裏木戸通信第二号

「強風が吹く」

そう、強風が吹いたのである。

お約束どうり京葉線は止まった。

しかし京葉線は本当に風雨に弱い。大雨のため、強風のため、等等、実に簡単にそして良くとまるのである。

なぜか?

海沿いを走っていからか?

バブル期に作られたために手抜きをされたからか?

違う。そう、この謎を解くには、京葉線の地勢を考えなければならない。京葉線沿線には何があるか?

住宅街?

違う、「東京ディズニーランド」である。

其のほかにも、葛西臨海公園にある水族館、ザウス、幕張メッセ、等等、そう、「デートスポット」がわんさかあるのである。毎日いちゃいちゃした馬鹿カップルを満載して京葉線は走っていくのである。人前も憚らず、帰りのラッシュアワーで、いちゃいちゃしているカップルを見た時には、疲労万倍、ストレス万倍、後ろから延髄蹴りでも食らわしてやりたくなる気持ちをぐっと抑えてサラリーマンたちは京葉線に乗っているのである。

運転手だって、サラリーマンだ、むかつかない筈が無かろう。彼らは毎日決められたレールの上を時刻表どうりに進む人生を強要されているのである。少しでもレールから外れたり、時刻表を破ろうものなら、世間の非難の集中砲火を浴びる。そう、ストレスは、普通のサラリーマン以上かもしれない。普通の線ならばまだいいかもしれない、乗っている人は、彼らと同じサラリーマンである。「彼らの安全と、日々の生活のためにも責任を持って、レールの上を進み、時刻表を守る人生を歩むぞ!!!」と誇りも持てるかも知れない。

しかし!!京葉線は違う。乗っているのはお馬鹿なカップルが殆どである!!!

「俺は家族のために、決められたレールの上をきっちり走る人生を強要されているのに・・・・」と普通のサラリーマン以上に不満、疲労、ストレスがたまっていくに違いあるまい。ストレスは発散しなければならない。しかし、レールから外れては、脱線であり、普通の、彼らと同じサラリーマンが苦労をする。

そこでとられる手段が、運休である。

実は京葉線は、総武線、東西線などとほぼ平行に走っている。だから京葉線沿線に済んでいる人たちは、京葉線が止まっても、総武線や、東西線に乗って、帰ることができるのである。

しかし、カップルどもは違う。殆どが土地に不案内な人間たちである。京葉線が運休、帰れない、ストレスがたまる、喧嘩を始める、そして別れる。そう、京葉線が止まるたびにカップルは不幸になるのである。

しかし、晴れた日に運休にするわけにも行かない。だから、強風や、雨の時を狙うのである。

強風や、雨の日のデートはただでさえ喧嘩しやすい。デートが終わって帰るときにも余り盛り上がっていない、そこに京葉線が運休である、馬鹿カップルどもが喧嘩別れすることはもはや

必然!!

そして、運転手や、サラリーマンのストレスは晴らされる。

そう、京葉線が簡単に運休になるのは、実はJRの顧客サービスの一環なのである。

全てのカップルは不幸あれ・・・・・

(虚しい)