冬の旬を味わう旅 2001

12月28日(金)

福島市内の蕎麦処「柚邑」

 上野7:00発の列車に乗る予定だったが、朝寝坊をしてしまい、7:36発の東北本線、宇都宮行きに乗車することになる。その上、事故で列車の入線が遅れ、結局7時40分過ぎに上野を出発する。
 出発前に、上野駅の立ち食い蕎麦屋「喜多」でイカ天そばを、車中ではオニギリなどを食べ、朝食とする。冬型の天候で、関東平野は快晴、遠く雪をいただく那須連山には雲がかかっている。
 宇都宮9:21着、わずかな乗り継ぎ時間で、9:22発の列車に乗車。黒磯10:11着、再び乗り換え、10:27発。白河あたりからは、車窓から見る田畑の所々に積雪があった。郡山11:31着、11:38発。福島には12:25に到着した。
 福島の街中へ。冷たい風が強く吹いていて寒い。天気も曇りがちである。蕎麦処「柚邑」で昼食とする。ちょうど昼時で、地元のサラリーマンたちでほぼ満員。かろうじてカウンター席の一番端に座ることができた。今回も「三種味くらべ」を注文。「更科」、「藪」、「笙幻」という3種類の十割ソバを堪能する。

 富士銀行で路用の金銭を少し引き出してから、福島駅の観光案内所へ。みちのく福島路ビールの「セントヒルズ・ラーツケラー」の場所と行き方を尋ねる。バスはあまり本数がなく、出発したばかり。タクシーでは4000円ほどかかるとのことで、今回は断念した。
 福島駅ビル内を少しブラついてから、福島14:19発の列車に乗車。二本松14:42着。

二本松駅ホーム 二本松市立図書館

 初めて、二本松の駅で下車。駅前と県道沿いに少し商店街はあるものの、思っていたほどの繁華街はなかった。駅から5分ほど歩いたところに市立の歴史資料館と図書館があったので、図書館のほうへ入ってみる。あまり広くない、こじんまりとした図書館だった。歴史資料館は、列車の時刻の都合もあって、入らなかった。
 二本松15:24発、郡山15:49着。磐越西線に乗り換え、郡山16:05発。磐越西線の車窓は、磐梯熱海あたりからずっと雪景色。猪苗代あたりでは、雪が降り出し、積雪も多かった。会津若松17:18着。すでに日も暮れていた。

会津若松の居酒屋「なごみ」

 駅近くのホテル・アルファ・ワンに、予約なしでチェックイン。荷物を置いて、すぐに夜の会津の街へ繰り出す。会津若松市街は、除雪が施されているので、さほど歩きにくくはなかった。
 まず、蕎麦処「桐屋」へ行ってみたが、改築のため、建物がなくなっていた。支店の「夢味亭」は営業しているようだが、歩いて行くには遠いので、行かなかった。
 雪が舞い始めて、身体が冷えてきたので、付近の居酒屋「なごみ」という店に入ってみる。間口は狭いが、奥に座敷が2か所あって、けっこう客が入れそう。一人なので、入り口近くの調理場前のカウンター席へ。エビスビール樽生、「天明・純米無ろ過」、「萬代芳・山廃純米吟醸」などを飲み、若どりとカシラの焼鳥、スナギモ唐揚げ、桜刺しなどを食べる。
 お酒も料理もまあまあおいしかった。

今年も銘酒処「盃爛処」へ

 2軒目は、例年どおり「盃爛処」へ。店内は相変わらず混雑していて、繁盛している。マスターと1年ぶりの再開。忙しい合間に酒談義をする。「十四代」や「雪中梅」などいつも入手できるので、恵まれているとのこと。隣に座っていた地元客ともしばらく話をした。1軒目の店でけっこう飲んでいたので、「十四代・雄町純米吟醸」、「国権・大吟醸」など計3種類の日本酒を飲んで、酔っ払ってしまった。
 ここで帰ればよかったのだが、3軒目にまた「広東飯店」に寄ってしまい、ビールとネギ付き自家製チャーシュー、ラーメン(細麺)を食べてしまう。どうも会津若松では、飲み過ぎてしまう。泥酔状態でホテルへ帰る。

12月29日(土)

雪の新津駅ホーム

 二日酔いで体調は最悪だったが、朝は6時30分頃にホテルをチェックアウト。食欲もなかったが、会津若松駅の立ち食い蕎麦屋で「とろろそば」を食べて朝食とする。会津若松6:55発の磐越西線に乗車。
 天気は上々で、車窓から眺める、新雪の降り積もった山々の雪景色は美しかったのだが、体調不良でほとんど楽しめず、ボックスシートで横になって寝ていた。
 新津9:25着。新津駅は改築工事中で、臨時の駅舎になっていた。長岡方面の乗り換え時刻まで1時間ほどあったので、駅前から続く商店街を散策する。相変わらず、索漠としていて活気がない。所々路面が凍結していて危ないので、すぐに駅へ戻り、待合室で時を過ごす。

 新津10:24発の信越本線に乗車。長岡11:28着。改札を出て、長岡駅ビルのセゾンに入っている蕎麦処「小嶋屋」で昼食。「天ざる大盛り」を食べる。ソバは新潟特有のフノリを使ったへぎそばで、蕎麦の香りはないが、しっかりとしたコシとなめらかな食感が特徴。
 長岡12:03発の列車に乗車。直江津13:28着、北陸本線に乗り換え、13:33発。列車は、日本海沿岸を西へと進む。空は青く晴れ渡り、冬の日本海とは思えない穏やかな景色が車窓に流れる。

近江町市場で売られていたカニ

 富山15:22着、乗り換えて15:31発。金沢へは16:34に到着する。駅から金沢シティ・ホテルへ電話をして、今晩の宿泊を予約。歩いてホテルへ向かう。今年も金沢には、積雪はまったくなかった。
 ホテルへ到着後、すぐに夜の金沢の街へ。いつものように、近江町市場の島田水産で、コウバコガニを買って、自宅へ送る。毎年来ているので、店の人たちも憶えていてくれて、大きなカニを選ばせてもらった。さらに、大和デパートの地下で、中田屋の福梅「花びら草子」や四十萬屋の「かぶらずし」などを購入する。

「寺喜屋」で食べたカニと刺身 おでん屋「よし坊」

 夕食は、今年も「寺喜屋」へ。カウンター席に座り、ブリ、甘エビ、タラのタラコまぜなどの刺身盛り合わせ、コウバコガニ、タラの白子酢、ブリ大根煮などを食べ、「萬歳楽・拾弐号・純米吟醸」を飲む。年末でお客も多く、相変わらずオバさんたちが元気に立ち働いている。カウンター前の手づくりの惣菜類は、ほとんどなくなっていて残念だったが、ピンク色に輝く白子は、クリーミーで絶品だった。
 片町の飲み屋街をブラついてから、2軒目は、おでん屋「よし坊」へ。名物のカニ面ほか、餅きんちゃく、じゃがいも、生ゆば、肉だんごなどのオデンを食べ、「常きげん・山廃吟醸」、「手取川・大吟醸」などを飲む。この店のオデンは、どれを食べても本当においしい。
 体調が万全ではなかったので、この日は以上2軒で、早めにホテルへ帰った。

12月30日(日)

 ホテルを午前7時頃にチェック・アウト。天候は昨日とは一変して、暴風が吹き荒れ、時おり霰が降るといった、冬の金沢らしい天気。夜中には、雷鳴も轟いていた。金沢駅まで歩くのにも難儀する、強い風と霰だった。
 金沢7:46発の北陸本線に乗車。車中で、駅構内のジャーマン・ベーカリーで買ったサンドイッチなどパンを食べる。富山8:45着。乗り継ぎ列車の待ち合わせ時間があったので、改札の外へ出る。駅舎内の立ち食い蕎麦屋「立山そば」で、きつねそばを食べる。太めの麺と出し汁がおいしく、立ち食いソバとしてはなかなか。「立山」の名前入りの蒲鉾も入っている。また、鱒寿司で有名な「源」の売店で、昼食用に、マス、アナゴ、タイの三角寿司を購入、長野までの車中で食べた。

雪の舞う長野の街角

 富山9:38発。冬らしい鉛色の空と日本海の車窓を眺めながら、新潟方面へ。直江津11:26着、信越本線の快速に乗り換えて、11:44発が10分ほど遅れて出発。
 妙高高原、黒姫が近づくにつれて、雪が激しく降り、積雪も多くなった。黒姫で下車するつもりだったが、天候が悪くて、とても歩けそうにないのでやめた。長野13:08着が、5分ほど遅れて到着。
 長野市内も雪が舞っている。駅近くの蕎麦屋「柏屋」で、「大もり」を食べて昼食。ここのソバも香り高くておいしい。駅前の公衆電話から、今晩の宿を田沢温泉に予約した。今晩飲む酒も、東急百貨店で購入。

 長野14:17発のしなの鉄道に乗り込む。上田14:57着。青木方面行きのバス停へ行くと、14:53発で行ったばかり思ったとたん、遅れていたバスが到着した。2年続けて同じパターンで、何ともありがたい。青木バスターミナルまで30分あまり、あとは田沢温泉まで歩いた。昨年の沓掛温泉ほどではなかったが、やはり30分あまりかかり、けっこう遠かった。しかも、だらだらと上り坂が続く。

青木村風景 田沢温泉「たまりや旅館」正門

 田沢温泉の「たまりや旅館」には、午後4時過ぎに到着。10年ぐらい前に一度泊まっているはずだが、改装された部分もあって、あまり思い出せない。それほど広くない、一人で泊まるにはちょうどよい部屋に案内された。
 まず、風呂へ入浴する。泉質は単純硫黄泉。無色透明で、ほどよい硫黄臭のする、なめらかなお湯。源泉が36℃ぐらいで、加熱しているが、それでもぬるめの温泉だ。長い時間、湯舟につかっていなくてはならないが、湯上り後はかなりポカポカと身体が温まっている。

 午後6時頃、部屋で夕食。イノブタ鍋、エリンギ、マイタケなど茸のフライ、茸のグラタンパイ包みなどで、やたらにキノコが入った料理が多かった。
 夕食後は、再度風呂に入り、入浴後は、持参した日本酒「大信州・仕込み六号・吟醸おりがらみ生」を飲みながら、テレビを見ていた。大信州は、生酒らしいフレッシュ感があっておいしかった。

12月31日(月)

雪景色の「たまりや旅館」の中庭 こじんまりとした田沢温泉街

 午前7時前に起きて、朝風呂へ。夜中に雪が降ったようで、中庭はうっすらと白くなっている。朝の冷え込みが厳しく、風呂場までの通路が寒い。お湯も、相変わらずぬるくて、なかなか湯舟から上がれなかった。
 8時頃に、食堂で朝食。病院で使うようなプラスチックの配膳板に、各種料理が載せられているのが寂しい。海苔、入り玉子、甘露煮など定番の食事。宿泊客は、私の他には、中年夫婦一組だった。
 午前9時頃に、旅館を出発。歩いて青木のバスターミナルへ。青木9:40発のバスがあるはずだったが、年末年始の時刻変更で運休になっていた。次は10:30までなく、寒い中、じっと待つのもつらいので、タクシーで上田まで行くことにする。4000円近くかかり、予定外の出費になってしまった。

長野の蕎麦屋「藤の家」

 上田10:15発のしなの鉄道の列車に乗車。長野10:59着。歩いて善光寺方面へ。門前の蕎麦屋「元屋」で、年越しソバを食べる。ソバだけでは物足らず、「そば定食」を注文。香り高いソバとともに、評判のおいしいヒレカツも味わう。
 お腹にまだ余裕があったので、もう1軒、初めて入る「藤の家」という蕎麦屋へ。「大もり」を食べる。大きな笊に盛られた細打ちのソバは、みずみずしく、風味もあってなかなかおいしかった。それほど広くない小さな店だが、また訪れてみたい蕎麦屋だ。
 食事後は、長野駅構内などで土産を買い、長野14:30発の新幹線で帰ってきた。

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