まめなしの部屋 | |
まめなしとはこんな木 |
*まめなしの名前の由来*
なんじゃもんじゃが移植された木に対し、守山のまめなしはれっきとした自生樹である。まめなしを漢字で書けば、「豆梨」である。梨の仲間であることは一目でわかる。いわゆる梨の原種にあたる。 まめなしの別名は「イヌナシ」である。「イヌ」とは、似たもの、役に立たないものの総称として使われている。身近なところでは、櫛の材料になるつげの木は「ほんつげ」(単につげ)であり、似ているが材料にならないものは「いぬつげ」と称し、守山の丘陵地にも多く見られる。 イヌと名前がついているので、役に立たない梨、つまり食べられない梨ということになります。まさにその通りで、実は1cm内外で渋くてとても食べられたものではない。 |
*見所スポット*
守山のまめなしは、北は風越池、南は大森新池、西は緑地公園本園入口北側、東は尾張旭市霞ケ丘町の南北3Km、東西2.5Kmの範囲に分布している。花の咲く木は約120株を数える。その昔霞ケ丘町を通る東名高速道路施設工事の際には西側に約200本の木があったといわれている(佐藤氏の記述:文献の項参照)ので、恐らく現在は半分以下になってしまったと思われます。 自生樹の環境は、そのほとんどが公園の管理下にあり、保護されていている。他には病院の敷地内や一般家庭の庭先、道端の街路樹の木等、都市開発の波をもろに受けた形で取り残された木がわずかに見られます。 その中で見所の一押しのスポットは、大森御膳洞のヒル池がある公園をお勧めします。わずか百メーター四方の公園で公園名も表示されていません。ここのまめなしは、この地区全体の半数の60本を超えます。今も涌き水が出ており池に流れこんでいます。公園の周りには巨木が多く、その昔は公園のほとんどが池や湿地でなかったかとおもいます。涌き水が減って現在のように池は公園の1/10もありません。ここは遅咲きのものや、実が鈴なりになるもの、若木や古木の違いなどまめなしの観察にはうってつけのスポットです。幼木が移植されたりして、良く手入れがゆき届いています。またなんじゃもんじゃも植栽されています。 第二のスポットは緑地公園本園の竜巻池周辺でしょう。自然に生えた幼木も見られ、湿性植物の観察路として整備されています。 第三のスポットは大森八竜湿地でしょう。まめなしの数は少ないのですが、自然の状態を観察できるところです。守山土木事業所の管理下にあり、定期的に毎月第一日曜日のAM9時30分から観察会が開かれています。ここも湿地性の植物や昆虫の観察には欠かすことのできないスポットです。 他には風越池(釣堀として整備されています)や緑地公園東園の林ノ池周辺は、手ごろな散歩道として散策に適したところです。 |
*花と実*
花は4月。ソメイヨシノが満開を過ぎた頃から咲き始める。遅い木では4月いっぱいまで楽しめます。ソメイヨシノは満開になるとほんのり桃色がかって見えますが、まめなしは緑がかって見え青白く感じます。桜は華やかさ、まめなしはどことなくツンとした冷たさ、良く言えば高貴さが漂います。 若木の花びらは、どちらかといえば流線型で、さびしい感じです。老木の花びらは、丸みを帯びてふくよかな感じです。 実は秋11月に熟して落下します。今はほとんど売られていませんが、「長十郎」そっくりの実がなります。ただし大きさは径0.7〜1.4cmしかなりません。梨の品種のすたりはやりが激しくて長十郎をご存知ない方は,上記のまめなしの実で想像してください。 |
*繁殖方法*
当然実が良く成るので、実を秋に取り播きしておけば、翌春には100%芽を出してくれます。(ビンに砂を入れて少し湿らせ、種子をその中に入れて冷蔵庫で保管し、3月になったら播いても良い) 繁殖には実生で十分です。挿し木も可能です。ただし一工夫が必要です。通常6月の新梢挿しでは成功していません。秋挿しか2月の古枝挿しで成功しています。成功率はよくはありません。 接木は台木をズミ(まめなしと同じように守山にはたくさん生えている。当地は黄実ズミです)に選べば成功率は高い。逆に他の梨類の台木として使えます。 繁殖には実生が手っ取り早いのですが、花が咲くまでに10年かかるのか20年かかるのかわかりません。私のところではまだ6年生です。竜巻池の若木でも知ってから10年近くなるのに、今年も花はつけませんでした。 |