漫才ギャング

試  写  会   平成23年2月25日
劇場 公開日   平成23年3月19日

   品川ヒロシの監督第2作目 作品   喧嘩・喧嘩とアクション場面が大盛り。 お笑いと、ちょっぴり恋と友情が
                         絡んだ青春物語。

  【 キャスト 】

 飛 夫  (佐藤 隆太)  売れない漫才コンビ”ブラックストーン”のボケとネタつくり担当。
 隆 平  (上地 雄輔)  半端じゃない喧嘩大好き、ドレッドヘアーで全身に龍の刺青をした超不良の21歳男。
 由美子  (石原さとみ)  飛夫のモトカノ。
  保    (綾部祐二)  漫才コンビ”ブラックストーン”でツッコミ役担当の漫才師。
 城 川  (新井浩文)   隆平と敵対するチンピラ集団”スカルキッズ”の番町代理。
 金 井  (宮川大輔)   下っ端の借金の取立屋。
       (笹野高史)   所轄署の刑事
 河 原  (長原茂樹)   飛夫が憧れた元漫才師であり、借金の取立屋金井の兄貴分。
       (秋山竜次)   赤いシャツを着た、ガンダムオタクでメードカフェに通うおにいさん。

     【ストーリー】

 漫才コンビを結成して10年になるが、そこそこ人気は有るものの、いまいち芽が出ない「よしとも興行」所属の漫才コンビ”ブラックストーン”が今日も舞台で笑いを誘っている。

 一人の男を縄で縛って、不良グループ”スカルキッズ”の男たちが代わる替わる、殴る蹴るを繰り返している。そこに全身に龍の刺青をした男(隆平)が単身でやって来る。隆平は弟分の男の釈放を要求するが、グループを取り仕切っている番町代理の城川は聞き入れず、二人だけの決闘になる。双方が殴る蹴るの戦いの後に、城川はナイフを取り出して隆平の太ももを刺す。そこにパトカーが来てチンピラ達は散り散りになって逃げるが、怪我をしている隆平は逃げ遅れて警官に捕まる。

 舞台を終えて楽屋に帰った飛夫に、ボケ担当の相方保が前触れもなく「解散しよう」と告げる。相方は解散の理由を言わないが、実はギャンブルで使った金の借金が膨らみ、借金取りに追い回されているので、相方の飛夫にまで迷惑を掛けたくないと言うのが主な理由だった。保の本当の解散理由を知らない飛夫は、やけになって大酒を飲み、説得をするために前後不覚で相方の住むアパートを訪ねる。ドアを激しくたたく飛夫に、隣の部屋から顔を出して「隣は留守ですよ。うるさいから辞めてくれます」と女性のような声で文句を言う、赤いシャツを着た太った男が居た。飛夫は酔っ払っていたので、ドアの前の廊下にそのまま寝込んでしまう。
 そこに借金の取立屋の恐いお兄さん金井がやって来る。金井は飛夫が保の漫才コンビの相方だと知って、「お前はコンビなら、相方の借金をオマエが返せ」などと、いちゃもんを付け、「相方に電話をかけろ!」と命令する。電話が通じないのでイラついた金井は、飛夫の口答えが気に入らないといって飛夫を殴り蹴る。酔っ払っていた飛夫は腹を蹴られてゲロを吐き、金井がこれを全身にかぶる。 怒った金井に飛び蹴りにされた飛夫はドアを突き破り、部屋の中まで飛び込んで意識を失った。飛夫は大家からの通報で駆けつけた警官により警察の留置場に入れられる。

 留置場で目を覚ました飛夫は、ドレッドヘアーで全身刺青の男と同室であることに気づき驚く。しかし、この男隆平が、飛夫の問いかけに対して、絶妙の間ですばやく返してくる会話の才能をツッコミに最高だと飛夫は見抜いた。飛夫は隆平に「俺と漫才のコンビを組まないか?」と持ちかける。日々喧嘩に明け暮れていた隆平は、日頃モヤモヤしたものが溜まっていただけに、面白いことをやってみようと思い、すぐに「いいよ」と承知をする。コンビ名は隆平の刺青の龍と、飛夫の飛を合わせて龍飛(ドラゴンフライ)に決まった。「飛ぶ龍はトンボだ、トンボは後ろにはさがらない。いい名前だ」と二人は結成を喜びあう。隆平は飛夫に「ここを出たら俺の仕事場に来い」といって勤め先の場所を教える。
 飛夫はすぐに留置場から出られることにはなったが、警官に「誰でもいいから身元引き受け人が必要だ」と言われて、仕方なくモトカノの由美子に連絡する。
 自分のふがいなさから一方的に別れ話をした飛夫であったが、どちらも別れた後にまだ恋人がいないことを知った二人は、お互いに同棲していた頃のことを思い出しながら手をつないで駅まで歩く。
 途中で、飛夫は「新しい相棒とやろうと思っている」と由美子に話す。由美子は「頑張ってね」と励まして駅で別れる。

 飛夫は秋葉原の隆平の勤務先を訪ねる。訪ねてみるとそこはメードカフェで隆平はそこの店長だった。ちょうどそこに客が来たが、よく観ると飛夫が訪ねた元相方のアパートの隣の部屋に住んでいる赤いシャツを着た男で、ガンダムオタクであった。

 一方の漫才の相方保は、携帯電話に出ることもなく逃げ回っていたが、夜帰宅したところを張り込みをしていた金井に捕まる。借金300万円が返済できるまで住み込みで建設現場で働くことを彼は承諾する。飯場に連れて行かれる途中の車の中で、飛夫がアパートに来ていたことや飛夫が吐いたゲロを金井が冠ったことを聞かされる。彼は自分の一方的な解散要求がその原因であり、自分がすべての責任を取るから内緒にしてくれと言って、ゲロを吐いた慰謝料100万円も自分が払うと約束する。保は次の日からなれない建設現場で働くこととなる。

 飛夫と隆平の二人は、夜の公園での練習に熱が入り隆平は一気に漫才にのめり込んで行く。二人は漫才師の登竜門となっている養成所の舞台に”ドラゴンフライ”のコンビ名で出る。観客の半数以上の人がOを出し、10回これを続ければ舞台に出られると言うことで、二人はこれに挑戦し人気者になる。

 飛夫の借金の取立に金井が飛夫の部屋に来る。隆平は飛夫のために借金をして70万円を使ってくれと言って差し出す。飛夫はそれを使えないと言って返す。後日、金井が再度の取立に来る。取立屋の金井の兄貴分はもと漫才師で、飛夫の憧れの先輩河原であった。由美子が70万円は差し出す。

 公園で飛夫と隆平が漫才の練習をしているところに、不良グループ”スカルキッズ”が遣ってきて隆平にからみ、いちゃもんを付ける。「なんで喧嘩もしないで、こんなことで頑張ってるのかよ」と番町代理の城川が絡んでくる。喧嘩はしない更正しようとしている隆平は隙を見て、逃げようとするが飛夫が彼らに掴まる。隆平は戻って「俺たちにもう拘わらないでくれ」と言って土下座をするが、城川は「土下座したって許さない」と言って殴る蹴るを皆で繰り返す。隆平は抵抗することなく痛みつけられ、二人は全身血まみれになって病院に担ぎ込まれる。 病院に見舞いに来た由美子が飛夫に「おなかに赤ちゃんが居るの」と打ち明ける。飛夫はまだ二人が愛し合っていることを確認する。

 養成所の登竜門コーナーで見事合格した”ドラゴンフライ”は優勝賞金1000万円・全国放送の漫才コンテスト「MANZAI ONE グランプリ」に出場する。これに優勝すればスターへの道が開かれる。二人が舞台に立った日に金井と由美子が見に来る。舞台が終わってからの帰り道で、飛夫は由美子にプロポーズをする。二人は飛夫の部屋で結ばれる。 

  ある夜、公園で赤シャツのガンダムオタクが不良グループに絡まれているところに隆平が通る。それを観た隆平は一人で助けに行って乱闘になる。番町代理の城川はナイフを取り出し、二人だけの決闘になる。馬乗りになった城川が隆平を刺そうとナイフを振り上げたとき、ガンダムのプラモデルを踏み壊されて激高した赤シャツ男が、壊れた模型セットを城川にぶっつけて隆平は助かる。そこにパトカーが来て不良集団は散り散りになって逃げるが、隆平は怪我がひどく逃げ遅れて警官に逮捕される。

 隆平に刑事が「執行猶予取り消しで実刑だな。3ヶ月は出られないだろう」と話す。隆平は面会に来た憧れの元漫才師の河原に「俺は3ヶ月は出られない。俺は漫才を辞めようと思う。飛夫に元の相方とやるようにと伝えてくれ、」と話す。

 飛夫は元相方の保と二人で「お笑い学校」の講師になる。開校式の日、講師を迎える生徒の中に隆平とガンダムオタクの赤シャツがいた。