奈良への旅(平成12年11月10日〜11日)

 11月10日(金)

 東京6:31発、新幹線ひかりで出発。天候はずっとはっきりとしない空模様。車中では眠くてウトウトしていた。京都には9:20頃に到着。京都で近鉄急行に乗り換え、10時半頃ようやく奈良へ着いた。今晩の大阪の宿を電話で予約してから、さっそく正倉院展の開催されている奈良国立博物館へ。奈良もしっとりと小雨が降っていて寒い。

 例年混雑している正倉院展だが、今年は平日の午前中に訪れたせいか、わりと空いている感じだった。今回の正倉院展は、美術的価値の高いものはそれほど多くはなく、歴史的価値に重点が置かれた展示内容だった。楽器、武具、装飾品、三彩陶器、服飾品、仏具など、これまでになく地味な展示品が多かった。その中では、螺鈿紫檀琵琶と青斑石鼈合子が注目品だったように思う。

奈良国立博物館本館 正倉院展会場の別館

 正倉院展を見終わり、本館への地下通路を通って、常設展を見に行く。常設展のほうは、人もまばらでガラガラ。中国、ガンダーラから日本の各時代まで、国宝、重文級の仏像が揃っている。期間限定で展示されている唐招提寺の薬師如来立像、元興寺の薬師如来立像、僧形八幡神像ら三像など、なかなか見ごたえのある仏像もあって、また時間のあるときに、あらためてゆっくりと鑑賞したいと思った。
 奈良国立博物館を出て、昼食をとるため、奈良市街へ戻る。小西町の釜飯屋「志津香」へ。「奈良七種釜めし」を食べる。海老や穴子など素材の旨みを生かした塩味がとてもよい。最後に食べるおこげの味もなかなか。ボリュームも十分だった。
 再び奈良公園方面へ戻り、東大寺大仏殿の裏へ。けっこう黄色く色づいたイチョウの木もある。正倉院の校倉造りを見学する。

東大寺大仏殿裏の紅葉 東大寺大仏殿裏の銀杏 戒壇院付近の土壁

 そのまま戒壇院方面を散策し、吉城園という庭園へ。元は興福寺の子院、摩尼珠院にあったといわれているが、現在は奈良県の所有とのこと。季節の花や紅葉がきれいなところらしいが、このときは花もほとんど咲いていないし、紅葉にもまだ早かった。園内は思っていたより広く、池の庭、苔の庭、茶花の庭などに分かれている。訪れる人も少なく、静かで落ち着いた、ちょっと穴場の観光スポットである。

吉城園内の池の庭と苔の庭

 近鉄奈良駅へ戻り、難波行きの急行に乗る。寝不足と歩き疲れで、眠り込んでしまった。難波で地下鉄御堂筋線に乗り換え、梅田へ。例年どおり、ビジネスホテル「ホテル喜多八」へチェック・イン。
 少し休んでから、夜の大阪の街へ繰り出す。再び地下鉄御堂筋線で、心斎橋へ。ミナミの街をしばらく歩き回る。入ろうと思ったおでん屋「たこ梅」が休みだったので、昨年も立ち寄った銘酒居酒屋「山三」へ。キリンで造っているボック・ビール「神戸ビール」を最初に飲んでから、日本酒を飲む。「千代・篠峯、本醸造」、「鷹長、純米吟醸」、「菊司、大吟醸」と奈良の酒を味わう。いずれもアルコール度数が高く、 濃醇な味わいでよかった。酒の肴には、名物の「いぶしうなぎ」と「太刀魚の刺身」、他におでんを何種かつまむ。後から来て隣に座ったお客と酒談議を交わし、さらに石川の「谷泉」も飲んでしまう。彼は桃山学院大学の教授で、やはりかなりの日本酒つう。大阪ではこの店が一番よいと語っていた。家族経営の小さな店だが、日本酒の品揃えは本当にすばらしい居酒屋である。
 二軒目は、梅田へ戻り、ベルギービールの店「PisーBar」へ。最近は関西地区にもベルギービールを置く店が増えてきているようだ。ヒューガルデン・ブロンシュとカンティヨン・グーズを飲む。つまみにフリッツを注文したら、皮付き大切りのフライド・ポテトだった。駅に隣接した新梅田食堂街2階にあるので、今後も立ち寄りやすい店である。
 最後の仕上げにホテル近くの「丸万寿司」でにぎり寿司をつまんでから、12時過ぎにホテルへ帰る。
11月11日(土)

 午前9時少し前にホテルをチェック・アウト。大阪駅の飲食街にあるうどん屋で、290円のきつねうどんを食べて朝食とする。この日も梅田から難波へ出て、近鉄奈良へ。コインロッカーに荷物を預けてから、奈良市写真美術館を目指して歩き始める。やはり曇っていてはだ寒い。
 奈良市写真美術館では、入江泰吉の企画展「やまと余情」が開催されていた。ここへ来るのも3回目だが、入江の撮った奈良の写真を見ていると心が落ち着く。ビデオルームでは、入江の生涯や作品を紹介したビデオも上映していたので、しばらく見ていた。この写真美術館には、写真家・入江泰吉のほとんどの作品がネガとともに所蔵されているという。
興福寺五重塔

 奈良町界隈を散策。このあたりは昔の町並みが残っていて風情がある。古い建物を利用して、民芸品や土産物を売っている店もいくつかある。土産は買わなかったが、八木酒造の蔵元で、地酒「升平」を2本購入する。柿の葉寿司の老舗「平宗」で、サバとサケの柿の葉寿司の折り詰めを買って、猿沢池のほとりで食べる。酢の〆具合がよく、おいしかった。

奈良写真美術館 「升平」の八木酒造 奈良県立美術館

 その後は、寒いのと疲れているのとで、あまり歩く気分がせず、奈良県立図書館へ行って本を見たりして休む。閲覧席が予約制だったのを知らずに、しばらく空いているところへ座ってしまった。
 図書館のすぐ前にある奈良県立美術館へ。ちょうど11月11日から、奈良県出身の陶芸家「富本憲吉展」をやっていたので、入ってみる。館内はガラガラで、ゆっくりと生涯にわたる作品群を鑑賞することができた。白磁と後期の色絵が非常に美しくてよかった。書画の類いの展示品もけっこうあって、今まで知らなかった側面を知り、勉強になった。
 そろそろ日も暮れてきたので、奈良を離れることにする。近鉄奈良から京都へ。京都駅ビルの伊勢丹地下は、すごい人ごみ。ゆっくりと品物を選ぶこともできない。結局、三条若狭屋の「ちご餅」、河道屋の「蕎麦ぼうる」など和菓子と周山街道ビール、宇治のバスビービールといった地ビールを買った。
 京都駅ポルタ地下街の「KYK」で、夕食に「かきフライとヘレカツ」を食べてから、新幹線ホームへ。18:17発のこだまに乗り、名古屋でひかりに乗り換えて帰ってきた。ひかりはかろうじて座れたので助かった。

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