裏木戸通信 122号
サービス・サービス
「いらっしゃいませ〜〜〜」
「ご注文は」
愛想のよい声で注文を聞くファーストフードの店員さん
「ええと・・・・」
注文を言おうとすると、その前に次の言葉が飛び出てきた。
「新発売の○○はいかがでしょうか」
新発売の○○。見ると何だか美味しそうじゃないし、大体食べたいものはもう決まっている・
「▲▲セット」
『余計な事を言わんで、注文とりゃいいんだよ』と、心の中で思いながら注文を言う。
「現在、セットと一緒でお得なメニューといたしまして単品・・・・」
「要りません」
『やかましい、ボケ!!』と、心の中で思いながら遠慮を申し上げる。
ま、最近、この手のお節介サービスはなくなっているとは言え、いまだ、こんな感じの店はある。
感覚的に、サービスと言うと、物を買ってくれるお客様が、店に来てくれたことへの感謝、またその店に来たくなるように、何か、値段に成らない事をする、本来やら無くてもいいが、やってくれると有り難いと感じることをすること、と言う感じがある。
店に入った時の挨拶も、店員のあの笑顔も、商品を愛想よく説明してくれるあれも、商品を探してくれるのも、買い終わった後の挨拶も、漫画の中の一寸エッチなあのシーンも、全てサービスである。
サービスの意味を辞書で調べると
(1)相手のために気を配って尽くすこと。
(2)品物を売るとき,客の便宜を図ったり値引きや景品をつけたりすること。
⊂経⊃
物質的財貨を生産する労働以外の労働のこと。第三次産業に属する。
※デイリー新語辞典から
だそうである。
だが、相手 に気を使ってやらない、押し付けがましいサービスはゴロゴロある。電化店に行けば静かに製品を見たいのに「こちらの製品は・・・・」などと声をかけてくる。これをサービスと言っていいのか・・・
本来サービスは無料の筈である。そう、相手の為に気を配って尽くす事なのだから、本来は、対価を要求しないものの筈なのである。
だが、この、恐れ多くも賢くあらせられる資本主義の神が支配なされるこの世界では、サービスも当然お金がかかる。 本来ならばただでいいはずのサービスにも当然お金が発生してしまう。「有料サービス」なんて言葉もあるし、大体、「サービス業」なんてい業種わけがあるしね。
「 サービス業」と言えば、宿泊業、旅行業などがこれに入るが、当然、これらの「事業」は、ただで「サービス」をやる職業ではない。当然無料で宿泊施設提供していたら、食っていけないし、商売にもならない。 旅行業だって、ただで、ツアーを組んでいるわけではない、これだってやっぱりお金を取らないと、やっていけない。だから当然お金を取る。それはそれでいたし方が無い。これらの物にお金を払うのは当然だと私は思っている。宿泊施設だと、それを作るお金もかかるし、その場所を借りるんだし、そこで寝ることで、野宿をしないで済む。後は、値段との折り合いの問題なんだし。旅行だってそうだ、大人数で行くことにより、料金下げられるだろうし、予約、手配、その他諸々の手間の掛かる事をやって貰える。これも後は値段との折り合いである。
上記のものは、案外「サービス業」と言うネーミングが悪いのかもしれない。彼らは、サービスの様な、サービスと似て異なるものを売っているだけなのかも知れない。(私のサービスに対する認識が悪いのかもしれないし、私の頭が悪いのかもしれないが)
ただ、 上記のものは、既に、世間一般に浸透しているし、当たり前のように使われているから、何となく使っている。
ただ、同じような使われ方かもしれないが、サービスと言う言葉を使うことに納得が出来ない例がある。
当ホテルではサービス料として誠に勝手ながら宿泊費の他に、10%を頂いております。
サービス料込み。
ホテル、旅館、飲食店などで目にするフレーズである。
いや、こっちも、それらの商品の値段に、それらの物が含まれているのは何となく判っているし、お金を払うから、愛想位良くしてくれ、もう少し気を使ってくれ(別名「俺は客だぞ馬鹿野郎」)と言う気が当然ある。
だけどさ、電気店とか、模型店とか、スーパーとか、その系統のお客相手商売の売り物に書いてあります
¥○○(サービス料込)
とか
¥○○(サービス料別)
とかって。
あれらの販売価格には、人件費とかも含まれていて、その雇われた人は、接客の何たるかを教育される(はず)だから、見方を変えれば、その中にとうぜん、本来は無料である筈のサービス料(?)は含まれている筈である。(この見方も間違っているかもしれないが)
だが、一部のサービス業といわれる業種だけは、ことさらサービス料を強調する。当然のごとくサービス料を取る。案外法律などで定められているのかもしれないが、やっぱり釈然としない。本来なら、あくまでも、お客様の事を考えての「サービス」なのでは。 (もし、法律などで、それらに税金がかかったりして、その分を徴収しているんなら、ちゃんとそう書けばいい気がするし、大体、そんなのから、一々税金取るのもおかしな気がする)
愛想振りまいたり、要らん気を使わないで良いから、サービス料の分安くなんない。と言うか、大体あんたらのその行動って、本来の宿泊料には含まれていなかったんかい?と言う気になる。
で、
過剰なサービスを廃しコスト削減
なんて言う物が出てくる。
まあ、確かに、要らん気を使われる位なら、安い方がいいけどさ・・・・・・・・・・・・・・・、やっぱりこれも釈然としないものがある。
「当店は、過剰なサービスを廃し、セルフサービスにすることで、コスト削減を・・・・・・・」
等と書いてある店もある。(実態は、人件費ケチって人を入れてないだけなんだけどね)
いや、あの業種が大変なのはわかりますよ。
変な客、難癖をつける客、無理難題を言って日頃の鬱憤を晴らしているとしか思えない哀れな客とかに対しても同じ客として愛想を振りまかなくっちゃいけないんだからさ。で、不思議なことに、この手の変な客は、えてして「サービス業」を利用している時に多く見かけるし、また見かけられるって言うしね。
そういう人に対しても、「申し訳ありません」と、慇懃丁寧に相手しているのを見るとプロを感じるし、大変だなと思うよ。
でも、だからって、「サービス料」と強調するのはどうかと思うよ。
そんなのが表示されている所で、そういうシーンを見ると、「ま、金別途取っているんだから、その位やりな」なんて気にすらなってしまう。
なんと言うのか「サービス業」と同じように、「サービス料」なんて、サービスと言う言葉を使うからいけないのかもしれないのかもしれない。
「馬鹿な客を相手にする事より生じる精神的苦痛に対する料金」
こうすれば、むしろ誤解が無いかもしれない。