起き上がって帰り支度を始める。 「どうしたのフレッド?・・エイモスは夜中まで帰らないのよ・・・」 「マネージャーとの約束を思い出した」 「ねえ・・私の名前が売れたら二人でクラブを出す約束でしょ」 「知るか!・・このお尻に触れたら俺は満足さ・・」 「フレッド・・私をだましてたの?。ショーに売り込んでやるって約束でしょ」 「ウソぐらいつくさ・・遊びに決まってるだろ・・亭主が帰る前に出て行くよ」 「この汚いウソツキ!・・殺してやる!」 ロキシーは拳銃を取り出してフレッドを撃ち殺す。 「汚いウソツキ野郎・・」ロキシーがはき捨てるように言う。
警察官が現場検証をしている。 「正当防衛でしょ・・・強盗を撃ったのよ」ロキシーが言う。 警官が夫に問う「もう一度最初から・・・」 夫のエイモスが答える「仕事から戻ると窓から男が見えて・・ビールをいっぱいと誘われたが、誘いを断って帰って良かったよ・・・一発撃ったが倒れず、もう一発撃った。」
ロキシーが舞台で歌う ♪あたしに首っ丈 可愛いオバカさん ♪
警察官の取調べが続く「被害者はフレッド・ケイスリーだ・・」 エイモスが本当のことを自白する「戻ったら、男が転がっていた・・・信じた俺がバカだった。」 ロキシーが喚く「死刑でも何でもしてくれ!」 エイモスが続ける「車の修理工場で毎日14時間・・・、俺は頑張ってるのに・・」 「このおしゃべり男・・・全部バラスなんて・・」 警察官が言う「あの男にはガキが5人もいるんだ」 「だまされていた・・・もう一度殺してやりたい」とロキシーが言う。
ゴシップ記者がロキシーを取り囲む、写真をとりながら「笑って・・・。横顔も・・。動機は?。暴力家だったのか?」質問の矢が飛んでくる。
ロキシーは郡刑務所に移送される。 女棟の看守長ママ・モートンが来る。 「ようこそモントローへ・・・あたしの鳥小屋の小鳥さん。 この世は全て持ちつ持たれつだよ。・・ここに良く尽くせば見返りがある。 どうにでもしてあげる、でもあんたの出方次第よ。 文句をいってもダメ。 私に恩を売りゃ見返りも大きいのさ。 殺人犯は本来独房なんだよ」 「何かの手違いよ・・・私は無罪よ」 収監室に連れて行かれて、ロキシーは驚く。 そこには、あの晩ステージで喝采を浴びていた、憧れのお店の看板スターヴエルマが居た。 ロキシーは声をかける「ヴエルマ・ケリーさん・・・」
女看守長がロキシーに言う「このママ・モートンに尽くせ。 安定よくしてあげれる・・」 「ママ・・・こことても寒いんだけど。・・・これは文句じゃないのよ・・」 「消灯ッ!。」格子戸に鍵がかけられる。 ロキシーは巡回者が廻る房で眠れぬ夜を過ごす。 「自業自得よ・・・自分が蒔いた種、あいつに天罰が下っただけ。 誰だってキット同じことするさ」 同房の女囚6人が一人ずつ自分が犯した罪を告白して唄い踊る。
♪♪誰が私を責められる。 あいつ等に天罰が下っただけじゃない♪
♪♯汚い裏切り者達。 自業自得よ♪ ♯誰が私を責められる。 あいつ等に天罰が下ったのよ。 リプッツ♪♭
ヴエルマは自分の眼を盗んで不倫をしていた夫と姉を殺したことを告白する。
ロキシーがタオルを抱えてトイレに来る。 「タオルの交換を・・・」と看守に告げる。 看守が「早くやれ・・・」と言い、ロキシーがタオルの取り替え作業をしていると、隙間から隣の看守長の部屋が見えた。 ヴエルマとママが話している。 「私の夢はクラブ・コリシモに出ることなの・・」 「電話一本が50ドル」 「このままじゃ殺人に強盗だわ」 「心配しなくても、過去47年間女が絞首刑になった例は無いわ・・・」 どこかに電話をする。「女性依頼人を弁護して欲しいの・・」 受話器を置きながら「電話一回100ドルだね」とヴエルマに言う。
辣腕悪徳弁護士のビリー・フリンが唄って踊る。
♪高価な物でした カシミアのコート ルビーの指輪 伺うけどミス・ケリーその夜の思い出に・・・♪
「弁護していただけるけど5000ドルあるか?」とママが聞く。 ヴエルマが「無いわ」と答える。 ビリーが言う「私たちの間で何か別のアレンジをしたい。 そう・・僕が欲しいのは名声だけ」 ”歌姫の殺人事件”マスコミはセンセーショナルな事件に飛びついた。 ビリーはヴエルマを夫と姉に裏切られた被害者としてマスコミを操作した。 ヴエルマが無実の判決を受ければショーの出演料は数百倍に膨らむ。 ビリーには裁判はショービジネスであり、良心派弁護士の仮面を冠って裁判を利用し、自分の名声を得たいと言う野望があった。
ロキシーは檻の中にいてもスポットライトを受けて踊る自分の姿を夢想した。 <ROXIE>の赤いネオンが点滅する舞台。 きらめく衣装を身にまとい、囚人やママ達が脇でショーを盛り上げる。 彼女の夢の世界では言葉は全てメロデーになり主役はいつも自分。
ロキシーは憧れのヴエルマのようになるには、自分も同じ方法をやればチャンスをつかめると考える。 お人好しの夫エイモスをビリー弁護士の所に行かす。 エイモスは「貯金が1000ドル、工場の仲間から借りた分が300ドル。これだけしか出せない」と言うが、ビリーは「きのう言ったとおりだ・・・有罪とか無罪かでなく5000ドル払えるか、どうかだ。・・私に5000ドル払っても直ぐに取り返せる」と言う。
ビリーはロキシーに面会に来る。「裁判の準備としてあなたへの関心を持たせろ」 「生まれは?・・卒業した学校は?」 「生まれも育ちもみんな変えよう。生まれはミシシッピー、学校は修道院卒業だ」 生い立ちを覚えようとしては間違える。つい「クソ!・・」と愚痴る。 「クソはやめろ・・これからはゴメンあそばせと言え」 「主役の座が奪われないように、明日記者会見だ」
ビリーはマスコミの記者たちを集めて記者会見を行った。 「生まれはミシシッピー。 修道院の学校へ入学・・」 彼女の生い立ちは全部書き換えられた。 「いつシカゴには?」 「1920年」 「フレッドって誰?」 「元恋人?」 「二人が同時に銃に手を伸ばした?」 「今の気分は?・・」 「おびえてるわ」 ビリーが言う「フレッドはヤクとお酒とそして女好きだったそうだ。彼女の行為は弁護されて当然だ」 「二人は同時に銃に手を伸ばしたのか?」 「そのとおりだ」
ロキシーが記者たちに言う「両親を無くし修道院で育ったの・・・。世間知らずの私は悪い男にそそのかされて駆け落ちしたの。・・・過ちに気付いて分かれ話をしていて、話がもつれやむなく男を殺してしまったの。・・でも今は悔悛しようとしているの・・」 ロキシーはマスコミの同情を買って、やがてシカゴで最も人気者の殺人犯としてロキシー旋風を巻き起こす。
その名はロキシー・ハート ロキシー・ルックが流行する。 ロキシーと同じ髪型の女性が街にあふれ、彼女の所持品がオークションで飛ぶように売れた。 ロキシーが言う「昔から私の目標はスターになること」
エイモスが現れた。 ロキシーが言う「彼はノーと言わない人なの、私のいうことは何でもしてくれるわ」
ハリソン刑事が「フレッドはとんだ飲んだくれだった」と言う。
ロキシーが言う「今はフレッドのお陰でこんなに名が売れている」 「私は誰もが顔を知ってる有名人 」 「この間までしがない自動車修理工の女房だった」 今ではスターの座はヴエルマからロキシーに移っている。
♪♪ロキシー・ハート 次々とサインを頼まれる。 スターロキシー・ハート ヴエルマあんたの名は忘れられて、
今スターはロキシー・ハート ♪ ロキシーがヴエルマに聞く「今日のハリビューン誌読んだ?」 「読みませんわ」 「毎週の契約金は10、000ドルなのよ・・」
♪一人じゃ踊れない あんたの好物は知ってるわ・・男。 驚かないで見せ場はこれからよ 判るでしょ 一人じゃ踊れない 二人一緒に 愛は割れるような拍手 二人一緒にフイナーレ 一人二役で踊るのは楽じゃない それはムリ ヴエルマ・ケリーの公判はいつ♪
♪ミス・バクスター いいわ地獄に落ちてね ♪
社交界の花形令嬢キティが殺人事件を起こすと、新聞はそのことを毎日書きたて人々の関心は直ぐに移り変わった。 ロキシーの人気も日々薄らいでくる。
ビリーが記者たちに言う「インタビューは後日行う。・・今日は代わりに私が答えよう」 会見場でロキシーが倒れる。ロキシーが言う「ベイビーが・・・」 「ロキシー妊娠してたの?」 「今大事なのは私より子供の命です」 ママ・モートンは「囚人が妊娠したなんて、うちじゃはじめてよ」と言う。 エイモスは「ロキシー・・ベビーのパパだよ」と言って喜ぶ。
♪ミスター・セロファン 俺のまん前に立っても 俺の目に入らない。 ・・・そういう男が直ぐ横を 歩いていても目に入る ミスター・セロファン♪
夫エイモスが弁護士の所にきている。 弁護士ビリーが言う「夫とは4ヶ月性交渉はない。といっているが・・」 「計算すると俺は父親じゃない・・離婚する」
♪♪人間は透明人間じゃない なぜそれが身ごもった 俺はろだここに居ても見えない それが俺さ ミスター・セロファンと呼んでくれ 直ぐ横を歩いていてもこの俺が眼に入らない♪♪
ビリーにロキシーが言う「ベビーのことは私の思いつきよ・・」人気の薄らいだロキシーの巻き返し作戦だった。
ロキシーと同房の女囚カタリンに死刑の判決が下る。 ママが言う「カタリンは女囚始めての絞首刑になるのです」。 カタリンは絞首刑台に連れて行かれる。 首に縄がかけられ足元の板が落とされる。 カタリンが宙吊りになる。 棺おけを載せた荷車が刑務所を出て行く。
♪♪黙って何も言わないで 裁判長が見えました 判決だよてつつましく 恐いわ 心配するわ ♪♪
♪プロの私に任せるんだ サーカスと思へ 全てスロービジネス その世界のスターだ 人の目を引くことをやれ 口からでまかせ ハッタリでよい ♪
エイモスがビリーとロキシーに会っている。 ビリーが問う「いつ離婚の申し立てを?・・・」 「1ヶ月前に・・・ロキシーが赤の他人になったんだ」 「赤ん坊の父親に疑問を持っているということか?・・・・僕が赤ん坊の父親かと直接訊ねたことがあるのか?」 なにも知らないエイモスは「ロキシー・・ゴメンよ」とロキシーを抱きしめる。
ロキシー・ハートの裁判が始まった。 ハリソン刑事が尋問する「ロキシー・ハート 彼との出会いは?・・」 ロキシーが答える「深い付き合いが始まったのに主人と喧嘩をして、主人が原因を作ったの・・・家庭生活は普通だったが私が不倫してフレッドを家に呼んだの。・・・エイモスの子を身ごもったからあなたとはこれっきりにしたいと」 「フレッドはなんと言った?」 「その男の子も殺してお前も殺すと・・・」 「それでどうした?」 「私が銃を持って・・・彼の右腕がそれを奪いに来るのが見えたわ」 ビリー弁護士が言う「子どものためでは事故防衛だ」
裁判官が「検察官の証人を・・・」と言い、証人としてミス・ヴエルマ・ケリーが出る。 ヴエルマはロキシー人気を失墜させようとして「証拠品です」とロキシーの日記帳を提出する。 日記帳にはエイモスの悪口や、フレッドとの不倫のことが書いてある。 日記帳の鍵が壊れている。 ロキシーが言う「デッチあげよ・・・私が書いたのじゃないわ」 ビリー弁護士が言う「刑事と取引も・・・彼との不倫も疑っている。 ミスケリー偽証の意味も判ってきた。 許せない!。 事件もでっち上げでは?・・・ハリソン君いくらシカゴでもこれは許されん」
ロキシー事件裁判の判決の日となった。 ラジオのアナウンサーが裁判を中継している。
「シカゴ全市民が見守る中どんな運命か?。 12人の陪審員が席に戻りました。 判決です。 被告人に判決は有罪か無罪か?・・・ロキシー・ハートは無罪速報だ」
ロキシーが聞く「ビリーどう言うことなの?」 ビリーが言う「シカゴに新しい血をもとめる。 君には日記帳がある。 君に打ち明けず悪かった。 あの日記帳は私が作ってヴエルマに渡した」
ビリーが言う「君は命だ イリノイ州バンザイ」 みんながロキシーのところに集まってくる。 エイモスが言う「家に帰って君の望みのべビーを産もう」 ロキシーが言う「ベビーなんて居ないわよ」 エイモスは一人寂しく去って行く。
ロキシーが言う「スターって、本当に最高!。 ときめく楽しさまるで夢見たい。 大勢のお客さんがいて ジャズがある。 自分の人生は多分損している女よ」 ロキシーが言う「あなたがもしそう望むのなら どう素敵でしょ 本当に胸がふくらむ」 ヴエルマが言う「でも長続きはしないわ・・・満足していたあたし 裏でアイクと火遊び」 「そこまで言うの お願いひどいわ、やめて!」
オーデション会場でロキシーが審査を受けている。 ヴエルマを見つける「あらどうも ここで何をしてるの?」 「仕事探してるの」 「ミス・ケリー私と組まない。 人殺し女が一人居ても珍しくないけど、二人がコンビを組めば200ドルは稼げるわ。」 「週200ドル?・・・10000と言うのよ、それが自由になった仕事よ」 「広い世界でも前代未聞のショーよ、 人をあやめた女二人のショー」
(機関銃を持ってロキシーとヴエルマの二人が舞台で歌い踊る)
♪♪裏でマイクと火遊びし ときめく楽しさ夢みたい 今から50年も経ったら ・・・・ でも今はパラダイス お楽しみなれば スカートは短く ロキシーとあたしから ありがとう オール ザッツ ジャズ! 5-6-7-8 ♪
= 終わり = H,15,04,29
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