裏木戸通信 125号

 

階段下の者達

 

 

さて、前回やると予告してしまった階段下の住人。(厄介な話題を取り上げて少々後悔していたりする)

世間一般で野良猫と呼ばれる彼等が、階段下に住み着いて、もう随分に成る。その間、面子も少々変わったようだが、基本的に2〜3匹が住み着いている。

階段下に住み着くようになったのは、定期的に餌をあげている人が居るからと言うのも前回書いた。

私の住んでいる所は基本的にペット禁止である。当然部屋の中は愚か、屋外でも、犬猫の類は飼育禁止である。その禁を破って、ペットを飼っている人はいない(魚などと類は居るようだが)。

その代りなのか、何なのか、野良猫に餌をやる人がおり、幾匹かの猫が、住み着くようになった。この様な行為を行った場合、大家等から注意が行くケースもあるようだが、管理業者を介しての契約の為か、何なのか、今まで、その様なお達しが出たことは無い。

ただ、基本的に、野良が、飼い猫のように住み着いてしまっているので、一度トラブルになったことがある。

もう、数年前のことであるが、一度、若い住人と、餌をやっているらしい人(初老の女性)との間で言い合いに成っていた事があった。もう、夕闇が迫る頃、若い方が、餌をやっているとおぼしき女性に、なにやら声を荒らげて抗議している。基本的に「隣は何をする人ぞ」と言った感覚なので、余り関わりたくも無いし、関心も無かった筈なのだが、何となく聞いてしまった。

話を聞くと彼の車の上に野良が乗り車が傷付くと言う事らしい。

「ペット禁止なんだから餌をやるな」と言う彼と「猫が乗った位で、目くじらを立てるな」(記憶も曖昧だし、主張の方は、かなり曖昧です)というようなことを言い合う二人。

「確かに猫が乗ったぐらいで・・・・」と思いもしたが、反面ローンも残っているであろう新車の上に野良が乗っかり、つめ等で傷が付いたら、確かに不愉快な気分に成るだろうなと思いもした。彼にしても、その鬱憤を、猫以外の誰かにぶつけたく、結局、餌をやっていると思しき彼女に当たってしまったのではないだろうか。

結局しばらく言い合っていたようだが、日暮れと共に収まったようである(その時は余り関心も無くそれ以上突っ込まなかったもので)

その後、彼の車と思われるものには、カバーがかかり、その後、引っ越していった。そんなトラブルにもめげず、餌は与え続けられたようである。で、その後は特に表立ったトラブルはないようである。

野良猫に対する餌槍などの問題は色々論じられているようである。

、餌やり自体を全面否定する意見、餌をやるが、避妊手術など一定の責任を持ってやる事を前提とした意見、避妊手術を否定する意見、etc、etc。

どれが正しいとは一概に言い切れない。確かに避妊手術事態、猫の生存権を脅かしていると言う事にも成るが、かといって、そのまま野放しにすれば、野良猫は増える一方で、更に問題が大きくなるかもしれない。

ただ、それぞれの意見に聞くべきところがもちろんあった。色々なHPを見ているうちに、ふと、実家の近くに居た野良のことを思い出した。

実家に住んでいた頃、家の前の空き地に野良が住み着いたことがある。子猫が三匹と、その親猫である。ただ、子猫が生まれた後、親猫は、死んでしまったのか、居なくなってしまった。

我が家は、基本的に生き物を飼う趣味は無かったので、特に彼らに関わろうとはしなかったが、隣の家の子供が餌をあげ様とした事があった。だが、その家の親は、結局餌を上げることに同意しなかった。

理由は、餌をあげるからには、その先、彼らの命に責任を持たねばならないが、その責任を負いきれないこと。また、彼らは野良であり、これから先、基本的に自分で餌をとり、自分の力で生きてゆかなければ成らない。なまじの考えで餌をあげれば、餌を取る事を覚えず、逆に彼等の生命を奪う事になりかねない。という事らしい。

もちろん、この考えが全て正しいと言うわけではもちろん無い。この考え事態が、自然の状態で、野良の餌になる物が多い田舎だから成り立つかも知れない考えで、所謂自然の少ない都会でそのまま当てはまる考えでももちろん無い。隣の母親がこういう考えを息子に言ったのは、案外めんどくさいので、屁理屈言って逃れただけかもしれないが、私は、野良猫に対する一つの接し方だと思った。

その後、一匹は居なくなってしまったが、残りに引きは、野良猫としてたくましく生き延びていた。

野良猫に関して真面目に考えているサイト。その主張は色々有るが、一つだけ共通しているところがある、彼らに関わるのなら、それ相応の責任を持って関わる。という事である。

階段下の住人に餌を与えている人は、住み着いた分に関しては、避妊手術を施していると言うことだった。基本的に彼女がそのお金を払うが、どうしても捻出できない場合は、そういう運動をしている所に依頼をすると言う。そういえば、面子は変われど、子猫を見かけたことは無い。

軽い気持ちで、「住人に呼びかけて出してもらえば・・・」等と言ってしまったが、彼女だけが餌を与えているのだし、大体不愉快に思っている住人だっているのだから、そんな事は出来ないとの事。考えてみれば、私も、いざ言われたら、そんなお金を配送ですかと出すかどうか、判った物ではない。いや、多分、色々理由をつけて出さないであろう。

階段下にいつかれるのは、私、個人としては、余りいい気分はしないが、餌を与えている人が、それ相応の責任感を持って、彼らに接している事だけは判った。少なくとも猫嫌いだから、と言うだけで、彼らを無視する私よりは、まだましな接し方かもしれない。

ペット禁止のところで餌をあげて居つかせてしまうことの是非は良くは判らない。ただ、やっぱり、彼らに対して考えるときは、それ相応の責任感をもって接するべきで、責任を取れない、取る気が無いのなら、とやかく言うべきではないのかもしれない。

もっともこんな人間様の気持ちをよそに野良猫たちは本日も生きている。

 

 

 

野良猫のタンゴ