裏木戸通信 144号

 

無題(あえて)

 

 

某国、白い家、執務室

Jr「ねえ、本当にやるの?」

国防長官「当たり前でしょ、何のために、あれだけの部隊と空母を派遣していると思っているんですか」

Jr「でもさ、かなりの国が反対しているよ、今回のは。やばいんじゃない、国連の決議を経ずに、勝手に始めちゃったら。」

国務長官「大丈夫です、始めたら賛成する国は、沢山出てくるから、安心してください。」

側近A「開戦したら、賛成に回ると思われる国々です。」

側近が、情報筋から流れてきた、開戦したら、賛成に回ると思われる国々のリストを手渡す。

Jr「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

国防長官「沢山あるでしょ、賛成に回る国」

Jr「でもさ、これって、聞いた事の無い国が多いよ。」

側近A「貴方が知らないだけです。」

側近B「殆どの国が、我が国の軍隊を駐留させてくれている、友好国ばかりです。」

Jr「へえ、うちの国って、外国にも軍隊送っているんだ。凄いんだね。」

副「世界の警察ですからね、我が国は。」

Jr「でもさ、そのほかの国は?確か、中国とか、ロシアとかはうちの国の軍隊いないよね。ひょっとして、賛成している国って、ただ単に、うちの国の軍隊が駐留していて、うちの国が怖いから賛成しているだけなんじゃないの??ねえ、ねえ、ねえ。どうなの、実際の所。」

国務長官「何を言うんです、Jr。あんな、北の野蛮国や、半世紀前まで、半植民地だった国は、正義の何たるかを知らないから反対しているんです。ここに有る国は、みな、文明国だから、我が国に賛同してくれているんですよ。 多数の国の賛成が有れば、国連決議なんか必要ありません。民主主義は、多数決によって決まる物なんですから。」

側近A「どんな馬鹿だろうが、ヘタレだろうが投票しようが、一票は一票だしね。」

Jr「そうか。だけどさ、この間の説明じゃ、うちの国以外、殆どの国の国民が、開戦反対が、圧倒的多数って言うしさ・・・・・」

国務長官「自信を持ってくださいよ、Jr。このまま強気で行った方が、国民への受けはいいんですから。ここで、弱気と取られるそぶり見せたら、次の選挙に影響が出ますよ。」

側近B「そうですよ、ここは強気に行った方が、国民の支持率は、結局上がりますよ。父上だって、あの国やっつけて、支持率一気に上げたでしょ。」

Jr「けどさ、結局パパ負けちゃったじゃん、次の選挙。あんな奥さんの尻に敷かれているような男にさ。」

国務長官「あれは、我々の言うとおりに、あの男に止めを刺して、我々のイエスマンになる極東某国の様な政府を樹立しなかったからです。」

国防長官「そうそう、あの時、キッチリ止めを刺して、イエスマンの政権樹立しておけば、次の選挙だって、万全だったんですよ。」

Jr「じゃあ、今回ぼくがあいつに止めを刺して、新政権樹立すれば・・・・・・」

国務長官「貴方は、英雄になります。」

国防長官「そう、歴史に残る、名大統領となるでしょう。」

 

Jr「ほ、本当!!」

 

側近A「ええ、やつに止めを刺せれば、次の選挙は、圧倒的多数の支持で当選できますよ。前回みたいに、大苦戦する事なんか、ありえません、貴方のような馬・・」

ゴキ!!

側近Aを小突く、側近B

Jr「そ、そうか、じゃあ、やっちゃおうか?思い切って」

国務長官「やっと決意なされましたか。」

 

副「これで、石油の安定供給先を確保できるってものです。Jr。」

 

Jr「え、石油って、ひょっとして石油の為にやるの、この戦争。だって、パパとか、国務長官、周りの皆、正義の為の戦いだって、言ってたじゃん。」

側近A「正義の為のわけないでしょ。ムスリムごときが原油の価格仕切るなんて、あっちゃならないから、あいつ潰して、イエスマンの政権を・・・・・」

側近Aの口をあわてて塞ぐ側近B

副「いや、いや、勿論正義の為ですよ、Jr」

国務長官「そうそう、正義の為です、で、その正義を行ったご褒美として、石油がついてくるんです。」

Jr「でもさ、石油ならテキサスで出るじゃん。何で、あんな砂漠の国やっつけると石油がついてくるの?」

副「あそこいら辺一体は、世界有数の油田地帯です、Jr」

側近A、小声で、側近Bに

側近B「そんな事も知らないのか?ひょっとして??」

側近A「隣の国の元首の名前も知らないんだぞ。知っているわけ無いだろ。そんな高尚な事。」

Jr「でもさ、それじゃあ、『石油の為に戦争している』みたいなイメージ与えない、他の国に。」

副「大丈夫です。こんな物は、始めた物がちなんだからさ。」

Jr「でもさ、石油の為に戦争しました。なんてイメージ与えたら、勝っても、支持率が、余り上がらないような気もするんだけど・・・・・・」

 

 

側近A「大丈夫だって。あそこには、選挙権ある人なんかいないし、ムスリムが何百万人死のうが、勝ちゃ、『 U・○・A、U・○・A』とか気勢上げて、馬鹿騒ぎして、貴方を支持してくれますよ。わが国民は。」

 

 

Jr「そんなものかな?」

側近B「そんなものです。」

側近A「だから、貴方みたいな馬○でも、大統領やっていられるんです。」

ゴキ!!

再び側近Aを小突く側近B

Jr「じゃあ、心配要らないわけね。」

国務長官「要りません」

Jr「じゃ、やるか」

 

 

国防長官「では、取り合えず、最終勧告を出しましょう。」

 

 

Jr「え、そんな事をせずにチャッチャと殺っちゃおうよ。前回貰った資料じゃ、わが軍の方が、あらゆる面で圧倒的に有利なんでしょ??」

軽くため息をつく側近A

側近B「確かにすぐに殺るのも手ですが、流石に、それをやると、国内の世論も小うるさいですからね。」

側近A「ま、形式的なものですよ、あくまでも。」

Jr「そうか・・・・。だよね、流石にイキナリ開戦は不味いよね。」

国務長官「その通りです、Jr。」

Jr「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

国防長官「どうかなされましたか?Jr」

Jr「いや、あのさ、今ふと思ったんだけどさ、その最終勧告、受け入れられちゃったら、開戦の理由失っちゃって、逆に不味くない。」

一同「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

Jr「ね、ね、ね、その通りでしょ?どうするの?最終勧告受け入れられちゃったら?」

側近B「心配要りません。」

 

 

国務長官「『48時間以内に、あいつとその家族が国外へ亡命する事』最終勧告の内容ですから。」

 

 

Jr「そ、そんなのあいつが受け入れるわけ無いじゃん!!」

国防長官「だ・か・ら、最終勧告なんですよ。」

Jr「でもさ、そんなのが最終勧告じゃ、出す意味余り無いんじゃ。」

側近A「だから言っているでしょ、あくまでも形式的な物だって。」

Jr「ううん、ま、いいや。考えるの得意じゃないし。じゃあ、それで、段取りつけて。」

 

 

 

48時間後

 

 

Jr「やっぱり受け入れられなかったね。」

副「これで大手を振って、始められます。」

Jr「で、何時から始めるの??」

国務長官「もう、始めています。」

Jr「え、もう??だってさ、確か、戦争始めるには、宣戦ナントカとかいうの、しなくちゃいけないんでしょ?」

 

 

側近A「心配要りません、第二次大戦以降、そんな野暮な物、我が国は出した事ありませんから。」

 

 

Jr「え、だって、沢山やっているじゃん、うちの国、第二次大戦後も。」

副「だから、心配要らないといっているんです。」

Jr「そうなんだ。で、世論の反応は。」

国務長官「国内外で、反対のデモとかが起こっていますが、どうせ、騒ぐだけですから、影響は有りません。」

Jr「あ、そ。で、各国の反応は。」

側近A「フランスとかは、遺憾の意を表明しただけ。結構な国が、賛成表明してくれてますよ。」

Jr「で、この後どうなるの?」

国防長官「そんな長くはかからないでしょ?連中ろくな兵器持っていないし。」

Jr「資金は大丈夫なの?ほら、お金かかるって言うじゃん、戦争すると。」

副「リスト見てください、中ほどにある、○○って言う国が有るでしょ。」

Jr「ああ、あのマシリト見たいな人が元首の国だったよね。」

側近B「そうです、その国が、勘定持ってくれますよ。」

Jr「へえ、気前がいいんだね、この国。」

側近A「てか、それ以外使い道ないしね。」

Jr「じゃあ、取り合えず心配は要らないわけね。」

国務長官「ええ、要らぬ心配は無用です。これで、来期も当選間違え無しです。Jr」

Jr「そうか、良かった、良かった。」

 

 

この物語は120%フィクションであり、実在の人物、団体、国家、組織、その他諸々とは、一切全然全く関係ありません。