裏木戸通信 199号

 

3人の人質

 

 

イラクで日本人が、3人が人質となった

3人の解放の条件は、3日以内の自衛隊のイラクからの撤退である。

これに対し日本政府は、撤退は無いと表明した。

この対応は、個人的には支持をしたい。

イラクへの自衛隊派遣の善悪、要否は別にして、不当な方法でなされた要求を下手に呑むと、更なる、同様の犯罪を生む恐れがあるからだ。同様の犯罪を生まない為にも、やはりここは、毅然とした態度をとるべきであろう。

もちろん3人の無事を祈らずにはいられない。

政府には3人の無事解放、帰国に向けて、最大限の努力をしてほしい

が、今回人質となった、3人の方は、このような事態も、有り得る言うことをちゃんとを理解していたのだろうか?そして、その様な事態に陥ったときの、覚悟、心構、何かあったときの、責任の取り方などを考えた上でイラク入りしたのだろうか?

ニュースを見て、それを疑問に思った

ジャーナリストの郡山総一郎氏。戦場からの報道と言うのは必要な物でもあるし、戦場カメラマン等、それらを専門にしているジャーナリストもいる。が、個人的には、そのような職業を選んだ人は、それ相応の覚悟があるのでは?とも思っている。仕事の場は、戦場である。流れ弾に当たったり、戦闘に巻き込まれて死ぬこともあるのである。いや、事実、多くの戦場ジャーナリストが、戦闘で死んでいった事実がある。果たして、郡山氏に、その覚悟があり、その危険性を、家族や、残されるものに説明していたのだろうか?

いや、それ以上に、日本の、世界の、マスコミを見ていると、イラクに特派員などを派遣しているが、彼らに、その危険性を、本当に理解させ、マスコミ自身が、何かあったときの覚悟、そして、責任の取り方等をちゃんと考えた上で、送っているのか、はなはだ疑問になってくる。

万が一、時局のアナウンサー、スタッフ、関係者が、同様の事件に巻き込まれたとき、局としてはどういう対応をとるつもりなのか?どういう行動をとり、どのような責任を取るのだろうか?派遣するスタッフに、どのような対策を講じているのか?個人的にはぜひ、知りたい物である。

NGOや、それに類する活動にしてもそうである。

NGO等の活動を否定する気はないし、その必要性も、ある程度は、認識しているつもりである。

戦争に巻き込まれて傷ついた、人々を救い、サポートする必要は確かにある。政府組織に出来ない活動や、支援等もあるだろうし、草の根、一般市民の視点から見た、戦場の様子や、市民セ活の困窮等を伝え、啓蒙し、支援の輪を広げる活動も、必要だとは思う。場合によっては、政治力学や、国際関係などという下らぬ物のために、救われない人を救うために、このような組織が無くてはならない場面もあると思う。

危険地帯で、命の危険も顧みず、そのような活動を行う人に、頭が下がる。

が、やっぱり危険な所で、そのような活動をしているのである、それ相応の覚悟が無ければ、そのような活動に、身を投じるべきではないと思うし、何かあったとき、ちゃんと責任ある行動を取れる人で無いと、安易にその様な行動を行うべきではないと思う。

活動内容によっては、文字通り、命の危険のある活動を行っている、団体だってある。戦争終結直後の、治安も安定していない、テロリストの跋扈する、地域で活動すると言うことは、それだけで、相当の危険とリスクが伴うのである。

現在のイラクのような、危険極まりないところで、活動する場合には、ものすごい乱暴な言い方かもしれないが、「死んでもかまわない」、「人質にとられても、場合によっては、見捨ててくれ」位の覚悟がないと、やっていられないと思うし、また、関わるべきではないと、個人的には思う。

今回捕らえられた、高遠菜穂子さん、今井紀明さんは、いったいどのような、覚悟と、信念を持って言ったのか。私にはわからない。が、なまじの覚悟なら、危険なところへ行くべきではないし、そのような活動に、関わるべきではないと思う。

危険だから、命が危ないから、などの理由で、そのような活動を避けたり、知らぬふりをするのは、卑怯かもしれない。その危険な場所で、罪も無い、弱者が苦しんでいる人もいるのは事実なのだから。

が、相応の覚悟も無く、乱暴な言い方だが、安っぽい正義感だけで、そのような活動に関われば、場合によっては、そのような活動を、見て見ぬふりをしたり、「俺は関係ない」とかいう、無責任な態度をとるよりも、ある意味、害が多いかもしれない。

誤解されるようなことを書いてしまったが、ボランティアとしてイラクに向かった、2人の方の、信念や、活動を否定したり、蔑んだりするつもりは毛頭ありません。

彼らの行っている活動は、必要なことだし、無くてはならない活動かもしれない。

が、そのような活動に従事するのなら、やはり、それ相応の、覚悟と、知識と、技量がいると思うし、そのような、訓練、勉強等を行ってから、活動を開始するべきだと思う。

果たして彼らは、その様な、訓練、勉強等を行ってから、イラクへ乗り込んだのだろうか?

周りの人達に、信念、覚悟等を語り、納得させてから言ったのだろうか?

特に、今井さんにいついて言わせてもらえば、彼はまだ未成年である。今年の三月に高校を卒業したばかりである。乱暴な言い方だが、いくら確りしていようと、、この平和な日本国内でも、自分のみを自分で守れるかも、まだわからない年齢である。

彼が、イラクに行こうと思ったとき、当然親御さんに相談があったと思う。その時、親御さんは、このような危険性を、承知の上で、息子さんを、危険極まりない、イラクへ行かせることに、同意したのだろうか?危険について、ちゃんと息子さんと話し合い、そのリスク等をちゃんと、息子さんに承知させたのだろうか?

万が一、それを怠っていたら、それは、親権放棄にも等しい行為だと思う。

乱暴な言い方だが、彼ら3人が捕らえられたことにより、日本国民全員が、彼らのみを案じ、日本のみならず、国際社会の多くの人々、多くの組織が、彼ら解放のために働くのである。危険地帯に行けば、最悪、そのような事態になる可能性もあることを、息子に説明し、親御さん自体も、その様な事態になった時の、覚悟等を決めてから、息子さんを危険地帯に送り出したのだろうか?

その様な事を行わず、息子さんをイラクへ送り出したのなら、親御さんは、無責任な人間、と非難されても、致し方ないと思う。

彼の周りの大人は、ちゃんと大人としての責任を彼に対して果たしていたのであろうか?

はなはだ疑問である。

もちろん、覚悟が有るから、殺されていい物ではない。

ニュースに出てくる、彼らの周りの人たちには、少なくとも、その様なリスクを理解していたとも思えないし、そのような事態に直面した場合の覚悟も感じられない。

危険な所に行かない、危険があったら、そのときはあきらめると言うのも、立派な対応だし、それはそれで勇気ある行動ともいえると思う。また、子供や、知り合いなどが、その様な、危険なところへ、以降としていたら、その覚悟を問い、覚悟が出来ていなかったら、止めるのも、勇気であり、必要な行動だと思う。

覚悟、覚悟と偉そうに書いてしまったが、自分には、もちろんそんな覚悟は無い、で、そういう活動に携わるのも、いやな、卑劣極まりない人間である。そんな人間が、このようなことを言っても、説得力は無いのを、承知の上で、書かせてもらった。

 

 

 

3人の方の無事を心より祈りながら、この取り留めの無い文章を締めくくらせていただきます。