ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(上)
2月7日、封切りの日朝1番で観て、その夜レイトショウで再度観てきました。
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HERALD 日本ヘラルド映画株式会社
総制作費340億円、撮影期間15ヶ月を掛けてニュージーランドの原野に26、000人のエキストラを使い、400人を越える製作スタッフが一挙に撮影したと言う「ロード・オブ・ザ・リング」。 J.R.Rトールキン原作の「指輪物語」は1954年に出版された冒険フアンタジーで、その完全映画化をピーター・ジャクソン監督が行いました。 第1部は全世界で1050億円の興行収入を記録し、アカデミー賞13部門にノミネートされ4部門を受賞。 第2部は1100億円の興収でアカデミー賞6部門にノミネート2部門を受賞しています。 これの第3部「王の帰還」はアカデミー賞11部門にノミネートされ、11部門全てを受賞しました。 昨年12月ニュージーランドでのワールド・プレミアには、50ヶ国2000人のマスコミ関係者が来て、20万人がパレードを見に集まったと言われています。 12月17日に全米を始め世界各国で公開されたのですが、「マトリックス・レボリューションズ」 「ハリーポッターと秘密の部屋」の興行記録を抜いて、オープニング5日間の興行収入は約270億円、歴代世界第1位を記録したそうです。
監督ピーター・ジャクソン 日本語字幕翻訳 戸田奈津子 翻訳協力 田中明子 【第1部 あらすじ】
遠い昔、・・・第2期の1500年頃、エルフの国でサウロンの助言によって、 ”力の指輪” が作られ始めた。1600年頃までに魔法の指輪は19個作られた。 暗黒の王サウロンは、3つは不老不死の種族エルフ族に送り、7つは山の洞窟に住むドアーフ族に、そして9つの指輪が力と欲望の強い人間に送り彼らを支配しようとした。 しかし、彼等はやすやすと支配に屈しなかった。 サウロンはモルドールの火を吹く滅びの山で、全ての支配をたくらみ、邪悪で残酷な思いを込めて19の指輪全てを操る一つの指輪を作った。 サウロンを倒すために人間とエルフの連合軍が、彼のの率いるモルドール軍と戦った。 人間のゴンドール国王はこの戦いで倒れたが、息子のイシルドゥアがサウロンを倒して指輪は彼の物となった。 彼が悪を永遠に滅ぼす機会を得たが、人間は堕落をたどるのが常で、指輪は彼を死に追いやった。 イシルドゥアがオークに討たれた時指輪は大河に沈んだ。 その後2500年指輪は人々から忘れられていたが、洞窟に住むゴラムが大河に沈んだ指輪を見つけこれを500年間持っていた。 それがホビットの里の住人ビルボ少年の手に渡った。 こうして「中つ国」に住む全ての人々の運命をホビット族が握ることとなった。
その60年後ビルボ老人の111歳の誕生日に、古い友人ガンダルフ(魔法使い)がホビットの里を訪ねてきた。 裂け谷で回想録を執筆し静かに余生を送りたいというビルボ老人は、養子のフロドに指輪や家財を渡して家を出て行く。 フロドはビルボ老人の残していった古文書によって指輪の秘密を知る。 ガンダルフは、ボルドールの地でサウロンが復活したこと、ゴラムが拷問に耐えられず、指輪をビルボ老人が持っていることをしゃべったと言うことを知る。 やがてサウロンの騎馬集団がホビットの村を襲う。 ガンダルフ老人の命令でフロドは庭師のサムと指輪を"裂け谷”に届けるため村を出る。 サウロンと手を結んだモンドールの魔法使いサルマンが、ガンダルフに悪の仲間となるよう誘う。 彼は断り二人は魔法の対決をしてガンダルフが負ける。 フロドは逃げる途中で友人のピピンとメリーに会い一緒に逃げる。 宿屋でアラゴルンと知り合う、彼はゴンドール国王の末裔。 彼の道案内で四人はエルフ族の国”裂け谷”をめざす。
サルマンはエルフ族から作り上げたオークという邪悪な兵隊を土の中から造る。 ガンダルフはアイゼンガルドの砦にそびえる高さ500フイートの塔の上で息を吹き返し、大きい蛾に乗って戻ってくる。 黒い兵隊に襲われたフロドは毒剣で意識がなくなるが、エルフ族の姫アルウエンに助けられる。 フロドはアルウエン姫の父エルロンドとその妻の母ガラドリエル王妃に世話になっている養父ビルボとここで再会する。 指輪を無事”裂け谷”に届けたと安心した時、モンドール軍とアイゼンガルドの連合軍が裂け谷を攻めてくる。 エルロンドは「イシルドゥアが指輪を手にしたとき私は観ていた。滅びの山の火口に彼を誘って指輪を葬るよう説得したが彼は拒否した。その日で終わるはずだった悪がこうして生き長らえた」と話す。 エルロンドの館で会議の結果、ガンダルフ、アラゴルン、ボロミア、レゴラス、ギムリ、フロド達4人の9人が”滅びの山”の火口に指輪を捨てに行くこととなった。 こうして9人の旅が始まった。
彼等の行動をサルマンは”遠見の石”で見ていた。 魔法で雪山になだれを起こす。坑道を抜けるとき大タコの化け物やトロールやバルログという怪獣と戦う。 オークの兵隊が襲ってくる。 ガンダルフはモリアの洞窟で妖怪バルログという怪獣に襲われともに谷底に落ちていった。 一行はオークに追われるがローハン国の女王に助けられる。 女王に励まされて彼等は3艘のボートで再度出発しオークが彼等の後を追う。 フロドが見つかりそうになった時ピピンとメリーがオークの前にわざと飛び出して捕まりフロドを逃がす。 ボロミアは二人をかばい矢で撃たれて死ぬ。 フロドとサムはボートで出発し対岸に渡った。 アラゴルンとレゴラスとギムリはピピン達の後を追って再び森に入った。
【第2部 二つの塔あらすじ】
フロドとサムはモンドールの”滅びの山の亀裂に指輪を捨てると言う使命のため苦難の旅を続けていた。 指輪を"愛しい人”と呼ぶ、かつての持ち主ゴラムがこっそり後をつけフロドを襲う。 捕まえたゴラムが、モンドールの黒門に行く道を知っていると言うので道案内をさせることとした。 ”死者の沼地”で沼に落ちたフロドをゴラムが助けた。 その時ナズグルが翼を持った巨大な獣に乗って飛んでくる。
アラゴルン達はオークとウルク=ハイに捕まったフロドとサムを居っていた。 ピピンはわざと胸に着けていたロリアンのブローチを落とし、これを目印に彼等の後を追う。 アラゴルン達は途中でローハンの騎士団と出会うが騎士の隊長は「昨夜オークを襲って皆殺しにしたがホビットは見なかった」と言う。 モンドールのパラド=ドゥアの塔にいる冥王サウロンは、中つ国を滅ぼすた始めに、サルマンに人間の国ロ-ハンへの攻撃を命じる。 ピピンとメリーが逃げ込んだ森にはエント”木の鬚”がいて彼等を助けてくれる。 後を追ったアラゴルン達の前に、妖怪バルログと戦い谷底に落ちて行ったガンダルフが"白のガンダルフ”として黄泉の国から甦る。 フロド達はモンドールの黒門の見える丘まで来るが警備が堅く、ゴラムの言う別の道を行く事にする。 アラゴルン達と共にローハンの城に入ったガンダルフは、荒れ果てた城内でサルマンの配下であったセオデン王を正気に戻らせ協力者に加へる。 オークが村々を焼き払いながらローハンの城に迫る。 王は人々を都からヘルム渓谷に移す。 王は義弟の子エオメルが戦いの日までに戻れないという。 ガンダルフが白馬に乗ってエオメルを呼び戻しに出る。
ゴラムは昔の優しい心を持ったスメアゴルと、指輪を奪うことを心に持つゴラムの間で揺れ動く。 フロド達が隠れている前でオークとオリファントに乗った南方人との戦いが始まり、二人はファラミアに捕まる。
アラゴルンは不死の命を持つエルフ族のアルウェン姫と恋に落ちる。 姫の父エルロンドは西に行く船に娘も乗せて行きたいと言い、アラゴルンも一度は諦めかけた彼女だが、"私は残る”と言う彼女に愛の深さを知る。
ローハンでのオークとの戦いでアラゴルンはワーグと共に崖から落ちる。 ロ-ハンの角笛城にエオメルの騎馬隊が戻ってくるが少数で、女子供を洞窟に避難させる。 城を守るのは300人、オークのウルク=ハイは1万人。 アラゴルンは河岸で意識を取り戻して生還する。
アラゴルンがゴンドールに援軍を求めようと提案するが、セオデン王はこれまでも助けてくれたことは無いといって拒否する。 その時エルフのハルディアが率いる兵が応援に駆けつけてくれる。 ヘルム渓谷での戦いが始まった。
ピピンがサルマンによって無残に緑をなくした森を見せると、怒りに燃えたエント"木の鬚”が集まりアイゼンガルドを襲撃するために動いた。
ヘルム渓谷での戦いは激しく、ローハンの運命もあわやという時にガンダルフが戻ってくる。 彼が祈るとダムが壊れ水が渓谷に押し寄せオークを流し去る。
ファラミアはフロド達の目的を知って二人を解放してくれる。
【キャスト】
フロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)主人公のホビット族の少年。指輪を破壊するためにモルドールの"滅びの山"目指して旅をする。 アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン) ゴンドールのお王イシルドゥアの末裔、エルフのアルウェンとは種族を超えた恋仲、人間の統一王国再建を目指す。 ガンダルフ(イアン・マッケラン) 闇の勢力サウロンと戦うため"中つ国”に遣わされた賢人。悪鬼バルログと奈落に落ちるが、戦いに勝って白の魔法使い として甦る。 サルマン(クリストファー・リー) かって白の会議を主宰した魔法使い。自らの野心と闇の力の誘惑に負け、指輪を手に入れるためサウロンと手を結ぶ。 ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス) ドワーフ族の斧の達人。指輪を捨てる旅に加わる。エルフ族に不信感をもっていたがこの旅でレゴラスと友情を深めた。 レゴラス(オーランド・ブルーム) 闇の森のエルフ族の王の息子で弓の名手。金色の永く美しい髪の端正な容姿の男。 サムワイズ・ギャムジー(ショーン・アスティン) 通称サム。ホビット族のフロドの家の庭師、素直で温厚でフロドの旅について行く勇気ある男。 ピピン(ビリー・ボイド)と メリー(ドミニク・モナハン)二人ともホビット族でフロドの親友。ピピンはフロドのいとこ、メリーはまたいとこ、フロドと旅に出てはぐれたが大冒険をする。 エルロンド(ヒューゴ・ウィービング) ゴンドールの男。「中つ国」のエルフ族(エルフ族は不老不死)のガラドリエル王妃の娘と結婚し、裂け谷の王となった。 アルウエン(リヴ・タイラー) エルフ族のエルロンドの娘。人間のアラゴルンと恋に落ち、不老不死を捨てることを恐れない美しく強さも備えた女性。 エオウイン(ミランダ・オットー) ローハン国の美しい姫。盾をもつ勇敢な女戦士。アラゴルンを一目見て恋に落ち彼を恋慕う女性。 ファラミア(デヴィッド・ウェンハム) ゴンドール最後の執政の子。オークに殺された旅の仲間ボロミアの弟で、イシリアンの森を警備している。 ゴラム (アンディ・サーキス) 大河に沈んだ指輪を拾って500年間、霜ふり山脈の下に潜んでいたが、ビルボに指輪を奪われた。指輪がフロドの手に渡ったと知ってフロドを追いかける。元々はホビットの一支族で醜い姿になる前の名はスメアゴル。その良心が同居している。 【第3部 はじめに】
大河に小舟を浮かべて、少年二人が魚釣りをしている。 デアゴルの竿に手ごたえがある。 「掛かったよ。・・どうしよう・・」 スメアゴルが「引けよ!・・引け!」と声をかける。 魚の引きは強く、デアゴルが体のバランスを崩して水中に引き込まれる。 水の中で竿を手放したデアゴルが河底に光る指輪を見つける。 彼は砂と一緒にこれを握り締めて川岸にたどり着く。 後からやって来たスメアゴルがそれを見つけて「それを呉れないかな?・・」と言う。 「なぜ?」 「なぜって・・俺の誕生日だからほしいんだ・・・」 スメアゴルはデアゴルに襲い掛かって奪おうとする。 取っ組み合いののちにスメアゴルがデアゴルの首をしめて殺害し、その手の中の指輪をもぎ取る。 スメアゴルが言う「俺の愛しいしと(いとしいひと)」
「人殺し・・わし等をゴラム・・そう呼んでののしって村から追い出した・・・愛しいしと・・一人ぼっち・・寂しくて泣いたよ。 わし等の願いは一つ魚を捕らえることだけ・・その内わしら、パンの味など忘れたよ。 自分の名前さえ忘れてしまった。 わしの愛しいしと・・・」
ピピンとメリーが逃げ込んだ森にはエント”木の鬚”がいて彼等を助けてくれる。 後を追ったアラゴルン達の前に、妖怪バルログと戦い谷底に落ちて行ったガンダルフが"白のガンダルフ”として黄泉の国から甦る。
【第3部 王の帰還ストーリー】 フロド達が山道で野宿をしている。 ゴラムが「起きてよ寝ぼすけさん。直ぐにでかけるよ」と声をかける。 フロドが目を覚まし胸のネックレスに留めている指輪を確認する。 サムが「少しはお休みになれましたか?。 ・・もう夕暮れですね」と言うが、フロドは「いや、違うよ、まだ昼前なのに空がこんなに暗い」と言う。 サムが「腹は減ってないですか?」と聞く。 「お前は・・」 「腹は減ってないです・・・レンバスには飽き ちゃって・・」 「サム・・」 「判りました・・あと少ししかないのです。 あなたはどうぞ食べてください。 割り当てを計算しました。・・・帰りの分です」 ゴラムが言う「ホビットさんこっちよ。・・・モンドールは直ぐそこです。 馬に乗った男達が山を越えてアイゼンガルドを目指し移動している。 ガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、 ギムリ、達である。 ピピンとメリー少年がのんびりと談笑している。 「1日たっぷり働いた後でなつかしの緑竜館に戻った気分だな・・」 「たっぷり働いたことなんか無いけどな」 そこにガンダルフ達の一団が来る。 ピピンが「ようこそ各々方・・我がアイゼンガルドへ」とおどけると。 ギムリが怒る「このお調子もんが、人を死ぬほど駆け回らせといて自分等は美味いもの食って静養か?」 「当然のご褒美さ、僕等のお陰でアイゼンガルドは滅びたようなもんだから・・アイゼンガルドの主もサルマンから木の鬚のじいさんに変わったよ」 ガンダルフが言う「サルマンは寝たがこれからも管理するんだ」 エント族の木の鬚が言う「私に管理できるかどうか、魔法使いまではちょっとなァ・・・塔におるんだわ」 アラゴルンが「では、塔から出られんよう見張ってもらわんとナ」というと、ギムリが「いっそクビを撥ねた方が早いぜ」と言う。 ガンダルフは「いかん・・・最早何の力も無い」と言う。 木の鬚が「サルマンの手下どもは皆洗い流されたわ」と言う。 オルサンクの不壊の塔にはサルマンと蛇の舌が篭居している。
蛇の舌がガンダルフにガラス玉(パランティア)を投げつける。 ピピンが足元の水の中からこれをを拾い上げる。 パランティアはヌメノールの「遠見の石」の一つである。 ガンダルフがこれを見て「ぺルグリン・トウッグ・・わしが預かろう。早く渡せ」と言って取り上げる。 6人は馬で騎士国(リダーマーク)のセオデンの宮殿を目指して旅に出る。
ローハン国の宮廷で祝賀会が催されている。 セオデン国王が挨拶する「この国を守るため命を捧げてくれた者達に思いを馳せよう、死者達に栄光あれ、・・・」 会場に集まった一同が"乾杯”とビールの杯を掲げる。 ”新たな祝福をアラゴルンへ” セオデン王が引き取って育てた妹の子エオメルとエオウィン姫がいる。 エオウインに叔父のエオムンドが言う「あの男はおぬしにふさわしい」 「よき殿御だ・・・しかも高潔だし・・」 「お二人ともですわ」 エオメルが言う「民を勝利に導いたのはローハンの王セオデンではない、そなたは若い今宵はそなたのためにある」 ピピンとメリーがビールを片手に踊って唄う。 セオデンが聞く「フロドの消息は?」 ガンダルフが答える「判らん・・・何も」 アラゴルンが言う「時間はあります・・彼等は日ごとモンドールに近づいています」「どうして判る」 ガンダルフが言う「フロドは生きている。・・そうじゃ、まだ生きておる」
フロド達が岩山で寝ている。 ゴラムが水に映った我が分身のスメアゴルと話している「危ないよ・・・見つかるよ。」 「泥棒だ、わしらのものを盗んだ」 「二人とも殺せ」 「だめ」 「静かに・・あいつ等が起きる。計画が台無しになる」 「でも二人は知ってるよ。わしら疑ってるよ」 「何を言ってるんだ、愛しいしと(人)・・・スメアゴル、ここに来てしり込みか」 「違うよ・・スメアゴルはホビットを
憎んでいるよ。やつ等の死ぬのを観たいのよ」 「前にもやっただろ、今度だってやれる。 あれはわしらのものだ。愛しいしとを取り返すのよ」 「もう少し辛抱するんだ、・・・あいつ等をくねくね階段に連れて行くよ。 階段の上に登ってあのトンネルにたどり着くまで案内するよ。 あそこに入ったら二度と出て来れない。 いつも腹をすかせているあのお方の餌になる」 「オークはすごくまずいよ」 「とても食えたモンじゃないぜ、 ホビットの肉は違う・・あのお方が食べ終わった骨と服を吐き出したら、あれを観つけりゃいい。・・・あれがわしの手に戻ってくるよ〜。」 「わしらだ!・・」 「わしらよ・・・そうするつもりでいたのよ」 「こら!・・・愛しいしとはわしらのモンだ。憎いホビット達さへ死んで終まへば・・」 水面に石が投げ込まれてゴラムは我に帰る。 サムが立っている「やっぱりな」ゴラムをたたきつける。 「やめて!・・助けて・・」 フロドが起き上がってくる。 「何をするんだ!」 「これの口から聞いたんです。俺たちを殺す気です」 「違うよ・・スメアゴルはハエも殺せないよ。そいつウソツキ。 デブのホビット、スメアゴル嫌いです。汚いウソついてスメアゴルいじめるよ」 「ウソツキはどっちだ。こいつに殺されてもいいんですか?」 再び飛び掛るサムを止めてフロドは「彼がいないと迷子になる。・・我々には道案内が必要なんだ」と言う。 「あいつは悪のかたまりですよ」 「僕等だけでは使命は果たせない。・・おいでスメアゴル」 アラゴルンが言う「星の光がかげり、東で悪がうごめいている。 眠ることも無い敵が、邪悪な目が動いている。」
ガンダルフたち一行がローハン国宮廷の部屋で寝ている。 ピピンが起き上がり、ガンダルフが胸に抱えて寝ている毛布に包まれたパランティア(ガラス玉)を取ろうとする。 メリーが気付き「ピピン!・・お前正気か?・・」 「もう一度観てみたいんだ。みるだけだよ」 「バカはよせ」 ピピンはガンダルフが気付きそうになったので花瓶を持ち出し、これとそっと取り替えた。 メリーが「よせ!」というのを構わず毛布を剥がす。 サムが手をかざすとパランティア(ガラス玉)は火の玉となってサムの手に張り付いた。 何かが中に見える「奴がいる。・・アツ、アッアッア」炎となった玉が手から離れない。 「早く助けて!」 「バカモノが・・・」ガンダルフがやって来る。 ガンダルフが毛布を掛けてやっと玉が収まる。 「わしを観ろ!・・・」 恐怖に震えるサムは「ごめんなさい」と泣き声。 ガンダルフが再度「わしを観ろ!・・お前は何を見た?」と聞く。 「木です。・・・白い木が一本。 石の庭の中に枯れてました。 街が燃えてた。」 「ミナス・ティリス・・・白い都か?」 「あいつを・・・あいつを見ました。」 「お前は何を話した?」 「名前を聞かれたけど・・言わなかった」 「フロドと指輪のことはしゃべったか?」 「何も・・」
ガンダルフが言う「ピピンの目はウソはついていなかった。 愚かだが正直な愚か者でいられた。 サウロンにフロドのことはしゃべっておらん。 おまけに幸運にも恵まれた。 ピピンはパランティアで敵の計画を除き見たのじゃ。 サウロンめはミナス・ティリスを攻撃する気だ。 ヘルムの敗北で奴は危険を察知した。 エレンディルの後継者が現れたことを、人間は思ったよりも強く、己に刃向える勇気と力を持っておると知ったのじゃ。 サウロンは恐れておる。 中つ国の人々が一つの旗の下に集うことをナ。 人間の王が王に復帰する前にミナス・ティリスを葬ろうとするであろう。 ゴンドールののろしが上がったらローハンも戦わねばならん」 セオデン国王が言う「では聞くが、我等を助けに来なかったもののためになぜ戦うのだ。 ・・ゴンドールに借りは無い」 アラゴルンが言う「私が行く・・」 「いかん!・・」 エオメルが言う「警告をしないと・・」 「それはわしがする」 ガンダルフがエオメルに指示する「お前は別の道からミナス・ティリスに向かえ。 河沿いを行き黒い船に注意を払え」 さらに言う「みんな心せよ、ことは動き出し最早後戻りは出来ん。 わしはミナス・ティリスに急ぐが一人では行かんぞ」
ガンダルフが出発の準備をしている。「詮索好きのホビットの中でもおぬしは最悪じゃ。早くこんか・・」 ピピンが不安そうに聞く「何処に行くんだろ?」 メリーが「どうして覗いた?」と聞く。 ピピンは「だって、何時も止められないんだ。謝るよ・・ごめん」 「まるでわかってないな。 敵はお前が指輪を持ってると思ってる。 お前を探しに来るぜ。 だからお前はここには居られない」 「メリー・・・君は一緒に来るよね。・・・都までどのくらい?」 ガンダルフが言う「馬で三日だ・・・飛ぶように駈けてな。 ナズグルに出会わんように祈るだけだ」 メリーが差し出す。「ほら僕からの餞別だ」 ピピンが言う「これが最後のナガクボの葉」「全部吸ってただろ。・・おまえ吸いすぎだぞピピン」 「すぐ会えるよな・・」 「判らない・・・この先何が起きるか?・・・」 白馬にまたがるガンダルフの前に乗って、不安そうに手を振るピピンがいる。 馬が荒野に向かって進む。 城壁で二人を見送るアラゴルンとメリーがいる。
(以下は(中)に続く)
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