春の青森・秋田への旅(2002年4月19日〜22日)
4月19日(金)〜20日(土)
青森に到着した寝台列車あけぼの号 |
上野21:41発の青森行き「あけぼの」号で出発。久しぶりの寝台列車である。上野駅構内のカレースタンドで、夕食に「黒豚の焙煎カレー」を食べ、キヨスクで缶ビールと乾き物のつまみを買い込み車中へ。列車の席を予約をしたのが遅かったので、B寝台の上段になってしまい、落ち着かない。土曜日の夜行列車ということもあって、けっこう乗客は多いようだ。
ビールを飲んで、午後11頃には横になる。車体の揺れのせいか、こま切れに目が覚め、熟睡はできなかった。翌朝5時30分頃、外が明るくなってきたようなので、寝台席を起き出し、しばらく通路の補助席に座る。場所は象潟付近。車窓には、早朝の穏やかな日本海風景が流れる。久しぶりに旅情を感じていた。
午前7時頃、昨夜乗車前に買っておいた「あなご寿司」を食べ朝食とする。秋田を過ぎたあたりからは、ずっと車窓の景色を眺めていた。天気はよく晴れわたり、暖かそうである。
アウガ地下1階の新鮮市場 |
青森駅には10:19に到着。駅のすぐ近くにある「AUGA(アウガ)」というビルの6〜8階にある青森市民図書館を見学する。仙台市民図書館のような感じで、AVライブラリーやメディアパークなどが付属した近代的な図書館である。各コーナーを一通り歩きまわったが、広々として、フローリング床のきれいな図書館である。
さらに、同じアウガの地下1階の新鮮市場へ。以前あった駅前市場の店舗がそのまま入っているようである。鮮魚店を中心に見てまわる。今はあまり魚介類が豊富な時期ではないようだが、シャコが旬のようで、あちらこちらで売られていた。あとは定番の殻付きホタテなど。鮮魚は買っても持ち歩けないので、乾物屋でイワシの焼き干しを購入する。
青森のシンボル「アスパム」 | 青森湾に残されたかつての青函連絡船 |
三角形にそびえ立つアスパムビル方面へ。アスパム1階のロビーでは、ちょうど津軽三味線の演奏会をやっていて、しばらく立ち聞きする。
アスパムを出て青い海公園へ。久しぶりに青森湾を眺める。冬季以外の時期にここへ来た記憶はない。厳寒の冬とはまったく異なる、穏やかな景色である。
お昼近くになったので、「西むら」という料理屋で、ほたてづくし定食を食べる。小ぶりのホタテが使われていて、刺身、フライ、貝焼き、和え物、煮ホタテなどがセットになっていた。味はまあまあというところ。夜に来て、旬の魚を味わいながら酒を飲んだほうが楽しそうな店だ。
青森駅に戻り、青森12:54発の奥羽本線の鈍行列車に乗り込む。列車は花見客で混雑していて、弘前までずっと立っていた。弘前13:55着。出張で青森へやってくる予定の友人Mと待ち合わせていたので、しばらく駅舎内をブラつく。
午後2時を10分ほどまわった時、M氏が現れる。青森空港からバスで、直接弘前へ来たとのこと。荷物をコインロッカーに預けてから、タクシーで弘前城跡を目指す。追手門前で降ろしてもらい、ちょうど桜満開の弘前城内へ。
今年は桜の開花が早く、ゴールデンウィーク前に満開になってしまったようだ。外堀はソメイヨシノの散った花びらで埋まっている。城内には約5000本の桜の木があるとのことで、たくさんの花見客が訪れていた。なんといっても、この日は天守閣広場のシダレザクラが見事だった。
一本の桜の木の下に空き場所を見つけ、先ほど弘前駅構内の展示販売で買った日本酒「松緑・麗峰大吟醸」の4合瓶を飲みながら花見をする。つまみには、青森駅で買ってきた「南部煎餅」を食べる。天気もよく、絶好の花見日和だった。遠く春霞の中に、麗峰岩木山を望むこともできた。
外堀一面を埋める桜の花びら | 天守閣広場のシダレザクラ |
あまりに見事な桜で、もう少しゆっくりと見ていたかったが、列車の時刻のこともあり、午後4時半頃には弘前城を離れる。帰りもタクシーに乗ったが、途中で渋滞にはまり、弘前駅が近づいたところで降ろしてもらい、駅まで走った。
ギリギリのところで弘前17:09発の秋田行きの鈍行列車に間に合う。陣場17:50着。無人の駅で下車。駅まで日景温泉の送迎ワゴン車が迎えに来ていた。5分ほどで、一軒宿の日景温泉に到着。ここでは、さすがに桜はまだ咲いていない。私は、これで3回目の宿泊。けっこう気に入っている温泉である。
部屋へ案内された後、さっそく温泉へ。総ヒバ造りの湯舟にゆったりと浸かる。泉質は塩化土類含有硫化水素食塩泉。白濁したお湯で、硫黄の匂いがあって、いかにも温泉に浸かっている感じがして気持ちがよい。
ボリュームたっぷりの夕食 | 1階ロビーの薪ストーブ |
風呂から上がって部屋に戻ってくると、夕食の用意がしてあった。料理は、鯉の洗いやコゴミ、きりたんぽなど合わせて10品以上あり、かなりのボリューム。ビールと持ち込みの「じょっぱり」などの日本酒を飲みながら、料理をつまんでいたら腹いっぱいになり、ご飯を食べることはできなかった。
食後は、再び入浴し、1階のロビーでくつろぐ。自分で薪をくべるストーブの前で薪を焚きながら、十和田湖ビールで造っている「秘湯ビール」を飲む。濃醇な味だったが、フレッシュさはなかった。しばらくして部屋へ戻り、12時頃まで、M氏と現代の図書館について語り合っていた。
4月21日(日)
山間の一軒宿・日景温泉の正面入口 |
午前5時半頃に、朝風呂に入る。7時頃に起床して、7時半過ぎに食堂で朝食。昨夜とは異なり、塩シャケ、海苔、梅干などの質素な食事。昨夜の宿泊客がけっこう多かった(20組ぐらいか)ことが、この食堂ではじめてわかった。
午前9時半頃、再び送迎車で陣場の駅まで送ってもらう。陣場9:54発の列車で弘前へ。弘前からは奥羽本線も五能線の列車もしばらくないので、弘前駅前から五所川原行きのバスに乗ることにする。
弘前10:46発で、お昼頃に五所川原駅前に着いた。途中、バスの窓からの景色、岩木山を背景に広がる一面の林檎畑は美しかった。
津軽鉄道「走れメロス号」 |
冬のストーブ列車で知られる津軽鉄道の津軽五所川原駅へ。昔懐かしい駅舎である。津軽五所川原12:25発。たった一両のジーゼルカーは、荒涼とした津軽平野をほぼ一直線に進んで行く。金木12:46着。金木駅もまた寂しいところ。とりあえず、太宰治記念館である斜陽館を目指して歩き始めたが、ほとんど町の人に会うこともなく、ますます寂しさがつのる。
斜陽館の道路を隔てた向かいに観光物産館があったので入ってみると、思いがけず人がいっぱい。ここは道の駅になっているので、観光客はみな自家用車でこの町に来ているらしい。
お昼もだいぶ過ぎていたので、物産館内の食堂で昼食をとることにする。私は、リンゴカレーと十三湖のしじみ汁を食べる。ごく一般的なカレーとしじみ汁だった。同行のM氏は、太宰ラーメンという怪しげなものを食べていたが、普通のラーメンに具材として青森名産のネマガリダケが加わっているものだった。
食後は、太宰治の斜陽館へ。平成10年に金木町立太宰治記念館として開館するまでは、旅館として使われていただけあって、入母屋造りの立派な木造建築である。もともとは、明治時代に大地主であった、太宰の父が建てた豪邸だったという。今は、太宰治ゆかりの品々や写真が展示された部屋があるが、建物の中を見てまわるだけでも興味深い。
時間があれば、芦野公園の桜を見に行きたかったが、無理と判断し、再び金木駅まで歩いて戻る。列車の待ち時間がけっこうあったので、駅の待合室で缶ビールを飲んだりして時を過ごす。また金木駅には、廃車になった古い車輌に、タレントの香取慎吾と子供たちが絵を描いたものがそのまま展示されていて、全国から若いファンが見学に訪れるらしい。
金木15:19発、津軽五所川原15:42着。五能線に乗り換え、JR五所川原16:07発、川部16:45着。奥羽本線に乗り換え、川部17:24発、青森18:02着。駅でM氏と別れ、それぞれの宿泊ホテルへ。私は、駅から数分の青森グリーンホテルにチェックイン。
荷物を置いて、夜の青森の街へ。M氏と再会し、飲食処を探して歩きまわる。日曜日のため、営業している店が極端に少ない。30分以上歩きまわって、これという店が見つからなかったので、駅近くの「じょんがら亭」という居酒屋へ。茹でシャコ、イカソーメン、イワシ焼き、アンコウとも合えなどを食べ、青森の地酒「菊駒」、「喜久泉」、「福牡丹」などを飲む。
2軒目は、やはり駅近くの寿司屋へ。日曜日で寿司ネタの種類や鮮度はイマイチだったが、地酒「田酒」を飲みながら、けっこうニギリを食べたような気がする。
かなりの泥酔状態でホテルへ帰る。
4月22日(月)
前日の酒がけっこう身体に残っていたが、朝8時半頃にホテルをチェックアウト。青森駅で切符を買ってから、アウガ地下の新鮮市場へ。「丸青食堂」という店で、銀だら定食を食べて朝食とする。焼いた銀だらは、脂が乗っていておいしい。焼き干しを使用したと思われる味噌汁もおいしかった。
青森9:52発の特急かもしか号に乗車。秋田12:34着。新幹線こまち号に乗り換え、秋田12:45発、角館13:33着。車中で秋田の駅弁「鶏めし」を食べる。
ほとんど散っていた武家屋敷の桜 | 桧木内川沿いの桜のトンネル |
久しぶりに角館の町を散策する。ちょうど桜まつりの開催中で、平日にもかかわらず、かなりの人出。少し風は強いが、空は青く晴れわたっていて暖かい。武家屋敷地区のシダレサクラはすでにほとんど散っていて、新緑の葉がかなり出はじめていた。
桧木内川沿いのソメイヨシノの桜並木も、花が散り始めていたが、ほぼ満開の状態で見事。しばらく、桜のトンネルの歩きながら、花見を楽しんでいた。桜まつりということで、たくさんの屋台が出ていたが、特に何も買ったり、食べたりはしなかった。
駅へ戻る途中、武家屋敷地区の「唐土庵」で落雁風の菓子を、別の和菓子屋で「なると餅」をお土産として買ってきた。
角館駅から、午後3時頃の新幹線こまち号に乗車し、大宮経由で自宅に帰る。
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