裏木戸通信 110号
ネコ型ロボット
私も好きでした、この漫画
あれに出てくる夢のある秘密道具の数々。
どこでもドアなんかあったら、渋滞知らず、通勤ラッシュ知らず、朝だってゆっくり眠っていられる。
タケコプター。スピードこそのろい物の、あれがあったら、非常に楽チンであろう。
タイムマシーン、あれがあったら、ジュラシックパークを生で体験できる。
そのほかにも色々夢のある道具が出てくる。素晴らしきかな、ネコ型ロボット。私も、子供の頃、ネコ型ロボットとは言わないまでも、四次元ポケットは欲しかった。
ただ、ちょっと考えて欲しい。
ネコ型ロボットは、未来に莫大な借金を残して死んでしまう、ダメなメガネ少年を、更正する為に送り込まれたのである、もともとは。
そう、思い出して欲しい、最初、あの少年は、いじめっ子の妹と結婚し、子々孫々に累が及ぶ、莫大な借金を残して死ぬはずの人間だったのである。
だが、その後、ネコ型ロボットと生活を共にして行くうちに、ヒロインと結婚し、平凡なサラリーマンになる様に変わってゆくのである。その後、送り込んだ人間の家庭に、借金がある様子もない。
そう、送り込んだ、ダメ少年の子孫は、
先祖を更正して、己の悲惨な生活を改善する
と言う当初の目的を果たしたのである。めでたしめでたし。
なわけ無いだろう!!
よく考えても見て欲しい。
これって、立派な歴史修正じゃないの??
規模の大小の違いはあれ、本来莫大な借金を残して死ぬはずである人間の未来を変えてしまったのである。22世紀から見れば、過去の出来事である。いくらタイムマシンが在るとは言え、いいのだろうか、たかが、少年一人のエゴで、歴史を変えてしまって?
タイムマシンが出来ている22世紀の世界で、時間と言う観念がどのように変わっているのかは、あの作品からはうかがい知ることは出来ない。だが、タイムマシンが、出来る以前の時代に干渉してはならない、と言うような法律は出来ていてもよさそうである。
だって、それが無かったら、世の中大混乱である。
もっと金持ちの成りたいと思い、先祖に、将来値打ちが上がるものを購入させるとか。
いや、もっと大規模に、将来歴史を変えるような偉人を生む家系の人間を殺害してしまったら??
そう、夢一杯に思えるネコ型ロボットの存在は、実は非常に恐ろしく、そして危険なものなのである。
他の秘密道具だって危険が一杯だ。
どこでもドアー。
金庫室の中にいかれたらどうする?
いや、未来の世界は、それに対応したセキュリティーがあるのかもしれないが、現在の世界は違う。例えば、悪意ある人間が、連邦準備銀行などの内部にあれで入り込んだら?
そのほかにも小型のスパイ衛星やら、相手の私生活を覗き見できるアイテムなども出てきている。
良いのか、そんな者を、あんな、ロボットが持っていて、いや、それ以上に、現行法からでも、立派な法律違反である。
更に恐ろしいことに、それ以上に、ネコ型ロボットの秘密道具の中には、更に危険なものがある
地球破壊爆弾(とか言う名前だと思う)。
確かねずみで錯乱したネコ型ロボットが、それで、ねずみを殺害しようとしたはずである。
ネコ型ロボットを未来の少年の家庭が購入したのは、莫大な借金が残っているときである。そこから考えると、ネコ型ロボットの価格は、非常に安いものと思われる。
そんな安物でも、地球を破壊できる爆弾を持っているのである。
22世紀の世界って、ひょっとして、物凄くデンジャーなのではないだろうか?
これは由々しき事態である。
もしも、悪意ある人間が、過去に行き、その強力な爆弾で、相手の国の首都を爆発させたら??
極端な例かもしれないが、そういう可能性もある。
まあ、あれにも、その手の犯罪を取り締まる治安機構のようなものは出てくるが、それでも問題である。
なぜ、未来の少年と、ドラえもんは取り締まられない??
規模の大小なぞは、司法の前では関係ないのではなかろうか?
大体、プライバシーの侵害を、何度化しているんだぞ、あのネコ型ロボットと、ダメ少年は。未来の道具を使って!!
22世紀の未来って物凄くいい加減なの、もしかして?
大体、多かだかネズミを見たぐらいで、CPUパニックを起こすような、セキュリティー、安全対策がなっていないロボットが、それを管理しているのである。22世紀の世界は、そんな信頼性のない 機械に、そんな危険なものを管理させているのだろうか?
そう、あの漫画から見え隠れするのは、ばら色の、楽しい未来などではなく、実は、 拳銃以上に危険な兵器がゴロゴロしている、一般生活の安全性、プライバシーすら守られていない、灰色の未来である。
それ以外にも色々疑問がある
大体、なぜロボットが食い物を食う?
作品を見ている限り、ネコ型ロボットが、充電などをしている様子はない。そのくせ、食い物は、毎日食べている。どの様な仕組みかは知らないが、恐らくエネルギー源は、生物と同じものからとるのだろう。
迷惑じゃないのか?はっきり言って。恐らく摂取量は、主人公のダメ少年と同じぐらいであろう。その食費が一体いくらに成ると思っているのか?いや、それ以前にある日を境にあんなものが、「や、僕ド○え○ん」とか言って現れたら?
自分が狂ったと思うぞ、普通なら。
いや、あの作者たちの書かれる作品全てに共通している、これらは。
忍者のお話。
ある日を境に、就学年齢の少年が転がり込んできたら(しかもその少年は、忍者の格好をし、しかもヤッパまで持っているのである)
普通警察呼ぶだろう。
その後、そいつの弟と、大食らいの犬まで転がり込んできたのである。しかも、少年の実家から、仕送りがなされている様子はない。
食費だけで一体いくらになることやら・・・・・・・
それとも、彼らを扶養家族として養っているのだろうか?
「あの、扶養家族が増えたので、申請したいのですが」
「おお、子供が生まれたのかね」
「い、いや、そうではなくて、少々事情が在りまして」
「ああ、ひょっとして、親戚の子を、引き取ることに・・・・」
「あ、いや、伊賀から来た、忍者の少年を、うちで引き取ることになりまして・・・・」
「ちょっと休んだらどうかね?君」
普通なら追い出すはずである。
「こんなところに転がり込んでないで、ちゃんと小学校に行きなさい。」と
大体、彼らの義務教育はどうなっているのだろうか?
兎に角あの人たちの描く作品の人たちは、実におおらかである。
見ず知らずのロボットや、忍者や、お化け(しかも、そろいもそろって大食らい)を、嫌な顔一つせずに養ってあげているのである。普通なら、嫌がるか、追い出すか、そこまでしないでも、嫌味の一つでも言っても罰は当たらないのに、それすら言わずに、実の子供と同じように愛情を注いでいるのである。なまじの大らかさ、人間のでかさではない。私も、その大らかさと、人間の大きさを見習いものである。
ただ、逆におおらかに育てすぎて、子供は、揃いも揃って駄目人間になってしまったのかもしれない。