裏木戸通信20号
名 刺
長野県の新知事となった、田中康夫知事。
彼が、企業局で名刺交換をしようとしたところ、そこの局長が、「社長が、社員に名刺を渡す会社は倒産する。」と言い、名刺の受け取りを拒否、そのあと私の個人のE-mailが書いてあるから、と田中知事は、名刺を渡したが、局長は、「これはなかった事にしてもらう」と名刺を折り曲げた。
その彼の行動は、TVのニュースでも流された。
そして、その彼の行動に対して、長野県のみならず、全国から抗議の電話が殺到したと言う。
確かに本人の目の前で、名刺を折り曲げる局長の行動は、礼儀に反している。
無党派の支持を受けて当選した田中知事。県境内のお偉い方からすれば、黒船の来航のような物だったのかもしれない。局長にしてみれば、なめられまい、というおもいからでた威嚇行動なのかもしれない。
しかし、名刺を渡す田中知事も今ひとつセンスが無い。
名刺のやり取り。相手に自分の名前、連絡先を教えるには便利な物かもしれない。
しかし、日本では残念ながら、名刺は、便利な道具と同時に虚礼の道具になっている感がある。
名刺は両手で受け取る。相手の目の前ではしまわない。相手がいる間は机の上に置いておく、etc、etc・・・・・
ステレオタイプ化された日本人像の一つに、やたらと名刺をあげる日本人と言うのがある。
名刺交換などは、煩わしいだけである。
連絡が必要な人間にだけあげればいいものを、合えば出会えば、名刺交換。
それがマナーであり、それが日本の流儀である。と言われればそれまでかもしれない。
しかし、本来は、連絡先や、名前などをまとめて相手に知らせる、覚えてもらう、相手がいちいちメモを取る必要を隠す便利な道具が名刺なのではないだろうか?
それを目の前で折り曲げた局長は、確かに最低限のマナーにも反している行動ではある。
しかし、いちいち虚礼と化したような方法で、(責任者を一同に集めて名刺交換をするそれ)で、名刺を渡す田中知事もいまいちセンスが無い。
自分個人のE-Mailを知らせるにしても、もっとユーモラスな方法は無かったのか?
個人的には、局長のやり方は、あまりにも当て付けがましく戴けない。しかし、それでも渡した田中知事も、いいとこ勝負。どうせなら、渡さない。口頭で、E-mailアドレスを教えるなどしても良かったのではないか。
(案外あの局長、E-mailを扱えないのかも?)