ベガスの恋に勝つルール


  幸せになりたい、恋愛もしたい、キャリア・アップしたい。 ・・・・お金もほしい。 幸せな結婚もあきらめない。 ロマンティック・コメディの女王キャメロン・ディアスが欲張りなキャリア・ウーマンに挑戦。    監督 トム・ヴォーン

【キャスト】
ジョーイ・マクナリー (キャメロン・ディアス) フイアンセに振られて、気分晴らしに出かけたラスベガスで、ジャックと知り合い
             結婚するキャリアウーマン。
ジャック・フラー    (アシュトン・カッチャー) 仕事をクビになって、出かけたラスベガスでジョーイと知り合い結婚する男。
スティーヴ・”ヘイター”・ハーダー(ロブ・コードリー)ジャックの父が経営する会社の顧問弁護士。ジャックとは親友で一緒に
             ベガスに行き、ジャックの婚姻解消に頑張る男。
ティッパー (レイク・ベル) ジョーイの無二の親友。 ラスベガスにジョーイと二人で行く。 ジョーイのことを親身になって相談
             する女。
ジャック・フラー・シニア(トリート・ウィリアムズ) ジャックの父親で家具工場の経営者。 頑固親父だが息子のことが心配で
             しかたのない男。
ワッパー判事  (デニス・ミラー)ラスベガスのスロットマシーンで当てた賞金が、誰のものかを二人が訴えた裁判所の判事。

                

【ストーリー】
 ジョーイはウォール街で働くバリバリのキャリアウーマン。 彼女がフィアンセのメイソンとジュースを2個買ってお店から出てくる。 ジョーイは「こっちが貴方の分ね?」と言って歩きながらフィアンセのメイソンにジュースを渡す。 ジョーイは「バナナ味を試してみたんだけど、この味は悪くないわよ。・・・それと、今夜の誕生会は楽しみにしててね・・時間は8時半だからね・・・いろいろ計画しているから、早く帰ってね」と歩きながら彼に話す。 メイソンは「練りに練った計画なんだろう?・・・じゃーまた後で・・・」と、立ち去ろうとする。 ジョーイは「待って・・」と彼の腕を捕まえて、「愛してるわ」と言って唇にキスをしようとする。 メイソンは「僕もだよ・・」と言って、素早くジョーイの額にキスをして立ち去る。 ジョーイは彼の後姿に大きな声で「誕生日おまでとう!」と言った。

 女性がジャックの部屋をノックする。 ジャックがドアを開けると「すいません・・・クッキーを買いませんか?」と女性が言う。 ジャックが「・・おれは・・残念だけど金が無いんだ」と答える。 女性が「私もなの・・・クッキーなんかどうでもいいの!」と言ってジャンプし、両手でジャックの首にすがりつき、両足ではジャックの腰を挟んだ。 二人は大笑いをしながらドアを閉める。
 女性はジャックの彼女で、二人はベットに直行して抱き合った。 帰り支度の洋服を着ながら彼女は「ジャック!・・・私鍵が欲しいの」と言った。 「鍵?・・」 「ここの合鍵のことよ。・・・近くの店で買い物をしたとき、荷物を持ちたくないじゃん。・・・そんな時ここに置いとけばいいでしょ。・・・貴方は彼氏でも結婚相手でもないのよ」と言った。 ずばり言われたジャックは「それは光栄だ」と苦笑いをした。 「もう行くわ」と言って立ち上がった彼女は「こんどはどんなプレーがいい?・・・セクシーな消防士なんかどう?」と言って微笑んだ。

 朝、ジョーイがウォール街の事務所に出勤する。 会社の仲間と挨拶を交わす。 証券取引所の鐘が鳴って立会いが始まる。

 ジャックは父親の経営する家具工場で、テレビ放送のプロバスケットを見ながら仲間と賭け事をして騒いでいる。 ジャックは父親が近づいて来るのを見て、テレビを急いで作業台の下に隠した。 父親がジャックのそばにやってきて「ちょっといいか・?」と聞く。 ジャックは「今は忙しくてちょっと手が離せないんだ」と答える。 いきなり「お前はクビだ」と父親が告げる。 「作業を急げだってよ・・」と笑って聞き流していたジャックは、再度父親が「お前はクビなんだ!」と大声で叫んだので驚いた。 ジャックは作業台の下からバスケットボールを取り出して、「これで勝負を・・・あんたが勝ったらおれはクビだ、・・・けど、おれが勝ったらもう一度チャンスを・・・」と提案する。 父親は「お前にはもうチャンスなんてないぞ」と言うが、息子が目の前に差し出したボールを受け取って外に出た。 
 従業員の遊び場となっているバスケコートで二人は競争をする。 ジャックが「9対7だよ、仕事をさせてくれよ・・」と言い、「今度はあんたの番だよ」と言ってデフェンスに廻る。 「お前は跡継ぎとして未熟すぎる。・・一度世間の厳しさを味わって来い」と父は言う。 父が1点入れて「8対9だ・・・お前は失業だ」と伝える。 さらに父が1点入れて「9対9だ・・・リーチだぞ」と言う。 父親はまた1点入れて「ワシの勝ちだ!」と小躍りする。 「こんなのおかしいよ」とふてくされるジャックに「10対9!・・現実とはこんなもんだぞ ジャック!」と父は告げる。 「納得いかねえ・・・」とジャックは不満げに言う。 父親は「お前はいつもそうやって現実から逃げている。・・・その甘ったれた根性を直すんだな」と言い、ジャックは「けど・・・俺はあんたの息子だ」と言う。 「そうだな・・・親子の縁を切るからとっとと出て行くんだ」と父親が言い放った。

 ジョーイは自分の部屋に友達を大勢集めて、フィアンのセメイソンの誕生祝いにサプライズ・パーティを企画している。 ジョーイが親友のティッパーに「彼はまだ気づいてないのよ」と言うと、ティッパーは「それは・・・彼があんまり楽しみにしてないとかなの?」と聞く。  ジョーイは「これ見て・・・メイソンにと思って買ったの・・」と言って航空券を取り出す。 「何これ?・・・あんたベガスは嫌いだったんじゃないの?」 「そうよ、だけど彼のためにね・・・私も好きになれるの」 「あーら、ごちそうさま」
 その時ドアのチャイムが鳴った。 ジョーイは今日招待している大勢の友達に「それじゃあ、みんな聞いて・・・私が”おめでとう”って言ったら、皆も一斉に言うのよ。 びっくりさせてね・・」と伝えた。 ティッパーが「じゃあ、私たちは隠れていたほうがいいわね」と言ったので、ジョーイも「そうね、急いで隠れて」と皆に頼んだ。 皆がバラバラに隠れて電気を消した。 ジョーイはドアを開けて「あなた!・・おかえりなさい!」と笑顔でメイソンを迎えた。 「さあ、こっちえ」とジョーイが先にたって部屋の中に入ると、メイソンが「ジョーイ、話があるんだ」と言った。 「私もなのよ・・」 「いや・・そうじゃないんだ・・・」というメイソンの話を取ってジョーイは「あなたの言いたい事はわかってるわ。・・私もいろいろ選んだのよ」と言う。 メイソンは「いやいや・・・大事な話なんだ・・・僕の仕事が大変なのは判ってるよね。・・・僕は仕事が終わって家でくつろぎたいんだ。・・・家に帰ってきても君がいるとくつろげないんだ。・・・けど、君とのSEXは最高だったさ。・・・君はいつもハイテーションで、何事も計画する計画魔だろ、それが僕にはもう耐えられなくて・・・僕は君と結婚したくないんだ。・・・ ジョーイ、もう別れよう。・・・僕がここで暮らすから君は出て行ってくれよ」と本心を伝えた。 メイソンは暗闇の中で顔を伏せているジョーイを見て「泣いているのか?」と聞きながら、部屋の明かりをつけた。 メイソンは部屋の中の気配に驚いた。 長いすなどの物陰からゾロゾロと招待客が出てきて姿を見せた。 ティッパーひとりだけが「おめでとう」と小声で言った。 

 酒場でジャックは親友の弁護士スティーヴに話す「俺は無一文で出されたんだぞ。訴えることって出来るか?」 スティーヴは「問題はお前の父親ってことだな・・」と言う。 「俺は捨てられたんだ」 「それだけお前に期待してるってことさ」 「お前んとこで働かせてくれよ」 「お前がウチで?・・・無理だな」 「雇ってくれよ。・・俺は他の者より働くぜ。・・・これで賭けようよ、早く飲んだ方が勝ちでな」 スティーヴは「いいのか?」とジャックに確認を取って、「よーい、ドン!」と言った。 二人は目の前に置いたジョッキを取って一気に飲んだ。

 ジョーイは親友ティッパーの勤務している居酒屋で酒を飲んでいる。 ジョーイがティッパーに言う「私には合わなかったのよ。」 ティッパーが提案する「聞いて・・・こんな仕返しはどう?・・・うちの従兄弟をメイソンの家に送るの。そして監禁してナニを潰しちゃうの。・・・竿も玉も両方ともね。・・彼が痛みで悲鳴を上げてるときに、こう言わせるの"自業自得だ!”ってね」 「あんたって、何時もそんなことを考えてるの?」 「いつもじゃないわ、たまによ」 
 
 ジョッキのビールを飲み干したスティーヴは、ジャックのジョッキを見て「なんだこれ?、・・まだ残ってんじゃン。・・・お前はガキだな」と言う。 ジャックは「ビール二つ!」と追加の注文をする。 
       

 ティッパーがジョーイに聞く「あんた、まだあきらめ切れてないわね」 「そんなことはないわ・・・もう気持ちは無いわよ」 「立ち直る方法を知ってるわ?」 「なに?・・」 「あんたの悩みを忘れさせることが出来るのは、これよ・・ネットでいいのを見つけたんだ」そう言ってジョーイに、航空券を見せる。 ジョーイは「ベガスなんて嫌よ・・」と言う。 「ベガス婚よ」 「ベガス?」 「ようく考えてみて、こんな時は気晴らしが一番よ・・・」 「ベガスね?」 「そうベガスよ」 ジョーイは陽気に「自由を求めて!・・・使いまくって!・・」と叫ぶ。 「ベガァス!」 「そうベガース!」 二人はグラスを高々と上げた。

 ジャックは「俺がクビになって、丁度良かったじゃん」と言う。 スティーヴが「なんの事だよ・・まったく」と聞く。 酔ったジャックが答える「これを機会にな、男になってやる」 「どうやって?・・ベガスとか言うなよ」 「ラスベガスか?」 「えっ?」 ジャックが「俺を信じろ!・・・どうする?」と問う。 二人は同時に「ベガァァース」と叫ぶ。 二人はグラスを持ち上げて乾杯をした。

 スティーヴとジャックはタクシーを拾い空港に行った。 飛行機に乗ってラスベガスに向かった。

 ジョーイとティッパーがラスベガスのホテルの前でタクシーから降りて、ハイタッチをしてベガスに来た喜びをあらわにした。

 スティーヴとジャックがホテルのフロントに行くと、「支配人のカーティスです。 大変申し訳ございません。 ただいま機械の故障で遅れています」と、告げて、大勢の宿泊客がフロントの前に並んでいる。

 部屋に入ったジョーイとティッパーは、二人でダブルベットの上にジャンプして飛び込み、大はしゃぎをしている。

 エレベーターに大勢の女性と乗り合わせたスティーヴたちは「こんなに可愛い子が居るなんてベガスは最高だ」と大満足で部屋に入った。  スティーヴはダブルベットを見つけて、「こりゃいい、先にちょっと休むぞ」といってズボンを脱いで、化粧室のドアを開けると、目の前に女性が立っている。 シャワールームでは女性が身体を洗っている。 女性が「キャーッツ!」と悲鳴を上げるのと、スティーヴが「ワァーッツ」と叫ぶのが同時だった。 女性はスティーヴの顔面に化粧品のスプレーをかけた。 目潰しされて前の見えないスティーヴが「ギャー、ギャー」言って部屋の中を転がりながら逃げ回る。 下着姿の二人の女性は悲鳴を上げながら、手当たり次第にスティーヴにモノを投げつけた。 スティーヴが顔面にパンチを食って悲鳴を上げているところに、ジャックがやってきて、「何なんだ、ちょっと・・落ち着くんだ」と言うが、二人の女性はジャックにも飛び掛ってきて部屋の中は大騒ぎとなった。  ジャックが「いったいどういうことなんだ!、ここは俺たちの部屋なんだぞ!」と叫ぶ。 4人はやっと事情が飲み込めた。部屋がダブルプッキングされていたのだ。

 ジャックたち4人がフロントに向かった。 ジャックが「ここは先に俺が行く」と言っても、ジョーイは「いいえ、ここは私に任せて・・」と譲らない。 ジョーイは一人でフロントに行って支配人に「カーティスさん・・・貴方のせいで問題が起こったの、そこで苦情を言いに来たんだけど。・・・ここで問題を起しても仕方が無いから手短に言うけどね、私たちに部屋を二つ用意してよ。 もちろんいい部屋よ、割引券つきでね。」と、事の経緯を話す。 支配人のカーティスは「貴方の気迫に負けました。・・・お詫びにうちの最上階の部屋をご用意いたします。・・・もちろん屋上なんかじゃありませんよ。飛び降りないでくださいね」とジョークも言って、最上階のスイートルームを二部屋準備してくれた。 
 スティーヴが「すごいね・・」と言うが、ジョーイは「どう致しまして・・」と笑っている。 
 ジャックが「俺もやるから見てろよ」といって、フロントに一人で行った。 支配人に「やあ・・今ほど、ウチの友達と話していたよね」と言いながら近づいた。 「ああ・・さっきの人?・・」 ジャックは「今回のことで、彼女たちにお詫びをするんだけど、彼女たちを楽しませるのは大変なんだ・・だけど、あんただったら色んな裏技を持っているでしょ?。」と迫った。
 三人が待つているところに帰ってきたジャックは、VIP券を一杯ゲットしていた。

 四人は早速リムジンを呼んで街に繰り出した。 車の中でジャックはジョーイに「ねえ、彼女たちニューヨークから来たの?。・・俺たちもなんだ・・」と話しかける。 ジョーイはこれを無視して「Le Ciraue レストランまで連れてって」と言うが、かまわずジャックは「折角なんだからさ、ベガスの夜を楽しもうよ・・みんなで飲んだほうが楽しいだろ」と誘う。 ジョーイはかまわず「運転手さん、私たちをここで降ろして」と言って車を降りる。 ジャックはなおも、「ねえ、一杯だけ飲もうよ、俺とだったらキット楽しいから」とさらに誘う。 ジョーイは「ありがとう・・でも、もう店を予約してるのよ」といい、「あとで、これからのこと話し合わなきゃね」と言う。 立ち去ろうとするジョーイにジャックは「あんたはいつも計画を練りに練っているのか?」と聞く。 「今なんて言った?」と振り向くジョーイに、ジャックは「その髪型いいね」と言ってやる。 「私の髪が何ですって?」と聞き返すジョーイ。  ジャックは「一杯だけ!・・お願いだよ。つきあって・・」と哀願する。

 バーに四人はやってきた。 酒を飲みながらジャックが「ところで、ジョーイ、何でこの街にやってきたの?」と聞く。 ジョーイは「なんだろう・・・きっかけを作りにかな?・・あなたは?」と聞き返す、 ジャックは「あ、おれ・・仕事だよ。・・とても大事な仕事が、・・・ここは俺の担当地区なんだ。」とウソを言う。 「本当?・・」 「いや、本当は・・・最近会社をクビになったんだ。・・それに乾杯!」 ジャックが本当の理由を言ってグラスを持ち上げると、ジョーイも「私は最近別れたの。・・・それに乾杯!」と言ってグラスを持ち上げた。 ジャックは「しかも、社長は俺の親だぜ」と言い、ジョーイも「私は婚約者の誕生会に、みんなの前で別れを告げられたの」と話した。 ジャックは「あんたの勝ちだな」と悲惨な度合いに負けを認めて酒をまた注文した。

                             
 ジャックとジョーイは賭博場に行ってゲームをした。 ゲーム機の前で、ジョーイがサイコロを持ってジャックに「もう一回やって・・」と言うが、ジャックは「いや、俺は運がないからダメだ。・・・お姫様がどうぞ」と言って断る。 ジョーイは「わかったわ・・・44来て頂戴」と言ってサイコロを投げた。 サイコロの目は見事に4と4が出た。 二人は、はしゃいで遊技機に乗ったり、シャンペンを抜き、さらにシャンペンタワーを作って騒いだ。 ジョーイは「分かれた皆さんに乾杯!・・・クビにされた皆さんに乾杯!」と叫んだ。 ジャックはジョーイに「あんたは完璧主義なんだな」と聞く。 ジョーイは「あなたは遊んでばっかなんでしょ」と聞く。 ジャックは「俺だって真面目に働こうとしたさ」と答える。 「何でもっと早く、そう思わなかったの?・・・私なんて週80時間も働いているのよ」とジョーイが言う。 踊りながらジャックは「俺は何時もウソばっかりついてるダメな男なんだ」と話し、ジョーイも「私なんか普段はつまんない女よ。・・・大事なのは本当のことを言えるってことよ」と答える。 ジャックが「そうだ!」と頷く。 ジョーイは「私となら今までに無い、体験したことの無いSEXが出来るわよ」と言う。 意気投合した二人は派手に飲みバカ騒ぎをした。 ハイテーションのジョーイは部屋に戻るとジャンプしてジャックに抱きついた。

 翌日の朝。 ジョーイがベットで目を覚ますと、ジョーイの左手の甲には赤いハートマークと、その中にJACKとマジックで書いてあった。 急いで消そうとするが消えない。 よく観ると薬指に大きな指輪が入っている。 ジョーイは飛び起きて、昨夜のことを思い出した。 そばには ”妻へ 「先に朝食を食べに行ってるね」 ジャックより” と手紙が置いてあった。 ジョーイは悲鳴を上げて後悔した。

 レストランでは、スティーヴがジャックに「お前は昨夜、何をしたか覚えているか?。 酔った勢いで、結婚宣言をしていたぞ。」と言う。 ジャックは「ベガスでは良くある話さ、・・・家に帰るまでに何とか誤魔化さなきゃ」と答える。

 ティッパーがジョーイに「昨日の夜の事を覚えてる?・・・」と聞く。 ジョーイは「私と彼が寝ちゃったのを防ぐことは出来なかったの?」と聞き返す。 ティッパーは「私もあんまりは、覚えてないのよね」と答える。 

 ジョーイたちもレストランにやってきた。 ジャックたちのそばに行く。「おはよう」 「おはよう!」 テーブルには料理が並んでいた。 「これは全部、あんた達の分だよ」 「私はコーヒーだけでいいわ」 ジョーイがジャックに「ジャック ちょっとあっちで話できる?」と聞く。 「いいよ 話そう?」 席を立って先にスロットマシーンのところに行ったジョーイが小銭を入れてレバーを引いた。 三つの絵文字が流れ、づれてスロットが止まった。 ジョーイがジャックに「昨日の夜のこと・・・」と切り出すと、ジャックが「ああ、とても凄かったね」と答える。 「私が?」 「そうさ・・・俺の記憶だと、・・・昨日は本当に凄かった。・・・正直あんまり覚えていないんだけど・・・」 「何が言いたいのかは分かっているわ」 「そうか・・・じゃあ言うけど、昨日のことは無かったことに・・・」 「ちょ、ちょっと待って・・・あなたが、私をフルの?・・」 「そう」 「違うわよ!・・・逆でしょ!・・・」 「うわあ・・マジで・・じゃあ、これで解決だ。・・・これで肩の荷がおりたよ」 「これで、この話は無かったことになったのね」 「ほんとにごめんよ。・・・あんたは良く働くし、俺には相応しくないと思ってた。・・俺はチームワークが苦手なんだ。・・・結婚なんてダサいしね」 「もうそろそろお家に帰ったほうがいいと思うわ」 「そうだな!・・あんたも仕事一筋に生きろよ。・・・これで、話し合いは終了」 「あんたは本当に幼稚な人ね・・・さっさとお父さんの会社でも継いだらどう?。・・・でも、自分の考えも何も無く、プログラムどうりに働くのね!・・あんたはベガスにヤリに来ただけでしょ」 「あんたはヤッテる時はロボットっぽくなかったな・・・とにかくおめでとう!」 「ふざけんな!・・・頭にきた!」 「あんたは今までに無い! 最高!って行ってたけど、蓋を開けてみりゃ、ぶっ壊れてたじゃん」 「壊れてる?・・・あんたに私の何が判るって言うの?」 「おれは何人も見ているから分かるんだ。・・・俺が間違ってたら連絡するぜ」 「これが私のメルアドよ!」ジョーイはメモをジャックにたたきつけて歩き始めた。

 ジャックがスロットマシーンを見るとコインが台の上に1個残っていた。 ジャックはこれを持ち上げて「ジョーイ!・・ベガスに忘れ物だよ!」と言う。 ジョーイは振り向いたが「私の25セントよ!」と答えて歩いた。 ジャックはスロットマシーンにコインを投入しレバーを引いてそのまま歩き始めた。 スロットの文字が流れて、3個共に ”JACKPOT” と並んで止まった。 ”ヒュン・ヒュン・ヒュン” と甲高い警告音が鳴り、競技中の皆が振り向いてざわめいた。 今、ジャックがボタンを押したスロットマシーンの上に、3,000,000ドルの文字が点滅している。 抱き合って歓び跳ね回るジャックとヘイター。 ジョーイはティッパーに「あれは、私の25セントよ!」と告げる。 シャンパンを抜いて周りの客も興奮している中で、300万ドルの小切手の看板が渡される。 ジョーイが興奮して「私の25セントよ!」と叫んで看板を取り上げる。 ジャックは「おめでとう・・・じゃあ100ドルだけあんたに返すよ」と答える。 「あんたに賞金が行くと思ってるの?」 「当たり前じゃん。 俺が機械のレバーを引いたんだからね」 「私の25セントで機械を廻したんでしょうが」 「あんたが謝るなら、ちょっとは分けてやってもいいぜ!」 「そんなこと言ってもいいの?・・・私たちは婚約してるのよ」と言って、ジョーイは薬指に入った指輪を高く掲げて見せた。

                               

 マンハッタンの裁判所で親友のスティーヴが、弁護士として判事に意見を述べる。「私の依頼者が、マクナリーさんと婚約したのは、出会って4時間後のことですよ。・・彼は、それまでの三時間半は非常に酔っパラっていました。」 続いて判事はジョーイに「あなたには、この婚約を裏付ける証拠がありますか?」と尋ねた。 ジョーイは立ち上がって ”ジャックとジョーイ  愛を永遠に” と書かれた紙を取り出して見せる。 「ほかには?」と言われて、「この写真です」と大きく引き伸ばされたパネルを見せる。  「そして、証拠の映像もあります」と言って、ビデオのスイッチを押した。 大型画面いっぱいに映っている酔っ払ったジャックが、「僕は彼女を守り、そして愛します。・・・彼女を守り、僕たちは結婚します!」と宣言している。 そばに居るスティーヴも「みんな、祝福しようぜ!」とバカ騒ぎをしている。 判事が「今、出てきたのは、弁護士の君か?」と尋ねる。 スティーヴは「メガネを忘れてきたので、よく見えませんでした」と答えた。 判事は「私はあなた方を好きでもないし興味も無い。 今、若者たちはベガスやインターネットで、出会いを求めようとしている。 同性愛者のほうが貴方たちより真っ当な恋愛をしている。 結婚とは愛と誓約の元に成り立つものです。 私は妻と結婚して25年間連れ添っています。 ときには喧嘩をするときもあるけど、しかし、妻を愛しています。 古臭いかもしれないけど、始めに誓った約束を破ってはいけません。 私にはあなたたちを切り離すことは出来ません。 したがって、貴方たちはこれより一緒に暮らしてください」と告げた。 二人は同時に立ち上がり「待ってください。!」と言うが、判事は「私にはその権限があります。・・・この300万ドルは一時凍結します。・・・あなたたちは6ヶ月間の結婚生活をして、結婚を成功させるための努力をしてください。・・・この間、週に一度カウンセリングも受けてください。・・・貴方たちは私の言ったことに従わなければなりません。 さもなければ、私はこのお金を永遠に、あなた達どちらにも渡すことは無いでしょう。・・・私は、あなた達を夫婦と認めます!」と告げた。

 裁判所の外で、ジャックがスティーヴに聞く「あいつにそんな権限あるのか?」 スティーヴは「奴は裁判官だぜ、何でもありだ」と答える。 ティッパーもジョーイに「もうこうなったら、彼から別れを言わせるのよ?」とアドバイスする。 ジャックはスティーヴに「お前、何にもしてねえじゃん!・・・俺が自分で交渉するよ!」と言ってジョーイのところに行き、「俺は6ヶ月間ノーパンで暮らすけど、あんたが無理なら・・・」と話しかける。 ジョーイは「私がそれぐらいのことで、根をあげると思ったら大間違いよ。」と答える。 スティーヴが「6ヶ月間暮らして、半分の150万ドルづつ手にする」のはどうかと提案する。 「それもそうだな」 「簡単なことよ」と二人は同意した。

 ジョーイとティッパーが荷物を持ってジャックのマンションにタクシーでやってきた。 部屋でジャックとスティーヴが待ち受ける。 ジョーイはティッパーに「私が彼を喜ばせるために何を持ってきたか、写真に撮っておいてね」と頼み、持ってきたビールを渡すところを映させる。  ジャックも「俺からも引越し祝いに、タンポンを大量にプレゼントするよ」とジョークを言う。  ジャックはいきなりジョーイにキスをする。 嫌がるジョーイにかまわずスティーヴに写真を撮らせて「ごめんよ、俺ってそれだけ君を愛しているんだ」とジョーイに言う。 ジャックは「部屋に入ろう!」と言ってジョーイを抱き上げる。 部屋の中で手を放し、床にジョーイを落とす。 「おっと、ごめんよ重かったのでね」とすまして言う。 ジョーイは部屋の中を見回して「まあ、ニューヨークも良かったけど、ここも良さそうね」と言う。 しかし、風呂場も洗面所も散らかし放題、 「なんなの、これ・・・」 「特別室へようこそ、・・・カビと抜け毛の巣窟さ」 「好きな相手なら、これでも我慢するわ。・・・だけど、あんたのことは好きじゃないのよ。掃除をしてよ」ジョーイがジャックに言い、ティッパーは「150万ドルのためよ! 我慢!」と言って帰った。 

 夜になって、ジャックが長いすに毛布を運んだ。 ジョーイが「そこは貴方の場所ね?・・・ベットはどこ?」と聞いた。 「その中だ」 ジョーイが扉を開くと、収納していたベットが倒れてきた。 「あぶなかったね」 「なんか臭うわよ?」 ジョーイは毛布を指先でつまんで放し、消臭剤をあたり一面に撒いた。 「手伝ってあげようか?」 「結構よ」 「素直じゃないな」 「じゃあ、あんたがこっちで寝る?」 「やだ!」

 ”ガアーッ”と言う音でジャックは飛び起きた。 ジョーイがジューサーを廻していた。 トイレの前で「まだ?・・・もう漏れそうなんだけど」とジャックが足踏みしている。 ジョーイは何度も「もうちょっとで終わるわ」と言って中でゆっくり化粧をしている。 異常な水音に気づいてジョーイがトイレから出ると、ジャックは台所で鍋の中に放尿していた。 ジャックはジョーイが着替えているところを見て、下着がダサいと言う。「俺が見た地味な下着のベスト10に入るよ。この前ベガスで着ていたやつは良かったのに」と言う。 ジョーイは「この方がずっと楽なのよ。・・これが普段の私なの」と答える。 「私仕事に行くけど、あんたは今日何してるの?」 「さあ?・・・適当に何かしてるよ」 
 ジョーイは会社に走り、株の売買の立会いをし、ジャックは部屋でWillのテニスゲームをやっている。 ジョーイは仕事中に上司に呼ばれた。 「チョンと一緒に来てくれ」 ボスのところに行くと「15年間勤めていたボブが辞め、彼のオフイスが今空いているんだ。・・・君たちのどちらかに、彼の引継ぎをしてもらいたい。二人で競い合うんだ。・・・期待しているぞ」と言われた。 ジョーイはチョンに「すごい話し、でもあなたが適任よ」と持ちあげると、彼女は「当然よ。・・・あなたは私のアシスタントね」と言う。 「何ですって?」 「あなたは私の部下になるの」 「どうして分かるの?」 「女の勘よ」 「もういいわ。・・・私たちが決めることじゃないから・・・・」

 ジョーイはカウンセリングを受けるために、指定された黒人の精神科医のところに行く。 玄関でジャックと顔を合わせるなりジョーイは「あんたの顔を見るたびに吐き気がするわ。・・・」と言った。 女医の先生は「ジャックさん・・・貴方の趣味は?」と聞いた。 ジャックは「単純なことなんだけど、彼女を愛していること・・・それから彼女の愛の言葉を聴くこと・・・いつもこのノートに書き写しているんだ。・・・それっていいことでしょ。 他には・・彼女の傍に居るってことかな。・・彼女を痛いほど愛しているからね」と答えた。 ジョーイも「そうね」と相槌を打ちながら、笑顔で身体を摺り寄せて見せた。 女医は「ジョーイさんは?」と聞いた。 ジョーイは「私もそんな感じかな?・・あえて付け加えるなら、彼を良く見てるって事、彼自身はもちろんのこと、彼の仕草なんかも好きだわ。・・・彼の汚いもの・・・例えば、彼のベットの下から、臭くて汚いズボンが出てきたとするでしょ。普通の人は逃げ出すでしょうけど、私はそれがたまらなく好きなの!。だから私は彼から離れられないわ」と答えた。  女医が言う「分かっていると思うけど、私も色々な人達を見てきたわ。・・・その視点であなた達を見ると、まだお互いに本心を出してないわ。 仕事と結婚を両立できると思えないわ。・・・一応そのように報告しとくわね」

                   

 部屋に帰って長いすに並んでテレビを見ている。 ジョーイがポップコーンを食べていると、ジャックがズボンの中に手を入れてボリボリ掻いてから手を伸ばしてコーンを鷲づかみにした。 ジョーイは「そうそう・・ちょうど私もイカ臭いポップコーンが食べたかったの・・・あなたのお陰でそれを食べることが出来るわ」と厭味を言う。 トイレでジョーイは便器の便座の使い方まで実演をして見せて、上げ下げまでジャックに注意する。 夜中にトイレに行ったジョーイが悲鳴を上げる。 ジャックは隠していた便座を取り出してほくそ笑む。 今度もトイレからジョーイが出てこない。 ジャックが「まだ?・・・もう、漏れるよ」と騒いでいる。 ジョーイは「たまには特別室があるでしょ」と答えて、中で化粧をしている。 翌日ジャックはヘイターに頼んでバスルームのドアを取り外す。 会社から帰ったジョーイがトイレに走りこみ、バスルームのドアを閉めようとしたがドアが無い。 「扉はどこへ行ったの?」 「泥棒が扉だけ持っていったよ」 ジョーイは「150万ドル・・・」と言って怒りを飲み込んだ。

 ジャックとスティーヴは原っぱでゴルフの練習をしている。 スティーヴが「結婚は残酷だ」と言う。 ジャックは「男と女は同棲しちゃダメだな・・・俺はセックス無しでもずーッと生きていける。・・・俺は我慢強いんだ」と言う。 「本当か?・・・そんな風には見えないな」とスティーヴが言う。 スティーヴは「ちょっと調べたんだけど、離婚調停でこんな事例があったんだ。・・・”レフリー対ホールデン” だ」と言った。

 ジョーイはティッパーとスポーツジムで身体を動かしている。 ジョーイが「私、もう耐えられないわ」と弱音を吐く。 ティッパーは「じゃあ、”プランB”に作戦変更ね・・・私の母は、キューバ人のバーテンダーと結婚したんだけど、その時の話ね」と言う。

 スティーヴがジャックに説明する「法廷では、相手に慰謝料を請求する場合は、それを裏付ける証拠が必要なんだ。・・・そして、彼女は大金を手に入れたのさ。・・・裁判官はお前たちに、結婚生活をしなさいと言ったけど、彼女と暮らせない何かの証拠を掴んだとしたら?」 ジャックが「お前弁護士だろ?」と言い、スティーヴは「だから、例え話だよ・・・俺は弁護士だぜ・・・お前は何もしてなくても、」と答える。 「お前は最高だ・・・俺にキスするか?」 「おれが?」 「作戦開始だぜ」二人はハイタッチをした。

 スティーヴが話す「うちの母親は、夫が浮気をしたのを証明したわ。・・・裁判官は母の見方に・・」 ジョーイは「ジャックのほうから私を裏切る行為をさせれば良いってことね」と聞く。 「金が向こうからやって来るわ」とティッパーが言う。 「作戦開始よ」二人はハイタッチをした。

 ジャックは家に帰ると、ジューサーの果実液の中に”興奮剤”を投入した。 ジョーイが帰ってくるとすぐに、ジューサーからジュースを取って飲んだ。 

 ジョーイのボスは、会議の席で「南側の精錬所の問題は、今後原油に注目するべきだ。・・・そして、これからはプラチナが注目されるだろう。」と述べた。 ジョーイは「そうよ、私もそう思うわ!・・・買うのよ!・・・買い占めるのよ!」と大声でボスの意見に同調した。 ボスは「そうだ、・・・そうなんだ!・・・私が求めているのは、この情熱なんだよ!・・・行って来い!」とジョーイを指名した。 「ああ、神様!・・誰か、私を抱いて!」とジョーイは興奮して叫んだ。

 ジャックが部屋にいると、ドアがノックされた。 ドアを開けると美女が二人立っていた。 美女は「私たち部屋の鍵をなくしたの・・・鍵屋さんが来るまでお邪魔しても良いかしら?・・・」と言った。 「仕方ないね」 「助かるわ」 「友達が後から来るんだけど、ここに通してもいい?」 「しょうが無いな・・・」 ジャックは女性を部屋に通して「我が家へようこそ」と挨拶をした。 ドアがまたノックされた。 「多分私の友達だわ」 ドアを開けると4人の女性がお酒を持って立っており「ハーイ・・・あの子達の友達なの」と言った。 

 スティーヴの携帯にジャックから電話が入った。 「俺のリビングが女の子達で一杯なんだ!」 「何のことを言ってるんだ?」 「俺んちに若くて綺麗な子が来てるんだ」 彼女達は部屋の中で音楽に合わせて踊っている。 「なんてこった・・・そりゃ罠だ!」 「違うよ・・・そんなはずは無い」 「いいや!、そんなことが起こるはずが無い!。・・・すぐ追い返せ!・・彼女は近くで見張っているぞ」 「わかった。・・・ジョーイに仕返しをしてやろう・・・ベアーに電話をして、男を集めさせるんだ。・・・やられたら、やり返すまでだ!」

 やがて、ジョーイが戻ってきた。 続いて男達が酒を抱えてやってきた。「よう、・・・ジャック、待たせたな!」 ジョーイは作戦を見破られたことを知り、ただ傍観するしかなかった。 スティーヴが「こんな面子じゃ彼女は金はあきらめないぞ」と言い、ジャックは「今すぐここに、できる奴を呼んでくれ」と頼む。 一方のジョーイもティッパーに「ねえ、・・尻軽女を2〜3人呼ばなきゃ鳴らないわね」と相談する。 「それだったら何人かいるわよ」 「お願いするわ」

                             

 遊びに来た髭面の男がジャックに「いったい、どの女が尻軽女なんだ?」と聞きに来たので、ジャックは「あのピンクの服を着た女だ」とジョーイを指差した。 「お前の嫁さんか?・・・なんてこった、・・・俺のど真ん中だよ。マジか?」 
 ジョーイは女性達を集めて「みんな聞いて・・・彼のパンツを持ち帰るのよ。・・・それを取った人に賞金よ」と言い、ジャックは男達を集めて「いいか、彼女を無視するんだ・・・あいつは変人だからな」と言った。 ジャックは女性に囲まれ、もみくちゃにされて居るが、ジョーイは男に声をかけても横を向かれたり、逃げられたりした。 髭面の男がジョーイのところに来て「何か悩み事でも?・・・僕が聞いてあげるよ」と言った。 ジョーイは「ありがとう」と言って彼の傍を離れた。 
 ジャックはすがりつく女に「さっさとそっちに行くんだ!」と言って追いやった。 ジャックはスティーヴに「俺は金なんかいらねえ・・もう彼女に渡すよ」と言い出した。 そこに警察官がやってきて、「なんだ!、この騒ぎは?」と怒鳴った。 「音が小さいって近所からの苦情よ」と婦人警官が言った。 二人はティッパーが呼んだ仲間だった。 皆は歓声を上げて、音楽のボリュームを上げ、狂ったように踊りだした。 

 ジャックはビールを抱えてバスルームに逃げ込んだ。 そこにもてないジョーイがやって来る。 「あっ・・ごめん。 静かな場所を探していたら、ここに・・」といって、バスルームを出ようとする。 ジャックが「ビール飲む?・・」と言ってジョーイを呼び止める。 「俺がこんな子供騙しに引っかかるとでも思ったの?」 「そうよ、もう時間の問題ね」 「おれも安く見られたもんだ」 「あなたには一番効果的でしょ」 「何が?」 「酔った勢いってこと」 「そうだな、前にも同じようなことがあったしな」 「そうよジャック、あなたと暮らしているから、あなたのことは判るの・・・あなたはまだ、特定の彼女なんかほしくないんでしょ」 「そういうあんたも、いまだに元彼のことが忘れられないんだろ」 「もう彼のことは忘れたわ」 「じゃなぜ、普段婚約指輪をしてないの?」 「スロット機で貰った指輪じゃない」 「正直に言えよ。・・・俺の指輪はつけない。 元彼のことは忘れられないってね」 「確かに彼との4年間は楽しかったわ。・・・でも、もう吹っ切れたの。・・・その点貴方は、努力も才能も無い、ただのニートだものね。・・・ちょっと言い過ぎたかも」 「良いよ、気にしないさ。・・欲情メスの戯言だからな」 「なんですって・・・あなたがそこまで言うなら、こっちにも考えがあるわ」そういってジョーイは指輪を指から抜き取って棚の上に置いた。 ジャックが「助かるよほんとに・・」と言い、ジョーイは「これで、あんたとは他人よ」と言った。 ジャックは「これで、俺が何をしようが一切口を挟むなよ」と告げた。 「そういう訳には行かないわよ、ジャック!」 「死んでも嫌だね」 「その前に私が殺してあげるわ」

 二人はカウンセリングの指定日に黒人の精神科医のところに来ている。 ジャックが「彼女は常に口を挟んでくるのです。!」と訴え、ジョーイは「彼は何日も何もしないんですよ!。・・・彼は台所で小便をするんですよ。・・信じられないでしょ!」と訴えた。  ジャックが「彼女は仕事バカなんです!」と言えば、ジョーイは「彼は仕事をしないんです!」と訴えた。 精神科医の女医は「そうよ!・・そんな感じよ。・・夫婦とは本来、本心を言い合うべきなのよ。・・・あなた達は改善されているわ!」と答えた。

 ジャックはスティーヴと公園に来ている。 スティーヴが「裁判の日まで、俺んちに監禁しとくとか、彼女のせいで病気になったとか言ったらどうだ。・・・適当な診断書を作ってそれを提出するんだ」と提案する。 ジャックは「ばれたらどうするんだよ」と言う。 スティーヴは「そうだ、いい考えがある。」と言って、いきなりジャックの顔を叩く。 ジャックが「何するんだよ?」と今にも殴り返しそうになる。 「違う!・・違う!・・落ち着け!・・」と言って、さらにもう一度顔を殴る。 ジャックが殴り返して、掴みかかる。 スティーヴは「ちょっと待てって!・・俺を信じろって言ったじゃん!」と叫ぶ。

 ジョーイが精神科医のところに来ている。 遅れてジャックがサングラスをしてやって来る。 メガネを取ると目の周りが腫れ上がっている。 女医が「その顔はどうしたの?」と聞く。 「ええーと、・・・ドアにぶつけました。転びやすい体質なんです。・・・おっちょこちょいなんです」 女医が聞く「ジャック!・・本当のことを言いなさい。・・・それは、転んで出来るあざじゃないでしょ?」 「俺が悪いんです・・・俺が・・言われたとおりにタオルを掛けなかったのが・・・ごめんなさい・・・ちょっと忘れていただけなんです。・・そしたら彼女が・・・”何回言ったら分かるの”って、俺の頭を掴んでたたきつけるんです」ジャックは泣きながら話した。 黙って聞いていたジョーイは携帯電話を取り出して、スティーヴがジャックを殴っているところの録画を再生して見せた。   
 女医は「診療を始めてもいいかしら?」と聞く。 二人は「ハイ!・・始めましょう」と答える。

 ジョーイが部屋に帰ると、電話が鳴っている。 女性の声でメッセージが流れて ” 私はトイジョス先生の事務所のものですが・・” と言っている。 ジョーイが電話に出る。 「もしもし・・」 「フラー夫人ですか?」 「そうです」 「先生がこれから急用のため、今日は中止にして、次ぎの金曜日ではどうですか?」 「15時以降ですか?」 「16時と言ってましたが・・」 「分かりました、ご連絡有難うございます」 電話の相手がジャックが頼んだ女性であることをジョーイは知らない。

                                       

 ジョーイが入浴中。 こっそり部屋に入ったジャックは、ジョーイの鞄の中から財布を抜き取って部屋を出た。 ドアの閉まる音で「誰?・・・ジャック?」と言いながら、バスルームを出たジョーイが窓の外を見ると、ジャックがタクシーを止めているところだった。 「この時間に出かけるって、・・・まさか・・」 ジョーイはすぐに電話をする。 「トイジョス事務所です・・・」 「ジョーイ・フラーですけど・・・」 「どうしました?」 「先ほど、電話をいただいて、今日は中止と聞いたんですが、ほんとうですか?」 「そんな連絡はしてませんよ。・・・診療を受けなければ、法廷で不利になりますからね」 「分かってます」 ジョーイはやっと、タクシーを停めたばかりのジャックに「私が騙されるとでも思ったの?」と食って掛かかり、一人で乗って「急いで行って頂戴」と言う。 走り始めたタクシーの中のジョーイにジャックは電話をして、「財布無しでタクシーに乗ってるのか?」と伝える。 二人のやり取りを聞いていたタクシーの運転手は車を停めて「財布が無いって?・・・降りろ!」と言う。 ジョーイは「お願いなんでも言うこと聞くから・・・」と頼み込む。 運転手は「じゃあ、胸を見せてくれよ」と言う。 「何ですって?・・」 「俗に言う、マニアって言うやつさ」 後ろを見るとジャックが走ってきている。 ジョーイは「分かったわ!・・一瞬よ!」と言ってセーターを持ち上げる。 「オッパイ星人。・・バンザーイ」タクシーは走り始めた。 

 渋滞でタクシーが止まった。 ジャックがスケート靴をはいて追い越してゆく。 ジョーイは観光バスの乗客に紛れ込んでバスに乗る。 気がつくとジャックもバスに乗っている。 二人はセントラルパークまでただ乗りをして、トイジョス事務所にたどり着いた。た。 精神科医の女医先生は息せき切って飛び込んだ二人を見て、ニッコリ笑ってレポートを書いた。

 ジャックがマンションに帰ると、部屋の中からにぎやかな笑い声が聞こえる。 ドアを開けて部屋に入ると両親が居る。 「母さん!・・父さん!・・・ここで何してるんだ?」 ジョーイが答える「貴方を驚かそうと思って、私が夕食に招待したのよ」 父親が「息子には招待されたことが無いんだ。」と言い、母が「結婚していたことも聞いてない」と言う。 父は「私を嫌っていることは分かるが、結婚くらいは報告しろよ、・・・がっかりしたぞ。・・こんなに素敵な子を・・・」と言った。 母は「私たちはあんたを誇りに思うわ!・・・あんたはまだ結婚しないと思ってたわ。・・けど、こんな素敵なお嬢さんを・・・」と言って喜んだ。 「よくやったぞ!・・息子よ!」。 ジャックはジョーイに「よし、じゃあ、向こうで少し話は出来るかな?」と言った。 ジョーイは母親に「彼は向こうで、私にキスをしたいのかも知れませんね?」とおどけた。 ジョーイはバスルームに入って「あなたの両親は、私のことを気にいってるみたいだわね」と言う。 「ことの内容を話してないからだろ」 「これから言うつもりよ」 「もし、言わなければ?・・できれば、内緒にしてもらいたいんだ」 「私はバスルームのドアと、便座のことは忘れないわよ。・・・頼まれるのは今回だけよ」 「わかった」
 
 両親のそばに戻ってジョーイは「こんなに立派に育てるには、さぞかし苦労も多かったでしょう」とか「このテーブルも彼が作ったんですよね。・・・彼の才能は素晴らしいと思います。・・・お父様が頼めば彼は実力以上の力を発揮すると思いますよ」などと言って両親を喜ばした。 母が「土曜は忙しいの?・・あなたも叔父の感謝祭に来て頂戴」と誘うと、「ぜひ行きます!」ジョーイは答えた。

 昼間、ジャックの部屋にスティーヴが来ている。 ジャックは「家族の一員になってしまったよ!」と話す。 「そりゃ、まずいな」 「分かってる、・・やられたら、やり返すだけさ」 「根負けするなよ・・・俺もついているからな」スティーヴは言った。 ジャックはジョーイがバスルームの棚の上に置いた指輪を思い出す。 「俺にいい考えが、思いついたぞ」

 ジャックはメイソンを会社に訪ねる。 「メイソンさんですか?・・」 「そうだけど?・・」 「ジャック・フラーと申します。・・・ジョーイの友達なんです。・・・これを届けに来ました」と言って指輪を取り出す。 「彼女はこれをゴミ箱へ・・・あなたが贈ったものではないかと?・・・5000ドルくらいはするんじゃないですか?・・」 「ああ、そのとおりだ・・感謝するよ」と言ってメイソンは指輪を奪うように受け取った。 「彼女は元気か?・・」 「ええ、元気ですよ」 「強がってるだけだろう・・・」 「彼女はあなたと暮らしていたことを、楽しそうに話していました。・・・彼女は完璧主義でした。・・・それはあなたに喜んでほしいから。・・けど、今は違います。・・彼女はあなたと別れてから、開放されたように自由に生活してますよ。・・・そうだ、もう、行かなくっちゃ・・グローブパークで叔父の感謝祭があるんですよ。 ジョーイの提案で皆がプレゼントを用意するんですよ」

 公園で、パーテイが始まっている。 ジョーイを見つけてジャックの母親が「来てくれて、有難うね」と言ってハグした。 「友達のティッパ一よ」と言って紹介した。 「さあ、あなたを親類に紹介しなくちゃ」と言って母は歩き出す。 母が「この子はいつも帽子とジャケットを着て、学校に行ってたの」とジョーイに言う。 ジャックは「男は誰でもインディジョーンズに憧れるんだよ」と言い訳をする。 遠くで様子を見ているスティーヴがティッパーに「あいつらなんか良い感じだぞ」と話す。 「あたしらもそうする?」とティッパーがいう。 ジョーイが子供と遊んでいるとメイソンが「やあ、ジョーイ」と声をかけた。 「メイソン・・ここで何をしているの?」 「ああ、友達に会いに・・」 「ブルックリンで?・・」 「そうさ彼らはアーテストだからね・・それより向こうで一杯どう?」 「無理だわ・・・ごめん」 「そうか・・じゃ来週は?」 「やめとくわ」 「君も随分変わったね・・明るくなったね、本当に・・」 「そろそろ行かなきゃ」 「じゃあ、また今度・・」

 ジャックは物陰からこの様子を見ていた。 スティーヴが「なんてこった・・・まさかお前彼女に惚れてんじゃねえだろうな」と聞く。 「そんなわけねえよ」 「お前を見てれば分かるよ。・・まず間違いねえ。・・ヤツ等はお前を引き込む作戦なんだ。・・・お前を引き込み、惑わせる。・・最後はお前を陥れるんだ。・・・さっきは見詰め合ってたぞ」

 ジョーイが勤務中。 ボスがやってきて「どうだ、週末は楽しめたか?・・・所で、頼んでいた書類はまだか?」と聞いた。 「すみません、夫の親類に会ってて、忙しくて・・・」 「夫だと?・・結婚してたのか?・・彼氏もいないと思っていたのに・・」 「結婚してますよ・・・前にも話しましたよね?」 「すまん・・・最近忘れごとが多くてな。・・・私も長くこの業界に携わってきたが、今度その慰労会をする・・・お前とチョンは平等にしなければならん。・・・チョンはその慰労会に夫を連れてくるんだが、・・・」 「もちろん彼も来ますよ。・・・楽しみにしててください」

          

 スティーヴがジャックの部屋に来ている。 スティーヴは「最悪の女ってのは、仕事に生きる女だってよ。・・・彼女そのものじゃん」と言う。 ジャックは「俺はノーコメントだ」と、はぐらかす。  スティーヴは「ところで、・・なんでお前はまだここに居るんだ?。・・・お前が今やることは、皆に完璧な夫を演じてみせることだろう。・・・彼女がもし、お前に惚れ直したら、”私はあなたに金の権利を寄与します”と誓約書に書いてもらうんだ。・・・もし、サインするのを断ったら、皆に本当のことを暴露するんだ」と言って誓約書の案文を書いてくれた。 さらにスティーヴは「裁判まで後1週間、これが最後のチャンスだからな」と念を押した。

 ジョーイは会社のボスの慰労会に出席している。 ボスがやってきて、「旦那は?・・さっきチョンにも会ったが、頭がよさそうな奴だったよ。・・・お前のにも会いたいんだがね?」と聞いた。 ジョーイはその時、にぎやかに談笑しているジャックを見つけて「彼です!」と指差して答えた。 ジャックのそばに駆けて行き、「来てくれて助かったわ」と言い、ジャックも「随分探したぞ」と言った。 ジャックはそばに居る男性を「さっき友達になったデイヴィッド・ヤングさんだ。 他の皆さんも本当に言い人達だよ」と言ってジョーイに紹介した。 そこに、「幸せものは君か?」と言ってボスが来た。 ジャックは「どうもジャック・フラーです」と言い、ボスは「リチャード・ベンガーだ・・・」と言って握手をした。 ボスが「そこは私の席だが・・」と言うと、ジャックは「リチャード・ベンガーだって?・・・ディック・ベンガー(マヌケなベンガー)ってのはどう?・・・休日くらいは無礼講でしょ」と言った。 周りの人達がしらけて横を向いた。 ボスのリチャードは「じゃあ、お前はジャック・オフ(お馬鹿さん)だ」と言い返して抱き合って喜んだ。 「なぜ、今まで紹介してくれなかったんだ?」 「彼は、私の秘密兵器だったんです」。 ジョーイはジャックに小声で「あなたが、なんでここに居るのか分からないけど、とにかく有難う」と礼を言った。 ボスが「お馬鹿さんか、笑えるな」と上機嫌で言うと、チョンが「私もそう思います。・・・社長がつけたアダ名・・・とっても素敵ですわ」と答えた。

 夜のパーティー会場はホテルのホールだった。 スティーヴが会場の外から、会場にいるジャックに携帯電話を架ける「誓約書のサインは貰ったか?」 「いや、まだだ・・」 「何をもたもたしてんだよ」 「まあ、気楽に構えてろよ・・俺にも考えがあるんだ」 「済んだらそっちから電話してくれよ」 
 ジョーイがジャックのところにやって来る。 「別人?・・・見間違えたわ。・・この中で一番素敵な男性よ」 「君の髪型も素敵だよ」 「ありがとう」 二人がいるところにボスのリチャードが「楽しんでるか?・・”お馬鹿さんといっしょか」と言いながらやって来る。 ジャックは自分の胸の名札に ”Joy's Bitch” (私はジョーイの奴隷です)と書いている。 これをジョーイが見つけて剥ぎ取り、そばにいたチョンの背中に「楽しんでる?」と言いながら、叩いて貼り付けた。 ボスは「彼女は会社ではクソ真面目なのに、こんなに面白いとはな・・・」と言い、ジャックは「いつもこんな感じですよ。・・その証拠を見せましょう。・・彼女のシャンパン芸を見たことはありますか?・・・すごいですよ」と聞いた。 ジョーイが「今は無理よ!」と言ったが、ボスが「やるんだ!」と言ったので、シャンパンを左手に持ち、右手に持った包丁を、勢い良く瓶口に滑らせると、コルクが音を立てて飛び、シャンパンが勢い良く吹き上がった。 「お見事だ!。・・・今すぐ昇進させたい気分だよ」 ボスは上機嫌だった。

 二人はホテル内のゲーム会場に来た。 サイコロを持ったジャックが「俺には運が無い」と言ったが、ジョーイは「いえ、あなたがやるの・・・サイコロを振って」と言った。 「7だな」 「7よ!・・お願い!」 ジャックが勢い良く放り投げたサイコロの目は、4と3だった。 ジョーイは興奮して喜んだ。

 ボスのリチャードが会場の舞台に立って、「紳士淑女の皆さん。・・・ちょっと集まってくれ。・・・今年のゴールデン賞を発表する。・・・新顔なんだが、奴ほど楽しい人は今まで居なかった。・・・皆は誰のことか判っていると思うが、」と話すと、会場から「ジャック・オフ!(お馬鹿さん!)」 「ジャック・オフ!(お馬鹿さん!)」という声が合掌となった。 リチャードは「おめでとう」と言って、トロフィーをジャックに渡した。 ジャックは「素敵な週末を有難う。・・・私は、始めに妻に感謝します。・・・ジョーイ!・・・私たちは今までに無い出会い方をしました。・・そして、驚きの速さで結ばれ、互いが互いを知る前に結婚し、・・最近やっと、互いを分かってきました。・・・出会ってから今まで一度も一緒に踊ったことも無いんだ。・・・だから、良かったら、僕と踊ってもらえるかな・・・」と言ってジョーイを呼んだ。 出席者全員が歓迎の拍手をする中で、演奏が始まり、二人が踊り始めた。 ジャックは「なんか、注目されてないか?」と言い、ジョーイは「ええ、・・そうね。・・・私たちがキスをすると思ってるのね」と言った。 「そうなんだ・・・」 「あなたが嫌なら、無理しなくていいのよ」 ジャックは静かに唇を寄せた。 ジョーイはジャックの肩に両手を廻して、ジャックの頭を持ち激しくキスをした。 周りの皆も踊り始めた。

 二人はホテルの庭に出て休んだ。 ジャックが、「ベガスのときを除いて、今までで、一番幸せだったのはいつかな?」と聞いた。 ジョーイは「たった一日なんだけど、仕事でも、メイソンでも無いの・・・私は、ある日突然フェリーに乗って、約5マイル東へ行ったの。・・・そしたら、とっても素敵な浜辺があったの、」 「たったひとりで?・・」 「そうよ」 「その浜辺に座ったわ。・・・波の音を聞き、日暮れも見たわ。・・・その時の私には、悩みなんて何にも無かった。」 「部屋にある、あの写真か?・・・」 「そうよ。・・・その日が一番幸せだった日よ」 
 「俺は降りることにするよ・・・」 ジャックがポツリと、自分に聞かせるような声で言った。 さらに、ジョーイに向かって「俺が降りれば、君が負けることは無いから・・・」と言った。 ジョーイはジャックの横に並んで腰を下ろし、「私もよ・・」と言った。

 部屋に帰ってきて、ジョーイが「今日は、楽しかったわ」と言い、 ジャックは「ああ、・・・とっても」と言った。 「じゃあ、・・そろそろ寝ようか」と言ってジャックがベットから長いすに毛布を運んだ。 ジョーイが「ねえ、・・後ろのジッパーを外してくれる?」と言って後を向いた。 ジャックは「ああ、・・いいよ」と言って、ドレスの後ろのジッパーを下げた。 ジャックは「外れたよ・・」と伝えるが、肌蹴た背中に目が行って落ち着かないで立って居る。 ジョーイはジャックが抱いてくれるものと期待したが、あきらめて「ありがとう」と礼を言って化粧室に入った。 ジャックは、長いすの上に置かれたジョーイの下着を持ち上げ、自分の胸に充ててみる。 テーブルのほうに持っていったときにジョーイが化粧室から出てくる。 「これ・・・こっちへ・・」と言うジャックに、ジョーイは「いいの、そこに置いといて・・」と言う。 「おやすみなさい、ミスター・フラー」 「お休みミセス・フラー」  電気を消して横になったが、どちらも寝付かれない。 ともに、冴えた目で天井を見つめていた。 

 ジョーイは会社に出勤しいつものように仕事をこなし、 ジャックは父の工場に出勤して、家具の製作に励んだ。 ジョーイが仕事を終えて会社の玄関に出たとき、「ジョーイ!」と呼びながらメイソンが駆け寄ってきた。 「メイソン?・・」 「今、話をしている暇は無いの。・・・もう、行くわ」歩き出すジョーイに、メイソンは「ジョーイ!・・また、よりを戻してくれ」と言う。 「エッ!・・」 「君と別れたのは間違いだった。・・僕は君との生活に慣れすぎて居たんだ。・・・人は何かを失ってから、その大切さに気づく。・・・もう一度やり直したいんだ。・・・また君にこれを持っていて欲しい」 メイソンはジャックから受け取った指輪を差し出す。 「これは何処で?・・」ジョーイは見覚えのある指輪を手に取って聞いた。 メイソンはそれには答えず「ジョーイ・・・僕には君が必要なんだ」と言ったが、ジョーイは黙って立ち去った。

 裁判所の法廷にジョーイが後からやって来る。 ワッパー判事が「それでは裁判を始めます!」と告げた。 続いて「誰が見ても幸せそうな夫婦だが、あなた方は6ヶ月間何を学びましたか?」と問い。 「先に、トイジョス先生に聞きます。・・・ジャック・フラーとジョーイ・マクナリーは結婚生活を努力していたと思われましたか?」と訊ねた。 トイジョス先生は証言者席に行って「彼らは、・・まだ多くの問題を抱えています。・・彼らは、互いの個性が強すぎるんです。・・・しかし、私は正直に言えば、これこそ本来の夫婦だと思うんです。・・私はそう確信しています」と答えた。
 ジャックは、ティッパーにメモ紙を見せる。 左手の中指だけを立てている手が書いてある。 ジャックが立ち上がって述べる。 「マクナりーさんは、2万5000ドルを私の依頼人の名義で費やしました。 新しい家具の購入のためにも使いました。 300万ドルを分割した場合にはこれに5万ドルの追加請求を致します。 相手の残りは145万ドルですね。」 判事は「まだ、均等分割するとは言ってませんよ。・・・反論は?」とジョーイに聞いた。 ジョーイは「異議はありません」と答えた。  ティッパーが、「私の依頼人は、お金を望んでいません。・・・彼女はちょうど別れたかったようです」と述べた。 「それで、宜しいのですか?」 ジョーイは立ち上がって「はい・・その通りです」と答えた。 判事は「では、離婚を認め、フラー氏に全額を与えます。・・これにて閉廷します」と告げた。 ジョーイはジャックのそばに行って、「あなたの勝ちよ。・・ジャック、あなたからは何も欲しく無いわ」と言い、テーブルの上に指輪を置いて立ち去った。 ジャックは「驚いた!・・本当に勝ったよ。・・・俺は勝ったんだ!・・俺は最強の弁護士だ!」と興奮して叫んだ。
 
 ジャックの部屋に仲間達が来て飲んでいる。 ジャックは一人イスに腰掛けて今日の出来事を思いだしている。 髭面の男が来て「時が傷を癒してくれるよ。・・・俺が彼女を慰めてやるから、電話番号を教えて呉れよ」と言う。 ジャックはそれにも答えず黙って、物思いにふけっている。 ふと、目をやると、机の上に、ジョーイが置いて行った灯台の見える海岸の写真がめにはいった。 ジャックはポートスタンドを持ち上げてジョーイのことを思った。

 証券会社の会議室で、ボスのリチャードが「これが最後の結果だ。・・・おめでとう、マクナリー」とジョーイを呼んだ。  ジョーイは立ち上がって「ありがとうございます。・・・失望させません」と言い、ボスと握手をした。 皆が拍手をした。 急にジョーイは「やっぱり、失望させるかも知れません。・・・代わりにチョンを推薦します。・・彼女は仕事も出来、とても優秀です」と、言った。 ボスが「何を話しているのか、分かってるのか?」と聞くと、「いいえ、自分でも分かりません・・でも、好きでないことをやるより、好きなことをしたいんです」と、言って退席した。 リチャードは「彼女が何を言いたいのか分からなかったが、・・チョン、とにかくおめでとう」とチョンに言った。

 ジャックは自宅に帰り、両親と食事をしている。 父親が「ついにお前も、やる気になったか?・・・いいことだ」と言う。 ジャックは「まだ、何も言ってないだろ」と答える。 「そんなのは関係ない。・・・お前は、私の誇りだからな。・・・しかし、お前は女性で大きな過ちを犯した。」 「あの結婚はウソだって言っただろ」 父親はジャックに言った。「それこそが間違いなんだ。・・・お前は真実から目を背けているだけなんだ。・・・何が一番大切なものなのかを、よく考えるんだ」

 ジャックはジョーイの友達のティッパーに会いに、彼女の勤務先の酒場に行った。 ティッパーはジャックに「彼女は消えたわ」と言った。 ジャックは「何処に行ったか、教えてくれ!」と頼んだ。 「彼女は昇進も断り、電話も繋がらなくしているの。・・私が彼女の立場だったら、あんたには二度と会わないわ。・・・けど、それは、一緒に暮らしていたジョーイにしか分からない心境よね。・・・私も本当に、何処にいるか知らないの」 「行きそうなところは?・・・」 「分からないけど、気分が落ち込んだときは、楽しい場所に行くんじゃないの?・・・どうしたの?」 ジャックには思い当たる所が会った。  「ありがとう」ジャックは店を走り出た。

 ジャックはジョーイを探しに行くことにした。 スティーヴと一緒に、髭面の仲間のところに車を借りに行った。 髭面の男は「彼女を連れてきたら、俺か、お前か彼女に選んでもらおう」と言った。 ジャックが「そのために貸すのか?」と聞くと、「まだ、諦めてないのか?・・ちゃんと、運転できるんだろうな」ときいた。 スティーヴは「早く鍵を寄こせ!」と引き取って、「”元妻”を捕まえて来い」と言いながら鍵をジャックに渡した。

 ジャックは借りた車で、港に行き、高速艇に乗って島に行った。 手にポートスタンドを持って灯台の場所に走った。 灯台に登って眼下を見ると、波打ち際を一人で歩いている女性が見えた。  ジャックは海を見てたたずむジョーイの後ろに立った。 振り向いたジョーイが「よく見つけたわね」と言った。 ジャックは「忘れ物だよ」と言って、ポートスタンドを見せた。 「これを返したかっただけなんだ・・・街から5マイル離れた灯台って、いくつあるか知ってる?」 「分からないわ・・」 「5個所だよ」 「そうなんだ」 「知ってると思ってたよ」 「じゃあ、もし私がここにいなかったら、次ぎのところに行くつもりだったの?」 「だろうな・・じゃあ、そろそろ行くよ・・」と歩き始めたが、振り返って言った「それと、これだけは言っておきたい、君との結婚生活は、悩んだり・・・馬鹿らしかったけど、俺の人生で最高だった。・・ジョーイ、君のお陰さ・・・もし叶うなら、答えてくれ、君の本心を聞きたいんだ」 ジャックはジョーイの前で肩膝を着き、「僕と結婚してください。・・・もう一度」と言った。 ジョーイは「私も他の人を喜ばせているより、あなたを喜ばせているほうが楽しかった。・・私自身も嬉しかったわ。・・・私も、あなたと結婚がしたいです。・・・もう一度」 ジャックは立ち上がってジョーイを抱きかかえ、二人だけの砂浜でキスを繰り返した。   ジョーイは抱き合ったままで「これが私の本心よ」とささやいた。 「もう知ってるよ」 「これから私、何をするんだろう・・・何も考えてないわ」 「それも、いいんじゃないの・・・俺たちにはたくさんの金は有るんだから・・・」 「私たちはそれ以上に大切なものを手に入れたわ」 「そうだね」

                  6ヵ月後。

 教会で、牧師が「ジョーイ姉妹。・・・あなたは夫を、病める時も健やかなる時も、愛することを誓いますか?・・・宣言をしてください」と告げた。 酔っ払った花嫁のジョーイが、同じく酔っ払ったジャックに抱きついたまま、「もちろん!」と答えた。 部屋の後でティッパーがスティーヴに抱きつきキスをしている。 ティッパーがスティーヴの腰に両足を絡めたので、二人はイスの上に倒れたが、酔った二人は転んでも離れない。 ジャックとジョーイは笑って二人を見ている。 牧師が、「ジャック兄弟、。・・・花嫁に指輪をお願いします」と言う。 ジャックは例の指輪を取り出してジョーイの左手薬指に入れる。 ジョーイは左手を掲げて「見て!・・本当の結婚指輪よ!」と、飛び回ってはしゃぐ。 牧師が「花嫁にキスを・・」と言う。 「わーォ、・・人生で最高の日だ」 「本当に嬉しい!」 牧師は4人を見て「本当に、平和だということですね」と独り言を言った。 四人だけの結婚式は終わった。 ジョーイは、部屋の出口で、次に待っているカップルに「幸せはそこにあるわよ!」と声をかけて出て行った。

                      終わり                  平成20年8月 鑑賞

                            

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