ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(下) 

〔 第 3 部 〕



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 HERALD 日本ヘラルド映画株式会社

 遠くの丘の上に騎馬の軍団が近づくのが見える。 ローハンから駆けつけたエオメルの軍勢である。 エオウィン姫が馬の前に乗っているメリーに「勇気を出して・・・友達を救うのよ」と激励している。 セオデン王が指揮をとる「エオメル・・そなたの部隊は左翼を進め。 ギャムリング・・王の旗を立て中央を行け。 ウインボルト・・城壁を過ぎたところで右翼に広がれ・・それッ!セオデンの騎士よ、敵を倒せ。・・槍を突き立てよ」  エオウィン姫がピピンに「私のそばを離れないで・・・守ってあげるわ」と言っている。 セオデン王が隊列を組んだ騎士たちの前を横切る用に進み、差し出す剣と自分の剣を一人一人合わせて、「時は今!・・時は今ぞ!。戦え!・・戦ってともに死のう」と声を掛ける。 「進め!・・エオールの子等よ!・・」 オークの背後から突入するローハンの軍勢に、オーク軍は弓を引いて矢を浴びせる。

 ミナス・ティリスの宮廷内。 デネソール公が「予と息子に火をかけよ」と言って自分も頭から身体に油をかける。 ピピンが「ガンダルフ!・・・デネソール公が正気を失われた。 ファラミアを焼こうとしてます」と伝えに走る。 「我等二人に火をつけよ」 ガンダルフがやって来て「愚かな真似はよせ!・・」と言うが、公は自分で身体に火をつける。 ガンダルフが公を台の上から突き落とす。 ピピンが薪の燃える火の中に飛び込みファラミアを引き出す。 デネソール公は馬にけられて火の中に入る。 ガンダルフが「エクセリオンの息子デネソールが逝く」と嘆く。
  
  城外でも壮絶な戦いが続いている。 ローハンのエオメルが「河に追い詰めろ!。・・都を救うのだ。」と叫んで居る。 オークと戦っているところに、新たに巨大な象(オリファント)に乗った軍団が攻めてくる。 冥王サウロンの呼びかけに応じ、南方のハラドリムから来た軍団である。 「隊列を整へよ!。・・突撃用意!。 進撃の合図を吹き鳴らせ!」  オリファントが鼻と牙を振り、兵を踏み潰して走る。 アラゴルンが眼前に迫った象に乗っている敵の指揮官めがけて槍を投げると、胸に刺さって転がり落ちる。 指揮官を失ったオリファントが暴走を始める。 「頭を狙え!・・足を狙え!」全身に矢を受けた巨大な象が次々と倒れ、背中の乗座にいた者達が振り落とされる。 

 さらに、オークがワーグ(熊と狼とハイエナの特徴をもっ、大型の猛獣)に乗って現れる。 ワーグは突進して兵を蹴散らす。
 敗戦の色濃いく、ピピンが「こんな形で終わりなんて・・」とつぶやくと、ガンダルフが言う「終わる?。・・旅はここでは終わりはせん。・・死は誰もが何時か通らねばならぬ道だ。・・この世に降る灰色の雨が収まり、全てが金色に光輝く時お前にも見える」 「何?・・ガンダルフ・・・何が見える?」 「白い砂浜。・・その先に太陽の降り注ぐ緑輝く大地じゃ」

 セオデン王が指揮をとる「集まれ!・・」 そこに怪鳥に乗ったナズグルが飛来して、足の爪で王を襲撃する。 「奴の肉を食らうのだ」 倒れた王のところに再度飛び掛ろうとしている。 エオウィン姫が前に立ちはだかり「王にふれればお前を許さん」と叫ぶ。 「何者もナズグルのじゃま立ては叶わん」と言って、王をめがけて飛来する怪鳥を、エオウィン姫が横から剣で打ち下ろすと、怪鳥は首が切れて即死する。 乗っていた黒覆面のナズグルとエオウィン姫が戦う。 激しく永い戦いの後、メリーが応援して姫はナズグルの口に剣を突き刺し倒す。 セオデン王は死を前に「もう目が見えない。・・予の傷は深い。・・このまま行かせて呉れ父上の下へ・・先祖達の前に恥じることなく堂々と顔を出せるわ」という。 姫が泣き崩れる。  

 港に船団が来る。 アラゴルンに続いてレゴラスとギムリが降りる。 船には山の死者の霊たちが乗ってきている。 アラゴルンが「敵の数に不足は無い」という。
            
 レゴラスがオリファントの足にすがりつき、顔、頭を登って、背中に乗座を止めているロープを切ると、乗座が滑り落ちて乗っていた沢山の兵が地上に落下する。 指揮官を失ったオリファントは混乱して仲間同士がぶつかるなど混乱する。 山の死者の霊たちがオークやオリファントと戦い、次々と倒していく。 残るオークも退却させてしまう。
             
  山の死者の霊たちは暴れるオークや猛獣ワークをなぎ倒し、陥落寸前の城を救ってくれた。 死者の霊がやって来て「約束は果たした。自由にしていただこう。・・」と言うが、レゴラスが「まだ早い。今は一人でも兵が欲しい。・・・たとえ亡霊でもな」という。 霊は「約束を破られるのか?・・」という。 アラゴルンが「そなたの誓いは今果たされた。・・行け・・安らかに眠れ」という。 みんな一斉に雲が晴れるように消えていなくなる。 

 戦いで気を失っているメリーをピピンが見つける。 「僕だよ・・ピピンだ!」 「見つけてくれると思った」 「死ぬもんか・・僕が面倒見るから・・」

 オークたちは蜘蛛の毒で仮死状態になったフロドを塔の最上階に運び込む。 裸にされているフロドがここで息を吹き返す。 オークたちがフロドの服の奪い合いをする。 「その光るシャツは俺のものだ」 「ほかのものと一緒にサウロン様に届ける」 取っ組み合いの喧嘩の結果一人が階段から突き落とされる。 室内に忍び込んだサムは、オークを後ろから近づいて剣で刺して倒す。 フロドが縛られている手足の縄をほどく。 フロドはサムに飛びついて疑ったことを詫びる。 「サムすまない・・・許してくれ」 そして胸に指輪が無いのに気付き「指輪を取られたよ・・急がないと手遅れだ」という。 しかし、サムが「オークが取ったのじゃありません。・・あなたが死んだと思って俺が取りました。預かっただけです」とズボンのポケットから指輪を出す。 「僕に返せ・・サム指輪をよこせ!」フロドはサムから指輪をもぎ取るようにして首にかける。 フロドが「サム、判ってくれ・・・、お前では負けてしまう」と言う。 サムが「何か着る物を探さないと・・モルドールを裸では歩けません。」と言って二人ともオーク兵の武具を付けて歩き始める。 火を噴く「滅びの山」が見える丘に来た。 サムが「ついに来ましたモルドールです。・・あいつだ、サウロンの目・・・中に飛び込むしかないです。 イチかバチかです。・・・行きましょう」と言う。 

 ガンダルフが言う「フロドはわしの手の及ばん所に居る。」 アラゴルンが言う「サウロンが指輪を手にすれば判る」 「ゴンドールでの戦いには勝った。しかし、モルドールでは敵が新たに集結しておる」 ギムリが「黒門の向こう側に敵が何人いようと知ったことか」という。 「フロドと滅びの山の間に1万のオークが居てもか?」 アラゴルンが言う「いや、まだ望みはあリます・・ゴルゴロスの荒
野をフロドが渡るための時間を稼げばいい。・・我々ならできる」 「どうやって?・・・」 「サウロンの軍勢をおびき出し、フロドを”滅びの山”に行かせるのです」 エオメルが言う「残った兵はわずか・・・勝ち目はありませんぞ」 「勝つ必要は無い・・・サウロンの眼を我々に引き付け、その隙にフロドを滅びの山に行かせるのです。・・フロドさへ任務を果たせばサウロンは滅ぼせる」 「おとりだな・・」 ガンダルフが言う「ワナだと疑われるぞ」 ギムリが「成功の見込みは薄いが、やろうぜ」と言う。
 
フロドとサムが黒門の見える丘に来ている。 オークの大群が黒門を出発するのが見える。 フロドが水を飲もうとしたが、袋の中には水が無い、サムが残りの水を差し出す。 フロドが「これで帰りの分がなくなったな」と言うと、サムが「もう帰りの旅はないでしょう」と言う。 サムはもう動く気力を無くしたフロドを背負い「滅びの山」を目指して歩き始める。

 モンドールの正門である「黒門」の前にガンダルフ、レゴラス、アラゴルン、ギムリがやって来た。 
 サムがいきなり「フロドさま伏せて!!」と叫ぶ。 フロドは疲労で力尽きており、倒れるように横になる。 アイゼンガルドの平原の中心に立つオルサンクの塔から監視のための明かりが照らされた。 灯台のようにあたりを照らしながら光が移動する。 
  アラゴルンが叫ぶ「闇の国の冥王よ出でよ。 正義の裁きをなさん」  
 黒門が開く。 ガンダルフ達の前をオークの大群が黒門から出て来る。 


 サムが言う。「フロドさま、あの燃える眼(光)が向きを替えて北を向きました。 北で何か起こっているようです」 

 アラゴルンが言う「諸君の眼の中に恐れが見える・・恐れは私とて同じだ。・・いつの日か人の勇気が失われ、友を捨てる日がくるかも知れん、だが、今日ではない。 盾が砕け、人の時代は終わりを迎えるかも知れん。・・・だが、今日ではない。・・恐れず戦え!。・・この大地を、大切に思う者全てにかけて意地を見せよ」 

 黒門を出たオークの大群が、ゴンドールの兵とエオメルの率いるローハンの兵を取り囲んでいる。

 サムとフロドは歩く気力もなく、共に苦しみながら山をはって登っていたが、フロドが気を失う。   
 ギムリが言う。「エルフの隣りで死ぬことになるとはな・・・」 レゴラスが「友と並んで討ち死にならどうだ」と冷やかす。 「それなら望むところよ」

 座り込んだサムが、気を失ったフロドをひざに乗せて抱き寄せて言う。 「ホビットの庄を覚えていますか?・・。もうすぐ春です。 果樹園も花盛りになります。・・・はしばみの繁みには小鳥が巣づくり、盆地にはほうずきの種まきが始まります。・・・初物のイチゴはクリームをかけて食べると最高です。・・・イチゴのアジを覚えてますか?・・」  気がついてフロドが言う「どんな味だったか、何も思い出せない。・・小川のせせらぎの音も、草の手触りも・・・ハダカで暗闇に居る。・・・何もない。 僕とモンドールの間には何も・・・奴が見える。・・すぐそこにいる」  サムが言う「じゃあ、指輪を捨てましょう。・・葬り去るんです。。行きましょうフロドさま。・・おれに指輪は運べないけど、フロドさまは運べます」  言うなりサムはフロドを背負い最後の力を振り絞って火の山”裂け谷”へ進む。 山が火を噴いている。
 
 「フロドのために・・・」アラゴルンがオークの大群に向かって走る。 兵たちがそれに続いて黒門に走る。
      
 サムがフロドを背負い溶岩のあふれ出る”裂け谷”の亀裂にたどり着く。 「ほら・・フロドさまやっと入り口です・・あと一息ですよ。」 
 ゴラムがいきなり現れてフロドに飛び掛る。 「ずるいよ・・よくここまで来たな」 「やめろ!・・」サムがゴラムと乱闘の後、二人とも岩場から転げ落ちる。

 戦いを続けるガンダルフの胸から蛾が飛び立つ。 「鷲だ!・・でっかい鷲だ!」 大鷲が数羽頭上に舞い、敵に襲いかかる。

 サムがフロドを探して走ると、フロドは岩場の先端にいて「ここだよ、サム」という。 眼下には溶岩の流れる溶鉱炉のような河がある。 サムが叫ぶ!。 「さあ、早く投げ込んで!・・・なぜ、迷うんですか?」 フロドは指輪が捨てられず、左手で顔の前に掲げている。 「何をしてるんですか?・・早く捨ててください」 フロドが言う「指輪は僕の物だ・・・。」 「そんな・・ダメです!。・・・」 フロドが指輪を自分の左手の人差し指に入れろ。 「ダメだ!・・・」サムが叫ぶ。 ゴラムが再び現れてサムを石で殴りつける。  ひるんだ隙にゴラムはフロドに飛び掛り、指輪の入った指を食いちぎって指輪を奪う。 

 ガンダルフやレゴラスがオークと戦っている。  ゴラムは「やったぞ!・・やった。愛しいしと・・」と指輪を持って、飛び上がって喜ぶ。 フロドが奪い返しに行き、組み付いたまま二人は岩場から落ちる。 ゴラムがそして指輪が溶岩の河に落ちてやがて沈んでしまう。 フロドは岩場にやっと片手でとまっている。  サムが手を伸ばす。「離しちゃダメです・・。放さないで・・手を伸ばして・・」眼下の亀裂には灼熱の火の河が流れている。 フロドが左手を伸ばしてサムの手を掴まえる。 

 サルマンが支配する”オルサンクの塔”が、そして火を噴く”滅びの山”が崩れ始める。  山の爆発を皆、戦いを止めて呆然と立ち尽くして、この光景を見ている。 サムとフロドは頭から、足元から崩れていく”滅びの山”の溶岩の流れに追われながら、流れの中の孤立した島にかろうじてすがり付いている。  
            
 山が火を噴き、大地がゆれ、大地に亀裂が走り、オークたちがその亀裂の中に落ち、やがて大地に飲み込まれていった。  
 
 溶岩の流れの中の島にすがりついたフロドが「サム・・・よくやった」という。  サムが「フロドさま・・・終わりました。」と言う。 フロドは「ホビットの庄が見える。・・・ブランデーワインガーも、僕の家も、ガンダルフの花火も・・・」という。 サムが言う「彼女の髪のリボン、・・・もし俺が誰かと結婚するとしたら彼女でしょ。  彼女しかいなかった」   フロドは「お前が一緒で嬉しいよ・・サム。・・全てが終わりを迎える」と言って抱き合う。 そこに大鷲が二羽飛んで来て、一人づつ足で掴んで持ち上げていく。

 フロドがベットの中で眼を覚ます。 ガンダルフがそばに立って微笑んでいる。 ドアを開けてメリーとピピンが駆け込んでくる。 アラゴルンとレゴラスとギムリが後に続く。 サムが入り口に立つ。 フロドが見つけて二人はにっこりと微笑みをかわす。 みんなの笑い声がいつまでも続く。

 丘の上のゴンドールの城で載冠式が行なわれている。 ガンダルフがアラゴルンの頭に、王の象徴である冠を授けて「今ここに、王の御世は来たれ・・・御世に祝福あれ・・」と言う。 列席者一同が歓呼の声をあげる。 アラゴルンが言う「この日の喜びは、今ここに集う皆のもの、共に世界の再建に努め、平和な日々を分かち合おう」 一団と大きな拍手と歓声が上がる。
  アラゴルンが唄う。   ♪♪ 我が祖先エレンディルは、・・大海を超えて中つ国にやって来た。・・・私も世継ぎの者としてこの地に住もう・・・この世の終わりまで・・・。♪

 アラゴルンがエルロンドとアルウェン姫の前に行く。 アラゴルンが姫を抱いてキスをする。 かってアラゴルンを恋慕ったエオウィン姫が見ている。 
 アラゴルンが、4人の少年達の前にいって、頭を下げてこれまでの礼を言う。 

 フロドが語る。 「このようにして、中ッ国の第4期は始まった。 旅の中間達は、友情と愛によって永遠に結ばれて解散した。 ガンダルフが僕等を長い旅に送り出してから、13ヵ月後僕等は懐かしい故郷(ホビットの庄)をこの眼にすることが出来た。 帰ってきた!・・・」
 少年達4人が、馬に乗ってボビットの庄に帰ってくる。 村人達が微笑み迎える。

 少年たち4人が酒場に居る、 ビールのジョッキを持ち上げて、「乾杯!」し、互いに顔を見合わせ、意味ありげに微笑む。 サムが立ち上がり、酒場で働く彼女のところに行く。 仲間が笑顔で二人を見守る。 

 サムの結婚式。 彼女と笑顔満面のサムに、フロド達が祝福の拍手を送る。
 
 フロドが旅行記に記す。 ”昔の暮らしにどう戻せばいいのか?。・・・心の底で答えは判っていた。 もう、元通りにはならない。・・・ この世には時が癒せない事柄もある。 いくつかの、深すぎる傷は永久に癒えない。”   「ホビットの冒険  フロド・バキンズ著」と題ししている。 そばに「指輪物語  ビルボ・バキンズ著」もある。 

 サムが訊ねて来る。 「フロドさま・・・どうしました?・・」  フロドが言う。 「アムンスールの見張り台から、4年経ったけどまだ傷が疼く。」  サムが本を取り上げて題名を読む。 「往きて帰りし物語・・・ホビットの冒険・・・ビルボ・バキンズ著」 「ロード・オブ・ザ・リング フロド・バキンズ著」 出来たのですね?・・・」 「いや、まだだ・・・後少し残っている。」 

 フロドが語る。「昔ビルボが言ってた。・・”物語の登場人物は役を終えれば退場しなければならない”とね。・・・ビルボの物語は終わった。 彼はもう旅することはない。 一つを除いて・・・」

 ガンダルフ、フロド達が馬車に乗って村を出る。 ビルボ老人が「もう一度言ってくれ・・・どこに行くんじゃ」とフロドに訊ねる。 「港ですよ、叔父さん・・。 エルフ達があなたに敬意を表して、中つ国を去る最後の船に、あなたの席を用意してくれたのですよ」  ビルボ老人は「フロド・・・アノ指輪をもう一度観ることは出来んかの・・・お前にあげた、あれを・・」と聞く。 「ごめんなさい・・・無くしたんです」 「そうか・・最後に一度手に取って触って見たかったのう」

 馬車が港に着く。 ガンダルフ老人が言う「これは私も始めてみる光景だな」 港には大きな帆船が停泊している。 港には三人のフロドの仲間、サム、ピピン、メリーも来ている。  船からエルフのエルロンドとガラドリエル王妃が迎えに降りてくる。 ビルボが船に乗り込む。

  "三つの指輪の力は尽きました。・・・これから先は人間の時代です”

 ガンダルフが「新しい冒険に出られるというもんだ」と言い、サムたちに言う「さらばじゃ・・・勇敢なホビットたち。・・わしの勤めは終わった。・・・遥か大海を望むこの港で、旅の仲間の縁も終わる。・・・泣くなとは言わんぞ、全ての涙が悪しきものとは限らん。・・・時間じゃぞフロド!」  サムが驚いて問う「どう言うことです?・・」 フロドが言う「僕等はホビットの庄を救いに旅発った。・・・平和は保たれたよ。・・・僕は海を渡る」 「そんなこと言わないで・・・行かないで下さい」泣きながらサムはフロドと抱き合う。 フロドはピピンと、さらにメリーと抱き合って別れの挨拶をする。 フロドはピピンに「最後のページはお前が書くんだよ」と言って”ホビットの冒険”を渡す。 フロドはサムの頭にキスをして、再度抱き合ってからお互いを見詰め合う。 そして、ガンダルフが待っている船のそばに向かう。 ガンダルフと手を取りあって船に乗る。 船が港を離れ静かに沖合いに出て行く。 小さくなり、霧に包まれて見えなくなるまでサム達が見送る。

 サムが家に帰る。 垣根に続く戸を開けて子供が笑顔で走り寄る。 サムが抱き上げて庭に入り戸を閉める。 花に囲まれた庭の中で、妻がもう一人の子供を抱いてにこやかに迎える。 親子が小さい我が家に入って板戸が閉められる。 

 フロドが言う「僕の大切なサム、これからは家族に尽くしてくれ。 明るく元気で長生きをするんだ。 多くのことを楽しみ良きホビットでありつづけてくれ、物語は終わらない、お前の役はまだ続くんだ。」    サムが妻に「帰ってきたよ」と言う。

                                  
         =  終わり  =
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