UMA−Mystery Reportage

 

第三部・そして彼らは湖に現れる


何故、UMAは陸上より、水棲のものの方が多いのか?

それは、陸上に比べて水中のほうが、人の目が届きにくい。滅んだと思っていても確認された生物、などもシーラカンスをはじめ水生生物が多い、この広い大海原のどこか、深い海の中のどこかに、未確認の生物がいる確立は、陸上よりもはるかに多いからさ。

などと思ってはいけない。

確かに海は広いな大きいなである。宇宙と並び人類に残された最後のフロンティアの一つである、深い海の底には、人類がまだ見つけていない、巨大生物がいるかもしれない。いる確率は、この陸上よりは確かに高いであろう。

そう、ならば・・・・・・・・・・

だが、よく考えてみてほしい。水棲UMAはなぜかその殆どが、に現れるのである。

広大な海洋ではなく、よりによって湖にである・・・・・・・・

湖となるとこれはいけない。世界一広いカスピ海でさえ、海の広大さに比べればちんけなものである。下手をすると、大森林より狭かったりする。そんな狭い湖に、巨大生物が、捕獲も去れず、物的証拠も残さず、数百万年生きているという可能性があるだろうか?

残念ながら限りなく0に近い。大海原ならまだ可能性があるのに、何故わざわざ自らの存在の可能性を低くするような所に好き好んで現れるのだろうか?

素直に大海原に現れればいいものを・・・・・・・・・・・

此処で、UMAが現れる湖を思い出してほしい。

ネス湖ハイグランドの北の果てに位置する。池田湖は、鹿児島、つまり、二本の南端であり、屈斜路湖は、北海道、つまり日本の北の果てである。そう、前にも述べたようにみな辺鄙なところである。シャンプレーン湖なども辺鄙なところだという。

前にも書いたが、何故、琵琶湖や、諏訪湖、カスピ海、五大湖、レマン湖など有名な湖に現れないのだろうか?

ここで、上にあげた湖が何故有名なのかを考えてほしい。

琵琶湖は日本一広い湖、カスピ海は世界一広い湖、諏訪湖や、レマン湖はその美しい景観で知られており、五大湖は、いまだに水運などに利用されている。そう、有名な湖は、タイトルホルダーだったり、保養地だったり、水運などで人様の役に立ったりしているものなのである。

では、ネス湖、池田湖、シャンプレーン湖などはどうか?

残念ながら、何のタイトルホルダーでもない。景観も月並みだし、水運などで人様の役に立っているわけではない。そう、これらの湖はいわゆる月並みの湖なのである。これらの湖が有名になったのは、ひとえにUMAのおかげなのである。そしてこれがポイントなのである。

人間に当てはめて考えてみよう。

何らかの記録を作った人、何らかの発明発見などをして、人類の役に立つ事をした人たちは世界にその名をとどろかせる。

しかし、そうして有名になるのはごく一部で、その他の人は、いわゆる平凡な人間のまま一生を追える。しかし、その中のごく一部の人が、何の努力もせず有名になろうと目論み、アッチの世界に行ってしまう。(これは、このHPを支える主要なテーマのひとつでもある)

UMAもこれと同じである。

月並みな湖が有名になるにはどうしたらよいか?

タイトルホルダーにするか?不可能である、もしやろうとしても、気の遠くなるような土木工事と、天文学的な金が必要となる。

景観を美しくするか?これも難しい。景観の美しさは、周りの地理条件が大きくかかわってくるからである。

では、水運などで人様の役に立つか?自動車などの発達した現在では、五大湖のような湖でもない限り不可能である。

では、どうすれば有名に出来るのか?湖自体をアッチの世界に行かせてしまえば良いのである。人間と同じように。

ここで注意してほしいのは、湖をアッチの世界に行かせるのは、湖自身の意思ではなく、その近所に住んでいる人間たちということである。

自分の近所の湖を有名にしたい。地元の人間だったら誰もが思うことであろう。しかし、有名にするにも、売り込むものが何も無い。そこで現れるのがUMAということである。

「この湖で、なぞの生物を目撃した。」などといって、怪しげな写真を出す。さらに、「この湖には、昔から巨大生物の伝承が・・・・・・・」などといえばよいのである。

するとその湖は有名になり、自分が第一発見者になってやろうとする人たちがやってくるようになる。

さらに彼らのような人々の存在が、UMA湖出現に貢献している。何だか謎の生物を発見して名を挙げたい。有名になりたいという根性が強い人間なら、誰もが思うことである。第一発見者になれば、自分の名前がその生物にかも知れず、未来永劫名前を残す事だって夢ではない

でも、謎の生物の目撃ポイントが海だったらどうなるか?

「屋久島沖、南西に1200キロの地点で謎の生物を目撃した。」

こんな証言だったらどうなるか、発見しに行くのに、遠洋航行可能な船をまず用意せねばならず、さらに探す地域は、気の遠くなるぐらい広い範囲である。

「丸々湾で、謎の生物が目撃された。」

これなら、前者より楽かもしれないが、湾は必ず広大な大海原につながっているのである。ひょっとしたら、単にその謎の生物が、湾に迷い込んだだけかもしれないし、やはり湾と言っても、広いものである。探すには、やはりそれ相応の大きさの船を用意しなければならない。

そして陸上でもそうである。

ヒマラヤの雪男。

探そうと思ったら、登山の経験が要る。これはかなりきつい。さらに雪男のシーズンの冬などといったら命の危険すらある。その他の秘境でも探そうと思ったらサバイバル術が必要になってくる。

しかし湖は違う。

そう、たいてい岸から、ほぼ全てを見渡すことが出来るのである。船も必要ないし、万が一必要としても、せいぜい貸しボートぐらいあればいい、登山の知識も、サバイバル術も必要ない。さらに探す範囲は、狭い湖の中だけである。

そう、探すほうにとっても非常にお手軽なのである。

湖を有名にしたい地元と、お手軽に、謎の生物探しを楽しみたい観光客、両者の利害が見事に一致するのである。

もうお分かりだろう。

UMAが現れる理由、それはずばり、

観光資源化

のためなのである。

 

おしまい