信州の蕎麦を味わう旅(2000年3月27日〜28日)
3月27日(月)
高尾駅に午前6時に集合。ワイン部長と信州の蕎麦を味わう旅に出かける。高尾6:15発の松本行の列車にいつものとおり乗り
込む。天候はほとんど快晴。車窓からの山々の景色も澄み切っていて美しい。岡谷9:04着。快速みすずに乗り換え、岡谷9;07に発車。
春休みのためか、松本までとても混雑した。松本で多くの乗客が降りて、ようやく着席できた。松本周辺では前日小雪が舞ったのか、
ほのかな残雪があったが、山間に入り姨捨手前のトンネルを抜けると、一面真っ白だった。いつも眺めのよい姨捨からの眺望も、雪景色で、
いつもにも増して美しかった。
長野10:39着。 駅前のバスターミナルで、戸隠行きのバスの時刻を確認する。11:38発の戸隠スキー場行のバスがあった。しばらく待ち時間があったので、
11時に開店した駅前の蕎麦屋「油や」へ入る。蕎麦屋といっても専門店ではなく、夜の居酒屋メニューもある。とりあえず「もりそば」
(600円)を注文する。運ばれてきたソバは信州としては標準の可もなく不可もなくといった味だった。朝食を食べていなかったので、
小腹を満たすにはちょうどよかった。店を出てから、公衆電話で、今晩の宿、保科温泉の国民宿舎「永保荘」を予約する。月曜日ということで、
やはり空いていた。
駅前のバス停から、戸隠スキー場行のバスに乗る。
善光寺の裏から険しい山道を登るルート。上がっていくにつれて、積雪が増していく。飯綱高原のあたりまで行くとさすがにスキー場らしく、
かなりの積雪である。バスはさらに戸隠高原へと上っていき、約1時間かかってようやく戸隠へ。中社大門のバス停で下車する。日差しが暖かく
射していてよいが、道路の両脇は1メートル以上の雪の壁である。まずは、戸隠中社のすぐ近くにある蕎麦屋「うずら屋」へ。2階のテーブル席
に通される。始めに、付け出しの野沢菜や、菊姫大吟醸の酒粕を使った「吟醸わさび漬」(300円)をつまみに日本酒を飲む。日本酒は、
大信州酒造で造っている特別本醸造「信濃薫水」の冷酒。1杯350円という値段ながら、ほのかな吟醸香がして、すっきりと飲みやすい酒だった。
メインの「ざるそば」(800円)は、比較的細うちで、香りもコシもあってとてもおいしかった。
戸隠2軒目の蕎麦屋は、やはり中社近くの「しなの屋」へ。
大衆食堂のような飾り気のない店である。2階の座敷には客がいるようだったが、1階はストーブも消えていて閑散としていた。中へ入ると、
中年のご主人が一人で切り盛りしていた。「ざるそば」(700円)を注文する。付け出しには味の素のかかった野沢菜とそばの揚げ団子が出る。
中身が「そばがき」のようにふんわりとした揚げ団子はおいしかった。「ざるそば」も風味がよくておいしいソバだった。
他にも入ってみたい蕎麦屋が多数あったが、今回は2軒で止めてく。その後は、中社付近や戸隠山の写真を撮ったりして時を過ごす。
また、 バス通り沿いに2軒ある竹細工屋をのぞく。井上竹細工店で、根曲がりだけの編み笊を一つ購入する。この戸隠の編み笊は、今や作る人も少なくなった、
すばらしい伝統工芸品である。
再び中社大門のバス停から14:27発のバスで、長野市内に戻る。長野駅のバスターミナルへは午後3時半ごろに到着した。
駅前の東急百貨店の地下で、今晩の宴会用に地ビール、惣菜などを購入。16:10発、保科温泉行のバスを待つ。
保科温泉までの道のりは、バスがあちこちを経由していくので、とても遠かった。
その上、交通渋滞などもあって、1時間以上かかってしまった。終点の保科温泉まで乗っていたのは、われわれ二人だけだった。午後5時半ごろに国民宿舎「永保荘」
にチェックイン。1階の部屋に案内された後、夕食前に一風呂浴びる。浴室はけっこう広いが、入浴客はあまりいなかった。お湯の泉質は、かすかに茶色に濁っているが、
ほとんど無味無臭でクセがない。上水道工事の調査がきっかけで、偶然見つかった温泉だそうである。
入浴後は、午後6時から、食堂で夕食。国民宿舎の食事なので、
量もそれほど多くなく、味もそれなりのものである。食堂での様子からすると、宿泊客はわれわれを含めて5組程度のようである。食後は、部屋に戻って宴会。日本酒、
地ビールなどを、買ってきた惣菜をつまみながら、飲んでいた。
3月28日(火)
朝5時半ごろ、朝風呂に入りに行く。夜間から朝にかけては、昨日とは異なる
宿泊客専用の浴場のほうを使うことになっている。こちらの浴室のほうが、新しくてきれいである。温まってから、再び寝床で一眠りする。朝食が7時半なので、
起きて食堂へ。朝食は、生玉子に味付け海苔、その他少々といたってシンプルである。部屋に戻って、出発時刻までテレビを見たりして過ごす。
9時ごろにフロント で清算を済ませて出発。保科温泉9:25発のバスに乗る。車内はしだいに混雑してきて、立っている人でいっぱいになった。長野駅東口のバス停で下車。蕎麦屋の
午前11時の開店時間にあわせて、ぶらぶらと善光寺方面へと歩き出す。
善光寺に参拝した後、この日1軒目の蕎麦屋「小菅亭」へ。創業が明治28年
という老舗である。中へ入ると、若干のテーブル席と広い座敷が奥へと続いている。座敷のほうへ上がる。いかにも昔からある蕎麦屋という雰囲気で、落ち着くことができる。
「大もり」(700円)を注文。運ばれてきたソバは、けっして悪くはないが、期待したほどの味ではなかった。信州のソバとしては標準である。ソバを食べ終わると、
「そば羊羹」が運ばれてきた。このサービスはよいのだが、その後にコーヒーまで出すのはいかがだろうか。地元の人たちには好評なのかもしれないが。
2軒目の蕎麦屋は、「今村そば本店」か「元屋」へと思ったが、あいにくどちらの店も休みだった。長野駅方面に戻り、長らく訪れていなかった「柏屋」のソバを食べることにする。
座席に腰を下ろして、まず長野の酒「天法」を一杯飲む。まさかここで天法を飲むことができるとは思わなかった。つまみに「鳥わさ」(550円)と「にしんの甘露煮」(550円)
を注文して、じっくりと銘酒を味わう。メインのソバは、以前に比べて細打ちになった感じで、喉ごしよくおいしかった。
天候がしだいに悪くなって、ぽつりぽつりと雨が降り出した。長野13:15発の列車で松本へ。乗り換えて、松本14:28発の列車に乗車。雨はしだいに本格的に降りだしたので、
途中どこにも寄らずにまっすぐ帰ってきた。高尾に着いたのは、午後6時ごろだった。
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